すっかり陽が落ちた川辺の土手から。リズミカルな太鼓のような音がする。 ぽこんぽこんとそれはまるで月夜のタヌキさんの腹鼓のようにも聴こえる。
軽やかで陽気だった。なんの音だろう。誰が叩いているのだろうとずっと。 それはずいぶん前から。春も夏も夕暮れ時になると。聴こえてきていたから。 気になっていた。歩いて行ってそっと確かめてみようと思ったりもしていた。
それが先日。とても思いがけないところでその正体というか。それを見たのだ。 『シャンベ』という打楽器で。西アフリカなどで古くから伝わっているものらしい。
ネットのなかでそのひとに会った。ほんとに偶然にそのひとを見つけたのだ。 その『シャンベ』の写真の向こうがわは。確かにうちのすぐ近くの川辺だったから。 そしてもっと驚いたのは。そのひとがうちのすぐ裏隣に住んでいることだった。
子供の頃はよく遊びに来ていた。テレビゲームしに漫画読みにも来たりしては。 昨日のことのようにも思うけれど。もうあれから20年近く歳月が流れたらしい。
成長とともに遠ざかる。裏隣とはいえそれ以来会った記憶がなかった。 もう30歳になったらしい。なんぼか立派な青年になっていることだろう。
ネットのなかで再会するなんて。ほんとうに思ってもみなかったことだったから。 私の放ったコメントに。汗だらけの顔文字で応えてくれたことに。ほんの少し。 それがいけないことのように私には思えた。そっとしておいてあげればよかったと。
だけど気のせいだろうか。そのことがあってから今までよりももっと。 シャンベの音がよく聴こえるようになったように思う。
いつも楽しみに聴いていますって。伝えてよかったのかもしれないな。
陽気なおと。うなだれていてもついついからだが活きて来る。
それはとてもありがたいおとだった。
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