最新日記へ

適当に書いてるよ。・このページは、「ぷれはぶ・えふ」という
 地味なサイトの管理人PATが適当なことを書く、
 無意義なページでアリマス。

もくじ
最新の日記


→ひとつ先
←ひとつ前


本館
本館インフォ



おさそい

2002年10月23日(水)

「お買い物ですか?」
「そう。いろいろ見たいなと思って」
「いつ行くんですか?」
「あしたかな。ちょうど店もおやすみだしさ」
「あしたかー」

カランコロン。ドアのベルが鳴りました。

「あ、いらっしゃいま、ナミさんか」
「こら、その言い方はないでしょ」
「いらっしゃいませー」

ぺこんと頭をさげるトロさん。
ナミさんはちょっとだけきょとんとしてから、

「あ、アルバイトの子だっけ。えーとトロさん」
「はい」
「前にあったときよりはしっかりしてきたかな?」
「ナミさん、あのときははじめてだったから」
「ね、今なんの話してたの?」

カウンター席についたナミさんは、ぐっと体をのりだしながら言いました。
トロさんは少しおどおど。

「えと、あしたお買い物に行こうって」
「へえ?サカナくんにさそわれたの?」
「はい」
「気をつけなきゃだめだよ。この人、なにするかわかんないよ」
「こらーナミさん!」
「あははじょうだんよー」

笑いながらナミさんはダージリンティをたのみました。
いれたのはトロさんです。

「サカナくん、紅茶飲めるようになりなよ」
「わかってるよ!」



ナミさんが帰ったあと。

「あのう」

トロさんがぽつっと言いました。

「どうしたの?」



「…なにするかわかんないんですか?」



まったくナミさんは!
とりあえず、あしたはお買い物です。


おふとん

2002年10月22日(火)

朝。

ベッドからおりてコーヒーを飲むのと、
ベッドの中でくうくう眠るのと、
サカナさんの中で、いつも競争されています。

ベッドによこになりながらコーヒー飲めれば、
なんておぎょうぎわるいこと考えながら、
今日のサカナさんはごろごろしています。

あー、トロさんがコーヒー出してくれたらなー。
そんなことを考えて、ちょっとどきどき。

そのまま眠っちゃいました。



トロさんからの電話であわてて目がさめて、
もっとどきっとするサカナさんでした。


お客さんのこない日

2002年10月21日(月)

今日はトロさんはおやすみ。
話し相手もいなくて、店にひとり、ぽつーんとひまなサカナさん。
コーヒーの本なんて読みながら、ぼーっとしてます。

そういえば、トロさん今日で一週間か。

紅茶飲めるようになりたいなあ。

またトロさんにいれてもらおうかなあ。

あ、おいしそうなコーヒー。

カプチーノっておいしいのかな。

カフェラテとかね。

ふわふわあわのミルクってどうつくるんだろ。

そういう機械があるのかな。

こんどのやすみに探しにいこうかな。

トロさんも来るかな。

いっしょに紅茶も見ようかな…

そのあとどこかでお茶飲んで…


ぐう。


目がさめたら夜でした。あらら。


おやすみのひ

2002年10月20日(日)

さて、日曜日です。
先週はおやすみだったから、オープンしてからはじめての日曜日。
お客さんもたくさんくるんだろうな、がんばるぞ!
パジャマを着たまま、サカナさんはよっと気合をいれました。



トロさんが来たとき、サカナさんはカウンターにつっぷしていました。

「おはようございます」
「あ。おはよう…」
「どうしたんですか?」
「いや、まいった、昨日は気がつかなかったよ」
「なににですか?」


「コーヒー豆、昨日でつかいきっちゃった」




にじいろは、どうも日曜日はおやすみのことが多いようです。


雑談喫茶

2002年10月19日(土)

土曜日は、にじいろだって混みます。
そんなにおおきいお店じゃないから、
混むといってもそんなにたくさん入るわけじゃないですが。

お客さんの注文をとるのにおおわらわのトロさん。
たくさんのコーヒーをいっぺんに作らなきゃならないサカナさん。
コーヒーの名前を聞きかえすトロさん。
紅茶のときはついついトロさんにたよってしまうサカナさん。
とてもじゃないけど、ふたりが分身でもしないと追いつきません。

5人分のコーヒーを出しおわって、ちょっとひといき。

「なんだか大変そうですね」

カウンターにいたお客さんが、サカナさんに言いました。

「いやー。まだなれてないもので」

サカナさんは恥ずかしそうに言いました。




それがはじめての「雑談」だったことには、
夜になってからようやく気がついたのでした。


おいしい豆

2002年10月18日(金)

その日、トロさんはどこかが違いました。

「サカナさん、おはようございます!」

そう、やけに元気。

「お、おはよう… どうしたの?」
「えへへ。実はきのう、がんばってうちでコーヒーのんでみたんです」
「へえ!」

サカナさんびっくり。

「どうだった?」
「たしかいちばんおいしい豆なんですよね!
 すごくおいしい、とはまだ言えないけど、ちゃんと飲めましたよ!」
「い、いちばんおいしい豆?」

ブルーマウンテンのことかな。
なんてぜいたくな!とうらやましそうなサカナさん。

「缶コーヒーですけどね」




「…トロさん、それはブルーマウンテンじゃなくて、
 エメラルドマウンテンだよ」
「違うんですか?」


紅茶のなまえをおぼえましょう

2002年10月17日(木)

トロさんはアルバイト、毎日くるわけではありません。
二日ぶりに一人のサカナさん。

紅茶のことお客さんに聞かれたらどうしよう、
なんて内心ひやひやしていると。

「あのー、これってなんの葉っぱつかってるんですか?」

こういうときに限ってくるものです。

「え、えーと」

(あれ、これはたしか)
(オレンジペコじゃなくて)
(これにつかってるやつだから)

「ギルニリです」

お客さんはちょっと首をかしげたけれど、
納得したようにうなづきました。
やった!サカナさんはちょっと自慢気。
明日トロさんに自慢しよう。



その夜。紅茶の本を読んでいて、ようやく気付きました。



「ニルギリ」でした。


すききらい

2002年10月16日(水)

夕方。サカナさんが奥でコーヒーを淹れているとき。
少しおどおどしながらがんばるトロさんに、お客さんが言いました。

「このコーヒー、豆はなにを使ってるの?」




「…で、なんてこたえたの」
「ブレンドって」
「何のブレンドかって聞かれなかった?」
「え、ブレンドって、そういう豆があるんじゃないんですか」
「ブレンドコーヒーってのは、いろんな豆を混ぜたものだから」
「え!そうなんですか!」
「にじいろのブレンドは、キリマンジャロとモカと…」
「はああ。そうだったんですか」

心から「はじめて知った!」って顔をしているトロさんに、サカナさんは苦笑い。
でも、サカナさんも人のことは言えません。

「でも僕もね。トロさんがいないときに紅茶のこと聞かれたらってヒヤヒヤする。
 やっぱり、お互いもっと勉強しなきゃね」
「そうですね」
「たとえば…ウインナコーヒーってどんなのかわかる?」
「え。ウインナコーヒー…」
「ソーセージとかは関係ないよ」
「ああ、違うんですか?」

はあ、とサカナさんため息。

「サカナさん、オレンジペコってわかります?」
「紅茶だよね?」
「それはそうですけど」
「オレンジの葉っぱを使った、フレーバーティーでしょ?」

ふう、とトロさんため息。

「淹れましょう。今」
「コーヒーを?紅茶を?」
「両方ですよ。私はオレンジペコを」
「僕はウインナコーヒーか。いいよ」

できあがったものを前に、二人は少しためらいながら。

「…わたし、コーヒーって苦手なんですよね」
「実は僕も、紅茶はあんまり…いやいや、がんばろう」

意を決して、ふたり、苦手なものを一口飲んで。


眉をしかめて。


無言でカップを入れ替えて。


「まあ… 少しずつ、がんばろうか」
「はい…」


サカナさんはウインナコーヒーを、
トロさんはオレンジペコの紅茶を、
おいしそうに飲むのでした。


ともだちにお茶を

2002年10月15日(火)

アルバイトの子は、なまえをトロといいました。

「トロさん、今日がはじめてのアルバイトだけど。大丈夫?」
「だ、だ、大丈夫ですよ」

見なくてもわかる緊張ぶり。うーん、これは。

「そんなに緊張しないで」
「は、はい」
「いや、まだ店もひらいたばっかりだし、僕も緊張するけどさ。
でも、家に遊びにきたともだちにお茶をだすかんじでいいから。ね?」
「店長も緊張するんですか?」

て、店長。

「店長って」
「あ、ごめんなさい!マスターのほうがよかったですか」

マスター。それもひかれるけれど。

「いいよいいよ、名前で呼んでくれていいから」
「サカナさん」
「そうそう。僕だって緊張するけどさ。ま、がんばろうよ」
「家に遊びにきたともだちに、ですか。わかりました!」

さっきよりはいくらかおちついたトロさんの様子を見て、
サカナさんはほっと一息つきました。




カランコロン。

「サカナくーん、遊びにきたよ」

やってきたのはナミさんでした。

これじゃほんとに家に遊びにきたともだちじゃないか。
ナミさん相手におどおどとするトロさんを見ながら、
サカナさんはカウンターでほうっとため息をつきました。



その日のお客さんは、ナミさんひとりきりだったのです。


紅茶はじめました

2002年10月14日(月)

カランコロン、とドアのベルが鳴ったのは、夕暮れどき。
サカナさんがそろそろお店の一日を振りかえってるころです。

いらっしゃいませ、と声をかけても、
そのお客さんは席につこうとしません。

なんだろう?

「あのう」

その人は、はずかしそうにぽつりと言いました。

「はい?」
「えと、昨日お電話したんですけど、誰も出なかったので…」

昨日。そう、サカナさんがお買い物に行ってるときに、
店にかかってきたあの電話のことです。

「あ、すいません!昨日は店がお休みだったので」
「あ、そうなんですか」

そこからたっぷり時間をおいて。

「あの。」

ぱっと顔を上げて。

「そとの貼り紙、見たんですけど」





「まだできたての喫茶店だから、いろいろ大変だと思うんだけど」
「はい。がんばります!」

いや、まだ決まってないんだけどな…。
おとなしそうなその人は、このときばかりはとおおはりきり。

「えーと。アルバイトの経験ってある?」
「いえ。はじめてです」

はじめてかあ。自分のことはさておき、やっぱり不安なサカナさん。
うーん、としぶい顔。

「あ、紅茶のことならくわしいですけど」





その日、にじいろのメニューに紅茶が追加されました。


はじめてのおやすみ

2002年10月13日(日)

今日はおやすみなのです。


日曜日におやすみの喫茶店もめずらしいですが、
今日はとくべつ。前からきめていたこと。
なぜって?今日はお買い物なのです。
このあいだ、ナミさんに言われたこと。
そう、今日は紅茶のはっぱを買いにおでかけです。

もう何度も読んだ紅茶の本をかばんにつめて、
ドアの「閉店」を確認して、
昨日の夜にはった「アルバイト募集」の貼り紙を見てから、
サカナさんは駅に向かいました。



店の電話が鳴りひびいていたことなど、
そりゃあ知ってるわけないのです。


むりなこともある

2002年10月12日(土)

初めてのおきゃくさんにいつまでもうかれていられません。
がんばるぞ、ときあいをいれたサカナさん。

午前中はふたり。
どきどきしながらなんとかこなし、
よし自信もついてきたぞ、という矢先。

午後3時。

店内に12名。

サカナさん、完全にパニック。
そもそも12名なんて、なれていても多い人数です。
まだまだ半人前のサカナさんでは、きちんと応対できるはずもなく。




閉店時間の午後8時。
ぐたーっとしながら、テーブルに突っ伏すのでした。




おふろにはいって一息ついてから、サカナさんは大きな紙を取り出して、
油性の太いペンでさらさらと書きました。

「アルバイト募集中」




テーブルにうつってしまった油性の文字は、
大あわてで消しておきました。


さんびゃくはちじゅうえん

2002年10月11日(金)

ねぶそくのサカナさん。
今日は1時間おくれての開店です。
とはいっても、お客さんがまってるわけじゃないんだよなぁ。
サカナさん、静かな店内でひとりコーヒー。


昼すぎ。
マグカップに残ったちょっぴりのコーヒーはすっかり冷めてて、
秋の気候はぽかぽかきもちよくて。
のんびり読書の予定のサカナさん、カウンターの奥で、ついついうとうと。



めざましがわりになったのは、カランコロンとドアのベル。



「え、あ、いらっしゃいませ!」

まずいよちょっと裏声になっちゃったよ恥ずかしいよ、
こころのなかでつぶやくサカナさんをよそに、
はじめてのお客さんがカウンター席につきました。

「ブレンド」
「は、はい」

あわててコーヒー豆をセットするサカナさん。
うわあどうしよう見られてるかもヘタだなあとか思われたらどうしよう、
こころのなかじゃ大あわて。
心臓の音は聞こえてないかなとお客さんを見ると、
文庫本を読みふけってるようす。

「どうぞ」

低めの声を意識しながらマグカップをだすと、
砂糖もミルクもいれずに、お客さんはおもむろに口に運びました。
うわあおいしくないとか思われたらどうしよう豆は買ったばっかりだよなあ、
お客さんをじっと見まもります。


とくに気にせずに、文庫本を読みつづけてます。




どれくらいの時間がたったのでしょう。
文庫本を読み終わったようすもないので、きっと少しだったのでしょう。

「380円でいいの?税は?」

と、いきなりお客さん。

「ぜい?(あ、税か)だいじょぶです、そのままで」
「うん」

お代をおいて、店を出ていきました。
体中の力がぬけて、サカナさんはふわあ、と大きなためいきをはきました。




はじめての売り上げ、380円。
夜、まっさらなノートに、でかでかと書いておきました。


お客さん第一号…?

2002年10月10日(木)

カランコロン、とドアのベルが鳴りました。
不意をつかれたサカナさん、それでもいっしょうけんめい、

「い、いらっしゃいませ!」




サカナさんのお友達でした。

「サカナくーん、来てみたよ」
「なんだ、ナミさんか」
「なんだとは失礼な」
「コーヒーでいい?」

サカナさんの問いに、ナミさんは首をふって。

「コーヒー苦手なんだ。ミルクティーある?」




その晩。

紅茶の本をいっしょうけんめい読んでるサカナさんの姿がありました。


一日目のできごと

2002年10月09日(水)

お客さんがきません。
一日目だからしかたないのかな、と
サカナさんは少しがっかり。
コーヒー豆がダメにならないかと心配です。



「閉店」とドアにかかってるのに気がついたのは、
それこそ閉店時間になってからでした。


喫茶店オープン

2002年10月08日(火)

これからどうしよう。
わからないけど、のんびりいけばいいかと思いながら、
サカナさんはコーヒーを飲むのでした。



砂糖入れ忘れて苦かったです。


←ひとつ前 ひとつ先→



ご意見・ご感想・ごツッコミお待ちしています。

おなまえ

メールアドレス(とりあえず)

ご意見・ご感想・ごツッコミ


COPYRIGHT (C) 2004 PAT. All Rights Reserved.