翌日持って行くはずだったRTSは、カメラの山に埋もれてなかなか持参することができなかった。今朝、ようやくカメラの山から掘り起こして持参し、彼女の喜びの笑顔を見ることができたのだった。
簡単に使い方の説明をしたあと、カメラバッグごと引き渡したのだが、彼女はまるで恋焦がれるかのようにカメラを触り、シャッターを切ったり、ファインダーをのぞいたりしていた。
やがて落ち着くと私のところへ財布を持って来て、「あの、いくらでしょうか?」と言った。「え?」と私。「売ってくださるんじゃ・・・。」「待って待って、いや、それは売れないのよ〜。」「がーん。」と彼女。
どうやら私の説明がうまく伝わってなかったらしく、彼女は私がカメラを譲ってあげるものだと思い込んでいたらしい。ショックを隠し切れない彼女を、「まぁ、とりあえず使ってみて。」となだめた。
普段使ってないカメラが、こんなにも人に喜ばれるなんて、うれしいことだと思う。カメラのほうも、愛情をたっぷり注ぎ込んでもらって喜んでいることだろう。
もし彼女がこのカメラを気に入ってくれたら、同じものを探しに梅田のカメラ屋さんに付き合ってあげてもいいかなと思う。
|