『南風』という名の列車に乗って行く。 海側の席に座り。暮れていく風景を飽くことなく眺めていると。 ささやかな旅の歓喜のような。心がひろくふわっとどこかへと。 飛び出していく気配がする。わくわくとしてもう止められないのだから。
古き良き友が駅で待っていてくれた。改札口でかわす笑顔が嬉しく懐かしい。 どっとほぐれていくもの。それはいったい何だろう。心が温まるその一瞬。
『穀物学校』というお店には給食献立表というのがあって。 どれもこれも空きっ腹にぐぐっと迫るメニュー。選ぶのも楽しくて嬉しい。 語らいながら上海ラーメンを。語らいながら鶏肉の中華サラダ風を。
人生ほんとにこれからなんだよと。離婚してやっとそう思えるようになったと。 ほんとうにさっぱりと。私はそんな彼女の生き方をとても尊敬している。 そして憎み合う事の無い『選択』をして。夫だったひとと親友になった彼女。 女々しく泣けば良かったかも。もっと怨んで罵れば良かったかもと言うけれど・・
友達が彼になり。そして夫になって。また友達になれて良かったなと思う。 苦労したけど。すごく学んだことがいっぱいあって良かったって彼女は言った。
それぞれの人生。境遇は運命に似て。選びそれを歩み始めたことは。 誰のせいでもない。常に在り続ける自己の『旅』であると思う。
明くる日。実父の一周忌。骨壷を抱いてみたら父は変ることなく重かった。 父によく似た伯母の笑顔がなんと穏やかなことか。ほっとする温かな血。 その血ほど愛しいものはないと思う。弟や姪っ子や。そして我が子たち。
夫君が一緒に来れなくて良かった・・と思った。 そんな心が後ろめたくもありながら。そう思ってしまった正直な心で。
私の旅には。切符がない。 そしてたまたま隣りに座ったひとがいて。 「どこまでですか?」とも聞き合うこともしないで。 どちらが先に席を立つのか。駅に着けばふとそれを案じ。
愛しているのか。愛されているのか。それさえも気付かず。 暮れては明ける窓の外を。ぼんやりと見過ごしているばかりかもしれない。
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