新聞の占いに「己を全面に出さず静かに過ごせ」と書いてあった。
一心に。ただひたすらに台所の床を磨く。ひざまずくようにして。 きゅっきゅっと力を込めて。あそこもあっちもと汚れが嬉しくなるくらい。
手を止めればどっと襲って来る邪念。よくないことだ尋常ではないことだ。 「おのれくたばれ」「これでもか、ええいかんねんしろ」そんな気持ち。
時々。毒のようにそれを感じ。毒と知りながら飲んでしまいそうになるが。 かつて飲んだこともあったそれを。いまだに憶えていることが哀しい・・。
まあまあ綺麗になったところでワックスをかける。 艶が出て来るとほっとする。同時に右腕が棒のように固くなってしまう。 これくらいの罰なら。いくらでも受ける。これくらいの痛みなら。
我が身可愛さゆえに。どれほどのひとを傷つけたことか。 何ひとつ罪滅ぼしもせずに。よくもここまで生き長らえてきたことか。
午後は眠る。胸の上で手を組めば。そんな我が身の鼓動でも愛しい。
ありがたき静かな時よ。決して忘れてはいけないことさえも。
つかのまの眠りについた・・・。
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