昨日・今日・明日
壱カ月|昨日|明日
2004年08月31日(火) |
他人の仕草を仔細に眺めてはならない |
台風一過。というわりには、息苦しいほどの蒸し暑さだ。気がつけば8月も終わりではないか。年々、月日が経っていく速さに加速度がついていくようだ。 今日は午後から夕方遅くまで出歩いて、特にサボりもせず、様々な人に会い、苦手なお愛想のひとつやふたつも言って、面倒くさい案件をいくつか片付けることができ、ここ近年にない獅子奮迅の働きぶりであった。やれば出来る時もあるのだ。出来ない時の方が多いけど。
会社へ帰る地下鉄の中で、いつもなら本でも読むところなのであるが、疲れていたためその気になれずボウとしていたら、向かいの席で漫画を読みながら鼻の穴をほじっているドラム缶みたいなサラリーマンが目に入った。エライことになってるなあ、と思いつつ、その鼻の中奥深くいれた小指はどうするわけ?、と観察していたところしばらくしてから、めでたく何がしかのものが収穫されたらしく満足気に小指を引き抜き、読んでいる漫画雑誌のページにブツをなすりつけた。アレー、と思ったのもつかの間、ドラム缶はまた小指を鼻の中へ。まだ取るつもりか。再びホジホジとやったのち指を引き抜き、今度はパクリとそれを食べた。食べんでもいいのになあ。それは美味しいのか?こんなケッタイなものを見せられるのだから(まあ自ら進んで見たのだが)、やっぱり電車の中では本を読んでおこう、と思った。
バカなことを書いている間に、貴重な昼休みが残り少なくなってしまった。「波」での車谷長吉の連載が面白かったことを書くつもりだったのだが、また今度書きます、覚えてたらね。
・購入物:なし
・朝食:バケット、チーズとパセリのオムレツ、珈琲、梨 昼食:お弁当(鮭、ミートボール、ラディッシュ、ミニトマト、ごはん 夕食:茄子と鰊の煮物、ズッキーニのペペロンチーノ、つるむらさきのおひたし、冬瓜のスープ、麦酒、ごはん
2004年08月30日(月) |
嵐の夜に窓を開けてはならない |
朝からグッタリするような蒸し暑さ。嵐の前という感じだ。 九州から出張してくるはずだった人が案の定来られなくなり、今日予定されていた会議が先送りされたことで昼からの予定がぽっかり空いて、のんびりした午後になった。ヒマになったのでNさんと雑談。彼女がこの週末に読んだという綿矢りさの小説の話をする。人を滅多に褒めない、褒めたら口が曲がるとでも思っているんじゃないかというくらい褒めないNさんが、なかなか上手に書いてあったでえ、と言っていたので、まあ良かったんじゃないでしょうか。でも、上手に書いてあったでえ、と褒められても、職業作家としてはどうなんだろうか。幼稚園児じゃないんだからさ。 昼間のうちは台風って感じでもなかったけれど夕方になると不穏な風がでてきて、空の色も何だかヘンだし、ちょっと早目に帰ることにした。夜になって突風に飛ばされた看板かなんかが頭にあたって成仏してしまうのもまだもうちょっと勿体ないような気もするし。買った本もろくに読んでもいないしな。 湿った空気が生温くて不快なり。ちらりと寄った旭屋や阪神百貨店にもちらほら程度にしかお客さんがいなかった。旭屋では「一冊の本」「月刊百科」「波」のそれぞれ最新号をもらう。 夜の10時頃からヒュルリヒュルリと風が吹き始め、家中がガタピシ揺れだしたので、何だか怖くて膝を抱えてジッとして、昨日買ったフィロ・マシャードを聴く。ちょっと黙ってられませんの、と言いたいくらいスキャットが凄まじい。特に13曲目。落ち着かないけどすごくカッコいい。スタジオライブの3曲目がもうタマラヌ。 アルバムを聴き終わる頃には雨風また一段と激しくなり、恐る恐る窓を開けたら目の前の電線がグネングネンとしなって揺れ、風で飛ばされた雨がビシャビシャと顔にかかった。 気持ち悪いのでシャワーを浴びなおし、「一冊の本」をチビチビ読んで、日記を書き、風の音を聞きながらいつの間にか寝てしまった。
・購入物:なし
・朝食:アンデルセンのハイジの白パン、ハムエッグ、珈琲 昼食:オニギリ(明太子、カツオ)、青ねぎの味噌汁 夕食:冬瓜としめじとベーコンの炒め煮、ラデッシュと明太子のマヨネーズサラダ、焼き茄子、冷奴、大根の浅漬け、麦酒、ごはん
2004年08月29日(日) |
夢と現実を混ぜ混ぜにしてはならない |
日曜日にしては早起きして、朝ご飯をたっぷりたべて腹ごしらえをしてから、九条のシネ・ヌーヴォで小津安二郎監督の「秋日和」を観た。今日は映画そのものよりも、その後の吉田喜重のトークショウが目当てだったのだが、いざ映画が始まるとチマチマと細かい部分をジッと観察して、充分すぎるくらい楽しんでしまった。 どんなセリフを喋っていても何か良からぬことを企んでいるようにしか見えない佐分利信や、どのシーンでも張り付いたみたいに同じ顔をしている佐田啓二も相当ヘンだけど、何と言っても一番ヘンなのが原節子だ。観れば観るほど不思議な役者だ、こんな人は今現在どこを探してもいない。この単純な喜劇映画の中で、原節子が演じる三輪秋子という女性だけが何を考えているのかイマイチわからない。靄につつまれたみたいにつかみ所がないのだ。特に長い爪に塗られたラメ入りのピンクのマニキュアが、何ともかんとも奇妙に映る。美しく賢明な未亡人を完璧に演じておきながら、あの派手派手しい爪をチラチラさせるのは、艶めかしいというか官能的というか。どこかで読んだところによると、マニキュアは原節子本人のアイディアだとか。どことなく怖いような感じのする女優さんだと思う。
映画の後は吉田喜重のお話。小津映画の「反復とズレ」について、『東京物語』での空気枕の視線について、松竹の新年会で小津と2時間ぶっつづけで酌み交わした酒の理由、それから『映画はドラマだ、アクシデントではない』という小津監督の最後の言葉が持つ意味について、など、本で読んで知っている話も多かったけれど、直接ご本人の口から聴くとまた格別の思いがある。それに吉田監督は亀仙人みたいなストイックさで、バシッととても格好よく、見ていて惚れ惚れした。私の中で吉田喜重はすっかり「小津について語る人」という位置づけになってしまっているが、晩秋の特集上映にはせっせと通って、一本でも多く監督の映画を観たいものだ。
すっかり満足して難波に出る。タワーで一枚CDを買って、古本屋さんをひやかし、晩ご飯を食べて帰ってきた。晩ご飯は映画の中にもセリフとしてでてきたビフカツを食べた。
夜はわりに早く寝たのだけれど朝4時くらいに目が覚めて、リビングに下りたついでにテレビをつけたらオリンピックの閉会式をやっていた。頑張れだの、感動だの、ありがとうだの、なんだかんだとクソやかましかったオリンピックもようやっと終わるかと思うと清々する感じもするが、やっぱりちょっと寂しいような。少しだけ観て再就寝。
・購入物:Filo Machado「Jazz de Senzala」(M1007) ・朝食:鯖の味噌煮、豆腐とお揚げの味噌汁、ほうれん草のゴマ和え、ごはん 昼食:映画の合間にドーナツと珈琲 夕食:外食、はり重で(ビフカツとサラダ、麦酒)
2004年08月28日(土) |
多くを語りすぎてはならない |
7時半起床。ボウと「ウィークエンドサンシャイン」を聴く、いつもと同じ土曜日。朝ごはんの後、洗濯、それからちょいちょいと掃除をしてから、近所にゴミ分別の時に貼るシールを配りに行った。それに回覧板もまわす。家に行く度になんだかんだと身の上話を語ってくれる、または語ろうとするおばあちゃんは、今日は留守であった。玄関の戸の前に、『医者のため昼までルス』と張り紙がしてあった。お店じゃあるまいしいちいち張り紙なんてしなくてもいいのに、と思うけれど、まあ何か事情があるのだろう。
私も午後からバスで外出。バスではニーナ・シモンを聴く。梅田に着いてお昼ごはんを食べてから、OS劇場でオリヴェイラ監督の「永遠の語らい」を観た。 この映画は、一体なにだろう?(ちょっと片岡義男風)良かったのか良くなかったのか、それともそんな言葉ではくくれないのか、何だかよくわからない、とにかく不思議な映画であった。 学者の母と7歳の娘が船で地中海をめぐる旅をする。母は歴史学者でインテリだから、行く先々で娘に地中海文明について語り教える。ギリシャ正教会がナンだとか、コンスタンチノープルがこうしたとか、ピラミッドでファラオがどうしたとか、まあそういったこと。映像はあくまで美しく凝っていて、優雅だ。しかし…、それ以上ではない。 寄港地で様々な客が乗ってくる。フランス人の女社長、ギリシャの歌手、イタリアの女優。それにアメリカ人の船長を交え、それぞれ自国の言葉を用いて4人は知的で豊かな会話をする。それは、いろいろあったけれど私達の人生は本当に素晴らしかったわねえ、というような、一歩間違えば嫌味な内容ではあるが、気が利いていて上品なのと、撮り方が巧妙なのとで全然飽きない。この辺りはさすがに巧い。 その後、船員が船に時限爆弾が仕掛けられているとかなんとか言い出して、急に映画が動き出す。全く突然に。何の伏線もなく。今まで穏やかで平和に続いてきた物語(のようなもの)は、突然ふってわいたような暴力で無慙に断ち切られて終わる。ラストのジョン・マルコビッチの顔と同様、私も唖然としてしまう。そして、この映画は一体なにだろう?(片岡義男風。しつこいけど)、と思ってしまうのだ。これまでの歴史というものは常にこのような何か大きいものに断ち切られてきたのだ、とでも言いたいのだろうか。わからーん。
くどくど映画のことを考えながら、ジュンク堂に寄って帰る。夜はTが図書館から借りてきたパオロ・マッツアリーノ「反社会学講座」をところどころ笑い、ところどころ感心し、ところどころ首をかしげながら一気に読了してしまい、女子バスケットボールの決勝を観てから、午前1時頃就寝。
・購入物:「ユリイカ」9月号(青土社)
・朝食:トースト、蜂蜜、目玉焼き、バナナ、珈琲 昼食:外食、通りがかりのお店で(木の葉丼) 夕食:冷やしとろろオクラうどん、カボチャの煮物、シュウマイ、麦酒
2004年08月27日(金) |
むやみやたらと注文してはならない |
午前6時半起床。今朝の音楽は先日買ったボビー・コールの「a point of view」。このアルバムは風通しが良くてカッコいいんだけれども、ボーナストラックに入った途端、様子が変わって急に暑苦しくなるのが難点と言えば難点。 このところ現実から目を背けるように暮らしてきたが、もうそろそろ遊んでもいられず今日からぼちぼち仕事を片付けていくことにする。ダラダラと長時間働くのは大嫌いなんだけど、サボっていたつけなので仕方がない。ジリジリと20時半頃まで残業していたら、何人かに、どうしたの、何かあったの?、と声をかけられた。中には、家に帰れないわけでもあるの?と、心配そうに顔を覗き込む人までいて、日が沈んでも私が会社にいるのがみんなよっぽど珍しいのだろう。
終業後はホテホテと自転車をころがして、まっすぐ帰途につく。帰ったらポストに注文した覚えもないアマゾンからの荷物が突っ込んであって、むむ何じゃこら!、と慌てて開けてみたところ、「人情紙風船」のDVDであった。ずっと以前に予約しておいたのをすっかり忘れていた。コワイワー。
夕食後、巨峰をつまみながら新三が白子屋の娘を誘拐してくるところまで観る。これからいよいよ面白くなるというところで何故観るのを止めたのかというと、ただ単にここで寝てしまったから。目覚めたら、紙風船がふわふわと舞っている寂しくてやりきれないラストシーンが映っていた。 飄々として味のある中村翫右衛門が巧い。それから若き日の加東大介が出演していることに、今日初めて気がついた。 テレビを消して、就寝。電気を消したら、どこかで秋の虫が鳴いているのが聞こえた。
・購入物:山中貞雄「人情紙風船」(東宝株式会社)
・朝食:トースト、ベーコンオムレツ、珈琲、ヨーグルト 昼食:お弁当(ウィンナー、パセリ入りの卵焼き、ミニトマト、マカロニサラダ、ごはん) 夕食:冬瓜と鶏肉の煮物、カボチャの味噌汁、焼き茄子(生姜醤油をかけて)、冷奴、麦酒、ごはん
午前5時半起床。よく晴れて爽やかな朝。それにずいぶん涼しい。早起き出来たので、張り切ってちょっと凝ったお弁当を作る。朝っぱらから唐揚げなんて揚げちゃったりして。シャワーを浴びたついでにお風呂掃除もしたし、実り多き朝であった。
帰りにちょっと気が向いて、天神橋5丁目のほうへ回ってみる。夏休みに行ってみてお休みだった青空書房へ行く。もう閉店してるかな、と思ったけれど運良くまだ開いていた。 店先で均一本を見ていたらオジサンが「こっちに面白い本があるよ」と声をかけてくれたので店の奥に入ってみたら、まあホントに面白い本が数十冊あった。少し前まではこの3倍あったのだが「すぐに売れてしもうた」そうで、「本好きにはタマランもんばっかりやからなあ」とオジサン。「ワシ、最近すっかり有名になったから、いろんな人が良い本を持ってきてくれるねん」と言って、「昨日もヤマモトイチリキという作家が家族で来たよ」とか「もう今は後藤明生なんか誰も読まんようになったなあ」(そんなことはない、少なくとも私は読む)とか、「ワシはもう本に囲まれて死ねたら本望やねん」(これは多分口癖だと思う。店に来る度何回か聞いた)とか、私が本を見ている間ずっとなんだかんだと喋っておられた。 私が買った本はほとんど200円までで、10冊合わせても1600円ほどだった。中でも、めちゃめちゃキレイな尾崎一雄の「あの日この日」が4冊揃いで600円だったのには、吃驚仰天した。アレはお得だなあ。 今日から大人しく暮らすつもりが、また沢山本を買ってしまった。ダブりもあるけど、みんな欲しくて選んだ本なのでいいのです。一番の収穫は50円の「デカローグ」かな。これで「デカローグ」のDVDが手に入れば完璧なんだけど。
本屋に寄り道していたせいで、家まであと少しのところで夕立にあってしまった。洗濯物も少しぬれた。 夜、買ってきた本を並べて喜んでいたら、友人より電話があり、30分ほど話した。携帯にメールを送ったのに返事がないと言って、少々怒られる。面倒だったから放っておいたんだった。それくらいのことでカリカリと怒らんでもいいのに、コワイワー。後は、彼氏がどうとかこうとか退屈な話で、欠伸をかみ殺すのに苦労した。 寝るまでに「デカローグ」を3篇ほど読む。
・購入物:(以下、すべて古書) 吉田知子「無明長夜」(新潮文庫) 小島信夫「憂い顔の騎士たち」(旺文社文庫) 長谷川四郎「シベリヤ物語」(旺文社文庫) 後藤明生「関係」(旺文社文庫)「ある戦いの記録」(集英社文庫) 小林勇「彼岸花」(講談社文芸文庫) 有本芳水「笛鳴りやまず」(中公文庫) 福永武彦「内的獨白」(河出文庫) 色川武大「恐婚」(文春文庫) K・キェシロフスキ、K・ピェシェヴィチ「デカローグ」(ハヤカワ文庫)
・朝食:胚芽ロールパンに切り込みをいれて、塩をふってしんなりさせた千切りキャベツと一昨日作ったカレーと茹でたソーセージ、または、焼いた卵をパンにサンドして食べる。それにトマト、珈琲、ヨーグルト。 昼食:お弁当(鶏唐揚げ、ピーマンのキンピラ、卵焼き、ミニトマト、ごはん、梅干) 夕食:ゴーヤチャンプルー、オクラ冷奴、ジャガイモのしょう油煮、麦酒、ごはん
午後から外出していて、新大阪近辺で解放されたので、ちょっと遠いけれど江坂方面まで行ってみようと思い、夕暮れの道をテクテク歩いた。さすがに天牛書店まで歩く元気はなく、東急ハンズで歯ブラシと歯磨き粉を、ハンズ近くのビルでNaturalLaundryのヘンリーネックカットソーと辛子色のベストを買った。久しぶりに洋服を買うと夢が広がるようでワクワクする。早く秋にならないかなあ、とこの頃強く思う。おしゃれは秋冬のほうが断然楽しい。
ごはんを食べてから梅田に戻って、まるで火がついたようにお買物を続ける。無印良品で靴下を六足選んだ後、タワーへ行ってCDを物色。お目当てだったクレベール・ジョルジのCDが見当たらなかったので、どこかのラジオ番組で聴いてチェックしていたボビー・コールと突如欲しくなったローウェル・ジョージの『特別料理』を買った。今日のタワーはお客さんでいっぱいだった。何でだ?、給料日だからかな。
それからそれから、最後にブックファーストに行って、今日も絵本を一冊買ってしまった。子どもの頃から大好きだった『ぶたぶたくんのおかいもの』。実家の押入れを探索すればきっとぼろぼろのこの絵本が出てくるはずなんだけれど、立ち読みしていたら急に今すぐ手元に置いておきたくなった。ぶたぶたくんがお母さんに頼まれて買物に出る。パン屋さんでパン買って、八百屋さんでトマトとジャガイモ買って、お菓子屋さんでキャラメル買って…。この幸せなお買物の流れと、チャラ描きのようなヘタウマながら温もりのある絵がもうたまらん。買い物篭を下げたぶたぶたくんは抱きしめたくなるほどカワイイし。 今日の「わたしのおかいもの」も非常に充実していたと思う。でも明日からはしばらく大人しくしていよう。
帰ってからは夜遅くまで、ここ数日で購入した本やらCDを傍らに積み上げて、ブドウを食べながら読んだり聴いたりした。夜になると簾ごしに部屋に入ってくる風がそよそよ気持ちよく、何だかしみじみと幸せを感じた。
・購入物:土方久功「ぶたぶたくんのおかいもの」(福音館書店) Bobby Cole「a point of view」(P-VINE) Lowell George「thanks i'll eat it here」(WarnerBros)
・朝食:ポークカレーライス(昨日の残り)、梨、ヨーグルト 昼食:たまごサンドイッチ、珈琲 夕食:外食、江坂のうどん屋さん(わかめうどんと鶏そぼろごはん)
2004年08月24日(火) |
そして、足して比べるな |
終日外回り。太陽が射していても、日陰にいれば涼しい風が吹いてくる。空には鰯雲。 このところ自分の中で絵本熱が高まってきて、今日も何か一冊買ってみようと、帰りに旭屋へ行った。いろいろ迷った末、「時計じかけのオレンジ」のアントニー・バージェスが書いた『アイスクリームの国』という絵本を買った。でも話のほうは、うーん、あんまり好きなタイプではないのだけれど、絵のポップさに惹かれた。とぼけた感じが良い。それから一階で講談社の『本』をもらう。『本』で楽しみなのは森達也と町田康の連載と、9月号から始まった藤原帰一の「アンチヒーローのアメリカ、アンチヒーローの世界」。 バスで帰宅。カレーを作りながらオリンピックの野球をなんとなく観る。豪州との準決勝。 松坂は素晴らしいピッチングで、さすがプロという感じであったが、こう打てなくてはどうしようもない。ウィリアムスに抑えられてるようではなあ。長嶋監督に金メダルを持って帰りたい!、とか何とか、気持ちはワカランでもないけれども、まあとにかく、ベンチに長嶋のユニフォームを吊るしたり、サイン入りの国旗を掲げたり、やることがいちいち幼稚だ。
夜は、買ってきた絵本を読んだり、マックロスキーの「すばらしいとき」を出してきて眺めたり。でも連日の睡眠不足がたたってか、すぐ寝てしまった。 ・購入物:アントニー・パージェス・作、ファルビオ・テスター・絵、長田弘・訳「アイスクリームの国」(みすず書房)
・朝食:卵焼き、瓜と鶏団子のあんかけ(昨日の残り)、梅干、きゅうりの漬物、ごはん 昼食:バジルソーセージサンド、珈琲 夕食:ポークカレー(焼き茄子のせ)、しめじと卵のスープ、トマトサラダ、麦酒、梨
午前7時起床。昨夜はマラソン終了とともに寝てしまい、結局本当は一番楽しみにしていた男子100m決勝のレースを見ることが出来ず残念であった。 ポツポツ雨が降り始めたので、今日は自転車を諦める。地下鉄の中では野上弥生子の「私の中国旅行」(中公新書)を読んでいたが、いつの間にかトロトロ居眠りをして、2回も本を足元に落としてしまい、そのうちの1回は前に立っていた大学生風ニイチャンのでっかい足で踏んづけられた。酷い話だ。
午前中は会議。ちょっとしたことからAさんとUさんの間で口論になって、Uさんがヒステリーみたいなのを起こし、机にファイル類をバーンとぶつけてオイオイと泣き出した、というようなちと面白いことがあった。Uさんは前から少し感情的なところがあったけれど、会社で、しかも会議中に泣くなんて、私はちょっと考えられないんだけどなあ。しかし、表面は複雑そうに見える言い争いでも、煎じ詰めればなんだか他愛のない意地の張り合いに過ぎないような気がする。取り乱して泣くほどのことかバカバカしい、と思うんだけれど、それだけ私には仕事への拘りとか執念とかプライドがないということか、と反省して落ち込んでしまったりして。
帰る頃には雨がザアザア降りになっていた。バス停に行くついでにふらふらと旭屋へ入って、気になっていた本を購入。それにしても池内紀はカフカについてまあよくこれだけ書くことがあるなあ、と感心する。雑誌を数冊立ち読みしてからバスにて帰宅。宅配されてきた野菜の入った発泡スチロールが、玄関先で雨にぬれていた。
寝る前には「カフカ寓話集」(岩波文庫)を何篇か読む。 ・購入物:ノーマン・マルコム「ウィトゲンシュタイン」(平凡社ライブラリー) 池内紀「となりのカフカ」(光文社新書)
・朝食:くるみパン、蜂蜜、オムレツ、珈琲、梨 昼食:お弁当(梅干オニギリ、鮭、春雨サラダ、モロッコいんげんのゴマ和え) 夕食:茄子とピーマンのピリ辛炒め、瓜と鶏団子のあんかけ、トマトサラダ、きゅうりの漬物、ごはん、麦酒
2004年08月22日(日) |
夏が終息していくような |
朝方に雨が降ったものの、日中は何とか晴れ。特に予定のない一日、終日家とその周辺で過ごす。
本日主に行ったこと。 午前中は部屋、トイレ、お風呂の掃除、古紙をまとめて回収に出し、換気扇を洗って、布巾とまな板を殺菌し、アイロンかけ、それから日記を書いた。BGMは昨日MDにおとしておいた「ウィークエンドサンシャイン」のジェリー・ガルシア特集。数年前にジェリー・ガルシアの書いた『自分の生き方をさがしている人のために』という何ともコメントのしようのないタイトルの本を読んだことがあるわりには、この人の音楽をちゃんと聴いたことがなかったのであるが、あらためて耳にするとやっぱりかなり良かったなあ。家に数枚あるグレイトフル・デッドのアルバムもちゃんと聴いてみよう。 午後は、チラチラと高校野球を観つつ、手に取った本やチラシを何となく読みながら、本とほうぼうでもらってきた紙類の整理。野球は流れがあっちへいったりこっちへいったり、目まぐるしい展開の面白いゲームだった。 その後、今日の毎日新聞でジョン・バーニンガムの絵本が復刊されていることを知り、すぐさま近所の本屋に自転車を乗りつけ、無事手に入れてきた。この絵本にはちょっと誤訳があるというか、絵と文章の辻褄があわないところがあって、今回の復刊でもそこは直されていなかった。うーん、この訳では最後のページの説明がつかないんだけどなあ。まあそれは差し引いても、バーニンガムの絵がふんわりと優しい、愛らしく切ない絵本。夏の終わりに読むのにぴったりだ。 夜は女子マラソンを観る。野口のレース運びは素晴らしかったけれど、小料理屋の女将みたいなヌデレバも、私は好きなんだけどな。それにしても、素人目から見てもとても苛酷なレースであった。午前3時就寝。
・購入物:ジョン・バーニンガム「なみにきをつけて、シャーリー」(ほるぷ出版)
・朝食:バケット、瓜とニンジンのスープ、珈琲 昼食:ニラの塩やきそば、麦酒 夕食:和風ポークステーキ(刻んだシソと大根おろしをかけてぽん酢で食べます)、トマトとレタスのサラダ、オクラ冷奴、瓜の味噌汁、ごはん、麦酒
2004年08月21日(土) |
それとこれは矛盾する一対のもの |
午後から「絵本の会」に出かける。今日は「ボクなあ、ボクなあ、幼稚園からなあ、英語習っててなあ、クラスでなあ、一番ペラペラ喋れるねん、先生になあ、いつもなあ、褒められててなあ、ほんでなあ、これからなあ、バイオリンの教室に行ってなあ、それからなあ、ピアノもなあ」などどいちいち言うことがクソ生意気でペラペラペラペラとよく口のまわるガキンチョが約1名おり、コイツの相手をするのにほとほと疲れた。 終了後は、Iさんと北極星で遅いランチをとる。Iさんはしきりに、アナタは色々と忙しいのにいつもありがとう、と私に言ってくれるのだけど、私は特に忙しくなんかないし、やりたくてやっているのだから、ありがとう、などと言われるのはくすぐったいような気になる。それからIさんはよく、子ども達のために、子どもの心を育むために、なんて言うけれど、「○○のために××する」という言葉は私の辞書にはないので、これにも違和感を覚える。Iさんのことは好きだけれど、この辺りの話になると少ししんどくなる。
Iさんと別れた後、梅田まで出て旭屋で本を購入の後、「本の話」と「青春と読書」をもらって、近くの喫茶店でひと休みした。 やっぱり「本の話」は南伸坊の連載以外はあんまり面白くないんだなあ。私は未だに上坂冬子と佐藤愛子の区別がつかない。同一人物なんじゃないかと思ってしまう。まあどっちもどうでもいいんだけれど。「青春と読書」での常磐新平の連載『永井龍男を読む』が今月号で終了してしまったのが寂しい。
日暮れ頃に帰宅。日の暮れるのも早くなってきた。日中も暑いことは暑いけれどひと頃の強烈さはなくなっていて、空も何だか秋の気配という感じ。 夜はロジェ・グルニエ「チェーホフの感じ」を読みながら寝てしまう。
・購入物:加太こうじ「紙芝居昭和史」(岩波現代文庫) 高橋悠治「高橋悠治/コレクション1970年代」(平凡社ライブラリー)
・朝食:豚汁、大根の漬物、海苔、梅干し、ごはん 昼食:外食、北極星で(プチオムライスセット) 夕食:茄子とベーコンのガーリックパスタ、トマトとモロッコいんげんのサラダ、瓜と人参のスープ、バケット、麦酒
午前7時起床。喉はまだまだ痛いけれど37度あたりまで熱が下がったので回復傾向にあるとみて、今日はちゃんと働きに行く。お昼ごはんを食べた後、会社にあった風邪薬を飲んでおく。今頃もう遅いけれどまあとりあえず、ということで。ひと夏のうちに二度も風邪をひいてしまうなんて、わたくしとしたことが迂闊であった。
午後からはかなり元気が出てきて、帰りには辺りをうろうろして買い物をして帰る気持ちになるくらいまでになった。 タワーに寄って、こないだの「ウィークエンドサンシャイン」でケペル木村が薦めていたものの中から、メチャメチャカッコ良かったのでチェックしていたアコーディオンのアルバムを1枚買う。それから「ミュゼ」改め「イントキシケイト」をもらった。どこがどう変わったのか、まだちゃんと読んでいないのでわからない。 その後、恒例の商店街めぐりを行い、古本屋さんで川本三郎の文庫を一冊拾って、八百屋でピーマンと人参、ほうれん草を買う。
夜、テレビで柔道の準決勝と決勝を観てから、Tとバックギャモンをやる。これで少々儲けてこづかいを増やそうとたくらんでいたのだが、ことごとく運に見放されあえなく惨敗し、随分巻き上げられてしまった。うーん、こんなはずではなかったのだがなあ。失意のまま本を読んで眠る。
夏休みからここ数日で読んだもの。女性作家強化週間ということで、石牟礼道子「妣たちの国」と岩波文庫の「野上弥生子短編集」を続けて読んだ。どちらも実にしみじみと良かった。モームの「お菓子と麦酒」はまだ途中。それからアーディゾーニ「時計つくりのジョニー」。これは絵本。久しぶりに大好きなアーディゾーニの絵を隅から隅までゆっくり眺めて、それはそれは幸せな時間だった。
・購入物:Dominguinhos,Sivuca&Oswaldinho「Cada Um Belisca Um Pouco」(Biscoito Fino BF583) 川本三郎「マイバックページ」(河出文庫)古書
・朝食:お粥、梅干し、小松菜のおひたし、麦茶 昼食:ミックスサンドイッチ、ミルクティ 夕食:ピーマンと青梗菜の炒め物、豚汁、ほうれん草のおひたし、大根の浅漬け、ごはん、麦酒
朝起きたら身体全体が最高潮にダルく、関節が痛く、喉にも違和感があって、熱を測ったら38度くらいに上がっていて、まあひどい状態になっていた。喉は痛いというよりも痒くて、試験管を洗う時に使うような、先にモシャモシャのついた長いタワシみたいなやつで、喉の奥の奥までキレイに洗いたい!、という感じであった。 とりあえず会社には行って、いくつかの電話と郵便物を片付けて、メールの返事だけ書いて、お昼すぎに早退することにした。 Mさんに資料を届けて帰ろうと淀屋橋方面にまわったら、ちょうど橋の上でそのMさんに会った。頭がフラフラして何も話す言葉が見つからず、台風接近による強風で、「ヤワラ」の出来損ないみたいなMさんのオカッパ頭が風にあおられてぐちゃぐちゃになっているのをボウと眺める。とにかくMさんの会社まで行かなくてすんだのはラッキーだった。
帰宅後はアイスノンを枕にヒエピタをオデコに貼って、薬も飲まずに昏々と眠る。いろいろと夢も見た。どれも奇妙に現実的な夢で、知人友人がいろいろと登場した。途中7時くらいに目覚めて、のろのろとご飯を作って食べ、歯を磨いて再び夜中の3時頃までさらに寝る。ここで目覚めた時は、もうずいぶん身体が軽くなっていた。 お風呂に入ってからテレビの前に座って、体操女子個人総合をジッと見た。私はロシアのホルキナが好きだ。段違い平行棒と床がとりわけ素晴らしかった。美しくて憂いがあって惚れ惚れする。この人の演技には知性があふれていると思う。 体操が終わった朝方から、もう一度眠る。今日はとうとう本というものを手にも取らなかったし、開けもしなかった。こんな日もあるんだなあ。朝になったら治っているといいのだが。 ・購入物:なし
・朝食:バケット、蜂蜜、珈琲、桃 昼食:ぬき 夕食:お粥、梅干、小松菜のおひたし、大根とコンニャクの煮物、オクラ
2004年08月18日(水) |
世界はクルクルとまわる |
午前7時起床。全然寝足りなくて体がダルい。外の強い日差しを見たら自転車をこぐ元気がなくなり、地下鉄で出勤する。 起きたのが遅かったのと、シャツにアイロンを当てたりして妙に支度に時間がかかったのとでバタバタして、カバンに本を入れてくるのを忘れた。仕方がないので、隣に座った女の人が読んでいる本をさりげなく覗き込む。多分、税理士か会計士かなんかそんなような資格を目指すための参考書みたいなやつで、面白くもなんともなかった。諦めて目的地に着くまでガクッと首を垂れて眠る。少しでも眠ると、ずいぶん気分がすっきりした、ように思った、この時は。
一日中会社にて働く。考えねばならないこと多々ありで、机にじっとりはりついて悶々とする。お八つにヌルイわらび餅をもらう。給湯室の冷蔵庫がねえ、壊れてるみたいなんですよ、私が入れといたアイスクリームもべちゃべちゃになってたよ、とIちゃん。冷蔵しない冷蔵庫は戸棚と同じだ。ブヨブヨして生温かいわらび餅を食べたせいか、少々気持ち悪くなり定時で帰ることにする。
今日はTの誕生日なので、近所のお肉屋さんに寄ってお店の人がお薦めの三田牛を買って帰り、ジュウジュウと焼いて食べた。美味しかったのにどうも食欲の出ない私は半分だけに止めておく。プレゼントとしては、古着のTシャツとブルースハープとチャチなバックギャモンと小さい地球儀を渡す。Tが言うには、今日はスマップの中居の誕生日でもあり(この人とは生まれた年も同じだそうだ)、豊臣秀吉が亡くなった日でもあるらしい。そんなことをどこで調べてくるのか、どうでもいいことだけはよく知っている人だ。 夜中、文机の上に地球儀を置いて眺めていたらあっという間に1時間くらい経っていた。実のところ、地球儀は私が欲しかったのかもしれない。
・購入物:なし
・朝食:トースト、蜂蜜、チンゲンサイのスープ、梨、珈琲 昼食:お弁当(梅と昆布のオニギリ、ほうれん草のおひたし、茄子のゴマ和え、卵焼き、ウィンナー) 夕食:ビーフステーキ、温野菜のサラダ(キャベツ・ブロッコリー・人参・ジャガイモ)、コーンスープ、ごはん、麦酒、デザートに巨峰と桃
休み明け早々、つまらない雑務に追われてヘトヘトの一日。今日はとにかくものすごい蒸し暑さで、お湯のような雨の降る中を2時間ほど歩き回るはめに陥ったり、仕事の手を休めてNさんと『箪笥』の解釈をめぐって論議していたら上司に怒られたり、なんか散々であった。 Nさんは、『箪笥』は近親相姦がテーマやで!、というんだけれどもそうかなあ。「性」はキーポイントであるとは思うけれど。まあ、なんだかんだ文句を言ってもこの映画についてはもう十分楽しんだ、という気はする。
疲れたのでバスに乗って早々に帰宅。車内では「草思」を読みながらMDでマリア・ヒタを聴いていた。帰ってご飯を作りながら卓球を見る。愛ちゃんカワイイなあ。 雨は朝から降ったり止んだりしていたが、夜には雷がバシバシ鳴り響いてたいへん強い雨になり、晩ご飯を作っている時とその後新聞を読んでいる時に2度、少しの間だけ停電した。停電なんて久しぶりだ。2度目の時はなかなか電気がつかなくて、このまま暗闇が続いたら蝋燭を出してこなくては、蝋燭の灯りで新聞を読むというのも、なんかキュリー夫人みたいでいいかも、と思ったりした。
2時半頃まで水泳と野球を交互に見る。オリンピックについてはいろいろと言いたいことがあるけれど、競技自体は面白いからやっぱり観てしまう。200m自由形で金メダルをとったルーマニアの選手がとてもキレイな人で、普段はほとんど見ない表彰式まできっちり観てしまった。私はオヤジか。
・購入物:なし
・朝食:おろしそば、カボチャの煮付け、梨、麦茶 昼食:チーズとハムのサンドイッチ、珈琲 夕食:茄子とズッキーニのトマトソーススパゲティ、チンゲンサイのスープ、ベビーリーフのサラダ、麦酒
昨夜はお酒を飲んで帰ってきて、そのままリビングにバタンと倒れてグウと寝てしまう。気がついたのは夜中の2時か2時半頃で、テレビをつけたらちょうど水泳男子100メートル平泳ぎが行われるところだったのでそのまま観た。実況がギャアギャアとうるさい。 そのままお風呂にザブンと入ったら目が覚めたような気がしたのでパソコンに向かって日記を書き始めたのだけれど、モニターを見ていたら胃のあたりがムカムカして気分が悪くなってきて、もっと書きたいことがあったのに途中で諦め、布団をかぶって寝てしまう。 朝9時頃目覚めた時は、もうすっかり回復していた。朝食には、昨日母にもらった桃をむいて食べた。桃を食べるのは今年はじめて。 それから洗濯や掃除、部屋の整理整頓などチョイチョイとやり、掃除をしているうちに急に思い立って、午後からエイッと自転車にまたがって九条まで行き、勇気をふるって、意を決して、『東京物語』を観た。 『東京物語』は好きな映画か、というとそうでもないような気がするんだけれども、一分の隙もなく完璧に出来ている作品だということはわかる。初めて観た時はあまりにも必然的に哀しい展開に、もうどうしていいかわからないくらいに気持ちが混乱したが、今日はそういうことはなかった。耐性ができたのだろうか。でも、いずれは誰もが独りになってしまうのだ、という思いにかられて、やっぱり私は泣いてしまったのだけれど。 『晩春』『麦秋』と原節子の「紀子」を観てきて、この『東京物語』の原節子が最も美しいのではないかと私は思う。神々しいまでのオーラが出ている。ここが原節子の頂点だ、って全作品を観たわけでもないのに断言したりして。 私の隣席には、親子と思われる二人連れが座っていた。息子は50歳前後かと思われる眼鏡をかけて真面目そうな中年男性で、細身で少し腰の曲がった母親に、上映前にトイレに行かなくてもいいか、とか、喉が乾かないか、とか、今度は『秋日和』を観にこようか、とか、しきりに声をかけて気遣っていた。映画が東山千栄子扮するお母さんのお葬式辺りに差し掛かった時、隣の中年男性は眼鏡をずり上げ、目を覆って泣いていた。この人は映画を見終わった後、よりいっそう親孝行しようと自分に誓うのだろうか、と思った。
夏休みも本日で終了。観た映画はどれも良かったし、お酒も飲めたし、古本を買えたし、天気もまずまずだったし、良い休日だったかも。でも出歩いてばかりで全集はほとんど読めませんでした、やっぱりね。
・購入物:なし
・朝食:コッペパン、ピーマンとソーセージのソテー、桃、巨峰、珈琲 昼食:バナナ、ヨーグルト、珈琲 夕食:大根と豚肉の味噌辛炒め、カボチャの煮付け、オクラ冷奴、モロヘイヤのおひたし、ごはん
朝方、ちょっとビックリするくらい強い雨が降って、雨音に起こされてウトウトして、次に目覚めたのは9時ころで、もう雨は上がっていて随分涼しくなっていた。
京都へ行く。出町柳で降りて下鴨神社へ。糺の森で行われている「納涼古本祭り」を約2時間ほど散策する。今朝降った雨のせいなのか、もう夏がそろそろ終盤に近づいているからなのか、今日の京都はとても風が心地よくて、糺の森を流れている小川の水も冷たくて、ザワザワと揺れる緑が天然の冷房、という感じで、古本市をめぐるより木陰に座って本を読んでいる時間の方が楽しかったりした。 古本探しに気が入っていなかったためか、今日の収穫は少なし。2冊100円で買った文庫と、5冊で500円コーナーから漁った「VIKING」。創刊号の復刊本を含む5冊を、ワゴンの横に縮こまって散々迷って選んだ。 快適な下鴨神社をあとにして、テコテコ歩いて一乗寺まで。珍遊で中華そばを食べて、恵文社へ行った。ミニコミや写真集、ロシアの絵本を眺めたり、月の輪書林の目録を目をランランとさせて立ち読みしたりして楽しむ。マメに書店に行ってマメに本をチェックしてるつもりでいるけれど、恵文社では何かしら新たな発見があって、いつも驚かされる。久坂葉子の本を一冊お買い上げ。今日は「VIKING」つながりな日であった。地味な日だなあ。
高野の交差点に出る手前のアイスクリーム屋さんでソフトクリームを買って近くの公園で食べる。一乗寺に来ると、珍遊ー恵文社ー萩書房ーアイスクリーム屋ーソフトクリームを食べながら公園で買った本をひもとく、というコースがもうお決まりで、ほとんどこれに外れたことがない。今日は古本市のため萩書房が休みであったことが残念であった。 バスで京都駅まで出て、久しぶりにアバンティブックセンターに行ってみた。私が中学、高校、予備校生時代に最もよく利用した本屋がココで、我が青春の本屋さんと言えばアバンティブックセンターなのだった。本当にいろんな本を買ったなあ。ココで買った本は村上春樹からドストエフスキーまで、積ん読せずに片っ端から全部読んだ。多分飢えていたのだろう。あの頃の読書は読んださきから血となり肉となったという気がする。今はというと…、ちょっと自信がない。 懐かしのお店で「草思」の9月号をもらう。
その後、私の両親と待ち合わせしてTと4人でホテルのビアガーデンに行き、3時間ほど飲んだり食べたり喋ったり、大騒ぎをした。麦酒はジョッキに3杯くらいに止めたが、サービスでいただいた冷酒をしこたま飲んで、かなり酔っぱらってしまった。お酒の中ではやっぱり日本酒が一番美味しいと思うけれど、飲みすぎるとかなりこたえますな。
・購入物:「VIKING」創刊号(復刻版)・400号・405号・442号・449号 ソルジェニーツィン「ガン病棟 上・下」(新潮文庫) いずれも古書 久坂葉子「ドミノのお告げ」(勉誠出版)
・朝食:電車の中で(カンパチ巻、うなキュウ巻、ねぎとろ巻) 昼食:外食、珍遊にて(中華そば) 夕食:ビアガーデンで(麦酒、冷酒、枝豆、サラダ、サイコロステーキ、エビ、イカ、サーモン、ほかなんかいろいろ)
午前9時半ころに起床。今日は西高の試合を観に甲子園に行こうと漠然と計画していたのだが、第二試合と知って断念する。この時間に起きていては間に合わないし、何より第二試合は暑すぎる。 試合は掃除やアイロンかけや洗濯などをしながら何となくテレビで観た。引き締まったいい試合で、やはり観にいくべきであったと後悔した。終了後、出かける。
バスで天六まで行って、大阪くらしの今昔館で「おもろうて怪態(けったい)なこと」という企画展を観た。田河水泡が集めた戯画、滑稽画を展示したもの。歌川國芳の「人集まって人となる」シリーズはたいへんすごい。褌をしめた裸の人間が寄り集まって人の姿を作っているというやつ。江戸時代にもおかしなことを考える、愛すべき阿呆な人がいたのだなあ。 小規模な展示ながらけっこう多くの人が観に来ていた。65歳以上は無料で入れるとかで、おじいちゃん、おばあちゃん率高し。絵を見ながらメモしたり、資料を丹念に読んだり、ご老人というのは勉強熱心だ。
絵を見たあとは日傘をクルクルまわしながらぶらぶら梅田まで歩く。天五の古本屋さんで文庫を一冊購入。中公文庫の後藤明生は何となく探していたのでちょっと嬉しい。 三番街で腹ごしらえしてから梅田ブルクに「箪笥」を観に行った。ホラー映画など滅多に観ないのだけれど、せっかくチケットまでもらったし、イマイチ話のわけがわからなかったというNさんに、謎解きをする約束をしているので。偶然にも昨日に引き続いて韓国映画を観ることになった。 映画の前にまたブルクのチケット売場のネエちゃんと一悶着。どこの席がよろしいですか、と聞くから、上手の席で、と応えたら、申し訳ありませんお一人様ならココとココとココしか空いてないんです、などと間抜けなことを言うから腹が立った。それならどこの席がいいのか聞くな!人を期待させる思わせぶりな女だ。
「ファイトクラブ」とか「シックスセンス」系列のオチで、もうこういうのは使い古されたというか、ああまたこれか、と途中で気づいてしまった時点で興味半減。謎解き、と言ったところで、実にわかりやすいストレートな映画で、特に後半は説明しすぎて「それ以外の解釈」を観客に許さないような不自由な作りになってしまっている。だからストーリー的には何にも面白くない。ホラーの手法についてはよくわからないけれど、大きい音で驚かす、というのはちょっと卑怯な手口なんじゃないかと思う。 「子猫をお願い」が家や家族というものから離れて外に向かっていく話であったのに対して、「箪笥」は家や家族にどっぷり浸かって囚われている話で、この二日で対照的な映画を観た。私の好みは圧倒的に前者。 まわりはカップルか女の子グループばかりで、一人で観ているのは私くらいなもの。上映中も、キャー、だの、イヤーン、だの、怖いー、だのと黄色い声が飛び交っていた。キャー怖いー、と言うてる本人の顔が一番怖いことに誰も気づいていないことが私には一番怖い。
22時頃帰宅。夜はオリンピックを少々みて、モームの「お菓子と麦酒」をこれまた少々読んで寝る。
・購入物:後藤明生「笑坂」(中公文庫) 古書
・朝食:そうめん、たまごスープ、バナナ、ヨーグルト 昼食:ぬき 夕食:外食、司にて定食(チキンのチーズ巻きかつ、キャベツ、卵豆腐、ゴボウサラダ、味噌汁、ごはん)
2004年08月13日(金) |
ブルーにこんがらがって |
今日から4日間、一応、夏休み、ということになっている。 午前6時起床。朝ご飯の支度と洗濯、Tには夏休みなんかないのでお弁当も作る。休みといっても本を読んだり映画を観たり、まあ相変わらずの一人遊びで、普段と何ら違わぬ生活である。
お昼前に家を出て、地下鉄の一日乗車券を使って天王寺まで。銀行で振り込み、コクランエネでパンを買って動物園前へ行き、シネフェスタで「子猫をお願い」を観た。 「子猫をお願い」は良い映画だった。韓国映画はほとんど観たことがなくて、実はなんとなく敬遠気味だったのだが、まあ素直に感動した。ただ単に、かつては確かにあったものが今はもうない、というテーマに私が弱いだけかもしれないけれど。 女の子の仲良し5人組が主役で、彼女たちは映画の中で実によく歩かされる。寒風の中を海沿いを工業地帯をバラック街を、突き進んだり、彷徨ったり、考えながら、怒りながら、物思いにふけりながら、彼女たちは歩くのだが、そのシーンはどれもとてもいい。 それから、家業のサウナを手伝いながらボランティアもしていて、離れていく友情をなんとかつなぎとめようと奔走するテヒという女の子がたいそう魅力的に撮れていて、好感がもてる。この子がヘッドライトをつけて本を読んでいるシーンや、父親に民族衣装を着て店に出るように言われて、「わたし、自分の趣味じゃないものは着たくないのよね」とそれをあっさりきっぱり断るシーンも好き。それに子猫が可愛いです、これはまあ言うまでもなく。
地下鉄で梅田まで戻り、ロンドンティールームでミルクティを飲みながら2通手紙の返事を書く。メールですまそうかと思ったけれど、何となく字が書きたくて手紙にしたのだが、なんか考えていたよりすごく時間がかかり、えらく肩が凝った。キーを打つんじゃなくて、手で文章を書く、という感覚を忘れかけているのかも。 それから、ジュンク堂で「UP」と近頃密かに愛読している「未来」をもらって、立ち読みして帰宅。 今日はこれといって何も買わなかったぞ!こんな日もなくっちゃね。
・購入物:なし
・朝食:カボチャの煮物、冬瓜のスープ、卵焼き、梅干し、ごはん 昼食:映画の前に、コロッケパン、リングドーナツ、珈琲 夕食:オクラのキーマカレー(バシッと膝を叩きたくなる旨さ!毎度の自画自賛なんだけど、ホントに旨かったなあ。レシピは「きょうの料理」6月号テキストをご参照のこと。)、トマトサラダ、豆腐サラダ、麦酒
2004年08月12日(木) |
これはいつか見た風景 |
出がけに図書館へまわって、かれこれ1ヶ月以上借りていた本を返却ポストに入れておく。それから回覧板をもって近所のおばあちゃんの家へ。留守だと思っていたのに、団扇片手に肌も露わな下着一枚という、かなりしどけない姿で玄関に座っておられたので心からビックリした。家中で玄関が一番涼しいんだと。上がって氷でも食べて行かへんかー、と誘われたけれど、丁寧に辞退しておく。おばあちゃんと終わらない話をしながら氷を食べるのも魅力的だけど、それをやっちゃうと仕事に遅刻してしまうのだ。
サクサクと仕事を終えた後、日用品を買うため阪神百貨店へ。その後、フラフラと第3ビルの古本屋さんに吸い寄せられるように迷い込む。「夢声戦争日記」の1〜5巻までがバラで並んでいた。確か持っているはずの3巻以外を買い求める。一冊200〜300円くらいで、今まで見た中で一番安かった。嬉し。 次に、よく行く器屋さんへ。果物を盛りつけるのにぴったりのガラスのお皿を2枚買う。その後も、蕎麦猪口やら飯椀やら楕円鉢やら、あれもこれもとひっくり返して選んでいたら、今日そんなにお買い上げいただかなくても9月にまたセールをしますから、とお店の人に止められた。そんなことを店の人に言われてどうする。
家に帰っても、しばらく何をする気もせず、買ってきた本を読んだり、夕刊を眺めたりする。「なでしこジャパン」って一体なんやのん?変なの。 ゆるゆると晩ご飯の支度。本日の料理中音楽はビーチボーイズ。ちょっと村上春樹風に。作ってるのはカボチャの煮物で、どうも鈍くさいけど。
本日読んだもの、というか見たもの。恐山を撮った鈴木理策の写真集「PILES OF TIME」をとくと眺める。海と空と道と夜明け。 この夏休みは全集の類をゆっくり読んでいきたいなあ、と思っているのだが、どうなるかな。 ・購入物:徳川夢声「夢声戦争日記(一)〜(二)、(四)〜(五)」(中公文庫) 大竹昭子「アスファルトの犬」(住まいの図書館出版局)すべて古書
・朝食:ピーマンのカレーチャーハン、ヨーグルト 昼食:街角で買ったお弁当(鶏の照り焼き、サラダ、スパゲティ、ゆで卵、ご飯など。おまけでカツオのふりかけつき。400円) 夕食:夏野菜の炒め物(ピーマン、ゴーヤ、ズッキーニ、トマト、キュウリ、ニンニク)、冬瓜のスープ、カボチャの煮物、麦酒、ごはん
2004年08月11日(水) |
fut man in the bathtub |
昨夜は夜更かししたのに、今朝もきっちり6時起床に成功。ここ数日、少し暑さが和らいだような感がある。朝食の食パンを買いに、近所のパン屋さんまで行く。散歩中の犬とウォーキング中のオバサマ方に、たくさん遭遇した。
今日の通勤中音楽はリトル・フィート。MDにおとした『ウェイティング・フォー・コロンブス』と『ディキシーチキン』の2枚のアルバムを主に聴いた。リトル・フィートはネオン・パークのジャケット目当てに中古レコードをせっせと買い集めたのだけれど、ローウェル・ジョージの作る音楽のカッコ良さにすっかり大ファンになってしまった。『ディキシーチキン』が最も好きなアルバムで、ジャケットで一番好きなのは『セイリン・シューズ』かな。目と足のついたショートケーキがブランコに乗って靴を放り投げているやつ。
午後、友人から電話があり、梅田に出る用事があるのでお茶でも飲まないかとのこと、終業後ハービスで会うことになった。今日は『子猫をお願い』を観に行くつもりだったのだが…。映画はいつでも観られるか、と思いなおして西梅田まで行く。 近況、世間話、共通の友人の噂話など約1時間ほど話す。このままご飯でも、と思ったが、彼氏と約束があるらしく断られた。つまるところ私は彼氏までの時間つなぎだったわけで、でも、ちょっとでも会えて嬉しかったワー、アンタと話すとすごく元気になるのよネー、などと言ってきっちりフォローしてくるところなど、コイツは昔からホントに巧い。
中途半端な時間に街中に放り出され、仕方がないのでリトル・フィートを聴きながら自転車で帰る。途中、京橋に寄って食料を調達、ふらふらと紀伊国屋に寄って文庫と雑誌を買った。一度にガバッと購入するのは気持ちがいいけど、こうして毎日一冊づつ本を買うというのもまた愉し、かな。
夜は、大人しく読書。でも眠さに耐えられず、今日は0時にもならないうちに寝てしまった、と思う。 読んだものは、福武文庫の『スカトロジア』から今度の単行本には収録されなかった3編と、図書館から借りて借りっぱなしになっている『映像のポエジア』から「ノスタルジア」の章。これももうそろそろ返さなくちゃ。どうにも離れがたいけれど。
・購入物:石牟礼道子「妣たちの国」(講談社文芸文庫) 「i feel」2004年夏号(紀伊国屋書店)
・朝食:トースト、はちみつ、チーズ、バナナ、珈琲 昼食:ベンガルで(ビーフカレー) 夕食:冷やしとろろ月見うどん、枝豆、オクラのカツオ和え、冷奴、梅オニギリ、麦酒
2004年08月10日(火) |
前にも後ろにも道がない |
仕事が面倒なことになっている。片づけなくてはならないことがたまってきているのに、気持ちだけが空回りしているような気がする今日この頃。取引先でも交代で夏休みに入っている人が多く、話がちっとも前に進まぬ。よって、本日も目立った進展なく、何ということもなく日が暮れた。あ、借りているポジを一枚なくした、という悲しい出来事があったな、これは進展じゃなくて後退だ。うえーん。
気を取り直して、帰りに通りがかりのブックファーストヘ。本屋を見かけるとつい入ってみたくなる。ここでは見慣れぬ雑誌を発見。見慣れぬはずだ、創刊号であった。買うつもりはなかったが、鈴木理策の写真が数枚掲載されていたので、思わず購入してしまう。この人の写真の、空の分量がとても好きだ。特集は森山大道。森山大道は千林の角屋(アイスクリーム屋、冬には回転焼も売る)のおっちゃんにソックリ。兄弟じゃないだろうか。 これと内田百けんの文庫を買ったら今日もこれにて予算オーバー。銭金に振り回される日々である。
本日の読書。「スカトロジア」(編集工房ノアからの復刊本のほう)を読了。頭の中はすっかり糞尿モード。大正時代の画家に、 『人糞を天日で十分に乾かしてから、細かい粉にし、塩や胡椒などを混ぜて風味をつけ、ほかほかした銀めしにふりかけて食べると、実に乙なものだ』 というようなことを書いている人があるそうで、ここをTに朗読して聞かせて、こんなふりかけがあったら食べる?、と聞くと、事の次第を知らんかったら食べるかなあ、と言うので、あんたウンコさんを食べるわけ?、と重ねて聞いたところ、マアあの匂いがなあ、匂いがちょっとなあ、匂いがなかったらナー、としきりに匂い匂いと連発するので、匂いがなかったら食べるのか、と問うてみたら、まあナー、とまんざら食べなくもないという感じであって、こんな至近距離にスカトロジーがいたとは知らなんだ私は愕然とした。
・購入物:内田百けん「百鬼園戦後日記」(ちくま文庫) 「coyote」創刊号(スイッチパブリッシング)
・朝食:くるみパン、昨日作った茄子の煮物、珈琲、メロン 昼食:お弁当(梅干しおにぎり、キュウリの酢の物、卵焼き、漬物) 夕食:冬瓜とベーコンの炒め煮、モロヘイヤのおひたし、小松菜と揚げの煮物、麦酒、ごはん
午前6時起床。東からさんさんと太陽が照りつけて、今日も暑くなりそうな予感。今朝の音楽はクール&ザ・ギャング。久しぶりに「サマーマッドネス」など聞きながら朝ご飯を食べる。今日からまた仕事かと思うと憂鬱だけど、今週末から夏休みの予定になっているので不平を言わず働くことにする。
午後から少々重要な打ち合わせなどあり、珍しく一生懸命に人の話を聞いたので終了した後はひどく疲れてしまった。今月末から秋にかけて、また頭に蛆のわきそうな仕事が舞いこみそうな気配が濃厚で、そのことを想像するだけでも気持ちがドロッとする。
先のことを気に病んでいても仕方がない、疲れたので今日のところは早々にお暇することにして、なんぞ本でも出てないかしら、とお金もないのにジュンク堂へ行った。 出てた出てた、「スカトロジア」がめでたく復刊していた。未来社の単行本に入っていた富士正晴の挿画十点も復活している。「スカトロジア」はこれで二冊目だけれど、復刊を記念して買っておくことにした。今日はカードを家においたままなので、現金ではこれを買うのが精一杯、他の気になる本はまた後日ということにする。 商店街で野菜を買うついでに、天牛書店で読むか読まぬかわからん古本をまた3冊ほど拾って、自転車を飛ばして家に帰った。
夜は、福武文庫の「スカトロジア」を出してきて見比べたり(まあ、ほとんど同じなんだけど)、江國滋が編んだ「手紙読本」に載っていた北村透谷の熱烈なラブレターを読んで、フフフと笑ったりして時間が過ぎていった。
・購入物:開高健「釣り人語らず」(潮文庫) 江國滋「手紙読本」(福武文庫) 富山秀男「岸田劉生」(岩波新書) ここまで古書 山田稔「スカトロジア」(編集工房ノア)
・朝食:トースト、レタスとベーコンのスープ、たたきキュウリとオリーブオイルのサラダ、メロン、珈琲、ヨーグルト 昼食:阪神百貨店で買ったいなり寿司弁当(いなり寿司2個、肉団子、コロッケ半分、焼き鯖の切り身、枝豆、トマトなど) 夕食:ゴーヤ、玉ねぎ、ニラ、長ねぎ、ニンニクを下味をつけた豚肉と炒めて、最後にとき卵を投入、そしてトウバンジャンとテンメンジャンを入れたタレで味付けした、という本日突発的に思いついた料理。美味しゅうございました。それから冷たい茄子の煮物、冷奴、麦酒、ごはん
阪神の桧山とデートしている夢を見て、目が覚めた。ああ、てっきり現実だと思っていたんだけどなあ、惜しい、もったいない。夢がもう一度戻ってきてくれたらと思って目をつむってみたが、もう眠りはおりてこなかった。
仕方がないのでノソノソと起きて、朝ご飯の支度と洗濯。それから少しでも涼しいうちにと、家中に掃除機をかけて、本棚とCD棚をせっせと整理。枕もとや机の横に積み上げてあった本を、脚立に上がったり降りたりして本棚に収めていく。書店や図書館で働いているわけでもないのに、なんで毎週こんなことをしているのだろう。まあ楽しいからいいけど。 なんとか片付けて、午後から久しぶりに実家へ帰る。
実家には、墓参り帰りだという母方の伯父伯母夫婦が来ていて、伯父の茶畑でとれた焙じ茶と、自分で育てたというゴーヤをくれた。山から獲物を求めて下りてくる猿や鹿もゴーヤは嫌がって食べないからついコレばかり作ってしまうのだ、と伯父は言っていた。伯母は松茸をたくさん持ってきてくれていた。この真夏に松茸とは、いったいどういう出自のものだろう。夕方、母は松茸をふんだんにいれたすき焼きを作り、テレビで高校野球を観ながら鍋をかこんだ。 こうして夏の夕方に、伯父や伯母とすき焼きなんか食べていると、まるで昔に戻ったようだ。おじいちゃんとおばあちゃんがいないのが何だか不思議な感じだ。おじいちゃんおばあちゃんと、まだ若い伯父と伯母と私の両親、幼い従兄弟達と弟と私。テレビから聞こえる歓声と蝉の声。暮れかかる空とスイカ。朝捕まえてきたカブトムシ。庭の緑と蚊取り線香の匂い。 それを考えると途方に暮れてしまうから、なるべく考えないように努める。はるか遠い昔のことだ。もう失ってしまった。絶対に戻れない。 伯母は、小さい頃のようにまたいつでも遊びにおいで、と言ってくれた。私らが死んだらもうアンタも来られなくなるんやで、とも言った。伯母達が亡くなってあの家が従兄弟家族のものになることを想像してみる。それは確実に何かが変わった姿であった。人が死ぬとはどういうことだろう。どんなこともいつか忘れてしまうのだろうか。 今度一緒に信楽へ陶器を見に行くことを約束して、伯父達は帰り、私も大阪に帰った。行きと帰りの電車でジュンパ・ラヒリの「停電の夜に」をほぼ読んでしまった。今朝本棚の整理をしている時偶然出てきて、急に読み返したくなった本。寝る前に読めるように、最後に収録されている『三度目で最後の大陸』だけは残しておく。
夜、引き続き本を読み、昨日と今日の新聞を読み、それでも眠くならなくて、途中まで日記を書いて、止める。今日はどことなくさみしいというか、儚い気分の日であった。
・購入物:なし
・朝食:ネギ入りガーリックチャーハン、トマト、メロン 昼食:そうめん(ネギ、大根おろし、梅干、みょうが、しょうが)、麦酒 夕食:実家にて。すき焼き(松茸入り、一応ね)、スモークサーモンのマリネ、茄子とニシンの煮物、ごはん、麦酒
2004年08月07日(土) |
大阪の海は悲しい色か? |
午前7時起床。ピーター・バラカンのラジオを聴きながら、朝食の支度、および洗濯。そこら辺の掃除をチョイチョイと行う。宅急便でメロンと愛用している基礎化粧品が届く。日記を書く。乾いたものだけ洗濯物を取り込む。シャワーを浴びて支度をして出かける。
梅田で昼ご飯を食べてから、地下鉄で天保山へ。サントリーミュージアムで「パリ1900年・ベル・エポックの輝き」という展示を観た。パリ市立プティ・パレ美術館に所蔵されている1900年辺りに制作された絵画・彫刻・工芸などが展示されている。セザンヌの絵が見られるので出かけてみた。セザンヌ好きなので。 やはりセザンヌの「アンブロワーズ・ヴォラールの肖像」が最も目を奪われた作品だったけれども、クレランによる「サラ・ベルナールの肖像」の迫力もすごいし、パリ博覧会の模様を写し取ったフェリックス・ヴァロットンの木版画も素朴な味わいで見とれてしまった。この人のことは今日初めて知ったのだが、もっと他の作品も見てみたい。 途中、海の見えるテラスでソファに座ってひと休み。南の空には入道雲、北の空は真っ暗に曇っていて、港ではどこへかに向かう船が今まさに出ようとしているところ。この美術館のこの場所がひどく好きだ。ここで海を見るために、絵を見に来ているといってもいいかもしれない。 その後、下のカフェで珈琲を飲みながら片岡義男の原節子論「彼女が演じた役」を読んでしまう。それからふと思い立って、江坂へ行くことにして地下鉄に乗った。
江坂ではまずクレヨンハウスで、アレッポの石鹸、カレー粉、奄美カレールー、ミレービスケット、バナナピーマンを買って、一路天牛書店へ。坂を登っている時、北東からどんどん黒い雲が押し寄せてきていた。さっき天保山から見た暗雲はコレなのか。ひどく蒸し暑く、蝉が道で干からびて死んでいるのを2匹見かけた。
天牛で本を選んでいる間に激しい夕立と雷。ほらね、やっぱり。しばらく店内に足止め。止みそうにないので、仕事が終わり次第Tに傘を持って来てもらうことにする。約2時間ほど店をうろついて手当たり次第立ち読みし、なんか予想外に散財してしまった。雨さえ降らなけりゃ、こんなことにはならなかったのになあ。 夜になってすっかり雨も止んだ頃T到着。傘を持ってきてもらった意味なし。江坂駅までふらふら歩き、ご飯を食べて帰宅した。
家に帰り着き、とりあえずサッカーを後半から観た。ベランダでは今朝干して唯一取り込まなかった私のジーンズが、雨にぬれたままユラユラゆれていた。
・購入物:山田風太郎「戦中派焼け跡日記」(小学館) 山田風太郎「戦中派闇市日記」(小学館) 稲垣浩「ひげとちょんまげ」(中公文庫) 酒井忠康「青春の画像」(美術公論社) 以上すべて古書
・朝食:トースト、目玉焼き、トマト、バナナ、珈琲 昼食:外食、うどん棒で(おろしぶっかけうどん) 夕食:外食、ふらんす亭で(九条ネギのレモンステーキ、サラダ、ごはん)
終業後、自転車を西へ西へと走らせて何とかギリギリ間に合って、シネ・ヌーヴォで『麦秋』を観た。こないだビデオで観たばかりなのに、何度観れば気がすむのか。 今日は細部を中心に観ることにする。私はこの映画がかなり好きだが、それは多分食べるシーンが多いからではないかと思うのだ。生きることは食べることだ。 冒頭の朝食のシーン、原節子扮する紀子の食べっぷりが見事。献立はたぶん、味噌汁とご飯、漬物、ちょっとした煮物、くらいかな。最高の朝ご飯だ。その紀子が兄夫婦と「多喜川」という料亭でビールを飲み「まあ柔らかくておいしいご飯」とか言って天ぷらでご飯をパクパク食べるところ。これがまた美味しそう。紀子が買ってきた900円のショートケーキを丁寧に取り分ける仕草(ケーキのシーンは2回出てくるが、兄嫁と後に紀子が結婚することになる幼なじみと3人で食べるほうが好き)、料亭で紀子とその上司が酒をさしつさされつ飲むところ、淡島千景ふんする親友と「これ食べない?」と言いながらクッキーをつまみ「そのジュースとって」とコップにオレンジジュース(多分)を注ぎ分けるシーン、紀子が自分の息子との結婚を承諾してくれたことに喜んだ、杉村春子が演じる近所のおばさんが「紀子さん、パン食べない、あんパン!」と思わず言ってしまうシーン(まあこれは紀子に断られて食べず終いなのだが)。よくよく観れば杉村春子はやっぱりものすごく演技が上手い。さらに家族そろっての最後のすき焼き、それから何と言っても家族の意見を聞かず勝手に結婚を決めてきた紀子が一人台所でお茶漬けを食べるシーンが、この映画のクライマックスなんじゃないのかと思うくらい良いのだ。一杯目をさらさらと食べてから、お櫃からおかわりをたんまりとよそうところがいい。自分で自分の道を選び取ってきた紀子の潔さがばっちり伝わる。
他にもあったような気がするけれど、まあこんな感じだ。とにかく細部に目をやっていると飽きるということがない映画だ。気になるところ、不思議なところは他にもまだまだあって、書いていたらキリがない。それぞれに意味があるような、監督の遊びのような、その曖昧としたところもまた良い。
というわけで、帰宅後は私もお茶漬けを食べたのでした。映画に影響されやすいもんで。 ・購入物:なし
・朝食:バナナ1本、リンゴ3切れ、昨日の野菜サラダ、珈琲 昼食:街角で売られていたお弁当(唐揚げ、スパゲティ、カボチャの煮物、煮卵、コンニャクの煮物、ソーセージ、蓮根のサラダ、漬物、ごはん、烏龍茶) 夕食:ネギとみょうがをのせた冷奴、枝豆、トマト、麦酒、茄子とキュウリの漬物と沢庵でお茶漬け
2004年08月05日(木) |
思い出には靄がかかっているようだ |
今日は5時頃目を覚ましたので、台所の椅子に腰掛けて「その名にちなんで」を最後まで読んだ。 小説の中盤くらいにゴーゴリが父親から贈られるプレゼントは後から、しかも、何かが確実に終わった後で出てくるはずで、その時私はきっと泣くだろうと思っていたら、まんまとその通りになり、朝っぱらから涙をポロポロこぼしてしまった。 先日読んだ吉田喜重の本の中に書かれていた、人は手遅れの過去と手つかずの未来の間の移ろいゆく現在をユラユラ漂うように生きていくしかないのだ、という言葉を思い出したりし、人が死ぬとは一体どういうことだろう、とあらためて考えたりした。
日が沈みかけた街を帰る。夕立がきそうなので若干急ぎ足で。途中で天神橋商店街に寄って、古本屋さんを何軒かのぞいてみたけれど今日はこれといって収穫はなし。寂しいので、八百屋さんで大きめのオクラを2パック買った。オクラ大好きだ。 それから近所の酒屋に行き、瓶ビールを届けてもらうように手配する。もうここんところ、ビールがなくてはもはやご飯が食べられないというような状態になっているので、瓶とか缶とかに頓着していられないのだけれど、やっぱり瓶ビールは美味しいな。缶はダメです。
夜は、せっせせっせとMD編集に励む。思い起こせば若かりし頃、こうしてCDを部屋中に散乱させて夜の夜中にチマチマと、46分か60分のカセットテープに音楽をおとしては、好きな男にあげたもんですよ。角田光代の何かの小説にもそんな場面があったなあ、と思い出す。自作のテープをあげるなんてことは、何か趣味の押し付けのようで、もらったほうも案外迷惑だったかもしれないなあ、と、もうほとんど意味のない反省をしてみたり。
本日読んだもの。片岡義男「彼女が演じた役」を読み始める。 それから会社で今月も引き続き読売新聞を購読する運びとなり、町田康の「告白」をもうしばらく読めるようになった。誠に喜ばしいことである。
・購入物:なし
・朝食:イカリスーパーで買ったピーナツがたっぷり入ったピーナッツクリームサンドパン(何とかという名前がついていたけれど忘れた。126円)、珈琲、クレープフルーツ 昼食:成城石井で買ったサラダ冷麺 夕食:ジャーマンポテト、オクラのカツオ和え、コスレタスとキュウリのサラダ(ゴマドレッシングをかけて)、茹でたとうもろこし、麦酒、ごはん
午前7時起床。寝坊した。慌ててシャワーを浴びて支度に取り掛かる。今日は休日にあたるTが朝ご飯を作ってくれた。チャーハンはこの人の得意料理の一つであるが、調理し終わった後の台所の惨澹たる有様は目を覆うばかりだ。シンクや床に飛び散ったネギ、こぼれた卵、こびり付いた米、へばりついたとうもろこしのヒゲ、出しっぱなしの塩と胡椒のビン、開けっ放しの食器棚の扉。掃除しとくからナー、という言葉を信じて出勤。たまには人を信用しよう。今晩から雨が降るそうだが、強引に自転車で行く。
黙々と、淡々と働く。ちょっと落ち着いた夕方、Nさんと少々真剣な雑談。昨夜の友人の相談に対する自分の応えに自信がなく、気にかかっていたのでその話を聞いてもらい、まあその対応しか仕方なかっただろうという結論に至る。どうあがいてみたところで、発してしまった言葉はもう戻ってはこないのだ。何でもなさそうに振る舞ってはいても、日々何かに迷っている。
終業後、Tと梅田のブックファーストの三階で待ち合わせ。この本屋は三階が好きだ。映画と美術と絵本と料理の一角でチロッと立ち読み。気になるものもあるけれど、今日は何も買わず。ケンタロウの本からレシピを5つくらい頭の中に入れておく。 Tがヨドバシカメラで何故かMDウォークマンを2つも買っていて、1つ私にくれた。ごくごくシンプルな機能しかないシルバーのおもちゃみたいなやつ。世間の人はiPodとか何とかかんとか言うておられるというのに、この逆行ぶりは何だろう。でもありがたくいただいておく。ウォークマンの類を所有するのはえらく久しぶりで、これで自転車生活がより楽しくなるのかも。
夜になって雨が降ってきた。なんでもまた台風がやってくるらしく、今朝までそんなこと聞いてなかったのになあ、一寸先は闇だ。ひとしきりMDウォークマンで遊んだ後、23時前からテレビをつけて「視点・論点」を見る。今日は海野弘。これを見ると条件反射的に眠くなり、目蓋が自然に下りてくる。番組自体になにか睡眠作用があるのではなかろうか。結局そのままフラフラと歯磨きだけして寝てしまった。
本日の読書。島尾伸三「生活」の中から何編か。写真も仔細に眺める。折に触れて読みたくなるこの本、少し気分が鬱々としている時などに開くと、さらに鬱々としてくるのだけれども、そのどこまでも落ちていく感じが好きだ。 あと「その名にちなんで」も読む。もうすぐ読み終わってしまうのが実にもったいないような。
・購入物:なし
・朝食:ネギと卵のチャーハン、とうもろこしのスープ、麦茶 昼食:ニッシンで買ったメロンパンとカレーパン、珈琲牛乳 夕食:外食、(小わかめうどん、海老とカボチャの天ぷら、小鉢、酢の物、ごはん)
2004年08月03日(火) |
はたして、光は等しく降り注ぐか? |
今日は淀川の花火大会だ、と言ってIちゃんは朝から張り切っていたのだが、昼すぎから分厚くて黒い雲が立ちこめてきて、空だけでなくIちゃんも泣きそうになっていた。デートなんだけれど、例えば花火とかライブとかサッカー観戦とか、ちょっとしたイベントがらみじゃないとなかなか会えない関係らしく(どんな関係だ?)、中止になると困るんですよね、と言っていた。花火なんて添え物なのだ、結局のところは。夜、少し雨が降っていたようであったが、無事行われたのだろうか。
少々の残業の後、帰宅。ローラ・ニーロを流しながら、音声を消してサッカーを観て、時々「図書」を読む。なんかバラバラだけどまあいいのだ。自分自身がバラバラなのだから仕方ない。審判がショーン・ペンに似てるなあ、と思っていたら、延長戦になったところで友人より電話。 相談事。しかもなんとなんと金の相談!私に金の相談をしてくるとは、何を考えておるのかわからない。人選ミスだ。電話代の無駄。とにもかくにも話だけは聞くことにして、1時間あまり喋り、一番適切ではないかと思う方法を申し述べる。納得はしたようであったが…。友人といえども、人の心の中はやっぱり不透明だ。手を伸ばしても届かない部分が歴然としてあり、もどかしいけれどもそこは私の領分ではないと諦めているところがある。私はやっぱり冷たい人間なのだろうか。
本日の読書。 ジュンパ・ラヒリ「その名にちなんで」を読んでいる。巧い、巧い。旨い、と書いてもいい。食べ物の描写が上手いから。読んでしまうのはもったいないのでチビチビいこうと思ってはいるんだれど、オイシイものはそうもいかなくて、ページをめくるのを止められないのだ。 父親が列車事故で九死に一生を得た時、読んでいた本がゴーゴリの「外套」だった、ということから『ゴーゴリ』と名付けられた青年をめぐる物語で、つい最近「外套」を読み直したばかりだけに、この小説には何か嬉しい偶然を感じる。
・購入物:なし
・朝食:トースト、カリカリベーコンとレタスのサラダ、珈琲 昼食:おろしそば 夕食:鯖のきずし、茄子とシシトウのあっさり煮(冷たくして食べる)、冷奴、キュウリとシラスの酢の物、麦酒、ごはん
午前6時起床。今日は生ゴミ回収の日なので、冷蔵庫の整理。リンゴをむいたり、隅に転がっていたベーコンを焼いたり、野菜室に余っていた瓜を浅漬けにしたりする。瓜は宅配野菜の中に入っていたのだが、どう料理するとおいしいのかよくわからない。先日は鶏肉と煮てみたが、アレはどうもイマイチだった。漬物だったらそれなりなものになるだろうか。
会社へ。比較的ヒマである。 Nさんと雑談。「昨日タンス見てきてん」と言うから「タンス買いはるんですか」と聞いたら、「違う、違う、映画の『箪笥』やん」ということで、今上映中の韓国製のホラー映画の話だった。なかなか面白かったそうで、話を聞いているうち私も観てみたくなり、一両日中にでも行ってみる、というようなことを言っていたら、昼から外出していたNさんがどこかのチケットショップで鑑賞券を買ってきてプレゼントしてくれた。まあ、嬉しい。しかし、思いっきりネタバレな感想を聞かされたような気がするが、大丈夫だろうか。
帰りに、旭屋へ寄って「一冊の本」と「図書」をもらう。それからまた「六世笑福亭松鶴はなし」を未練がましく立ち読みした。昨日と今日で春団治、文枝、米朝の章を読んでしまった。こうしてアチコチの書店の店先で読了してしまうのかもしれない。 帰宅後、晩飯作り。台所の窓から外を見ると、浴衣姿の女の子たちが笑いさざめきながら連れ立って出かけていくのが目につく。どこかで花火か夏祭りでもあるんだろうか。花火なんてもう長らく見ていないような気がする。 「きょうの料理」を見る。今日の講師は平野レミ。その後は板井典夫が出てきた。この人は何故マロンちゃんという愛称がついているのだろう。わからん。世の中わからんことだらけ。私の物真似レパートリーの中でも平野レミはかなり似ているはずだと自負しているんだけれど、このマロンちゃんもかなり上達してきたように思う。披露する場がないのが残念だけど。
本日の読書。「一冊の本・8月号」。夢中になって読んでしまいました。
・購入物:なし
・朝食:トースト、ベーコンエッグ、リンゴ、珈琲 昼食:お弁当(梅干とカツオのオニギリ、卵焼き、シシトウ焼き) 夕食:白菜と豚肉の重ね蒸し、オクラのせ冷奴、モロヘイヤのゴマ和え、瓜の浅漬け、麦酒、ごはん
2004年08月01日(日) |
そして、見事に夜を眠る |
午前8時起床。シャワーを浴びて、近所のパン屋に朝ご飯を買いに行く。まだ台風の影響が残っているのか、パッとしない天気だ。日が射しているかと思えば、今にもひと雨降りだしそうな雲がグングンわき出てきたりする。 「新・日曜美術館」で横山大観の『海山十題』を見てから、台所の片付けと身支度をして外出。地下鉄で難波へ行った。 難波のジュンク堂で新刊を一冊購入し、「六世笑福亭松鶴はなし」を立ち読み。当初は買う気満々だったんだけど、対談形式というのがひっかかって何となく見送ってしまった。 タワーへ移動して一枚購入の後、階下の無印良品のカフェでコーヒーを飲みながらもらってきた「ちくま・8月号」を読む。今月号は群ようこが書いている『ぬるーく地道に暮らす』という少子化をめぐる文章に、何だか妙に共感した。私も群ようこと同じく「子どもが出来たら私の人生はそれでおしまい」と常々思っているくちなのだった、実は。昔からずっとそうで、いつか考えが変わるかもしれないと思ってきたけれど、もう一生このままかも。足を宙に浮かせたままで生きていたいのかな。子どもを生み育てるのは地に下りてくるのと同じことで、多分それが怖いのだ。
ひと休みしてからバスに乗って九条方面に行く。難波から西に向かってバスに乗るのは多分初めてで、普段テクテクと歩いている街をバスの車上から眺めるのが楽しい。九条駅近くのバス停で降りて、シネ・ヌーヴォの小津安二郎特集上映で「晩春」を観た。「東京物語」を観るか迷ったんだけれど、私は「東京物語」を観ると、そのあまりの哀しさと残酷さに一週間から十日ほど精神的に立ち直れなくなる傾向があり、今そうなると日常生活に差し障りがあると困るので止めた。「東京物語」は観るのに勇気の要る映画だと思う。正直言うと「晩春」だって私にとっては相当キツイけれど、まだマシだ。少なくとも「死者の眼差し」は出てこないから。
「晩春」には強く感動してそれはまあ良かったのだけれど、後ろの席のおばちゃんが、杉村春子の着物の柄がどうの、原節子は大柄やから花嫁姿がよう似合うだの、笠智衆はチッチャイなーだのと上映中もゴチャゴチャと喋り続けるのが気になった。おばちゃんの観客には窓口で整理券と一緒にマスクか粘着テープでも渡せばいい。
本日の読書。「ちくま」の8月号。それからジュンパ・ラヒリの新刊を読み始める。
・購入物:ジュンパ・ラヒリ「その名にちなんで」(新潮社) Port of notes「Trace of dream」
・朝食:モッツアレラチーズとソーセージのパン、バナナ、リンゴ、珈琲 昼食:MUJI cafeで(アイスコーヒー) 夕食:酢豚、ネギとみょうがとシソのチャーハン、キュウリの浅漬け、たまごスープ、麦酒
|