2004年07月31日(土) からっぽ
 

突風がわたしを突き抜けて
髪の毛も
体も
こころも
なにもかもさらってく

抜け殻になった
わたしは
なにを守るだろう

いらないもの
全てとっぱらったら
ただ優しくあたたかく
誰かを抱きしめられるだろうか

それとも
呆然と
枯れ果てた老樹のように
大地に根っこを生やすだろうか

わたしは
なにを守りたいのだろう

からっぽになれば
分かるだろうか





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2004年07月29日(木) さよならはしない。
 

とつぜん降り出した雨のように
わけもなく
あふれた涙が止まらない

蛇口はどこ
わたしは
泣きたくなんてない

負け

認めるのが
いやだったのか

もう二度と
君に
触れられないことが
信じられなかったのか

ぼたぼた
感情がついていかない
わたしは泣きたくなんてない

諦めたくなんて
ないのだ。





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2004年07月28日(水) ちょうどいい温度で
 

足りない言葉は
温度で補って
出すぎた愛は
適度に冷やして

あつすぎても
さめすぎても
だめなの

二人は
ちょうどいい温度で
ずっと一緒にいれるくらいの温度で

流れるように
すごせばいい





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2004年07月27日(火) てのひら
 

誰にもつながれてない手のひらを
ぎゅっと力任せに
こぶしに変えた

爪が食い込んで
痛い

ひとりだと思った

君が優しく包み込む
手のひら

もう追い払ったりしないから

繋いだ手のひらに
ぎゅっと力を込めて
体温を預けて
汗ばんだら一度離して

こうやって
わたしたちは一緒にいる





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2004年07月26日(月) におい
 

言葉に出来ないものを
言葉にしようとして
つまづいた子供のように
えんえん泣いた

固まってしまった瞼は
もう二度と開かない
みんな知っている

落とせなかった涙は
頬を滑って
ハンカチをぬらした

あなたはどこへ行くの
みんな知らない

なにも言葉にできない
わたしは何も知らない
けれど全部分かってる

風が吹いた涼しい夜
雨の跡
線香の、におい





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2004年07月25日(日) ゆるゆる
 

道路に続く白い線
暑さでゆらゆら揺れている

引っ張って
もう動けない

後ろに倒れるふりをして
慌てた君を見て笑う

大声で歌うひとの
喉がかれていることに
気づいた人は何人いるだろう
あのひとは朝から歌ってる

渇いた喉を潤して
したたる汗を拭い去り
ぼんやり座って
見つめる道路の先の白い線

もうすぐバスが来る
どこに行こう
どこに行こう

どこへでも
誰かわたしを引っ張って
君とならどこへでも。

もうすぐ、バスが来る





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2004年07月24日(土) 息継ぎ。
 

パソコンのすぐうしろで
ねこが寝ている

そのすぐそばに
ついさっき
天に昇った
ぬけがらの体

外は今日も暑いでしょう
今はわたしを探さないで

ぬるま湯の現実は苦しくて
したくなくても
息継ぎをしてしまう
君はそれすら出来なくなったというのに

もう動かない体をそっと隠して
もう少しだけ、瞼に焼き付けて
君が残した何かをそっと胸へと持っていく

苦しくなって。また、息継ぎ。





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2004年07月23日(金) 下降
 

君が確かにそこにいることを
手探りで確かめて
静かに目を瞑る

聞こえている音も
感じている振動も
感触もにおいもなにもかも
わたしの中へと落ちていく

まっさらなシーツを掴んで
苦しみに耐える愛しさがあること、
覚えた。





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2004年07月21日(水) さらさら
 

忘れた何かを取り戻すように進んでいく
忘れたのは何だったか
昨日見た夢だろうか
それとも誰かとした約束だろうか
わたしのこと、だろうか。

手探りで
漂いながらも
進んでいく
おぼろげな光のほうへ

わたしはいつ気づくだろう
そうしている今も
あらゆるものを落としていることに

大事な何かも
がらくたも
進むたび零れていく

その手のひらにはもうなにも残らないというのに
光ばかり目指して。





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2004年07月19日(月) あきれるほど遠くへ。
 

駆け足で両手を翼のように広げて
流れるように過ぎ去って
君はあきれるほど遠くへ

わたしも
そこへ行きたい

けれどあなたの居場所がそこであったように
わたしの居場所はここなんだろう

羨ましくなるほどの笑顔で
もう手が届かないわたしに手を振って
君はあきれるほど遠くへ

わたしは苦笑いで、さよなら。

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わたしの居場所。
よかったら、来ない?





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2004年07月06日(火) 内緒話
 

たった二日間しかもたなかったわたしの強がりは
君の前であっけなく崩れ去った

弱虫ですぐ殻を身に纏いたがるわたしを
意地っ張りだと君は笑うけれど

そんなこと。
わたしはどうしようもなく素直なんだと
いつ君に打ち明けよう





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2004年07月04日(日) あしどり
 

あぁ、
あの空が青色から緑色に
優しく穏やかに色を変えていくように
わたしたちは進んでいく

たとえば
桃色に変わった雲の上で
そっと一息休んだり

流れる飛行機雲に押し流されるように
すれ違ったりもするのでしょう

けれど
青く澄んでいた空が濃い橙に染まり
そしてまた薄く白い空が浮かび上がるように
わたしたちはたどたどしい足取りで
戻りながらも進んでいく

幸せなんだろう
確かに





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2004年07月02日(金) わたしはきっと忘れてしまう
 

思い出せる量と同じくらい
君のことを忘れてしまっている

滲む
霞む
死んでしまう

わたしは知らないうちに立ち上がって
当たり前のように進んでいた
とうに君を置いて

思い出せる君は
いつだって強がって
傷つきやすい人だった

わたしを捨てていった人
もう言わないから
わたしが思い出せるうちに一度だけ
世界で一番愛してた
幸せになれ





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