しなやかに桜雨。つとほとばしる想いは。いつかの春かと思うほど。
催花雨というらしい。花よ早く咲きなさいと急きたてるように降るそうな。 咲かずにはいられない。のんびりと膨らみつつあった蕾も。咲きたくなってしまう。
いまはその頃。ひとだってもしかしたら。そんな雨を欲しがっているのかもしれない。
昨夜から気になってしかたない花かたばみの三つ葉は。 よかった。どうやら『かわりばんこ』しているようなのだ。 一葉で眠っていたのが。今夜はしっかりふたつに重なっているのを見た。 みんな公平に。そんな約束事があるのかしら。植物ってすごいなって思う。
それから。その鉢の主であるサンセベリアにもすごく敬意を抱いてしまうのだ。 最初は百円ショップで買った10センチほどの植物だった。それがどんどん育ち。 今では50センチ位になって。窓際から外の陽射しへと背伸びしているみたい。 おっきな鉢に植え替えた時に。庭の土を使ったので。その時に花かたばみの種が。
いつだったか。一度ぜんぶ引いてしまったこともあった。 サンセベリアの為にならないと勝手に決め込んでいたように思う。
でも今年。それはきらきらと眩しい光景を見てから。もう引かないと決めたのだ。 ブラインドからやわらかな陽射しが差し込んで来ていて。その時の花かたばみの。 緑のハートが嬉しそうに息づいているのを目の当たりにした。綺麗だなあって思った。
そして当のサンセベリアは。そうして一緒に生きていくのが当たり前みたいに。 まるでこれは私の子供達よって言っているお母さんみたいで。凛々と素敵だった。
花かたばみが目覚める時って。重なりあっていたのがむくむくっとする時って。 思っただけでわくわくしてしまう。でもそれはほんとうにいつの間にかの朝だった。
ただひとりサンセベリア。お母さんは毎朝きっと見ているんだなあ。 もし寝坊した時でも。なんだか足元がくすぐったいなって微笑みながら。
いちにち。いちにち。それぞれの命。それぞれの春のひとときだった。
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