初雪がふる。今朝の冷たさにそっと窓をあけて見ると。川向かいの山々が。 薄っすらと雪化粧をしていて。きりりっと身が引き締まるような冬の朝が。
決して嫌いではなかった。冷たい風も心地良く思えてしばし風に吹かれる。
とうとう今日が今年の仕事納め。きちんとケジメつけたさに焦っていたようで。 いざとなると程々でなんとなく。いったい何を納めるのだろうとふと観念しては。 ついには逃げるように家路を急いでいた。解放感が漲るように心を満たしてくれる。
なるようになった。これが結果で。だからこれからもなんとかなるのに違いない。
仕事に限らず。いまこの年の瀬に思うのは。日々に流されてばかりではなくして。 もしかしたら溺れそうになりながらも泳ぎつけたのかもしれないということだった。
何処にだろう?それは陸地なのか?ものすごくあやふやで不確かなところだけれど。 ぶるぶるっと濡れた犬が身を震わす時のような。その飛び散った水滴が陽を受けて。 きらきらっと光るのを見ているような気がする。すっきりといい顔を得意げに。
微笑んでいるすがた。
もがいてもがいてここまで来た。とにかくこうして地に立つことが出来るのは。 あの波のおかげではあるまいか。あの波が荒れてくれたから心を押してくれたのだ。
そうでなかったらもうとっくに。私は溺れて絶えていたことだろう。
凪いだ日にぷっかりと浮かべば空が愛しく。夢ではないかとふと不安がりもし。 道標のひとつもないことを怨みそうになりながら。空を信じてこころを宥めた。
眠れば朝が来る。それはもう今日という日になり。幾度も幾度も今日が来る。
わたしはここから。また飛び込んでいくだろう。
だいじょうぶ。いつだってこの空のしたにいる。
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