木枯らし一号が吹いて。からからからっと峠の道に木の葉が舞った。 せいたかあわだち草は枯れたけれど。鶏頭の紅は未だ炎のようでいる。 それは少しも理不尽なことではなかった。朽ちる者あれば生きる者あり。 冬の声を聞いた朝には。それがもっとも順調であるように思えるのだった。
いく道はいつだって空。どんな日もある。だけどいくのはいつも空へと続く道。 夢かもしれない。錯覚だって在り得るけれど。それを意志に変えてみたいものだ。

私は『ひと』だけど。ほんとうは道端の雑草になりたい。 春の日のオオイヌノフグリや。秋の日の野菊や。風に揺れるススキや。
そして猫にもなりたい。犬でもいいけれど猫のほうになりたい。 鳥にもなりたい。雀がいい。ちゅんちゅんと自由気ままに飛びたい。
ああだけど。『ひと』だからしょうがない。 ならどうして女なんだろう。男のほうがずっとよかったのに。
きっと。私はこんなに欲ばりだから。
『ひと』なんだな・・って思う。
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