春霞。ただただのどかに時はすぎゆく。
苛立つ事もあるけれど。空のとばりにくるまって。 棘の痛さを感じぬように。そっとそっと心を放す。
岩つつじの花を。帰宅途中に見つけた。山肌からこぼれるように。 鮮やかなピンク。ちょいと小ぶりで可愛らしくて好きだなと思う。 毎日通る道なのに昨日はまったく気がつかなかった。川の方ばかり。 見ていたのかもしれない。もしくはすごくぼんやりしていたのかも。
こうして見つける春は。いつも。はっとはっと。その瞬間が嬉しいものだ。
帰宅すると。彼が熱の出始めなのか寒くてたまらないと震えていた。 急いで布団を敷いて湯たんぽも入れてあげる。子供みたいにか弱かくて。 しばらく様子をみていたらぐんぐん熱が出て来た様子。熱ピタをおでこに。 もう限界だと泣きそうに言うまで我慢させておいて。やっと解熱剤を飲ます。
一時間も経たないうちに汗びっしょりになった。よしよしその調子というわけで。 二度着替えをしてから。今度は空腹を訴えるようになり。おうどんを作ってあげた。
もうだいじょうぶ。彼の熱は度々で。いつもこんなふうに突然で。すぐに治る。
ずっと家業を任せきりで。彼なりに一生懸命頑張っているのがすごくわかる。 無理しないようにいつも言っているけど。無理を重ねて疲れが溜まっているようだ。
今夜ほど彼を助けたいと思うことはなかった。 職場に辞表を出せば済むことだったが。 会社を母を見捨てるわけにはいかない・・・。
ずるずるずる。このずるずるかげんが。私はすごく嫌なのだ。
静止している時などあるはずがなく。動いて流れて。流されて。 いったいどこまでいけばいいのだろうと。ふと不安にもなるのだが。
すべてのことが人生の順調だと仮にそう思うことにしてみれば。
いまはすごく大切な道を。わたしは歩んでいるのだろうと思う。
流されるな。水の中を歩け。
水に映る自分を。見つけろ。
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