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2005年04月30日(土) 古都...その弐

君はいつか,こんな話をしてくれました.

このカフェは
君の父上と母上が恋人時代に
よく待ち合わせをしていたと.

ぼくと君も待ち合わせをするのだろうかと
考えた日のことを想いだします.

今,その場所にひとりでいるわけですが...

もし
君が偶然にもここにいたりしたら
それは奇跡以外のなにものでもないけれど

そんなことは起こることもなく
甘く切ない
砂糖とミルクがたっぷりとはいった
コ−ヒ-が...

ただ
ただ
減っていくだけです.


時間が流れて
風が流れて

その流れに乗って
京詞が耳に入ってくると

反射的に
君を探してしまいます.

言葉が流れた元の場所を
探してしまいます.


しかし,やけに京都弁が多いなぁ...
と思って苦笑してしまいました.

ここは京都だから当たり前か...


コ−ヒ-が苦いと勘違いしたのか
偶然にもそれをみていたウェイトレスさんが
角砂糖をひとつ,もってきてくれました.

君の話し方によく似ている京美人さん.


君がいたら
砂糖なんかいらないんだけれど...

ぼくはきっと
ブラックをオ−ダ−して

おしゃべりしている
君の甘ったるい声を聞きながら
コ−ヒ-を飲むことになるから.


君の声が懐かしい.

ただ
ただ
懐かしい.

そして
2杯目は,ブラックを注文しました.


....................つづく.


2005年04月29日(金) 古都...その壱

ぼくは...
ただ,君をみているだけでも幸せだったんだ.

ぼくは...
ただ,君の声をきいているだけでも幸せだったんだ.


君とふたりで過ごす時間は心地よく
それを舒暢するかのような

食い入るようにみつめてくる
その眼差は
うねりがゆるやかな日の海風に似ていて

ぼくが映っている大きくてくりってした
その瞳は
笑顔とともに細くなり

ぼくは溶けてしまいそうになるんだ.


ぷっくりした唇から漏れてくる
京都弁は
君の声にとてもあっていて

甘ったるい響きをもつ
君の声は
京都弁にとてもあっていて

遂には...ぼくを溶かしてしまうんだ.


ぼくは...
ただ,君をみているだけでも幸せだったんだ.

ぼくは...
ただ,君の声をきいているだけでも幸せだったんだ.



一緒に行こうって
約束していたあのカフェにいます.

君が教えてくれた
砂糖とミルクが入っているコ−ヒ-を注文しました.

来ることのない君を待つには
やさしいコ−ヒ-かもしれません.

...................つづく.


2005年04月17日(日) 宿神...知らせと導きの

のびきった髪を
切りに行った.

幾度となく行こうとしては
仕事やら
用事やらで
行くことができずに
スタイルも
ままならぬまま

そのままだった.

髪を後で結うことに慣れきって

今となると

淋しいような
物足りないような

そんな気もするけれど

新しく何かをはじめようと
心機一転の意味を込めて

時間もできたので
髪を切りに行ってみた.


神が宿るといわれている
池がある公園の脇の
駐車場に車を入れたとき

アゲハがやってきた.

ここぞというときに
やって来る...

知らせと
導きの

アイツ.


また
何かが起ころうと...

また
何かが始まろうと...

している前兆なのかもしれない.


☆ 宿神(しゅくじん) 宮殿の守護神,技芸の守護神.


2005年04月07日(木) 細漣...そのシ−ンはやってくる

春ウララ.

暖かさを
通り越して
暑いとさえ感じる

春ウララ.

紋黄蝶が
舞っていた.

そりゃ

サナギから出たくもなる.


桜もウララ.

乱れ咲きを
感じさせる有り様だ.


今年
アゲハとは
どこで逢うのだろう...

一番最初.


歩くのが楽しくなる.
外をみるのが楽しくなる.
ベランダにでるのが楽しくなる.

紋黄蝶が
眼の前を横切るとき
意味深なことを問いかけていった...

春の香りとともに残していった...


その答えは
自分で決めるしかない.

蝶たちが舞いはじめたことで
風が起こり
うねりが生まれるだろう.

桜が散るときに
そのシ−ンはやってくる.


☆ 細漣(さいれん) こまかい波,さざ波.


2005年04月06日(水) 契闊...わからないの?

伯父が死んだ.

告別式で
従姉妹と久しぶりに顔をあわせた.

みんな
イイオンナになっていたり
おばさんになっていたり

それぞれ.

同じ歳のヤツは
相変らず気が利いて
どことなくやさしい.

それが
まだ健在していた.


再従兄弟もいたのだけれど
そいつと
小さいころ遊んだんだと
おふくろさんにいわれても思い出せない...

「わからないの?」

そういって
なぜか...怒られた.

妹にも...怪訝な顔をされた.


ほんとにそんなことあったん?


伯父に聞いてみようにも
そうはいかなかった.


☆ 契闊(けいかつ) 久しく会わないこと.



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