サーモンピンク・フラミンゴ
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2008年02月16日(土) |
前科とか親戚とか、そしてセク |
去年の10月に書いたものなんですが、書いたときはなんとなくアップをためらい、「少しあたためてから、それでもアップしようと思ったらサモピンにでも」と思ってお蔵入りになっていたテキストです。
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先日、美容院へ行ったときのことですよ。
カットが終わり、うん、あたちかわいくなった☆と満足しつつ、お茶とお茶菓子をいただきましてね。 ワタシがお世話になっている先生はワタシよりずっと年上で、先生の妹さんも一緒にお店をやってます。 で、先生はまだ他のお客様をちょきちょきしていたので、ワタシと妹さん(まあちゃんと呼びましょう)(ワタシより年上です)で、軽くおしゃべりをしていたんです。
何かの話から、まあちゃんが 「そういえば、飲酒運転の罰則がまた厳しくなりましたね。100万円ですって?」と。
「ねー。でもそのくらいにすれば、みんな飲酒運転しなくなるから、中途半端な罰則より良いかもですよね」とワタシ。 「あたしはお酒飲まないからあんまり関係ないんだけどさ。でも、100万て、分割払いはダメなんですってよ」とまあちゃん。
えー。 じゃあ、100万円持ってない人はどうするの?
とワタシが貧乏人らしい質問をしましたら
「刑務所に入ると、1泊5000円に相当するらしいよ」と。
だから、100日入れば50万払ったことに。200日入れば100万円。
あの。 断っておきますが、これが本当の話かどうかはじょりぃ、知らないんですよ(°▽°) 気になるかたは自分で調べてくださいね。 この話はあくまでもきっかけなので、ワタシもいちいち検証しません。 という無責任な話から問題はスタートするわけですが。
「お泊まりして5000円もらえるんですか!いいですねえ」とワタシ。 「もらえるわけじゃないけど(笑)・・・でも、そういう解釈もありかー」 「でもマジで、お金なくて食うにも困るような人は、飲酒運転してつかまれば屋根があってごはんがもらえる生活を手に入れることができるわけですよねー。なんか世の中っておかしなものですね」 「でも、前科者になっちゃうよ」
前科者。
「そうか。それって前科になっちゃうんですね?」とワタシ。 「そりゃそうでしょ」 「でも、100万払うなら前科くらい、って人もいそうじゃないですか?」
いや、前科がついちゃうと厄介でしょーーー、とまあちゃん。
「親戚中に迷惑かかるしさ」と。
まあ、確かに体裁の良いものではないですけど。 でも。
「本人の前科と親戚なんて、あんまり関係ないんじゃないですか?」
と、のんきなワタシ。
「そんなことないでしょー。親戚に一人前科者がいれば、結婚の話とかも差し障りがあるだろうし」とまあちゃん。
えーーーーーーーーー。
と驚いてはいますが、まあワタシも理屈ではわかるんですよ。 よくそんな話も聞きますしね。 でもなんだか「えーーーー」って思っちゃうんですよねえ。
この美容院があるところは、すごく田舎なんですよ。 町内の誰が何してどうこうで、なんてのがすぐに町中の人が噂するような、そんな昔のつきあいというか人間模様というか、 まあ、若くて都会人なワタシから言わせれば、窮屈この上ない土地柄な町なんですが。 そういうバックグラウンドがあるから、なおさらそんなしがらみめいたこと言ってるのかなーとかも思ったりしましてね。
「ワタシなら、結婚相手の親戚に前科者がいたって全然気になりませんけどねえ」と、異議申し立て。
だいたい、好きになっちゃえば、本人が前科者だとしたってワタシには問題になりません。 今自分が愛せるだけの人間になってくれているのならそれでいいじゃないですか。と思っちゃうんですよ。 きれいごとめいてますが、ワタシの正直な心持ちであります。
まあ、「親にこづかいねだったら怒られたんで、キレて金属バットで殴って殺しちゃった☆」とかな前科だと、ワタシもおこづかいあげたくないときにヘルメットかぶったりとかめんどくさいことになりますからイヤですけど。 という冗談はさておき、人間性に問題のある人ならそもそも好きにならないでしょうし、ワタシが好きな人に前科があるとしたら、それはのっぴきならない事情だろうと、まあものすごく自分勝手な理屈であるわけですが、でもワタシにとって誰かをきっちり好きになるというのは、そういうことです。 ましてや本人でなく「親戚の前科」なんて、それがもしこづかい〜金属バットな前科だったとしても、本人がとばっちり受ける必要はないではないですか。
というようなことをさらに言いましたら
「世の中そういうもんじゃないよ」と諭されましてね。
親戚にひとりそういう人が出れば、その一族は白い目で見られて生きていかねばならない、くらいな話をされまして。
理不尽。
いや、先ほども申しましたように、理屈というか、そういうこともありがちだということはよくわかるんですが。 ワタシは納得できない。
ワタシに関係あるのは、ワタシとつきあっているその人個人であるわけですよ。 さらに言うなら、「今」ワタシと一緒にいるその人個人であるわけですよ。 過去とか親戚とか、まあ全然気にならないと言ったら嘘になりますし、相手の家族のことも相手の過去も大切に思いたいという愛に満ちた思いもありますけど、上記の話とは質が違いますですよ。 じゃあなんだ、イトコがレイプ殺人とかしちゃったら、それはワタシへの評価にもなってしまうのか。 叔母が放火で捕まったら、ワタシも八百屋お七みたいな風に見られねばならないのか。
しかし、逆の話もありますよね。 親がえらいから子どももえらく思えちゃったりとか、親戚に有名人がいるからそれをステイタスにしちゃってるとか。 本人のみならず、周りもそういう目で見ちゃうことも多いでしょう。 まあとにかく、良いことにしても悪いことにしても、ワタシはそういう意識があまり好きではありません。 幸い、ワタシの親戚には問題のある人はいませんので、あるいはワタシがそういうことに鈍感なのかもしれません。 ワタシの親戚ということで今頭に浮かんだ人たちは、みんなやさしく聡明で素敵な人物ですし、そういう点ではワタシは一族としての誇りを持っておりますが、ステイタス的なものさしで考えることはないなあ。 ステイタスのある地位にいる人物がいないからじゃないのー?ってことではないんですよ? み、見栄張ってるわけでなくて。 それはワタシにとってはどうでも良いことなのでありますよ。
髪はスッキリしたものの、気持ちはなんだかスッキリしないまま家に帰りまして。 きょんが仕事から帰ってきたので、上記の話をしまして「変じゃなーい?」と。
「うん、まあ、変だ。けど、言ってることはわからないでもない。てかほら、田舎だしさ」ときょん。 「あなた、たとえばワタシの親が前科者とかだったら、気にしたと思う?」 「前科にもよるかなあ。やっぱ『殺人鬼だった』とかだったら引くと思うよ」 「それを知らないで好きになって、後から知ったら?」 「やっぱりビックリはすると思う。けど、好きになっちゃったらもうどうにもできないねえ。じょりぃに罪はないんだし」 「ふむ。 では、好きになる前に知っていたらどうだった?」 「それはちょっと、正直なところ関わり合いになりたくないって思ったりして、親しくなりそびれるかもね」
この人は正直で好ましいです。
「なるほどね。 でもさ、そういう場合って、悪い印象からスタートするわけじゃん?」とワタシ。 「うん」 「この人殺人鬼の子どもー、って目で見ててさ、でも人間性は、今このままのじょりぃであるとして」 「うん」 「しかも、親がそんなことしちゃったもんだから、ちょっと影があるというか、かわいそうなさびしそうな雰囲気も醸し出しちゃったりもして」 「うん」 「でも話すと、やさしくておもしろくて愛情深い、と」 「誰の話だよ(笑)」 「ワタシでしょ!そのまんま!」 「そうねえ。そのギャップはかえって心惹かれる可能性は高いよね」 「うん。その可能性は高いと思うんだよ。それでどんどん気持ちが惹かれていったとしてさ、それでもまだ親のことで距離を置くかな?」 「惹かれていけば置かないだろうね。かわいそうに、苦労しちゃって、って気持ちになるだろうし」 「ああよかった」 「何が?」 「いやなんとなく(笑)」
さて、ここからが本題なんですが(°▽°) 相変わらずマクラが長いですね!じょりぃ絶好調!
今回のこの話で、ワタシ、今ではすっかり開き直ってしまっているあることを思い出したんですよ。
それは。
ワタシがレズである、ということが世間にバレたせいで、家族や親戚に迷惑がかかったらどうしよう、と、ものすごく怯えていたことであります。ずっと。長いこと。 カムアウトをとまどっている方の多くにも、同じように思っているかたもいらっしゃると思いますが。 レズということで自分が世間に迫害されたくない、という気持ちよりも、親が何か言われたらとか親の仕事に支障が出たらとか、妹がそれでいじめられたらとか考えると怖くてしかたなかったものでした。
なんだ。 ワタシにも、前科者と親戚の関係のような感情は、怯えは、あったんではないか、と。
さらに 「今まで以上に気をつけて生活しなければ。レズってバレないようにしなければ」と気持ちを引き締める機会があったことも思い出しました。
妹が出産したときです。
上記でさんざん鼻息荒く「個人と親戚は関係ないじゃないか!」「ワタシはそういう考え方がキライ」とえらそうに言いつつ、 妹に子どもができて、子どもが学校に上がる頃には
「叔母がレズだって大々的にバレたら、この子が学校でいじめられちゃうかも」
と、もうものすごい勢いで本気で心配してしまいましてね。 親にカムアウトしたときに、妹にもついでにカムアウトしたかったんですが、それを考えると
「妹に余計なプレッシャーをかけないほうがいいのではないか」
と思ったりして、結局いまだに妹には「おねーちゃん、レズなの( ^ ∀ ^ )」と言えずにいるんですが。 妹は気づいているんでしょうけど。たぶん。 言えば「知ってたよーあははは」で済むという確信もあるのですが。 タイミングを逃したら、そのままなんとなく言いづらくて。 もう気づいてて認めてくれてるんだろうしなー、と思ってワタシが甘えているフシもあるんですが。 でも「親には話したみたいだけど、あたしには話してくれない」とさびしく思わせているかもしれないですよねえ。
甥っ子姪っ子ももう大きくなってきまして、ワタシが思っていたよりもずっと精神的にたくましく、そしてありがたいことにやさしく、ひねくれることなく育っくれてまして。<おばバカ 「おばさんがレズなんだって?おまえもホモ(レズ)かよ!」とかいじめられたりしても、たぶんうまくかわしたり堂々と迎え撃ったりできるだろう、という、ワタシ的には誇らしい甥っ子姪っ子になってくれてましてね。 もしかしたら泣いたりすることもあるかもしれませんが、それもおそらく人生の肥やしにしていってくれることでしょう、彼らなら。 そんな具合に甥っ子姪っ子の健全な成長に助けられ、ワタシの中の「すべていっしょくたにしちゃう、世間的な迫害」というものへの恐怖心が薄れてきていて、マクラではえらそうなことをのたまったりしちゃったわけなんですが。
今回の美容院でのおしゃべりにより、ワタシの価値観はさておき、世間の多数派であろう意見、というものも知ることができまして。
久々に、自分がレズであることが、ワタシでない誰かに不愉快な影響を与えることがあるかもしれないんだよなあと、ちょっと怖いなあ、なんて思いました。
そういうことを思うと同時に。
ワタシが甥っ子姪っ子を、そして叔父叔母祖父祖母を誇らしく思っているように、ワタシのセクを知っても彼ら親戚がワタシを誇らしく思ってくれるんじゃないかと期待している、ずうずうしいじょりぃであります。
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とりあえず今これを読み直しながら、「そろそろ妹にも、ワタシのセクの話を聞いてもらおうかなー」なんてことも思いました。 彼女なら、面倒もそっくり引き受けてくれるでしょう。 と、今までなぜ、思えなかったんだろう。 ごめんね、妹よ。 おねえちゃん、ちっちゃい頃からずっと、ねーちゃんぶってキミを守ることしか考えていなかったのだよ。
もちろん、守れちゃーいなかったんですけどね、全然(°▽°)
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