夕暮間近。茜色の真っ只中にあり家路をいそぐ。
ずいぶんと枯れてしまった尾花のことをふと愛しく思う頃とて。 彼女には彼女なりの生き様があるのを目の当たりにしてみると。 すこしも儚さを感じず。むしろこれほどにも強くと心を動かされるのだった。
落日に立ち向かう。その言葉に『年頃』をつけると。ちょうど私の頃に似て。 これまでどんなにかその頃を怖れていたことだろうか。急いて焦って転んで。
きっとものすごく不安だったに違いない。時がひしひしと迫って来るその影から。 もがいては逃げようと逆らうことばかり考えていたのかもしれない。けれども。
いまは。すこし違う。なんだかもうすっかり観念してしまうとただただほっと。 いくぶんその渦の流れに身を任せられるようになったような気がするのだった。
もうじゅうぶんなのかもしれない。なんとなくこのうえなど望まぬような心が。 私を救ってくれているように思う。あとはただ精一杯でいるだけでよいと思える。
ひとと出会い。それをかけがえのないことに思い。そのひとの心のつかの間にせよ。 私と云う名の『ひと』が息づいていられたらと。ただただそれだけを願っている。
私は記したいのだ。そのひとの人生の一部でいい。私と云う存在を残しておきたい。
ついつい思い詰めてしまうこともあるけれど。それは忘れられる事の辛さかもしれない。
だけど。そんな辛さにばかり拘ってなどいられない。
私は立ち向かっていく。落日の向こうにはきっと明日があるのだから。
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