君の手のひらがはじめてわたしに触れたときその体温に、優しさに、涙が出た一度放り投げた自分の体をこんなに優しく触れてくれる人がいたことに涙が、でた
おとといの晩御飯が思い出せないように君の顔も特別だった言葉もひどいせりふも傷ついた気持ちもなにもかもいつか思い出せなくなるいまは揺らいでいく思い出の輪郭をときおり思い出していとしい思いで撫でているそれすらできなくなるときがきっとくるしあわせなようなさみしいようなそんな気持ちで滲んでいく君の痕を撫でている
わたしにはもう 君しかないと恋をしてそんな恋すら失ったそれでも生きてる世界は回る気持ちはいつでも遡るけれど雲がゆっくり知らない空へと流れていくようにただ薄れていくそういうものなのだろう
燃える炎が大きすぎて酸素を奪うだけ奪って苦しくなるばかりの恋はもう終わったゆらゆら橙色の小さな火で心をあたたかく照らすようなそんな優しい恋がいま つづいてる心臓が壊れるような胸の高鳴りも湧き上がるような感情ももうないけれどこのちいさな灯火がながくながくふたりを照らしていけたらそれでいい
あなたの優しさに気づくのにこんなにも遅れてしまったわたしにどうしてあなたはそんなに優しいのその優しさがかなしいわたしももっと、あなたのように柔らかい風みたいに、包むように優しくなれたら と
言葉がわきあがるような感情のようなものならもうわたしのなかには何も残ってない
わたしが傷跡になって君の心に残れたらいいあなたになりたい消えたっていいもっともっと愛されたいそんな風に、ただ自己中心的に君を想っていた今ならもっと、あなたを優しく包むように想えたでしょうけれど今なら、あなたをきっと好きにはならなかったあのとき、生まれるべきして芽生えた恋は朽ちるように終わっていったたくさんの涙と、その後に続く出会いを残してそんな、道しるべになるような恋だってあるのだ
たとえば わたしの名前が変わらないならきみがまた見つけてくれるんじゃないかとメールアドレスすら、変えられないまま来ないメールを待つわけでもなくきみに縛られてたきみを思う気持ちにいつまでたっても、縛られていたふと、思うきみの顔をぼんやりとしか、もう思い出せないこといつまでも繋ぎとめていたかったのは、わたし。恋はもう去っていた時間は流れるように過ぎてゆくきみよ、どうぞ幸せに流れるままに、誰かに愛されるようにありのままのきみのままできみよ、どうぞ幸せに。