NORI-☆
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シャッフル!
去年の今ごろ、サトシはMちゃんと結婚することになっていて、 二人のラブラブ状態の中で、 さまざまなかわいいエピソードが生まれたものだった。 しかし、二人は今年の春(推定)に婚約を解消してしまった。 別にケンカしたわけでもないようで、 仲良しのお友達であることは変わりないのだが、 要するに「婚約ごっこ」に飽きたらしい。 しかし、そのへんの事情は母にはわからないので、 4月ごろ「Mちゃんはサトと結婚するのやめたんだよ」 「Mちゃんはユースケくんと結婚するんだって」 と本人から聞かされたときは、結構ショックで、 (フラれちゃったのね〜(TT))と 我が息子を不憫に思ったものである。 「どうして?とってもラブラブだったのに?」 「サトくんは給食食べるののろのろだからって」 サトシの給食好き嫌いとのろのろ食べは、 母と先生の間でかなり議論されている 大きな問題の一つではある。 その気配を自分なりに投影させての解釈なのかもしれない。 …とはいえ、本人はそんなことを原因として挙げながら、 全く淡々として、傷ついた様子もなく上機嫌である。 4月から延長組に加わった2つ年下のカノンちゃんのことを しきりに「カノンちゃんかわいい」「カノンちゃん好き」と言い、 さらに1つ下のクラスではミサキちゃんがかわいいと言っていた。 (サトシの好みのタイプというのがちょと読めてきた気がする) 結局やっぱり、サトシとMちゃんは お互いにペアであることに飽きてしまっただけらしいと、 母もようやく納得して安堵した。 そしてしばらくカノンちゃん熱が続いたかと思っていたら、 夏くらいから同じクラスのKちゃんの名前が しきりに話題にのぼるようになってきた。 「Kちゃんがサトに○○をくれたんだよ」 「Kちゃんと同じグループなんだ〜♪」 と初めはどうみてもサトシの片思いという感じだったのだが、 夏休みを過ぎてから、 「Kちゃんもサトのこと好きだって!」 という報告を聞くようになった。 Kちゃんは延長組ではないので、 お迎え担当の母が顔を合わせるチャンスはあまりない。 よって、Kちゃんとサトシが一緒にいるところから 実際どうなのか?を観察する機会もないのだが、 ある日Kちゃんがイレギュラーに延長組に加わった日があった。 ちょうどお迎え時間が一緒になり、 二人で楽しくじゃれあいながら玄関に向かう様子に、 なるほどとっても仲良しであることはよくわかった。 玄関でKちゃんのママに 「サトはKちゃんが大好きみたいよ。 でも、サトの片思いなんだろうなって気がする(笑)」 と言うと、Kちゃんママは大きくかぶりをふった。 「とんでもない、Kがサトくん大好きなのよ〜! この連休もサトくんに会いたい会いたいってうるさいの」 「へぇ〜そうなのぉ。そりゃよかったね、サト…」 というわけで、今年はサトシとKちゃん、であるらしい。 ところが数日後、母が何気なくサトシに、 母の友人で結婚が決まった人の話をすると、 意外なことをサトシが言った。 「サトはしょうらいだれともけっこんしないんだよ」 「……え?…そうなの?Kちゃんと結婚するのかと思った」 「しないよ。Kちゃんはユウト君と結婚するんだもん」 恋愛と結婚は別、というポリシーを今から確立しているというのか。 これも時代というものなのだろうか。 母はいささか複雑な気持ちになった。 しかも、追い討ちをかけるように後日サトシが言った。 「あのね、やっぱりKちゃんはユウトくんと結婚するの。 サトはね、Kちゃんのイトコになることにしたの」 「…だって、サトが一番ラブラブななんじゃないの?」 「イトコだってラブラブでいいんだよ!」 うーん……なんかそれはちょっと違うって気がするんだけど……(^^;) そして今朝のこと。 母が保育園の手前に自転車を止めて子供たちを下ろしていると、 反対方向からKちゃんがスキップしながらこちらに向かってきた。 「サトくんおはよ〜!(^^)」 「あ、Kちゃん〜(^^)」 二人は手を取り合ってさっさと門の中に入って行った。 残された母とヨシキは呆然としながら後を追った。 サトシの教室は園庭に面しているので、 玄関ではなく外廊下から直接教室に入る。 仲良しの二人が揃って下駄箱の前に到達すると、 教室の中からわらわらと先にきていたクラスメイトが出てくる。 先頭で出てきたのは噂のユウトくんである。 「あ、二人そろってきた〜!!」 ニコニコしながら冷やかし(?)の声をかけたのもユウトくん。 「ラブラブだもんね〜」 とユキちゃんが追随する。 「結婚するんだもんね〜」とまたユウトくん。 「あれ?ユウトくんとKちゃんが結婚するっていう噂聞いたけど?」 と思わずサトくんのママは突っ込んでしまう。 横に追いついてきたKちゃんのパパが苦笑している。 すでに子供たちは一丸となってわけもわからずはしゃいでいるので、 その話はそれで立ち消えとなった。 なんだかよくわからないけど、 男の子も女の子も、み〜んな仲良しみたいだから、 ま、いっか。。。。
2001年09月27日(木)
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朝の訪問者
明け方サトシのトイレに付き合ってから なぜか目が冴えて眠れなくなってしまったというパパ、 寝るのをあきらめて「一人で起きてる早朝」 を楽しむ(?)ことにしたらしい。。 朝だよ〜とママを起こしてくれたときには 家中の窓とついでに玄関のドアまで開けて、 初秋の朝風で家の中を爽やかにしてくれていた。 「えっ、洗濯してくれてるの〜? 昨日少なかったからいいやと思ってたのに…」 「今日は洗濯日和って天気予報が言ってたから…」 あらら…それはどうも……(^^;) パパがすっきり目覚めて活動的にしていると、 なんとなく家中がいい感じである。 …とはいえ、子供たちの朝の身支度や朝食は いくら風が爽やかでもそうさくさくとはいかないもので、 例のごとく騒がしく慌しい食卓の時間が終わると、 案外早くもない時間となってしまっていた。 ようやく“いってらっしゃーい!”と パパと子供たちを送り出して、ママも片付けと身支度。 寝室のクローゼットと洗面所を往復しながら、 着替えとお化粧を済ませる。 さて、出かけよう、と玄関を出て、鍵穴に鍵を挿し込む。 ………? ふと気配を感じて、鍵を挿したまま手を止め、 玄関わきの寝室の窓を見る。 (あ、窓開けっ放しだ…閉めなくちゃ) と思ってドアを開けて中に入ろうとしつつ、 今認識したのがそれだけではなかったような気がして 再び窓を見る。 …えええっ!!?? アルミの格子の隙間から、じっとこちらを見ている 灰緑色のまあるい瞳。 ……猫だ! もちろん、我が家では猫は飼っていない。 しかし、窓枠にちょこんと座った猫は、 確かに窓の格子の内側から、網戸を通して 私をじっと見つめているのである。 なんで猫ちゃんがうちの中にいるのぉ〜〜っ?! しかも家人たる私がドアの外に立っているのに、だ! いつの間に入ってきたんだろう? どこの猫だろう? なんで今まで気が付かなかったんだろう? 疑問符が駆け巡る真っ白な頭を抱えた私が 最初にしたことは、バッグから携帯電話を出して パパを呼び出すことだった。 「…もしもし?」 「猫がいるの!」 「は?」 「うちの中に猫がいるのっ! 出かけようとして気がついたの! 寝室の窓のところに座ってるのっ!」 窓辺の猫に目が釘付けのまま、 ささやき声でまくし立てる。 しかし、パパは全く驚かなかった。 「……どこ?寝室?……やっぱり!」 “やっぱり”?? ああ、そういえば、朝食のとき、 ふと廊下に目をやったパパが、 「あれ、今何か影が……」 って言ったっけ。 「そうそう。やっぱりあれは猫だったんだ。 目の錯覚じゃなかったんだ。そっかそっか」 満足そうな声である。 なるほど、そうか、玄関開いてたから入ってきたのね、 で、それをパパが見たんだぁ…… …って、感心してる場合じゃないのよぉ 猫ちゃん家に残してでかけられないじゃない。 私はいったいどうしたらいいの? 猫があまりにも平然としているので、 携帯片手に、そっと外から網戸を動かしてみる。 猫は一瞬「ん?なに?」という顔をしたけれど、 網戸が少し開くと首を伸ばして、 幅10センチほどの格子の間から優美な頭を出してきた。 窓の外は花台になっていて、 サマーキャンドルやゼラニウム、ランタナなどの 花鉢が置いてある。 そっか、猫って格子の隙間からでも出られるんだ。 そのまま出てきてくれれば安心なんだけどな… しかし固唾を飲んで見守っている私を尻目に、 猫は首を伸ばしてオレンジのサマーキャンドルを クン、とかいだだけで、そのまま動かない。 よそのうちに来ているとか、知らない人と対峙しているとか そういう緊張は全然ないらしい。 「別に出かける予定ないんだけどぉ?」 とでも言うように私を見上げる。 いや、でもね、君はよくても、 私は君を閉じ込めて出かけるわけにはいかないしさ… 家の人も心配してるでしょうよ? しばし見詰め合った後、猫はおもむろに立ち上がり、 するりとしなやかに格子を抜け出てきて 花鉢の後に座りなおした。 ほっとしつつ、そぉっと手を伸ばして網戸を再び閉め、 さらにサッシをそろそろと閉める。 猫は自分のお尻をかすめて窓が閉まるのを 落ち着き払って眺めながら、全く動かない。 「窓開けたら出てきた……うん、窓閉めた。 今?花台に座ってこっち見てる。 うーん、帰る気ないみたいだけど、 …とりあえず、大丈夫。じゃあ、私もでかけるわ…」 家から出てきてさえくれれば、とりあえず一安心である。 電話を切って、猫と向き合う。 こういう体色をブルーというのかな。 つやのある濃いグレーの、ほんとにきれいな毛並み。 大きな丸い目をしたハンサムな猫である。 背中をなでるとすべすべで気持ちいい。 首にピンクのエナメルの首輪がついている。 きっと、大切に育てられているんだろうなぁ… 飼ったことがないので、扱いにはあまり自信がないものの、 猫という動物は、実は大好きなのだ。 いくら眺めていても飽きない。その姿が好き。 しかも、こんな美しい立派な猫ちゃんならなおさら。 名残惜しいけれど、出勤の時間が迫っている。 (というかもうとっくに過ぎている) 「じゃあ、行くから。 そこにいてもいいけど、お花をかじらないでね。 気をつけて帰ってね」 落ち着き払った優雅な猫に、 なんとなくへどもどと声をかけて、 ついに我が家を後にした。 …たぶん、あれは503号室の猫。 うちは角部屋なので、 4軒のドアの前を通り過ぎるのだけれど、 その途中で何度か、 やはり同じように窓枠に座って 網戸越しにこちらを見ているのを見かけたことがある。 “そのまま居着いちゃったりしてね…” 昼にパパから来たメールを読んで、 そうだったら楽しいのに、と思った。 居着かないまでも、 ときどき遊びに来てくれたらいいのにな。 最初みたときは「なぜっ???」という衝撃で 呆然としてしまったけれど、 こんな「事件」ならちょくちょくあってもかまわない。 …それにしても、 いったいどこに隠れていたんだろう? 今度会ったらぜひきいてみたいものである。
2001年09月18日(火)
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男たちの旅路
「土曜日、ちょっとでかけたいんだけど?」 「いいよ」 「お昼からもしかしたら夜までなんだけど、大丈夫?」 「いいよいいよ、行ってきなさい」 「ご飯とか…」 「いいよ、どっか適当に連れて行くから」 パパは子供たちと家で留守番をするのが苦手である。 のんびりゴロゴロしているとよじ登られ、 何かしようとすると「パパ〜」と呼ばれ、 じゃあ一緒に遊ぼうか?というと言うことをきかず、 家にいてもペースを乱されっぱなしで 何もできないわりにくたびれるから、 ということらしい。 これがママなら慣れているので、 子供たちの相手を適当にしつつ、 細切れの時間で滞った家事をちょこちょこ片付けて わりと充実した時間が過ごせるのだけれど、 (自分のしたいことをするまとまった時間がとれない という不満はあるにせよ、である) パパとしては手持ち無沙汰なのになんだか休まらない というのはかなり辛いことらしい。 で、そのくらいなら、いっそお出かけした方がラクなのだそうだ。 無目的に家でじっとしているより、 歩いたり電車に乗ったりというアクションがある方が 時間もつぶれるし身体も動かせるからいいらしい。 ヨシキは何によらず「おでかけ」が大好きだし、 サトシは乗物に乗るチャンスは何であれ大歓迎だし、 子供たちに異存があろうはずはない。 かくして、パパと子供たちのお留守番は、往々にして パパと子供たちのおでかけ、に化けるのであった。 ママが連れて行く目的ありきのおでかけだと、 利用交通機関、行く先、お出かけの総時間から、 食事・おやつ・お昼寝の時間との兼ね合いはどうか、 飲み物、食べ物は何をどれだけ持っていくか、 どこでどうやって食べさせるか、子供たちの服装は? オムツの枚数、汚れたときのお着替え、補助食器類、 お手拭、ティッシュ、虫除けの薬、 暑かったら?寒かったら? 眠ってしまったらバスタオルをかけて… 途中でぐずったら抱っこになるかな、 抱っこポーチはいるかな? いや、駅の階段が大変だからバギーはだめかな? でもずっと抱っこじゃきついよねぇ… などいろいろ考えて荷物を準備して、 ああ、お出かけってなんて面倒…となってしまうのだけれど、 パパはそのへんをさらっと流して、 さしたる準備もなく、気軽に出かけていくのだった。 いや、もちろんパパ暦5年の二児の父のこと、 さすがに何も持たずにでかけるわけはなく、 基本は押さえているのだけれど、 なぜかママよりずっとずっと、身軽で気軽なのである。 この違いは何だろう? 多分、「出かけること」自体が目的になっていて 何らかのミッションをこなさなければならないという 強迫観念がないことと、 いざとなったら二人を抱いて帰ってこられる、 という体力的な自信、 何とかなるさ、というお気楽さ。。。 …どれをとっても確かにママにはないものである。 平日なかなか子供たちと過ごす時間がないパパにとって、 おでかけって、子供たちと冒険の体験を 共有することなんじゃないかなぁ、とママは思う。 そして、その中で子供たちの反応や行動を目の当たりにすることで、 二人の成長やそれぞれの個性を感じ取っているんじゃないかな という気がする。 子供たちの生き生きした顔、嬉しそうな顔をみると、 ついついサービスしたくなっちゃうんだろうなぁ、 というのもなんとなくわかるような気がする。 そんなわけで、男たちのふらり冒険行は、 ママにとって思いがけない方向に転がることが多い。 おでかけ途中でいろいろな密約が交わされることもあるようだ。 ママ抜きで子供たちと直に触れる貴重な時間… まあ、それもいいんじゃない(^^) なんたって男同士だし。 …そして今日、 またもや男たちは離れ業を演じてママを驚かせる。 ママが昼から友人たちと集まっておしゃべりに花を咲かせている間、 ふらりと出かけた男たちは、 オープンしたばかりのディズニーシーに到達していたのだった! ママにとっては目がくらむような身軽さである。 夕方からディズニーシーに行くなんて! 「混んでたらモノレールだけ乗って帰ろうね」 と淡々と「様子見に」行くなんて! 「思いがけずガラガラだったよ〜」なんて! 出かけるからには元を取らなきゃ、 とすご〜く気合を入れてTDLに行くママには考えられない、 無欲の勝利といってもいいような展開である。 パークの外側を走っている“ディズニーリゾートライン”に 乗るためだけに、舞浜まで行ってもいいと思う サトシのシンプルな心に 苦もなく同調して行動できちゃうパパって、 ほんとにほんとに素敵だと思う。 それにしても……… ママも行きたかったよ〜〜〜っ!!(TT)
2001年09月08日(土)
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赤い流線形
週末に、実家がある団地の自治会が主催する 毎年恒例の納涼祭があった。 自治会有志が、ビールに枝豆、焼きそば、おでん、綿あめ、 金魚すくい、ヨーヨー釣りなどのお店を出し、 各家庭であらかじめ買っておいた食券を持って引き換え、 公園にシートを敷き、テーブルを並べて作った 即席のお座敷で飲み食い談笑して過ごすお祭りである。 自治会役員OBでお祭り好きな父は、 毎年張り切って設営や接客(?)に立ち働き、 母も近所の奥さんたちと焼きそば作りを手伝ったりする。 我が家も毎年このイベントにあわせて里帰りし、 お祭り気分を楽しんでいる。 去年この納涼祭で、サトシは初めて金魚すくいをした。 金魚すくいはなかなか幼児には難しいので、 あえなく紙が破れてしまった後、 お約束の「残念賞」金魚を3匹ばかりもらって帰ってきた。 是非に、とおじさんに頼み込んで 数少ない黒出目金を1匹入れてもらったのだけれど、 残念ながら、翌日には死んでしまった。 金魚すくいの金魚は、とても小さいうえに、 狭い水槽で酸欠状態で運ばれるということで、 長生きできるものは少ないらしい。 (可哀相な短い人生で、それをすくって遊ぶのも 何だか気がとがめるのだけれど…) 家に連れて帰ってもすぐ死んでしまうかもしれない、ということで 残る金魚たちはそのまま実家で飼ってもらうことになった。 じじばばは、「サトくんの金ちゃんたち」と呼んで 世話をしてくれていたが、いかんせん そういう運命を背負った魚たちのこと、 残る2匹も相次いで死んでしまった。 サトシががっかりするだろう、とじじばばが不憫がって ご近所から元気な金魚をもらってきてくれ、 大切に後継者として飼い始めた。 サトシによって「赤太郎」と名づけられた金魚は、 几帳面なケアのおかげで、なかなかよく育っていた。 覗き込むと喜んで寄って来るんだよ、とは だんだん情が移ってきた両親の談。 サトシは馬主ならぬ「金魚主」よろしく 遠隔地から自分の手を使わずに金魚を「飼っていた」わけだが、 それはそれで、彼なりに「赤太郎」を愛していたらしい。 実家に遊びに行くと、祖父と一緒に餌をやり、 ひらひら泳ぐ様を楽しそうに眺めていた。 そうして3ヶ月が過ぎ、半年が過ぎ、 もうすぐ1年目を迎えようとしていたころ、 これは意外に長生きして、大きくなるのかも…という期待をよそに、 赤太郎はあっけなく死んでしまった。突然のことだったという。 サトシは直接見ていないので、さほどの衝撃は受けなかったようだが、 祖父母が悲しんでいるのを見て、 「またサトが金魚取ってきてあげるよ!」となぐさめていた。 そして、今年の夏祭り。 サトシは今年こそ自力で…とかなり意気込んで金魚すくいに挑んだが、 しかしやっぱりすばしこい小さな金魚を捕らえることはできず、 今年も「残念賞」で4匹の小さな小さな金魚をもらってきた。 4つの小さな赤い流線型が、 再び実家の玄関先でひらひらするようになった。 「デメキンは弱いから」といっぱしのことを言って、 今年は赤いのだけもらってきたのだった。 「名前つけたの?」 「うん!赤太郎」 赤太郎という名前は、サトシ金魚の名跡らしい。 「どれが赤太郎? 他のは名前ないの?」 「とみえちゃん」 「他は?」 「ごぼう君、ピーマン君」 「??…どれがどれなの?」 「さあ……」 サトシとしては、見分けのつかない金魚のどれが赤太郎で どれがごぼう君でも別にどうでもいいらしいが、 ママは名前は金魚にとっても立派なアイデンティティーだと思うので、 ちゃんと割り当ててやりたい。 そこで、金魚をじっと観察して、4匹の違いを見比べようと試みた。 よく見ると、一応、 体の大きさで、大2、小2のグループに分かれる。 さらに大の金魚の片方は全体がムラなく赤金色で、 もう一方は尾の先がすこしだけ白い。 そして、小の金魚の片方は口の先と尾の先が白く、 もう一方は全体赤でえらのところだけ金色が目立つ。 この違いを模式図にして、スケッチブックに色鉛筆で記録して、 サトシに改めて聞いてみた。 「どれを赤太郎にしようか?」 「全部赤いの!赤太郎だから一番赤いの!」 「口としっぽが白い小さいのは?」 「とみえちゃん!女の子だからおしゃれなの」 「しっぽが白い大きいやつは?」 「ごぼう君」 「じゃあ、えらが金色のがピーマン君なのね」 「うん!」 「………なんでごぼうとかピーマンなわけ?(^^;) 金魚の名前らしくないと思うんだけど?」 「おいしそうでいいじゃん!」 「…そう…(ごぼうもピーマンも食べないくせに…)」 ま、そういうわけで、4匹の名前が決まった。 しかし、なんでごぼうとピーマンなんだろう……(-_-;) トマトと唐辛子、とつけたなら納得するんだけどな… それから、「とみえ」っていうのは いったいどこから出てきた女名前なのだろう…… サトシのネーミングセンスは、不可解である。
2001年09月03日(月)
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