空が重くておもくて雷雨だったり。午後はゆっくりと明るくなった空。 久しぶりに夕焼けをみた。はにかんでいるような照れているような空。
懐かしくてアルフィーを聴いていたら。むしょうにギターが弾きたくなった。 じぶんにとってそれは青春で。高校時代に買えなかったのを就職してからやっと。 買えたのだった。結婚した時も持って行った。離婚した時も持って出てから。 また結婚する時ももちろん抱えて行ったのだ。育児に追われるようになってから。 それはちょと目を離した隙に。幼子の玩具になってしまったりもしたのだったが。
ときどきは弾いた。とても下手で弾けない音がたくさんあったけれど。好きで。 あの海辺の教室の。放課後の。まさ君やけんちゃんと過ごしたかけがえのない。 青春のアルバムを。そうしてめくるように懐かしんでは。ぽろんぽろんと音が。
涙みたいに流れ落ちてくるのを。いくたびもいくたびも受け止めては遠く想った。
そうして意に反するように時は加速し続けては。まるで約束していたかのように。 私のギターはいつのまにか。息子くんの部屋に立てかけられるようになっていた。 『山崎まさよし』がすごく好きらしく。よく弾いていた。声がよく似ているのだ。 そうほめると。もうすっかりなりきったようにうっとりと弾くのが。母は嬉しくて。
そしてとうとうあの日「持って行くからな」って彼は言って。とても大急ぎで。 「俺のだから」って抱えて行ってしまったのだった。ぽかんぽかんとなんだか。
それは寂しさに似た門出であったが。私の青春が彼の青春に姿をかえていたのを。
母はそのとき。すごくはっとしながら気がついたのだった。
弦が切れたら張り替える。また切れたら張り替えればいい。
私のギターは。きっとこれから。また新しい青春に出会えることだろう。
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