2006年11月30日(木) ぼくはポケットの中
 

ぼくの居場所は
きみのポケットの中

無造作につっこまれた
ティッシュやハンカチに
ぎゅうっと挟まれながら
ぼくはポケットの中

ぼくの居場所は
いつだって
きみが持っていてくれてるんだ

ちょっぴり狭くて
ずっとずっとあったかい
まるでじぶんちのトイレのように
居心地がいい

ぼくの居場所は
きみのポケットの中





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2006年11月23日(木)
 

こんな傷 なんてことないよ
明日には傷があったことすら忘れて
明後日くらいには傷跡も消えるだろう

でもこころは
しくしくと傷んだまま
思い出に浸かるたび
ちいさく、傷口を広げて
忘れないように 傷むんだ

きみを
忘れないように 傷むんだ。





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2006年11月22日(水)
 

なんでもない嘘をつくことに
慣れてしまった

流さなかった涙が
体の奥のほうに
たまっていく





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2006年11月20日(月)
 

耳をふさぐような雑音に
もう慣れてしまって

きみの声すら
聴き取れないよ





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2006年11月19日(日)
 

すべてにおいて無知だったから
あんなにひとを好きになったり
平気で傷つけたりできたんだろう





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2006年11月18日(土)
 

指輪やCDは、ゴミの日に捨てればいいけれど
形ないものはどうやって
どこに捨てればいいのだろう

タイミングをなくしてしまって
ずっとここに居座ったまま
たまに 泣き叫ぶように
痛んでる





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2006年11月16日(木)
 

喉の奥に絡み付いていた
誰かの名前を
咳き込むように 声にした

ぷつりと糸が切れるように
名前は落ちて
空気と触れ合うと
溶けるように 見えなくなった


これでほんとうにさよならです





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2006年11月15日(水)
 

飛行機のビジネスクラスみたいに
頑張れば届く場所であったらいいのになぁ

きみの大切なひとのための居場所は、
がんばればがんばるだけ
遠のいてく ような

ファーストクラスなら、もう馬鹿らしいのであきらめる





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2006年11月14日(火) かたくなる
 

身体の節々も
思考も
言葉遣いも
ものの捉え方も

かたくなる
かたくなる
かたくなる

あの日抱いていた
綿菓子のような柔らかい感情も
いつの間にか、触ると少しひんやりする 固形物に変わってて
ちょっとの衝撃で ぱきんと割れた

かけらを拾い集めて
どうやったら柔らかくなるのか 考える

考えているうちに
どんどん体が丸まって
小さく縮こまりながら 考える


そのまま かたくなって
いずれ ぱきんと割れる日がくるのかも
そうしたら 誰かが拾い集めてくれるといいなと
思いながら目を閉じた





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2006年11月13日(月) タクシーに乗って
 

タクシーに乗り込んで
「世界の果てまで」
と言ったら、一体どこへつくだろう

ミラー越しにみえる
運転手さんの困った笑い顔

宗谷岬でいいですか
現実味を帯びた言葉に
マフラーを忘れたことを思い出して

世界の果てにいったら
たいせつなひとに会えそうなんて
なんてひどい妄想だろう

ふたつ目の角を曲がってもらって
しばらく走って、止まってもらった
おつりはいりません


目的地はわかったので 良いのです





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2006年11月12日(日)
 

家の近くの曲がり角を曲がって
はっと息を飲む
空から零れ落ちそうなくらい
大きな満月が見えたから

僕はいつでもそういうひとでありたい
いつだって いま感じているものに気づける人でありたい





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2006年11月10日(金)
 

じりり じりりと
まだ熱の照りつける
あれは夏の日だった

箱の中で眠っているそのひとの顔は
おしゃべりをしていたときより柔らかく
病院のベッドで眠っていたときより白い肌で
ごそりとこけた頬で
けれど優しそうに目を伏せて
まるで眠っているようで。

おとなたちは
待ってる時間ににぎやかにお酒を飲んで
ほんのすこしの 思い出話と
ほんのすこしの わるくちと
思い出したようにでてきた ちいさなちいさないいところを
代わる代わる口にして
ビールで流し込んでいた

白い骨は
もろくて
壊れそうで

外では誰かの泣く 声がした


真っ黒の衣に身を包んだ
照りつける太陽の下
あれは 本当は花火大会にいくはずの日で
家では赤い浴衣が待っていた


さよなら 嫌いだった


誰にも見られないように
落ちた涙は、黒に小さく染みを作った
それだけ
あの
夏の日





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2006年11月09日(木) 僕は知ってる
 

僕は知ってる
きみの大好きな曲の名前を知ってる
きみの一番好きな色を知ってる
きみが雨を嫌いじゃないことを知ってる
きみがご飯を食べるときの癖を知ってる
きみが話してくれた小さな夢のかけらを覚えてる


だけど僕は知らない
きみの大切な人の名前を知らない
きみが大切な人に見せる表情を 僕は知らない

きみの見せるほんのちっぽけな一瞬
それが僕にとっての きみのすべて





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2006年11月08日(水)
 

ごうごうとわめきながらやってきた風が
電線を揺らして
鳥を追いかけて
茶色に染まった葉っぱをそぎ落とす

雲は砕かれて
恥ずかしそうに青い空が顔を出した

明日も晴れる
舞い降りる冷たい空気が
そういってる

けれど 
外で遊ぶ方法を僕は知らない
人形を片手に
暗くなり始める空のふちを 窓の内側から眺めている





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2006年11月07日(火)
 

喉が痛いのは
乾燥した空気のせいで

目が痛いのは
コンタクトがあわないせい

指が痛いのは
手袋を玄関に忘れたせいで

声がでないのは
君の名前が思い出せないせい

名前すら思い出せないのは
君が最近夢にすら顔をださないせい

このひとでなし
自分のことは置いといて
呼ぶことすら出来ない君に
やつあたり





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2006年11月06日(月)
 

空に咲く満天の星を眺めるふりをして
空を眺める隣立つ人の横顔を盗み見る

裸眼の両目じゃ、小さな星粒は夜空に溶け込んで
わたしにはよく見えないけど
君がそんなに熱心に見ているんだから
きっときっときれいなんだろう

唇から白い空気が零れ落ちる
あの冬の夜はもう来ない
同じように星が夜空に瞬いても
レンズのおかげで、輝きをはっきりと目に捉えることができたとしても

同じ夜はもう二度と訪れない





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2006年11月05日(日)
 

一生懸命だった
惨めで汚くて浅はかだった

それから
少しだけずる賢くなって
がんばる手数を減らすことを覚えた

あのとき
わたしは惨めで汚くて浅はかで
心臓ひとつで生きてるようなものだった

あのときの思いを
きっと
忘れてはいけない





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2006年11月04日(土)
 

空のラインギリギリをキープしていた橙色の光は
瞬きを繰り返す間に
余韻すら残さぬまま
急激に落下した

シャッターの音すら出せずに
手に取ったカメラは今日も出番のないまま鞄行き

言葉で伝えることがむつかしいから
それなら写真をと
思ったけれど

隣にいることができたらと

暗くなり始めた空の下で
ひとり鼻をすすって。





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2006年11月03日(金)
 

いつまでたっても
あの日のふたりが消えないから

洗面器すれすれに張った水の中に
漂白剤をたらして
心をどぼん

明日の朝まで浸けておけば
新品のように真っ白になっていることでしょう
そんな、ケチャップのしみでも消すかのように
簡単に



安心して
少しだけ泣いた





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2006年11月02日(木) わ が ま ま
 

きみの笑顔が見れたから
こんな近くで見れたから
それだけでいいとおもう

でもきっとすぐに足りなくなるんだろう
もっともっと愛されたいって
体中がそういってる

口先だけでも
冗談でも
もう別になんだって
君のものであればそれでいい
わたしのものになるなら 全部ほしい





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