午前中は久しぶりに真面目にお掃除をした。 すっかり夏らしくなったから、網戸を洗ったりクーラーの手入れをしたり・・ 主婦も結構やりがいのある仕事だな・・なんて思った。
開け放した窓から爽やかな夏風がこんにちは!するのが嬉しい。 洗濯物も気持ち良さそうにお日様と戯れている。 家事も張り切るとお腹が空く。少し早目に焼きソバを作り昼食を済ませた。
午後はのんびりと読書をしようと思ったら、もう読む本が無かった。 仁成は読み尽くし、本屋さんに行くのも億劫で・・本棚を漁っていると、 未読の貴重な一冊を発見する。やたらと分厚い本だった。
ページをめくろうとすると・・ひらりと落ちるものがあり、はっとして拾い上げる。 それは一筆箋に書かれた短い文章であったが、ささやかな手紙に他ならなかった。 その本を頂いたのは、いったいいつのことだったのだろう・・。 なんだかとても昔のことだったような気がして、懐かしさで胸が熱くなった。 今まで開かずにいたことが悔やまれたが、こんな爽やかな日に見つけて良かったと思う。
和室の畳の上に座布団を二つ折りにして寝転ぶと、風がくすぐるように吹いてくる。 いい気持ちだ。とても幸せな気分になれた。幸せだと私はすぐに眠くなる。 結局一時間ほど本を読み、あとはお決まりのお昼寝の時間となった。
「今夜は焼肉にしろや!」息子の声で目が覚めた。 そうそう・・私もそう決めていたんだよ!さすがに絆が深いと見える! 寝乱れた顔に口紅を差し、キュロットをGパンに穿きかえる。 そして咥え煙草でクルマを飛ばす。メニューさえ決まっていれば怖いものはない。 息子からの命令に従い、珍しい焼肉のタレを探してみた。 あった!エバラではない貴重なタレを発見して思わず「おお!」と声が出た。 それは「四万十の仙人」という名で、これ以上スゴイもんがあるものか!と思った。
どうだまいったか!自信満々の夕食でテンション上がりまくる母である。 「夏はやっぱアラスカや!」息子は新しい発泡酒がお気に入りだ。 二日酔いで一日中ゴロゴロしていた夫も、迎え酒で元気になる。 ただ・・今日も仕事の娘が独りで焼肉食べるのが、可哀相だなと思った。
でも娘が帰ると、兄が待ちかねたように向かいに座りおしゃべりを始めた。 娘は相槌を打ちながらビールを飲み、お肉を頬張っている。
私はそんな兄と妹にほっと安心してお風呂に入る。 こんな微笑ましい光景がいつまでも続けばいいな・・ お湯の中でぼんやりと未来を想う。 それは若いふたりのそれぞれの人生で・・私はいつまでも変らぬ母でありたい。
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