ひさかたの雨のにおい。ひたひたと忍び寄る水の気配を。ぽつねんと佇みながら。ただ受け止めている雨の夜更け。わたしのなかのまっすぐなものが。少しだけ揺らめいて。ぽたぽたと雫になってこぼれそうになるのを感じながら。きりりっとくちびるを噛み締めては。待ちなさいと言う。その正体をわたしは知っているから。取り乱しはしない。 猫が。こんな雨の夜更けに。 赤子のように鳴くのが聞こえる。