いつもの日記

2009年09月15日(火) 13 手帳

菅野は夜遅くまで佐恵子の披露宴の打ち合わせがあるからと外出した。
残された山下は朝食兼昼食を買うためにマンションの1階にあるコンビニに行った。
さんざん悩んだ挙句に結局山かけうどんとおにぎりを買って部屋に戻った。
そしてテレビをつけた。

昼前のニュースに21歳の浪人生に妻を殺された木下さんとその娘が出てきた。
明日最高裁の裁判があるという。
1審2審とも無期懲役という判決だったがそれを不服として上告し最高裁判まで来ていた。
裁判官曰く「無計画で突発性なもので初犯であり、反省も伺えるため、死刑にはならない」
ということらしかった。

ただ、木下さんは、「法廷での犯人の素振りをみてると反省の態度は感じらない。全く救う必要のない人間だという気持ちが日増しに強くなっている。必ず死刑にすべきだ」と訴えていた。
4歳になったばかりの娘は父の左手の袖の部分を掴みながらをカメラをじっと見つめていた。
口は横一文字で何も言葉は発していないが、鋭い目は全てを語っていた。

山下は「ほんとにこれどうなるんだろ?」と一人で呟いてTVを消した。
そして、さて今日は何をするかなと考えていた。そして、辺りを見渡した。

菅野の会社用のカバンがTVボードの横にガバッと空いてちょうど手帳が見えた。これまで一緒にでも勝手にでも一度も見たことなかったのだが、ふと山下は菅野が手帳に何を書いているのかなと思い、かばんから手帳を取り出した。



2009年09月11日(金) 12 有楽町駅までの道

菅野達は店を出て有楽町駅までの道を歩きはじめた。山下はツタヤで借りたDVDがあるからそれを菅野の部屋で見ようといつものように言った。菅野はそれに対しうなづきもせず、来週佐恵子の結婚式があり披露宴に呼ばれていると言った。そして、その話の流れで「結婚ってどう思う。必要だと思う?」と山下に尋ねた。

山下はうーんと唸り頭を揺らして考えていた。2人は無言のまま暫く歩いた。

客観的にみると菅野が山下を試しているようにも見えるが、それがいつもの2人だけのコミュニケーションだった。菅野は山下が十分に考えて話すことを知っていたしそれをさせてあげたいとも思っていたからだ。

そして山下は前方上方を見ながら
「やっぱ、いつもお前が言ってるように俺は結婚という形には拘らないけどな。一緒に居たいから居るでそれで終了じゃない?」
と言った。

「そうだよね。私もその考えだから何で結婚なんてするんだろう?って思っちゃうんだよね」
と言って菅野は山下の横顔を見た。

山下の横顔には表情がなかった。

結婚という話題に興味がないし特に反応しなればならない話題でも無いと考えているように見えた。ただ表情がないことからそれだけ真剣にその物事に対し考えているという捉え方もできた。要は菅野は結局のところ山下の本音を掴めずにいた。それは掴もうとして掴めないのではなく本音が解らないことに課題感がないだけだった。菅野はそれだけ自分は自分で他人は他人だと割り切った考え方のできる女だった。


 < 過去  INDEX  未来 >


Kind of Sunday [MAIL] [HOMEPAGE]

My追加