今日は仁成の「愛の工面」を読んだ。 お昼休みに読み始めて・・あと5ページで時間切れになる。 仁成の写真を見るのは二度目・・一度目は「函館物語」だった。
「愛の工面」には彼の妻だった女性が居る。 彼女が耳掻きをしている写真がとても好き。 頬杖をついて「どうしたいの?」と言っているような顔が好き。 愛が自然に顔を出しているけれど、撮りたければ撮れば!とその愛が答えている。
で・・だからどうしたと自分で突っ込んでしまうけど・・ 私はどうしても娘の写真を撮りたい。この先じゃなくて今の娘を・・。 たとえば仕事から帰り、クルマのドアを乱暴に閉めている疲れた顔を。 ひとりで晩御飯を食べながら空腹を満たしているそのふと零れる笑顔を。
何度も交渉する。断られる。「勝手に公開したやろ!許さない!」真顔で怒る。 今夜は説得しているうちに涙が溢れ出す。 「そんな・・嘘泣きなんか・・したってダメ!」また怒られる。
どうして今じゃなきゃいけないのか・・その訳を話してみる。 それは二十歳だから。とても眩しいから。忘れたくないから。 なによりも大好きだから。とても大切だから・・・。
5万だね・・。娘が先に切り出す。 月々少しずつ払うよ・・嬉しさを隠し切れず私は微笑む。 ダメ!ちゃんと先払いで耳を揃えて出しなよ!
悔しいけど好きなものは好きだ。 今しかないかもしれないその輝きを、この目に焼き付けておきたい。
そして海へ行きたい。その素足と踵と頬に絡みつく髪と背中と光る海と・・ もう思い残すことがないくらい娘を愛していたい。
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