I create you to control me DiaryINDEX|past|will
いよいよ2月発売となりました。ナラティブセラピーを世に知らしめた「外在化技法」はもちろんですが、リメンバリング実践、フォークサイコロジーとの関係、そしてフーコー思想との関係など、ホワイト流のナラティブセラピーの世界が一望できる書だと思います。ぜひ。 私は、5章の「個人的失敗 (personal failure)に対処する」を担当しました。個人的失敗とは、単に車をこすったりとか、洗濯物を地面に落としたりといったような失敗のことではありません。そうではなく、その人自身をつくりあげるような、根本にかかわる失敗です。 例えば、第5章ではマックスという青年臨床家がとりあげられています。彼は、その生い立ちから、通常の臨床心理学的援助の形態にどうしてもなじむことができず、かつ、そのことを自分の資質のなさとうけとめていました。専門家として一人前になることが、逆に、自分の人生を薄っぺらなものにしていくことがあるというテーマは、『セラピストの人生という物語』にも通底していると思われます。 =================================== 目次 第1章 ナラティヴ・プラクティス,カップルセラピー,そして葛藤解消 第2章 ジャーニー・メタファー 第3章 フォークサイコロジーとナラティヴ・プラクティス 第4章 ナラティヴ・プラクティスとアイデンティティ結論の解明 I フォークサイコロジー II 私的行為体と志向的体験 III 歴史と文化 第5章 個人的失敗に対処する I 近代的権力と,失敗の生産 II 拒否 III オルタナティヴ・アイデンティティ・プロジェクト IV 実践への示唆 V さらなる考察と倫理的含蓄/失敗会話エクササイズ |