か細く。今にも消えてしまいそうな声で。鈴虫が鳴いている。 あちらからこちらからではなく。ただ独りの声は少しせつなく。
三日月の夜だから。そっとしておいてあげたくなるのだ。呼んでいる。 彼は誰かを待っている。今夜限りの声ならばどうか見つけてあげてよ。
私には夜風が似合う。少しひりりと。もう痛くなったこの風のことが。 私は好きで。少し窓を開けてみては招き入れている。きりりっとして。 なんだか澄み渡る。心のどこか一部分の。私の汚れが風になるのがいい。
今朝。思いがけず。それはそれは嬉しいメールが届いていた。 私はいつも不確かだったから。いつだって不安だったけれど。
書いていてよかったんだなと。このままで大丈夫なんだなって思った。 誰かを傷つける。誰かの気に障る。それがもっとも悲しいことだったから。
誰かがほっと微笑んでくれる。誰かがほんの少しでも元気になってくれる。 それが私の喜びであり。幸せなことだった。こんな私でも誰かの役に立てたら。 この上ない事のように思う。それがどんなに思い上がりでも。私は私の信念を。
折ってはいけないのだと思う。だから立つ。もう老い始めてもう枯れ始めて。 いるのかもしれないことに。誰よりも気付いているのが。わたしなのだから。
みじめな姿を晒すわけにはいかない。私はもっともっと精一杯生きていきたい。
若いひとは。懐かしくって。なんだかとても恋しくて愛しい我が子のようだった。 ああ。このひとは。私がかつて殺した子供。生きていればと死んだ子の歳を思う。
どうしたの?なにがあったの?私は無性に抱きしめたくなるのだったけれど・・。 それが私の身勝手だと充分過ぎるくらいわかっているから。執着しつつも距離を。 おかなければいけないことが。すごくすごく辛くてたまらないのだった。
書く。きっと読んでくれる。確信は時々揺らぐけれど。書く。
ねえ。一緒に空を見上げようよ。ほら。今日の夕陽はすごいすごい紅いね。
猫じゃらしのゆらゆらしているとこ。薄の穂の優しさ。野菊の愛らしさ。
みんなみんな。きみにあげたい。きみに見せてあげたいんだよ。
だから。書くね。死ぬまで書かせてね。
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