| 2006年11月20日(月) |
篭の鳥。一羽います。 |
雨あがりの朝のこと。何処からかそれはすぐ近くのようで見つけられず。 山鳩がしきりに鳴いている声が聞こえた。誰かを呼んでいるふうであり。
ふとたまらなく。せつなさがこみあげてくるのだった。
『逢いにきたのになぜ出て逢わぬ ぼくの呼ぶ声忘れたか あなたの呼ぶ声忘れはせぬが出るに出られぬ篭の鳥』鳥取春陽
浅学菲才の身ではあるが。なぜかこのうたは知っていて。 ずいぶんと昔。おそらく母ではなかったか。いや父だったのかもしれない。 幼い子供に『逢いたさ見たさに恐さを忘れ』とはよく教えたものだと思う。
おかげで19で篭の鳥とやらになってしまったではありませんか。父よ母よ。
一度は逃げてしまったけれど。またまた今も篭の中。とくに苦しゅうはありませんゆえ。 どうか安心して下さい。私はもうじゅうぶんに恐さを知っておりますから。
ここが好きです。ここ以外の何処がわたしの住処だというのでしょう。
子供を産みました。子供を育てました。子供がおとなになりました。 彼がすこし老いました。私も負けずに老いました。母はもっと老いました。 父はとうとう死にました。
どうしようもなく遥かに。時代が流れました・・・。
|