誰の心にも綻びはあって冷たい北風がびゅうとふいに心をさらっていく臆病な心のためにわたしは殻にこもってあくびをしながら伸びをして殻を押し上げるそんな明ける朝の夢を見る自分を守ることは恥ずかしいことではないしいけないことでもないけれどときどき人恋しいこんな空気の冷たい夜には薄い膜を破って心さらう朝が明ける 夢を見る
映画で見た珍しいコーヒー豆も注ぎ口の細いケトルもお湯の温度もわたしにはあまり必要がないみたいお気に入りのマグカップに安物のインスタントコーヒーを注いで口に含む、そのとききみのことを思い浮かべるだけふんわり香る珈琲のにおいに紛れるようにきみの姿が揺らめくよ