朝晩の肌寒さはこの頃のことだけれども。日中はまだ半袖で過ごしていられる。 紅葉にもまだ早い頃で。朝の道の銀杏の葉は緑濃くまぶしいほどに光っている。
つわぶきの花はといえば。あちらこちらでちいさな向日葵みたいに咲いていて。 岩のあいだからでもすくっと伸びるように咲く姿は。健気で可愛らしいものだった。
ラジオからは。沢田知可子の『会いたい』が流れていた。
約束したじゃない。あなた 約束したじゃない。会いたい・・・。 と一緒に歌えば。わたしのようなものでも。やはり胸に込みあげてくるものが。 あるというのだろうか。目頭が熱くなりほろほろっと涙がこぼれてくるのだった。
せつなさはいつだって海で。波のように押し寄せてはきては。のみ込まれるのを。 砂浜にいて冷たい水に足を浸しては。待つ。どうしようもなく待つ姿に似ている。
だけど吹っ切る。その踵を返す仕草が。わたしには私への裏切りでもあった。 もう浸らせはしない。戻させはしない。だからなのだ。私は行かなければならなかった。
時は薬であることのありがたさ。だけど良薬は口に苦しであるかのように。 無理に飲み下そうとすれば咳き込み苦しさに喘ぐ時もあるのだった・・・。
処方箋に忠実に。規則正しくきちきちと。そんなことを決め付けてはいけない。
もっともっと気ままでいて。
もっともっと。ありのままでいようと思っている。
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