一年で七つ歳をとったらしい愛犬は。まだ夜の明けぬ川辺の道を。 とぼとぼと。雨に濡れたくはないらしく。ぴったりと寄り添って歩く。
それはいつも彼の日課で。雨の日も風の日も雪の日もそうだった。 365日かける何年だろう。子犬だった彼女がこうして老犬になるくらい。
一昨日の朝なんか可笑しかった。薄闇の中で私の顔を覗き込んで。 ん?って顔をして首をかしげたりしたから。そしてくんくん匂いを嗅いで。 「かーさんと行くんだよ」って言ったら。なんで?って不思議そうな顔して。
それは昨日の朝もそうで。夕方の散歩の時は、まっ・・誰とでもいいやの顔。 かーさんは晩御飯の支度があるので、早くウンチしなさい!って急かすから。 ほんとは嫌なのかもしれないけど。かーさんだってほんとはのんびり歩きたい。
今日は。私が帰宅するなり犬小屋から飛び出して来たから嬉しかった。 待っていたよぅの顔って。くすぐったいくらい嬉しいものだね。 そうしてペロペロ顔中舐められたりすると。「よしよし、そーかそーか」って。 かーさん。晩御飯の支度なんかどうでもいいくらい。ふたりで散歩に行きたいよ。
雨あがりの川辺って。なんていい匂いなんだろう。 あたりいちめん水の匂いが。川石を拾ったことがある? あの水苔の匂いを知ってる?ほのかに懐かしいような薫り。
花薄のむこうには流れ流れて海になるみずが命ほどの想いをとめどなく。 ひたすらに込めて。終わりのない旅をずっと続けているんだよ。
|