午後5時。西の空が紅に染まった。まるで緋鯉が泳いでいるかのようだった。 5分後。ちょっと目を離したのがいけなかったのか。緋鯉は姿を消してしまい。
そこには墨汁が飛び散って。そこにはちいさな子供が悪戯をしたような空がある。 そんなことがささいな嘆き。拘ればこだわるほどせつないものがまた落ちてくる。
寒露。冬鳥が渡り来て菊花が咲き。秋に鳴く虫が衰える頃だそうな。 飛翔するもの。咲誇るもの。衰えるものがあれど嘆くことはすまい。
こころに秋風などと。真に受ければどんどん吹かれてしまいそうなこの頃。
すくっと立って。よろけぬように。いっぽいっぽといかねばなるまい。
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