やわらかな陽射しとそよ風。のほほんと空を仰ぐ。 時間が止まっているように。思える時があるのが。 なによりも至福の時なのだろう。穏やかな空気が。 静止している自分のまわりで。漂っているような。
日常のほんのいちぶぶん。だからとてもありがたい。
先日生まれたらしいツバメの赤ちゃんだったが。 いっこうに姿が見えず。親ツバメの様子も変で。 もしかしたら孵化できずに。卵のまま死んでしまったのでは。 ないかと心配していた。親ツバメが巣から離れてばかりいて。 時々母ツバメらしいのが。巣の中を覗き込んでいるだけだった。 生まれているにしてはあまりにも静かな気配がするばかり。
なあにまた卵を産むさと言われても。なんだか納得出来ない。 そんなもんかなって思えない。どうして?って疑問符しちゃう。
夕方近く。洗濯物を入れ終った縁側で。またぼんやりと巣を眺めていた。 そしたらちょうど母ツバメらしのが帰って来たところだった。 餌みたいなものを咥えているのだ。あっ!っと思って目を凝らす。
ああ、なんてか弱い。それはそれは小さな生きるものが見えたのだ。 まだ首が座っていない人間の子供と同じように。支えてあげないと。 今にも折れてしまいそうだ。それなのに必死になって頭を上げている。
ひとつ。ふたつ。みっつ見えた。まだ鳴くことも出来ない小さな命たち。 ほらほらおっきく口を開けて。見ているとはらはらするような光景だった。
やったね。きみがお兄ちゃんだ。そんなひとつがお母さんから餌を貰う。 ぼくもぼくもだよ。一生懸命口を開けたら。お母さんが餌をくれたんだ。
くにゃくにゃっとなって。ぼく駄目だよって。みっつめはまだ口を開けない。 可哀相でならないけれど。母ツバメは振り切るように。また空へ飛んだ。
母さんはね。ほんとは優しいけど。厳しいんだ。 みんな強い子になって欲しいんだよ。だってそうでないと一緒に旅が出来ない。 いっぱい食べさせてあげたいんだよ。だから一生懸命口を開けて欲しいよ。
夕暮れて。やっと母さんが巣に帰ってくると。 みんなみんな抱っこして眠るんだ。 お兄ちゃんも弟も。おなかが空いてる末っ子も。みんなみんな抱っこだよ。
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