ぼんやりと曇り空。こんな日は。気だるさを愉しみながら過ごすのがいい。 ぷっつんと何かの断片を。弄ぶようにしながら。ため息を重ねたりするのも。
職場の駐車場を出ようとしたら。フロントガラスに薄紅色の可愛いものが。 舞い下りて来てくれたのだ。そんな頃になったのかとやたらと嬉しくなった。
見上げると。やはりそのよう。ねむの木の花がもう咲き始めていた。 昨日のことも一昨日のことも記憶になくて。私はきっと俯いていたのだろう。 待っていたこともあったのに。待つことさえも忘れていたのかもしれない。
風もなく。こんな静かな日に。ひらひらとして語り掛けてくれたのか。 幾年だろう。もう随分ながいこと。ともに生きてきたように思う。ねむの木。
帰りながら。想うひとがいる。 見上げても。どんなに見上げても。その姿を見つけられなくて。 萎れて枯れそうになっているのなら。雨になって会いに行きたいと。
想うばかりで。込みあげてくるのはただ涙ばかりだった。
地にしっかりと根をはって。生きていて欲しい。 どんな境遇に晒されても。強く勇気を持ち続けて欲しい。 くじけないで。負けないで。どうか空を仰ぐことを。忘れないでいてね。
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