ゆらゆら日記
風に吹かれてゆらゆらと気の向くままに生きていきたいもんです。

2002年06月10日(月) ちいさな足跡

午後からぽつりぽつり落ち始めた雨が、夜になって走りたいと言い出す。
狭い路地のオレンジ色の外灯を指差して、あそこまで行ったら戻るからと言う。
私は何も言わない。ただその真っ直ぐな路に光る足跡を見ていたかった。
撥ねる撥ねる雨が走る。そしてくるりと振り向いて踵を返し、また雨は帰って来た。


今夜は少しうたた寝をしていた。目が覚めたらすでに人格が変ってしまって・・・
手がつけられなくなってしまった。
これは私の意志ではない。指先が逆らっているだけだ。折ってやろうかとも思う。

ついさっきまでご機嫌に酔っていた。今は多分酔いが醒めてしまったのだろう。
今日は息子の誕生日だったので、家族でテンション上がりっぱなしだった。
とりたててご馳走でもなかったが、息子にだけイクラを買って来た。
あと・・越後の冷酒を見つけたので、息子がとても感激して美味い!と言った。
私はご飯も食べないでケーキを食べ、とっておきの小さなグラスでお酒を飲む。
いえいえ・・お箸でケーキなんてとんでもない。ちゃんとフォークで食べました。

ふふっ・・今やっと笑みがこぼれてきた。我ながらゲンキンな奴・・(笑)

息子の誕生日だもの、今夜は少し思い出してみよう。
ああ・・痛かったなあ・・。気を失いそうだった・・。
なかなか出て来なくて、とうとうお医者さんが器具でひっぱり出したんだ。
おまけにへその緒が首に巻きついて、もう少しで窒息するところだった。
だからやっと出て来たのにすぐに保育器へ入れられてしまった。
頭が変形してて、元に戻るのか・・なんて心配もしたなあ・・。

やっと抱いてお乳を飲ませるようになった頃、看護婦さんがいきなり病室へ来て
「湯冷ましちゃんと飲ませましたか!」って怒ったように言うので焦った。
私のお乳はちゃんと吸うけど、哺乳瓶はなぜか嫌がるのだった。
そしたら看護婦さんが、「どれ!私が飲ませてみるから!」と我が子を奪った。
そして無理矢理哺乳瓶を口に押し込んでしまったんです。

ああ・・そしたら大変なことになってしまって、我が子の顔が真っ青になった。
私は泣き叫ぶしか出来ないし、看護婦さんは大慌てで我が子を連れ去るし・・。
そしてまた保育器の中・・なんとか一命をとりとめて安堵する母でした。

もう23年も経ってしまったんですね。昨日のように憶えていますが・・・。

いつのまにか大人になってしまったけど、忘れられないことがいっぱいある。
初めて歩いた日のことを我が子は憶えていないけど・・・
一歩が三歩になって、やがて走り出し駆け回った路地に、また夏がやって来たんだ。


 < 過去  INDEX  未来 >


anzu10 [MAIL] [HOMEPAGE]

My追加