| 2006年11月24日(金) |
もう決して逃げはしない |
恵みの雨が降り止まずにいて。銀杏の黄金色が蜜柑色に映されるのもよいもの。 灰色の空にも似合うものがあるのを見ると。心がほっと投げ出されたようになり。 冷たい雨の中。小走りにどこかあてもなく転がって行ってしまいそうで。はたと。
立ち止まる冷静に息をする。このままではいけないのではなくてこれでいいと。 思うときが。もっともっと。あるべきではないだろうか。ふとそんなふうに思った。
執念深い奴だなあと彼に呆れられたのは。若い仲間ふたりの婚礼についてであった。 ずっと自分の息子のように娘のように慕っていたのだけれど。前日までそれを知らず。 もちろん披露宴の招待状も届いてはいなかったことを。愚かにも私は嘆いたのだった。
彼は笑いながら。おまえもアホだなあと言い。若いもんにはそれなりの付き合いがあると。 おまえみたいなババアを誰が招待してくれるもんかと。ますます悲しい暴言を浴びせ。
だからと言って私は反論しなかったけれど。これはなんという寂しさだろうと思った。 そしてすごく納得したのは。このところずっと感じていた疎外感に他ならなかったのだが。
考えれば考えるほど。自分はそれほど煙たいのか。それほど邪魔者なのか。消えればいいのか。
いじいじめそめそ。こうなったら手がつけられず。片時もそればかりに拘ってしまうのだった。
その時ふっと思い出した笑顔があった。夏の日のことキャンプに誘ってくれた青年こと。 その前には飲み会にも呼んでくれて。少し遅れて行ったのを「こっち、こっち」と。 手招きで隣りの席に呼んでくれたのは彼女だった。あの時はほんとに嬉しかったなあ。
ここ数日。ずっとその笑顔を思い浮かべていて。それがどんなにありがたいことだったか。 それなのにどうして私はふたりを恨むような気持ちを抱きしめようとするのだろう。
ふたりが晴れて結ばれて。こんなに嬉しいことはないのに。こんなに祝福しているというのに。
伝えなくちゃってすごく思った。真っ直ぐにとにかく私はもっと素直になりたかった。
今夜またふたりに会えてほんとうに救われる気持ちで。お母さん嬉しいようって。 ちゃんと言えた。そしたら懐かしいような。愛しくてたまらない笑顔が返って来たのだ。
壁はあくまでも私自身ではあるまいか。くよくよと思い詰めてはそれを築いていたのは。
わたしなのだ。
ならばコツコツと少しずつでもいいではないか。その壁を壊してみるべきだ。
愛しいものから。もう私は決して逃げはしない。そう決めた今夜であった。
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