窓辺の椅子に腰掛けて。ぼんやりとおもてを見ていた。夕暮間近のこと。 西の空は茜色には染まらずにいて。子供の頃に好きだったカルピスの。 たしかオレンジカルピスというのがあった。そんなふうな乳色の空に会う。
お隣りのおじさんが自転車で横切って行く。堤防の道の一直線上を絵のように。 まだ夏の日のままの姿で。半ズボンに白い靴下。野球帽を被り携帯ラジオを提げ。 散歩中の誰にともなく声をかけているのが。とても微笑ましく耳に届いて来るのだ。
秋のこの頃とはとても思えないような。やわらかな風が吹く。心地良い風が。 そうして何を急ぐのか陽がどんどんと暮れては。追い駆けられないこころに。 また夜が巡って来るのだった。約束のようなこと。あたりまえのようなこと。
昨日の後片付けが残っていて。今日は仕事を休ませてもらった。 なんとか午前中に終えることが出来た。大量の食器など納戸にしまう。
午後から少しお昼寝をする。ぐっすりとはいかずなんだか夢なのか現実なのか。 わからないような夢をみた。部屋がすごく揺れていたので地震かと思ったのが夢で。
目覚めて。ほっとしては熱いコーヒーを飲みつつ。いつもの日常を確かめるように。 洗濯物を取り入れたり。お隣りの庭の秋桜が散り始めているのにはっと切なかったり 犬小屋の前では。あんずが早くお散歩に行きたくて待ちかねているのに声をかけたり。
平穏であることがなによりだと思わずにいられなかった。
今夜はまた。例のごとくで。サチコの帰りを待っている母であった。
|