たしかにここはふたりきり聞こえるのは君の息遣い空気の振動騒ぐ窓たしかにここはふたりきり幾度もひとつにけれどたしかにわたしたちはひとりきり悲しくて愛しくて胸が焼けてしまいそう
君がその震える指先でわたしの肌を滑った瞬間わたしはきっと忘れない痛くて寂しくて悲しくてそして惨めで臆病だったわたしを君以外誰にも知られたくない同じように君の手のひらは傷だらけだけど大きくてあたたか筋肉がついた腕は枕には痛いけどわたしをすっぽりと包むそういうの、誰にも気付かれたくない君でいいわたしでいい悲しい けれどあたたかいいま、そんな恋をする
冷たくなった地面に腰を下ろして風が揺らす葉の音に耳を澄ます隣に手を繋いだままの君がいる雲がゆっくり流れていって水が静かに溢れていて青い空は遠のいて冷たい空気が鼻をツンと通り過ぎるせっかくだから君に教えてしまおうかわたしの愛しいものたちを冬の空は高く高く遠くなるわたしはそれを見上げて鼻をスンとすする隣にいる君の手のひらがあたたかいせっかくだからいま、同じものを見ようか
光が差し込む睫毛に露が落ちてくる眩しくて、手をかざす君が笑っている私は世界の中心で心を見つけた光が差し込む岩に足を滑らすと君が手を差し出す胸が痛む愛だと知る