昨日・今日・明日
壱カ月昨日明日


2004年07月31日(土) つまり、バカな今日を生きる

 台風は昨夜遅くから朝方にかけてやってきた、みたいだった。半分寝ていたからよくわからない。風がうなりを上げる度、家中がミシミシ、ジャラジャラと音を立てる。ミシミシというのはわかるけれど、ジャラジャラというのはこの家のどこで何が起こっている音なのだろう。想像すると怖いので、考えないようにする。ボロ家に住むのは楽しいけれど、こういう時は何となく不安だ。

 結局、今日は何をしたということもなく終わった。口紅もつけずに近所のスーパーに行っただけで、日中はほとんど誰とも口をきかず、家でゴロゴロしていた。まあ、こんな日があってもいいか。

 本日行ったこと。
 トイレとお風呂、2階の掃除と整理整頓。洗濯。洗濯をしたはいいが、雨が降ったり止んだりの天気ゆえ、すっきり乾かなかった。
 手抜き料理。自分で適当に作った冷麺のタレとドレッシングは絶妙の美味しさだった。どの調味料をどれだけの配分で合わせたか忘れてしまったけれど。
 ビデオで小津の「お茶漬けの味」を観た。観た、っていうか、途中1時間くらい寝てしまったんだけれど、それでも観たって言えるかな。とにかく退屈だった。最初と最後しか観てないのに文句言うな、と自分でも思うけれど、そやから何やっちゅうねん、という映画であった。ヒマがあったらまた観てみよう。
 それから、カーティスやらミニー・リパートンやらキャロル・キングやらのCDを引っぱり出してきて、大声で歌ったりもした。夜はテレビでサッカーを観た。これは何か知らんけど非常に疲れた。
 あとは、Iさんとの電話と、とりとめのない読書。

 土曜日にやったことで、今思い出せるのはこんなところかな。何の予定もなく一日家にいると、時間が瞬く間に経っていくことと、朝ご飯が終わったら昼何食べよう、昼ご飯が終わったら夜は何にしよう、などと、とにかく食べることに振り回されている自分に愕然とする。食いしん坊は辛いなあ。

・購入物:なし

・朝食:チョコチップパン、バナナ、ミルク珈琲
 昼食:レタスとキュウリ入り冷麺
 夕食:瓜と鶏肉の煮物、リーフレタスとキュウリとミニトマトをワサワサと混ぜ合わせたやつにゴマドレッシングをかけたサラダ、冷奴、たたきキュウリ、ごはん、麦酒


2004年07月30日(金) 有為転変の世の中や

 今日は台風が襲来すると思っていたのだが、日差しがサンサンと降り注いでいるばかりでその気配なし。天気のことはどうもよくわからない。今晩は文楽を観に行く予定なので、地下鉄で出かける。

 終業後、急いで日本橋まで。途中でおにぎりとお茶を買って、地下鉄の階段を上がりきったところで、青いアイシャドウが妖怪みたいなオバサンにつかまって道を聞かれる。急いでいる時に限ってこの有様だ。「ビックリカメラ」ってどこ〜?、と言うのだが、多分「ビッグカメラ」のことだろうと勝手に判断して道を指し示す。「この道を真っ直ぐ行ってね、信号を渡って右側です」、言っているのに、「えっ真っ直ぐってどういうこと、ここを真っ直ぐ?」と妖怪は間抜けなことを聞いてくる。真っ直ぐは真っ直ぐじゃ!あー、イライラする。

 なんとか開演に間にあった。一安心。まず『一谷嫩軍記』を観る。
 走ったりイライラしたのが災いしたのか、「熊谷桜の段」の途中からウトウト居眠りしてしまった。何が不覚といってこれほどの不覚があるだろうか。「熊谷陣屋の段」になってもどうも頭がボヤボヤしたままで、熊谷次郎直実が平敦盛の首を討った次第を語っているくだりなど、観なければ聞かなければと思えば思うほど目の前がぼやけてきて、今日はかなり前方の良い席が取れたというのに、本当に残念なことであった。
 敦盛の首実検のあたりから頭がシャンとしてきて、文雀さんの相模の所作にクラクラしたり、玉男さんの豪快な弥陀六に惚れ惚れしたりしたが、何もかも遅すぎた。反省。
 次の『きぬた大文字』は、隣席のおばあちゃんの解説つき。私に解説してくれているのではなくて、自分の友達に説明しておられるのだが、それをフンフンと盗み聞きする。おばあちゃんはもう何十年も文楽を見続けている人らしく、その解説はイヤホンガイドより詳しいような気がした。イヤホンガイドは借りたことがないのでようわからんけど、とにかくそんな感じだった。

 時折吹く突風に飛ばされそうになりながら帰宅。そうめんを食べてから、Tが持ち帰ってきた仕事を手伝った。午前1時までかかって、アクリル絵の具で模造紙に色塗りをする。内職だ。お駄賃に五千円もらう。わーい。

 本日読んだもの。吉田喜重「小津安二郎の反映画」。『晩春』と『東京物語』を、今一度スクリーンで見直そう。

・購入物:第95回・文楽プログラム

・朝食:楽童のプチパン、ゆで卵、バナナ、珈琲
 昼食:ミックスサンドイッチ
 夕食:文楽の幕間に梅おにぎり、緑茶
    帰宅後、オクラ入りゴマだれそうめん、枝豆、麦酒


2004年07月29日(木) これもまた特別な一日

 相変わらず毎日暑い。街がギラギラしている。日中歩いていると何だか息苦しくなってくるようだ。

 午前午後とも会議が続いて少々疲れた。午後の会議に出席するため会社にやって来たKさんは、このクソ暑いのに首にマフラーみたいなものをグルグル巻きに巻いていて気でも狂ったのかと思ったが、Kさんによると、失礼ねえこれはスカーフよ、ということらしく、ホラ「冬のソナタ」巻きなのよ、と誇らしげであった。私に「冬のソナタ」とか言ってもわかるわけがない。ソナタかアナタか知らないがアレは相当暑いと思うけどなあ。オシャレは忍耐ですな。

 夕方、阪神百貨店に買物に行く際、チラッとタワーに寄ってみたところ『特別な一日』のDVDを発見した。DVDになったら必ず買おうを思っていたのだ、嬉しい。ジャケットはちとダサいけれども、値段がお手ごろなのでまあいいか。
 その後、阪神百貨店でチーズと蜂蜜と鯖を買って帰った。

 夜、早速『特別な一日』を観る。少しだけのつもりだったのに、どんどん引き込まれて、結局最後まで観た。観るのは二度目だったけれど、やっぱり良いものは何度観ても良いし、途中で止めるなんてことは出来ない。
 
 ヒトラーがイタリアを訪問した国家的な「特別な一日」と、その歓迎式典に出かけたイタリア市民の「特別な一日」と、ファシスト党員の夫と6人の子どもを持ち日々家事に追われる専業主婦の「特別な一日」と、孤独な反ファシストで今晩党に連行されることが決まっている男の「特別な」そして「最後の一日」が描かれる。
 ソフィア・ローレンが気だるい仕草で家族を起こしてまわるところ、破れたストッキング、トイレから出た後妻の服で手を拭く夫、逃げた九官鳥がアパートの中庭を飛び回る時のカメラワーク、エスプレッソを淹れるソフィア・ローレン、本に興味を示したソフィア・ローレンにマストロヤンニが「三銃士」をあげるシーン、ラジオから流れる歓迎式典の実況中継、ムッソリーニのスクラップブック、髭の生えたオバサン管理人、屋上のはためく洗濯物、マストロヤンニのオムレツ、ソフィア・ローレンが窓辺で「三銃士」を朗読している間静かに連行されていくマストロヤンニ。
 小品だけど、完璧。細部描写が豊かなところが何よりも素晴らしい。ラストでソフィア・ローレンが部屋中の電気を消すシーンは、「特別な一日」が終わった後でもまだめんめんと続いていく日々があることを実感させて、胸がつまる。

・購入物:エットーレ・スコラ「特別な一日」(レントラックジャパン)

・朝食:ズッキーニとベーコンの炒め物、冷奴、トマト、キュウリのゴマ酢和え、ごはん
 昼食:お弁当(朝ご飯とほぼいっしょ)
 夕食:鯖の塩焼き、茄子とピーマンの煮びたし、キュウリのゴマ酢和え、レタスと玉ねぎのスープ、ごはん、麦酒


2004年07月28日(水) 向こう側で会いましょう

 今日からまた、無事復活した愛車で出勤。しっかり整備してもらったので随分走りやすくなった。真夏のコンクリートの上を自転車で走るのはかなりこたえるけれど、通勤ラッシュにもまれるよりはよっぽどマシなのだ、私にとっては。

 仕事はわりとヒマで、平穏な一日。某社に打ち合わせに出かけていたNさんが、またお菓子をもらって帰ってきてくれた。Nさんは某社に出かけるたび、いつも何かもらってくる。仕事に行っているのか何かをせびりに行っているのかよくわからない。
 今日のお菓子は六花亭のマルセイバターサンド。バタークッキーにレーズン入りのホワイトチョコがサンドしてあるやつ。私は一口食べてギブアップしたけれど、みんなおいしいおいしいと言って感激していた。大多数の人が美味しいと感じるものを、私はなぜ一口しか食べられないのであろう。

 髪がボサボサになってきたので切りに行った。予約の時間まで古本屋さんなどに寄って時間をつぶす。久しぶりに矢野書房に行ったら、模様替えされたようで棚の様子が変わっており、何かあるかも何かあるかも、とドキドキした。まあ、特にこれと言ってなかったんだけど。
 近所の本屋さんでめでたく山上たつひこのマンガを見つけた。よかった。
 髪を切ってもらう間、最近引越したという美容師の話を聞く。引っ越した理由は住んでいたマンションに幽霊が出て困ったからで、何でもクローゼットの戸がひとりでに開いたり閉まったり、3階なのに窓から手が出てきたり、枕元にバンダナを巻いた骸骨が出てきて歯をガチガチ鳴らしたりするからなんだって!バンダナを巻いた骸骨とは、なかなかファンキーで楽しそうだけどなあ。そんなアホな話に気を取られている間に、かなり髪を短くされてしまった。うーん。

 本日、というかここ数日で読んだもの。斉藤貴男「安心のファシズム」、ゴーゴリ「外套」「鼻」、庄野潤三「クロッカスの花」、それから「映像のポエジア」をポツポツと。
 夜は小津安二郎の「風の中の牝鶏」をビデオで観た。夫の復員を待つ間、子どもの入院費を工面するためたった一度だけ身体を売ってしまった妻。それをどうしても許せない夫の右往左往と妻の苦悩を描いた、辛気くさい映画。小津らしくなくてなかなか面白い撮り方ではあるが、最後のセリフは説明的すぎるのでない方がよかったのでは。葉加瀬太郎みたいな佐野周二が見られます。 

・購入物:山上たつひこ「喜劇新思想大系・上」(フリースタイル)

・朝食:トマト、キュウリ、蒸鶏、ゆで卵、レタスをのせた冷やし中華
 昼食:クロワッサン、ツナサンド、珈琲 
 夕食:外食、近所のラーメン屋で(とんこつラーメン、餃子5個、麦酒)


2004年07月27日(火) 青空が目にしみる

 午前6時起床。空は晴れ。風邪も治ったし、今日も元気に働くぞ。
 朝ご飯の支度。昨日野菜の宅配でまたキュウリが大量に入っていたので、今週もまたキュウリ三昧だ。いくら豊作だといってもこうキュウリばっかり届くのは何とかならんのか、ウチは河童が住んでると思われてるんじゃないだろうか。

 帰り道、通りがかりの本屋へチョコチョコと寄り道しながら自転車を走らせる。こないだから探している山上たつひこの漫画がなかなか見つからず、今日もどこの店にもなかった。
 一旦家に帰ってから、パンクしたままずっと放置していた自分の自転車をやっとこさ修理に持って行く。チューブの取替えと、ベルの付け替え、整備で3500円ほどかかった。松本竣介の図録と同じ値段だ。自転車屋のおじさんは、この自転車かなり草臥れてんなあ、すごい酷使しとるやろう、と言われる。そりゃあ地下鉄で片道40分近くかかる道を毎日往復してるんだから、酷使してるということになるのかもしれない。1ヶ月近くもほったらかしにして悪かったな、もう少し大事にしようと反省する。

 中島らもが亡くなった。
 私にとって中島らもは「ラジオの人」だった。中島らもが出てきて喋るラジオ番組は何でもかんでも無条件で大好きだった。中でもずっと昔、FM大阪かどこかで夜中にやっていた、番組名ももう思い出せないのだけれど、酒の入ったらもさんが例の調子でユルユルと語り続ける(そして時には寝てしまう)、もうこれ以上ないというくらいに心落ち着き和む番組があって、それは本当に楽しみでよく聴いていた。例えば、真夜中に大阪から京都へ向かう車の中とか、部屋で珈琲を淹れて本を読みながらとか、大抵それを聴く時は一人で、あんまり楽しい状況じゃなかったことが多かったけれど、らもさんが何かワケのワカラン文献を朗読したりするのを聴いていると、この世で起こることなんかどうせ大したことじゃないよねえ、というような、大らかな気分になれた。それはとても楽チンで痛快な気分だった。
 中島らもの本は数冊しか読んだことがないけれど、山田風太郎とかセリーヌとか、らもさんのお陰で読むようになって好きになった作家もたくさんいて、そのことにも感謝しています。
 ああー、好きな人がいなくなるのは本当にショックだなあ。この圧倒的な喪失感にどのように対応していけばいいのか、いくつになっても私にはわからない。

・購入物:なし

・朝食:トースト、目玉焼き、キュウリとトマト、珈琲
 昼食:「大巳」で買ってきた鰻弁当
 夕食:豚ヒレカツ、茄子の煮びたし、レタスとキュウリのサラダ、大根ゴボウ人参コンニャク入りの豚汁、麦酒、ごはん


2004年07月26日(月) あまく危険な香り

 朝から大粒の雨が降った月曜日。今朝の音楽はピエロ・ピッチオーニの追悼ということで「コーザ・ノストラ」のサントラをかける。
 出掛ける時間になっても雨が止まぬので、今日は地下鉄出勤。途中、資料を届けるため取引先に寄り、少し世間話をしてから外に出たら快晴になっていた。そのせいかどうかわからんけれど、京阪電車に傘を忘れてしまった。会社に戻ってから気づいて淀屋橋駅に電話をしてみたらそれらしいものを預かっているとのこと、帰りに取りにいくことにする。

 駅事務所で無事傘を受け取って、駅の出口のところで久しぶりに「ビッグイシュー」を買った。買いそびれていたバックナンバーも、と思ったけれど小銭を切らしていたのでまた今度ということにする。キレイな夕暮れの中、雨傘をぶら下げてテコテコと堂島まで歩き、ジュンク堂へ。文庫と新書と雑誌を一冊づつ買って、「波」と「本の旅人」をもらう。
 カーヴァー全集の最終巻を買うか買うまいか散々迷ったのだけれど、コレに3000円出すくらいならいっそのことアレに3500円出そう、という結論に立ち至り、急ぎ足で閉店ギリギリの老松町の古本屋さんへ駆け込んで、松本竣介の図録を買った。店のおじさんによると、この本は収録点数もかなり多いし解説も丁寧で、古書店でもなかなか見つからない貴重なものらしい。大切にします、と言って帰ってくる。カバンがずっしり重くなったけれど、これは幸福の重さだ。
 また梅田まで引き返し、第3ビルの古本屋さんで田村隆一の文庫を2冊、タワーでオリジナル・ラブのシングルを買って、ホクホク気分でバスににて帰宅した。愉悦の買物。

 夜は、ますます粘っこさに磨きがかかってきたオリジナルラブを聴いて、オマケについてきたDVDも見て、買ってきた本を無心に読んだ。「暮しの手帖」に載っていた東松照明の写真を見て、また本棚の整理がしたくなったりした。

・購入物:「ビッグイシュー」第10号
     「暮しの手帖」第11号・夏(暮しの手帖社)
     斉藤貴男「安心のファシズム」(岩波新書)
     アルベール・カミュ「幸福な死」(新潮文庫)
     田村隆一「殺人は面白い」(徳間文庫)「小さな島からの手紙」(集英社文庫)古書
     「松本竣介展」図録(1986年・東京国立美術館)これも古書
     オリジナルラブ「沈黙の薔薇」(PONY CANYON)

・朝食:ごはん、ゴボウと人参のキンピラ、タマネギの味噌汁、キュウリの浅漬け
 昼食:ツナとトマトのバケットサンドイッチ、珈琲
 夕食:肉じゃが、オクラのカツオ和え、モロヘイヤのスープ、ゴボウと人参のキンピラ、キュウリとシソのサラダ、麦酒、ごはん


2004年07月25日(日) 些細なことが私たちを慰める

 午前8時起床。昨日は一日中遊んでしまったから、今日は家にこもってしっかり掃除でもしよう、と思いつつ、先ずは腹ごしらえだ、と朝ご飯の支度。ガル・コスタを聴きながらゴボウのササガキを始めたら止められず、太いゴボウを3本分全部ササガキにし尽くしてしまった。結果、大量のキンピラを作ることに。これにおからの煮物もこさえていたら、えらく時間がかかってしまった。

 メシが終われば、少々念入りに掃除。台所の床を拭いていたら隅の方に小さいゴキブリを発見、すぐさま退治する。ゴキブリは体中から何かわけのわからん液を出しながらもまだウジャウジャと足を動かしていて、その生命力は全く大したものだ。すごいすごい。
 昼すぎになって洗濯を始めた頃から雷がゴロゴロ鳴り出して、洗濯物を干そうとしたらザアザア雨が降ってきたので、雨が止むまで本棚の整理に勤しんだ。岩波文庫を赤と青と緑と白に分けてそれを番号順に並べるという、暇で暇でもう私何していいかわかんない!ってな時にやろうと思っていたことをついにやってみる。バッチリキレイに並んだところで、ちょうど夕立が止んだ。

 夜、ビデオでトリュフォーの「黒衣の花嫁」を観る。結婚式の日に婚約者を殺されたジャンヌ・モロー扮する花嫁がその事件に関係した男達を捜し当て、順々に復讐していく、という、“地味な「キル・ビル」”みたいな映画。標的の名を手帖にリストアップして、終わったものから線を引いて消していく、というところも同じだ。ただやり方が地味なだけで。
 ジャンヌ・モローのための映画には違いないんだけれど、ここでのジャンヌ・モローはいつも「への字口」で、ムスッとしてて、無愛想で、ああ確かに何か人生に不満そうなこんなオバチャンいるいる、と感心はすれども決して美しいとは言えないと思うんだけれど、トリュフォーはそれでいいのかしら。

・購入物:なし

・朝食:ゴボウと人参のキンピラ、卯の花の煮物、トマト、キュウリの浅漬、ごはん、ほうじ茶
 昼食:チーズとソーセージのパン、麦酒
 夕食:豚の生姜焼き、ゴマ豆腐、ゴボウと人参のキンピラ、卯の花の煮物、玉ねぎの味噌汁、ごはん、麦酒


2004年07月24日(土) 土と線香の匂い

 というわけで、友人Kと高野山へ行った。

 吹田から近畿自動車道に乗って、ひたすら南へ。行きはKが運転してくれた。Kは昨日とはうって変わって大変元気で、ただそのように振る舞っているだけなのかもしれないけれど、電話で散々こぼしていた愚痴のことなどはすっかり忘れたように見えた。そして、おにぎりじゃなくてサンドイッチがよかったよ、などと、私の作ってきたお弁当に文句をつけたりした。
 土曜日のせいか道は案外空いていて、昼前には高野山近辺にたどり着くことが出来た。駐車場に車を止めて、ただ思いつきでやって来ただけでこの辺りの様子は二人とも全くわかってないのだけれども、とにかくココへ行けばいいだろうということで、奥の院にお参りすることにする。

 気温は24度。歩いていてもそんなに汗はでてこない。空は曇が多くて日差しを遮ってくれていて、それがとてもありがたかった。風もそよそよと気持ちよく、奥の院ではなんともうヒグラシが鳴いていて、まるで夏の終わりのようだった。
 ゆっくり歩いて、豊臣秀吉や織田信長の墓を眺める。神社仏閣を焼き討ちした織田信長の墓がこの奥の院にあるとは考えられていなかったのだが、数十年前に山の上に埋もれているのが発見されたのだ、と団体客を引率していた案内人が説明しているのを立ち聞きしてきたKが言っていた。
 お参りをすませて一周して戻ってきたら、Kは3カ所、私は2カ所、蚊にかまれていた。

 その後、金剛峰寺へお参りし、せっかく高野山まで来たのだからと、通りかかった宿坊で精進料理を食べた。高野豆腐の煮物や野菜の天ぷら、おすまし、など。いつも家で作っている献立みたいで、特に目新しさはない。
 しかししかし、ここで給仕をしてくれた若き僧侶が私好みのスッとした男前で、料理はまあともかく、本当に来て良かった。このトキメキをKに伝えてみたところ、アンタ昔永平寺に行った時もそんなようなこと言うてたでえ、と呆れられる。そうだったかな、私は坊主に弱いのか?
 料理をいただいている間中、何とかアレをモノにする方法はないものかとあれこれ頭をめぐらせては見たものの妙案は思い浮かばず、そのままスゴスゴと引き上げてきてしまった。最近こういうことにも、とんと良い知恵が浮かばぬようになってしまった。イカンなあ。
 煩悩を払ってもらおうと高野山くんだりまでやって来たものの、寺で坊主にクラクラしているなんて、まだまだ頭の上から足の先までどっぷり煩悩に浸かっているようだ。

 お土産にゴマ豆腐を買って山を降りる。帰りは私が運転し、行きとは少しルートを変えて泉佐野を通って帰る。帰りの車の中では私が持参してきたスカタライツのCDをずっと聴いていた。
 途中で岸和田のインターに寄り泉州の水茄子の漬物を購入し、車の中でもパクつけるように高菜と梅干しの入った「めはり寿司」を買って、一路大阪に戻ってきた。帰りも渋滞なく順調に走れ、ビールが飲めないのが残念ではあったが、なかなか楽しいドライブであった。 

 夜はテレビでサッカーを見ていたのだが、早起きがきいたのかさすがに眠く、試合の途中で何度も居眠りし、ほとんど満足に見られなかった。試合終了後、日記を書いて入浴、本格的に就寝。

・購入物:なし

・朝食:お弁当(梅、しそ、カツオ、昆布のおにぎりいくつか、卵焼き、ベーコンとほうれん草のソテー、トマト、キュウリのサラダ、麦茶)
 昼食:精進料理(野菜の天ぷら、高野豆腐の煮物、ゴマ豆腐、おすまし、漬物、ごはん)
 夕食:車の中で(めはり寿司2個)
    家に帰ってきてから、鮭茶漬け


2004年07月23日(金) チープスリル

 依然として体調すぐれず、どうもパッとしない。今日はレイトショウで「ハナのアフガンノート」を観に行くつもりにしていたけれど、仕事が終わってみればなんだかへとへとのよろよろで、そのまま帰って来てしまった。そういえば今日の仕事でも、一つか二つか三つか四つ、気持ちがしんどくなるようなことがあったんだった。でももう今は(土曜日の午後11時半現在)、そのことについて書く気も起こらない。

 家に帰っても何もする気がせず、暮れなずむ部屋の真ん中でボーッと洗濯物をたたむ。この自分を客観的に見た場合、まるで子供の非行に悩む更年期間近の主婦のようだなあ、と思ったりした。

 やる気なくゴーヤをいじっているところへ友人より暗い声で電話あり。景気の悪い話を散々聞かされて、少々辟易とする。しかし私なりにもいろいろと思うところがあり、話しているうちお互い鬱々とした気分が妙に盛り上がってきて、ちょっと二人して旅に出ようか、ということになり、自分達ではどうしようもないこの煩悩を弘法大師にふり払ってもらおうと、どういうわけか明日高野山にいくことになってしまった。友人はイヤに張り切りだし、私は車を出すからアンタは何でもいいから弁当を作れ、と命令し、明日の朝7時前には車で迎えに行くからねえ!、と言い残して電話を切ったので、明朝は午前5時には起きなくちゃ。早よ寝よ。って、なんでこんなことになったんだろうか。

 早く寝ようと思いつつ、ついだらだらと「贋・久坂葉子伝」を読み進めてしまう。

・購入物:なし

・朝食:トースト、プレーンオムレツ、ソーセージ炒め、珈琲
 昼食:お弁当(梅おにぎり、卵焼き、ボイルソーセージ)
    要するに、朝食メニューを和食にアレンジしただけの手抜き
 夕食:ゴーヤチャンプルー、冬瓜と鶏団子のスープ、冷奴、キュウリサラダ、ご飯


2004年07月22日(木) 買物は愉し

 不覚にも完全に夏風邪をひいてしまったわたくし。喉が痛くて痛くてたまらんので、朝、会社近くのドラッグストアでイソジンと喉飴を購入する。
 風邪の時はこれとこれが効きますよ、とサプリメントおたくのIちゃんが何やら錠剤をくれた。ありがたいことだ。

 帰りに、日用品の買物をするべくロフトへ。お米を研ぐボウルが欲しかったのだがいいものがなく、結局骨董品の「庵」で猫柄の染め付けがしてある蕎麦猪口にひとめぼれをして、全然予定外のそれを買った。こないだ蕎麦猪口をひとつ割ってしまったので、そのかわりにするつもり。
 テアトルで映画のチラシをもらって、かっぱ横丁を通って帰ることにする。今日のところは素通りするだけのつもりだったのに、ついいつもの癖でふらふらと吸い寄せられてしまい、品出し中の店のおばちゃんが目の前にドサッとおいた文庫本の中から、富士正晴が久坂葉子について書いた本をみつけて、前々から読みたかったことでもあるしこれは運命かもと思い、少々高かったけれども迷わず買った。
 今日の買物は衝動買いばかりだったけれど、妙に充実した気分だ。
 その後、旭屋へ行って「青春と読書」をもらう。「本の話」はないのかなーと思っていたら、私の横に立っていた眼鏡のおじさんが「『本の話』はありませんか」と聞いてくれた。もう配り終わりました、と店員さんのお答えに、眼鏡おじさんも私もガックリ。「本の話」はどうやら人気があるようだなあ、なんでだろ。
 旭屋のPR誌のコーナーでPR誌を漁っているのはだいたい定年間近のおじさんからおじいさんばかりで、私のライバルはどうやらこの年代層のようだ。
 「クウネル」を立ち読みして帰る。私も丁寧にお弁当をつくるようにしよう、とこの雑誌を立ち読みするといつも思う。

 今日の晩ご飯は、クーラーのない部屋でキムチ鍋を食べた。地獄絵巻のような光景が繰り広げられた。暑い時には熱いものを食べろと言うけれど、まあ何でも物事には限度というものがあるですね。

・購入物:富士正晴「贋・久坂葉子伝」(ちくま文庫)古書

・朝食:ごはん、梅干、冷奴、キュウリの漬物、麦茶
 昼食:野菜サンドイッチ、珈琲
 夕食:キムチ鍋(うどん入り)、麦酒


2004年07月21日(水) 眉はいつも八の字で

 朝起きたら、喉が痛くなっていた。エアコンをドライに設定していたのがまずかったのかも。何となく身体もダルくて、不調な一日であった。
 
 昼休み、今日は土用の丑の日だ、と皆は連れ立って鰻を食べに行ったのだけれど、私はどうもそんな気分になれなくて一人でドトールへ行き、図書館から借りた小山清の「日々の麺麹」を全部読んでしまった。小山清の小説を読むと何だかわからないけれど、そうだそうだ私も額に汗して働こう、という気持ちになる。そのようなことはどこにも書いていないのに、一生貧乏でもいいからとにかくまっすぐ実直に生きてみたい、というような明るい希望のようなものがわいてくるのだ、不思議と。

 午後からかなり強い夕立があった。これで少しは涼しくなるだろうか。
 外出しようとしていたNさんが、こんな降り方では傘をさしていてもぬれてしまう、と言って出かけるのを渋り窓から外を見ながら、なあなあこの雨何時止むの?もうすぐ止む?、としつこく聞いてくるのだけれど、私は石原良純じゃないからそんなことには答えられない。結局Nさんは、ああ約束の時間に遅れる、と一番どしゃ降りの時に飛び出して行ったが、雨はそのすぐ後に小降りになった。タイミングを図るということは、どんなことにおいても難しいものだ。

 体調不良のため、どこにも寄り道せずまっすぐ帰宅。今日こそ自分の自転車をパンク修理に持っていこうと思っていたのだが、面倒くさくなって果たせず。晩ご飯を作って食べ、お風呂に入り、少しだけテレビを観たらあまりにくだらないのですぐに消し、少し本を読んでグウと寝てしまった。

・購入物:なし

・朝食:焼きとうもろこし、冷やしトマト、バナナ、珈琲
 昼食:ドトールで(ジャーマンドッグ、珈琲)
 夕食:エビフライ、ピーマンと玉ねぎのフライ、キュウリとカニ身の酢の物、冷奴、枝豆ごはん、麦酒


2004年07月20日(火) もしこぼれ落ちてしまったら

 午前7時起床。目覚まし時計を止めて、1時間も寝てしまった。時間がないのにこんなことしてる場合かなあ、と思いつつ、お弁当を作って朝ご飯のために蕎麦を茹でる。おかげで洗濯が出来なかった。
 通勤途中、集団登校中の小学生達と一緒になった。今日が終業式だとか言っていた。まあ、なんてうらやましい。

 会社に行ったら衝撃の知らせが。来月から読売新聞を購読するのを止めるんだって。キャー、大ショック。町田康の「告白」が読めなくなってしまうではないか。これが会社へ行く唯一の楽しみだったんだけどなあ。町田康の連載以外は特に読むべきところの少ない紙面ではあるが、毎日届いていたものが届かなくなってしまうのは何だか寂しいものだ。
 
 本日読んだもの。
 庄野潤三「夕べの雲」。子どもの夏休みの宿題を手伝うところとか、梨を買う場面とかを読んでいると、心がほのぼのする。家族の風景ってこんなだったなあ、と思って静かな気持ちになる。
 それから「ウフ」と「ミュゼ」。「ウフ」での一番の楽しみは、柴崎由香の「フルタイム・ライフ」を読むこと。ゆるやかで優しく、寂しくてちょっと懐かしい感じのする小説で、とても良いと思う。
 
・購入物:なし

・朝食:冷やしとろろそば、キュウリの漬物、麦茶
 昼食:お弁当(枝豆、ピーマンのキンピラ、ほうれん草のおひたし、卵焼き、ごはん)
 夕食:トマトと卵とひき肉の炒め物、ズッキーニのぽん酢かけ、水菜のゴマ和え、キュウリの漬物、ごはん、麦酒


2004年07月19日(月) 遠くの光は鮮やかに見える

 午前8時頃、のそのそと起床。寝ぼけ眼でとにかくゴミ出しをしてから、洗濯機をまわして、そうめんを茹でる。このところそうめんとか冷やしうどんばっかり食べているのはもちろん暑いからでもあるのだが、それよりも先日ろくに分量も量らずに作って偶然出来た干し椎茸入りのそうめんつゆが劇的に美味しくて、これにやみつきになっているからなのだ。大根おろしを入れると更に旨いです。

 朝のうちに掃除をしておこうとやる気なくゆるゆると始めるも途中で飽きてしまい、上沼恵美子が凄まじい勢いで喋っているラジオ番組を聴きながら、日記を書いたり、本棚の整理をしたり。そうこうしているうちに宅配野菜が届いたので、それを冷蔵庫に収めてからバスで梅田まで外出、遅めの昼食をとることにする。
 何故か急に、半分潰れかけのような暗い雰囲気の喫茶店で一口食べたらすぐ冷凍とわかる不味いピラフが食べたくなって、梅田周辺をうろうろしてみたのだけど、どこもかしこも小奇麗なカフェもどきになってしまっていて、私が入りたいような場末の喫茶店は見あたらなかった。仕方ないので新御堂筋沿いのカフェに入ってピラフを注文してみたら、サラダとスープがついた上にふわふわ卵にプリプリ海老が入ったえらくまともなものが出てきて、何だか少しがっかりした。

 それから、テアトル梅田で「午後の五時」を観た。観客は数人。何となくタイトルが好きで観たくなったのだが、やっぱり心に重い映画であった。
 『アフガニスタンの大統領になる!』というヒロインの夢が、かっこよくて壮大で希望に満ちているだけに、水を汲み出すことにさえ苦心せねばならない現実が、ずっしり押し付けられてきて苦しくなる。夢を語っているときは恍惚とさえしてる眼差しが、廃墟の中で飢えて息絶えていく赤ん坊を見つめる時、その赤ん坊と同時に死んでいくのだ。それを見ているのは本当に辛い。辛いけどちゃんと見てよ!、というのがあの気の強そうなサミラ・マフマルバフのメッセージかな、と思ったりした。
 幾度となく出てくるシーンに、ヒロインであるノクレが普段履いている黒い汚い靴を脱ぎ捨てて白いパンプスに履き替え、サッとブルカをまくって歩き出すところがあって、この映画の中ではそこが一番好きだ。

 本日読んだもの。小山清「スペエドの兵士」「麻雀」「ゴタ派」「啓吉」「紙幣の話」。上司小剣「天満宮」。小山清は実に良いです。小説のいたるところに光がさしているような気がする。

・購入物:なし

・朝食:そうめん、キュウリの浅漬け、大根のあっさり漬け、麦茶
 昼食:D・cafeで(海老ピラフ、サラダ、スープ)
 夕食:冷やしトマト、枝豆、中華風冷奴、ゆでチンゲン菜、麦酒


2004年07月18日(日) 祭りのあと

 チケットをもらったので、京都国立近代美術館に「横山大観展」を観に行った。美術館にいる時と、高島屋で買い物をしている間に、かなり強い雨が降ったらしく、夕方に鴨川沿いを歩いているとなかなか爽やかな風が吹いてきたけれど、日中はうだるような暑さでほとほと疲れてしまった。

 「横山大観展」は思っていたより空いていて、ゆっくり観ることができた。私は横山大観の絵の素晴らしさというのがよくわからなくて、特に人物を描いたものなどは、何だか趣味が悪いような感じさえする。「夜桜」にしても山の稜線にベタベタ色を塗りつけてあるのがどうも気になって、この人いっそのこと、色を使わないほうがいいんじゃないのかなあ、とも思う。まあ、大巨匠にアドバイスしたところでしょうがないんだけど。
 一番好きなのはチラシに使われていた「漁夫」。切り立った崖で釣りをしている人達が楽しそう。ただ単に墨画が好きだということなんだ。所謂、趣味の問題だ。横山大観に罪はない。

 岡崎公園近くの「権太呂」でおそばを食べて、岡崎から南禅寺あたりまで散歩。平安神宮の鳥居はどういうわけか工事中で、観光中の西洋人が悔しがっていた。
 四条に戻り「江戸川」で鰻を買ってそれをお土産に実家へ帰るも、両親、弟ともみなそれぞれバラバラのところに出かけていて留守だった。冷蔵庫に入っていたスイカを勝手に切って食べ、鰻だけ置いて大阪に帰った。

 本日読んだもの。
 野呂邦暢「草のつるぎ」、上林暁「薔薇盗人」、上司小剣「鱧の皮」、岩野泡鳴「現代将来の小説的発想を一新すべき僕の描写論」。
 上司小剣の「鱧の皮」は良かった。この人をもっと追っかけなければならない。岩野泡鳴のやたらと長い題名の評論は、途中でわけがわからなくなって止めちゃった。ややこしくて読んでいるだけで暑苦しいわ。

・購入物:なし

・朝食:卵焼き、冷奴、海苔、梅干し、ごはん、麦茶
 昼食:外食、権太呂にて(にしんそば)
 夕食:鰻、カボチャの味噌汁、レタスとキュウリのレモンサラダ、大根のあっさり漬け、麦酒


2004年07月17日(土) またいつかどこかで

 午前7時起床。「ウィークエンドサンシャイン」を聴く。今日は「ラスタファイ特集」ということで、前々から楽しみにしていた。いろいろと勉強になったけれど、途中うどんを茹でたり、カーディガンを手洗いしたりしている時、少し聞き逃した部分があり、また後から録音したMDをチェックしよう。と大抵は思うのだけれど、実際にチェックした試しがない。

 洗濯その他、家事を簡単にすませて昼前に絵本の会へ。東西の通りに影が全然なく(特に長堀通りがすごい)、カンカン照りで、おそろしいことに何だか日焼けしてしまったようだ。
 会は特に問題なく、滞りなく終了。今日はどういうわけか子ども達が10人くらいしか集まらず、妙にひっそりしたおたのしみ会になった。
 一年くらい前から毎回来てくれている常連の男の子と少し話す。来年の春には小学校に入学するというその男の子は、初めて会った時から比べると背も伸びたし、言葉遣いもはっきりしてきて、随分大きくなったなあと思う。小学生になっても毎週来るね、5年になっても6年になっても来るね、などと嬉しいことを言ってくれちゃって、私は感激してしまったのだけれど、いつかはもっと別のことが楽しくなって、忙しくなって、やがては必ず来なくなるようになる、それも多分「成長」ということなのだろう。でも例えば今日読んだ本や紙芝居や歌った歌のことが幼い頃の幸福な記憶としてあの男の子のどこかに残り、大人になってからも何かのきっかけで思い出してくれることがあるなら、それに勝る喜びはない、と思った。

 堂島までマウンテンバイクで移動、遅い昼ご飯をとってから、ジュンク堂へ。テオ・アンゲロプロスのシナリオ全集とか、四方田犬彦監修の吉田喜重の論考集とか、小沼丹の全集とか、いろいろと気になる本があれども見送り。特に小沼丹全集は何年後かに全巻揃の新品同様を定価の半額(ここ重要)で古本屋さんにて手に入れることができるはず、という何の根拠もない自信があるので、今は買わない。
 天神橋筋の八百屋さんで買い物。明日明後日と連休されるそうで、売りつくしセールをやっていた。うれしさのあまり、モロヘイヤ、ほうれん草、茄子、トマト、ししとう、大葉など大量購入するに至る。

 帰ってひと休みしてから、「世界の快適音楽セレクション」を聴きながらごはん作り。今日は「叔父(伯父)と叔母(伯母)の音楽」。全くすごい切り口だ。
 夜は上林暁の「白い屋形船」、島村利正の「青い雉」を読む。 

・購入物:佐伯順子編「一葉語録」(岩波現代文庫)

・朝食:冷やしうどん(今日はすだちを絞った。美味)、ネギ入り卵焼き、ジャガイモの醤油煮、麦茶
 昼食:ロンドンティルームにて(ツナとグリーンリーフのサンドイッチ、アイスロイヤルミルクティ)
 夕食:茄子のそぼろ炒め、キュウリとタコの酢の物、モロヘイヤのおひたし、ジャガイモの醤油煮、ごはん、麦酒


2004年07月16日(金) 処方箋をください

 やっと金曜日。今週は3連休であることをすっかり忘れていて、何か得した気分だ。歯の痛いのも治ったし。本当に治ったのかどうかわからないけど、今はもう痛くないんだからこれでいいのだ。物事は深く考えない。

 今日もくそ暑い。ジーンズにガーゼ素材のシャツを羽織ってコットンのバッグをぶら下げて会社に行ったら、朝エレベータのところで出くわしたNさんに、アンタ今から泳ぎにいくような格好やなあ、と言われ、働く意欲があまりにも感じられなさ過ぎるのではないかと、何かクドクドとファッションアドバイスされたので、はあはあいかにもごもっともごもっとも、というような顔をして聞いておいた。
 午後からは自分の乗ってきたマウンテンバイクで心斎橋方面まで打ち合わせに行く。御堂筋は木陰がいっぱいで快適だ。緑があるだけで街の温度は随分下がるものだ。帰り道、淀屋橋のところで日傘をさして歩いているNさんと会って、立ち乗りで良かったら後ろに乗ってください、と言ってみたのだが、そんな恥ずかしいことできないよ、と断られた。遠慮しなくてもいいのに。私たちは普段、立ち乗りなんかよりもっと恥ずかしいことをしているのになあ、と思うけれど、もちろんそんなことは言わない。

 仕事が終わってから、イーマのバーゲンでタンクトップとシャツを買った。それからタワーに行って、どれを買うか散々迷った末、ビョークの「ヴェスパタイン・ライブ」を、たまっていたポイントを使って買った。
 帰り際に旭屋で「草思」と「ウフ」をもらい、ブックファーストの喫茶店で上林暁の「野」を読んでから家に帰った。

 夜はもらってきた「草思」を熟読。定塚甫「人格障害」という本を、近いうちにどこかでチェックせねばなるまい。蚊取り線香をたいて就寝。

・購入物:Bjork「Vespertine Live」
    
・朝食:焼きそばパン、珈琲、りんご
 昼食:読売新聞社近くの街角で購入したお弁当。中身はチンジャオロース、春雨のサラダ、かぼちゃのグラタン(グラタンになどせずともそのまま煮ておけばいいのに)、コンニャクに明太子をまぶしたやつ、ソーセージ、ごはん。他にもあったような気がするけどもう忘れちゃった。割と予想外に美味しかった。
 夕食:外食、ホワイティの中華料理屋さんで(八宝菜定食)


2004年07月15日(木) 人生は酔ってまた酔うだけのこと

 朝ご飯の時、固いフランスパンをガシッと噛んだら、左奥歯に鈍い痛みが走った。信じたくない、気のせいだと思いたいが、何か今も痛いのだ。歯医者に限らず、医者には極力行きたくないので、何とかこのまま色んなことに紛れてごまかしてしまいたい。絶対ごまかす。
 今日も蝉がシーワカシーワカ鳴いていました。ちょっとうるさいよ。

 仕事で中津に出かけた帰りに、チロリとかっぱ横町の古本屋さんへ。上林暁の「武蔵野」を発見、今まで目にした中で最も安い500円。すぐさま購入。おまけにその横にあった野田宇太郎の「東京文学散歩」も合わせて購入。これはシミだらけで汚いといえば汚いけれど、昭和28年の発売なのでやむおえないということにしておこう。この「東京文学散歩」はペラペラめくっただけでもとても興味深く、私には何年か前にはしょっちゅう東京へ行っていた一時期があり、あの頃にこの本の存在を知っていればもっと東京散策が楽しめたのになあ、と思うと残念である。

 よろよろと帰宅、テレビでやってた「刑事コロンボ」を少し観る。犯人さん、事の経緯をいくらなんでもペラペラペラペラ喋りすぎ。あんなに喋ったら、わたしが犯人ですねん、て言うているようなもんだよ。

 上林暁の文章を読んでいたら、すっかり目が冴え冴えとしてしまった。平明で端正でオーソドックスで、一見なんの変哲もないんだけれど、ずっと読んでいくとその佇まいの正しさにするすると引き込まれていってしまうのだ。素晴らしい。
 素晴らしいと言えば、昨日から持ち歩いてずっと読んでいるアブー・ヌワースの詩も本当に良い。この詩を一編ずつ読みながらお酒をちびちび飲みたいと心から思う。

・購入物:上林暁「武蔵野」(現代教養文庫)
     野田宇太郎「新東京文学散歩・増補改訂版」
          「新東京文学散歩・続編」(角川文庫)いずれも古書

・朝食:バケット、オムレツ、珈琲、バナナ
 昼食:福寿司のウナギ押し寿司
 夕食:冷やしうどん(自家製だしにレモンをギュウギュウ絞り、ネギとみょうがをたっぷり入れて食べる。絶品です)、ネギとジャコのチャーハン、カボチャの煮付け、たたきキュウリ、麦酒


2004年07月14日(水) 君の歓心を買うことはしない

 朝から耳を劈く蝉の声。とにかく暑くて、このところ少々バテ気味だ。

 夏バテ解消にはお買物を、ということで、夕方ふらりふらりと老松町をお散歩。打ち水がしてある店先で骨董品などを眺めて涼をとる。骨董など眺めていてもどうも現実感がないので、絵画やその周辺の本ばかりを置いている古本屋さんへ行ってみた。
 客が一人入ればいっぱいの狭い店なんだけど、図録や画集を探すなら絶対ここ、というくらい充実していて、積み上げてある本の背表紙を見るだけでも楽しい。おまけに店のおじさんがものすごく良い人だし。今日は、松本竣介の図録を2冊、画集を1冊、倉庫から出してきてもらう。画集は定価が3万円もするのでとても買えないが、86年にどこだかの美術館でおこなわれた「松本竣介展」の図録は状態も良くて是非欲しいと思ったけれど、これさえも予算オーバーで、今日のところは止めておいた。そのかわり、ちょっと気になる図録を2冊、ごくごく安くで買った。
 帰り際、隅の方に値段のついていない野見山暁治の美しい図録を発見したのだが、あーごめんそれは店用やねん、と言われて売ってもらえず残念であった。

 その後、旭屋へ。岩波文庫を一冊購入の後、いろいろ立ち読み。今月河出文庫から出たコミさんの本は、野見山暁治の装丁だったら絶対買ったのになあ、とこれまた至極残念。吉行淳之介の妻が書いた「淳之介さんのこと」をペラペラめくって、吹けば飛ぶよな弱々しい、若かりし頃の吉行淳之介の写真を眺める。PR誌「遊歩人」「未来」「UP」の3冊もらう。「UP」にはペドロ・コスタと蓮實重彦の長い対談が掲載されていて、これを読むのが何とも楽しみだ。

 さんざんうろうろして帰宅。夜は「アラブ飲酒詩選」を読んで、しみじみ感動した。

・購入物:アブー・ヌワース「アラブ飲酒詩選」(岩波文庫)
     「京都の100年、パリの100年」
     イエルク・ミュラー「うつろいゆく街」ともに図録で古書

・朝食:クッペ、バナナ、リンゴ、珈琲
 昼食:月見そば
 夕食:外食、船場カリー(すじねぎカレー)


2004年07月13日(火) 欲張ってはいけません

 午前6時起床。今日にも梅雨明けするとかしないとかラジオで言っている。ニュースだけ聞いたらラジオは消して、久しぶりにリンダ・ルイスの「ラーク」を聴く。そう言えば昔、この人のブルーノートでのライブに行ったことがあるんだった。最近姿を見ないようだけど、元気なんだろうか。
 朝ご飯の支度をしながら洗濯機をまわす。洗濯物とゴミだけはおもしろいようにたまるのだ。ごはんの後は、アイロンかけをして、晩ご飯のためにほうれん草を茹で、キュウリを切って塩をしておく。

 みっちり会社で仕事。企画書を書けずに私がウンウンうなっていた以外は、全般的に平和な一日であった。Nさんが取引先からナントカカントカという店(あー、さっきまで覚えてたのにもう忘れた。興味のない事はすぐ忘れる)のお菓子をもらって来てくれたので、みんなで分けて食べた。私は、止せばいいのにチョコレート系のムースを選んでしまい、これがまた舌が溶けそうなほど甘ったるくて、夕方までずっと気分が悪かった。

 夜。チラチラと野球を観ながら晩ご飯を食べる。長嶋ジャパン長嶋ジャパンとうるさいんだけれども、長嶋がベンチに入ってもいないのに何故長嶋ジャパンと連呼しなければならないのか理解に苦しむ。ただのジャパンでいいじゃないか、もしくは中畑ジャパンとか。中畑ではアカンのか。アカンのだろうなあ。
 チャンネルを変えてサッカーも観る。Tの独断と偏見に満ちた解説つき。その後は松岡正剛の「人間講座」を見て、続いて「視点論点」の佐藤忠男の話を聴いていたら猛烈に眠くなり、30分ほど寝てからお風呂に入った。なんかテレビばかり観ている日であった。

 就寝前は、「映像のポエジア」を読み始めたが眠すぎて何がなんだか全く理解が出来ず、1ページほど読んであきらめた。

・購入物:なし

・朝食:トマトとマイタケのパスタ、バケット、珈琲
 昼食:お弁当(梅オニギリ、鮭、バジルソーセージ、モロヘイヤのおひたし、トマト)
 夕食:鶏肉団子と人参の甘辛煮、キュウリとジャコの酢の物、枝豆豆腐の冷奴、ほうれん草の胡麻和え、麦酒、ごはん


2004年07月12日(月) どこかでなにかを間違ったのか

 終日、曇り空。日差しがないせいか意外に涼しくて、日中外を歩いていてもそれほど体力を消耗しなかった。しかし、今日は午後からわたくしの苦手なKさんとの打ち合わせがあり、体力とはまた別のところを消耗した、というかすり減らした、ような気がする。

 打ち合わせの後Kさんと少し雑談する時間があり、両親のことや配偶者のことについて少し突っ込んだ話を聞いて、この人も普段は澄ました顔でツンケンツンケンしてるけど(してるように見えるけど)、まあ実際はいろいろとタイヘンなんだなあ、ということがわかった。
 主人は今でも私が仕事を続けることに反対なのよ、頭がかたくて古いタイプの人だから扱いが難しいの、私がちょっと外出する時でもどこへ行くのか誰と行くのか事細かに聞くし、結婚当初なんかはもらったレシートを全部提出させられていたんだから、などという話を聞いて、そんな困った奴とは早よ別れはったらよろしいのに、と思ったんだけど、思っただけで、へえ、と言うに止めておく。人には人の事情があるもんな。
 Kさんのダンナみたいな人と2日も暮らしたら、私なら絶対ノイローゼになる。ジッと我慢してほとんど不平も言わず仕事もきっちりこなしているKさんは、私が感じている以上に、芯が強くて逞しい人なのかもしれない。自分以外の人は、なんだかみんな立派に見える。

 少し残業して帰宅。野菜が届いていたのでその整理。キュウリが10本も入っていた。また今週もせっせとキュウリを食べなければ。
 久しぶりにジョアン・ジルベルトを聴きながら、晩ご飯の支度。ジョアンは今年は大阪に来日するらしい。よっぽど気に入ったんだなあ。これから毎年来るんだろうか。でも大阪はどうかな、下品だ、とか言って途中で帰ってしまうかも。

 夜は、昨日借りてきた本の中から岩野泡鳴の「ぼんち」を読む。うーん、オッサンの頭の中は一体どうなってんだろ。

・購入物:なし

・朝食:トースト、ゆで卵、バナナ、牛乳、珈琲
 昼食:お弁当(梅干のオニギリ、ほうれん草のおひたし、トマト、ウィンナー、野菜ジュース)
 夕食:豚肉と小松菜の炒め物、シシトウの塩焼き、トマト、たたきキュウリとシソのサラダ、冷奴、茄子の漬物、ごはん、麦酒


2004年07月11日(日) 失われた週末

 昨夜日記を書いた後も妙に寝付かれなかったため、リビングに降りていってビデオで「シャイニング」を観た。昔レンタルビデオ屋で借りてダビングしておいたもので、観るのは3回目か4回目になるかと思う。展開を充分承知してはいても、夜中に一人で観るには、まあやっぱり恐ろしい映画であった。ジャック・ニコルソンの顔も怖いけれど、奥さん役のシュリー・デュヴァルも相当怖い。一種異様な顔だ。
 映画を観終わったのは午前4時頃。その後少し本を読んで、ちょうど白々と夜が明けてくる頃に眠った。

 午前10時頃起床。「日曜美術館」見逃した。今日は海老原喜之助の特集だったのに、夜更かしなんかしてバカなことをしてしまった。夜の放送分をビデオに撮ることにする。
 朝ご飯の後、掃除。掃除機かけと玄関まわりの拭き掃除などをやる。玄関の雑草を抜いていたら、向かいの家のおばちゃんが自転車に乗って、暑い暑い、と言いながら帰って来て、選挙に行ったついでに近くのスーパーで買ってきた、と言って、イチゴ味のかき氷を二つくれた。お礼を言ったら、「ええねん、ええねん、それ一個30円やから」と笑っていた。こういう時すぐ値段に言及してしまうのは、大阪人特有のものだ。

 少々調べておきたいことと借りたい本があったので、午後からぶらりと図書館へ。閉館ちかくまで館内でうろうろ。コピーなどもとったりする。
 本日借りた本。アンドレイ・タルコフスキー「映像のポエジア」、吉田喜重「小津安二郎の反映画」、岡田睦「賑やかな部屋」、小山清「日々の麺麭」、現代日本文学体系「岩野泡鳴・上司小剣・眞山青果・近松秋江」の5冊。現代日本文学体系は岩野泡鳴の「ぼんち」と上司小剣の「鱧の皮」が読みたくて借りたのに、また近松秋江まで一緒に収録されているからこれも多分読んでしまうんだろうと思う。

 夜は、選挙速報も観ないで読書に没頭し、没頭しているうちに午前1時すぎまで畳の上で寝てしまった。こうしてまた、貴重な休日が泡のように消えていく。

・購入物:なし

・朝食:そうめん、卵焼き、キュウリと茄子の漬物
 昼食:たこやき8個、麦酒
 夕食:エビフライ、レタスとトマトのサラダ、冷奴、ほうれん草のおひたし、キュウリと茄子の漬物、麦酒、ごはん


2004年07月10日(土) この世界は美しい、か?

 強い雨音で明け方に目覚める。雨は強く降るかと思えばまた弱まったりし、その間に時折雷鳴がはさまって、ウトウトしては起こされ、ウトウトしては起こされ、ほとんど熟睡できず今日は一日ボヤボヤと眠かった。

 午前中はのろのろと片づけものをやりながら、ずっとCDで七代目松鶴の落語を聴いていた。私は「蔵丁稚」のような芝居の噺と「胴切り」のような奇想天外な噺が、どうやらとても好きみたいだ。

 午後になってふと思い立ち、区役所に行って「期日前投票」というやつをしてきた。明日、のっぴきならない用事があるようなないような、はっきり言って特にないんだけど、まあ何て言うか、一度やってみたかったのだ。初めてのことは何でもやってみたいのだ。
 区役所の投票所に行ったらけっこう多くの人がいて、投票用紙をもらうまで数分待たされた。折り畳み椅子に腰掛けて名前を呼ばれるのを待つ光景は、まるで耳鼻科の順番待ちのようだった。
 投票は滞りなく終わった。随分簡単になったものだ。外にでたらまた少し雲がでていて、ポツポツ雨が降ってきた。
 
 そのまま傘をさしてぶらぶら散歩をする。近くの公園のグラウンドでおじさん達が草野球をしているのをしばし眺めた。相撲取りのような体格のバッターがレフト前にヒットを打って、次のバッターの何球めかに、その相撲取りが盗塁に成功したのには驚いた。なかなか俊敏な動きで滑り込んだのが格好良かった。そのバッターは三振に終わったのだけれど、その次に出てきたのがパカーンとセンターオーバーを放ち、相撲取りがホームインしたところまで見て、グラウンドを離れた。
 選手がプロでも高校生でも小学生でもおじさんでも、楽しく行われている野球を見るのはいつも楽しい。帰ったら平出隆の本を読もうと思った。

 と思っていたのだが、結局今日はずっとチェーホフを読んでいた。「犬を連れた奥さん」「かわいい女」「恋について」「谷間」「すぐり」「退屈な話」などなど。何度読んでもやっぱりすごく良い。チェーホフはなんだかもう何もかも全てお見通しという感じで、この世界のからくりを手際よく見せてくれる。

・購入物:なし

・朝食:厚切りトースト、キュウリのサラダ、ハムエッグ、珈琲
 昼食:抜き
 夕食:サンマ、アジのみりん干し、トマトと卵の炒め物、冬瓜と鶏だんごのスープ、たたききゅうりとしそのサラダ、麦酒、ごはん 


2004年07月09日(金) 時は過ぎゆく

 今日は給料日。おさまる場所はほとんど確定しているとはいうものの、少しは財布の中が潤った。銀行で各種振込を行いながら、やっぱり金というのは誰のものでもないのだと思う。こんな実体のない観念上のもののことであたふたするのは、本当にバカらしい。

 一日中、会社で仕事。昼休み前に友人より電話があり、近くまで来ているからちょっと出てこないか、とのこと。梅田の地下街の蕎麦屋で会い、仕事のことや他の友人の近況など他愛もないことを1時間ほど話す。友人は納豆そばという世にも奇妙なものを頼んで、美味しそうにズルズル啜っていた。こんな生乾きの雑巾のような異臭のするものをよく食べられるなあ、と思う。私が顔をしかめているのを見て友人は、納豆を食べられないなんてアンタ人生半分損してるで、と言っていた。確かにそうかも知れないけれど。

 夕方、生ぬるい風が吹く中ホテホテと歩いていたら、晴れ間があるにもかかわらず割と強い雨が降ってきたので、通りがかりのブックファーストに入る。本屋に入る前に歩道橋の上からふと見たら、東の空に虹がかかっていた。
 ちくま文庫は今月も何も買えなかった。寂しいわ。文庫を一冊買って、3階のカフェでしばしひと休みしてから、近辺のお店をグルグル巡って数着試着などしたらお腹が空いたので、晩ご飯を食べてから家に帰った。夜には雨はすっかり止んで、気のせいか少しだけ涼しくなったような気がした。

 本日の読書。阿部昭の随筆を何編かと、いつも枕元に置いてある「タルコフスキー日記」をパラパラと読んだ。

『自分は誰にもまったく必要とされていない人間だと感じるのは、なんと恐ろしく、嫌な経験だろう。第一、そんなことは決してないのだ。そんな見方は、無理やりにでもなければでてこない、あらゆることに目をつぶるのでなければ。』 

・購入物:松岡正剛「花鳥風月の科学」(中公文庫)

・朝食:楽童のクッペ、オムレツ、ボイルソーセージ、珈琲
 昼食:外食、田舎そば(ざるそば)
 夕食:外食、ネスパで(牛肉コロペット、サラダ、麦酒)


2004年07月08日(木) 大切なのは幸福になることではない

 お金がない。朝、財布を確認したら50円玉やら10円玉やらかき集めても500円しか入ってなかった。情けない、とかいう気も起こらない。
 会社に行く前に、近所の100円ショップで100円のインスタント焼きそばを買って行ってお昼に食べる。これで残金400円。
 財布をのぞいていたらヨドバシのカードを見つけ、確かポイントがたまっていたはずだと思い出し、帰りに前々から欲しかったDVDを一枚タダで買った。厳密に言うとタダじゃないのかもしれないけど、気持ちの上ではタダなのだ。
 それから、テコテコと天神橋の商店街へ行って、八百屋さんで1本50円のズッキーニを2本、80円の甘長唐辛子を一袋買ったら、220円余ったので産みたて卵を6個買って、見事にカラッケツになりましたとさ。
 500円でこれだけ充実した買い物ができるとは、なんと素晴らしいことでしょう。

 購入したDVDは「ノスタルジア」。画質が理想的でないとか字幕が間違っているとか散々な評判のディスクではあるが、その辺のことにはとりあえず目をつぶろう。だってタダなんだから。
 もう幾度も観ているこの映画、最初から最後まで、画面の端から端まで、隅から隅まで、どのシーンも例外なくたまらなく好きだ。もうこれ以上のものはないと、観ている時はいつも思ってしまう。

 映画を観た後は例によって例のごとく、「タルコフスキー日記」を読む。この日記は、読む度ごとに心にガツンと引っかかってくる箇所が違う。それは「ノスタルジア」も同じことだけれど。
 タルコフスキーのような日記を書きたいと思うけれど、まあ多分一生無理だ。

『何千年にもわたり人間は幸福を追求してきた。だが不幸なままだ。なぜだろう。幸福を手に入れることができないから、その方法を知らないからなのだろうか。そうかもしれない。しかし肝心な点は、この世の生活には幸福はありえない、未来における幸福への希求と、善と悪との葛藤を通して精神を鍛えあげる苦難しかありえない、ということである。』

・購入物:アンドレイ・タルコフスキー「ノスタルジア」(Pioneer)

・朝食:ハードトースト、オムレツ、ヨーグルト、バナナ、珈琲
 昼食:塩焼きそば
 夕食:甘長唐辛子とネギとちりめんジャコのチャーハン、ズッキーニのペペロンチーノ、レタスとたまごのスープ、冷奴、麦酒


2004年07月07日(水) ほんとうにこれでいいのか

 暑い。もういちいち書きたくないのだけれど、それにしても暑いなあ。よりによって今日は一日外回りの日で、昼間に四ツ橋あたりを歩いている時にクラクラと眩暈がしてきて、日頃は頑丈丈夫が売り物の私ではあるが、もうほとほと参った。
 あまりの酷暑に頭がブチギレて、外回りの合間に自動販売機で缶ビールを買って、近くの公園の木陰でグビグビ飲むという禁忌を犯してしまった。だってもう辛抱できなかったんだもんね。でもこれからは止めとこう、人としてダメになっていくような気がするから。

 仕事帰りにTSUTAYAに寄って、借りていたDVDを返却した。今回も借りたものをちゃんと観ないまま返すことになって、なんだか私は何をさせても中途半端な奴だ。

 マウンテンバイクに乗って帰宅、台所で立ち働く。火を使うのでものすごく暑い。今住んでいる家は2階建てで、エアコンは2階の部屋にしかついていないので、1階の台所やリビングにいる時は扇風機でぬるい空気をかき回すか、団扇でパタパタあおぐしか涼をとる手立てがない。テレビなんか買っている場合ではなく、もう一台エアコンを買うべきだったのではないかと考えてみたりもするけれど、今頃気付いてももう遅い。
 お茶を淹れて本を読みつつ、団扇を動かしながら時折蚊を追いやっていると、まるで「東京物語」の笠智衆になったような気分になる時もあって、なかなか風流だなあと思うこともあるが、暑いことには変わりない。

 高井有一「夜の蟻」を読了。定年を迎え老いの入り口に差し掛かった主人公の日常が淡々と綴られていく連作短編集。妻や息子や孫とのやり取りでのちょとした感情の行き違い、その違和感、疎外感が丁寧に描かれている。特にこれといったストーリーはないのだが、心の動きが面白くてどんどん読み進めてしまう。平穏な毎日の連続の中で少しづつ少しづつどこかがズレてくる、その過程がすごくスリリングだった。

 夜中に台所でゴキブリを一匹始末した。 

・購入物:なし

・朝食:冷やしうどん(大葉、みょうが、ねぎ、大根おろし)
 昼食:ツナサンドイッチ、珈琲
 夕食:鶏唐揚げにおろしレモン醤油をかけたもの、チンゲンサイのスープ、冷奴、トマトととうもろこしのサラダ、麦酒、ごはん


2004年07月06日(火) ちゃぶ台をひっくり返す

 午前6時半起床。朝ご飯に食べるものがないので、冷蔵庫に入れておいた一昨日のカレーを温めて、朝刊を読みながら食べる。新聞を読むといろいろと腹が立つことが多く、朝から精神衛生上甚だよろしくない。

 嫌々ながら会社に行く。気が重い。鉛でもついているかのように足がなかなか前に進まない。
 途中、コンビニに寄ってヨーグルトを買う。インスタントラーメンなどを陳列してあるところで、年の頃なら35歳前後と思われる男と、30歳手前くらいかと思われる女が、会社行きたくないなあ、私も行きたくないー、もっと一緒にいたいよね、うんそうしたいよー、今日も会えるかな?、会えたらいいのになーまたメールするね!、うん僕もするわー、ウフフフ、などという白痴的な会話を交わしていて、それを聞くともなく聞いていたら何だかクヨクヨしているのが心底アホらしゅうなって、元気を出して仕事にいそしむことにした。会社に行きたくないのは誰しも同じか、理由は様々のようではあるが。ウフフフ。

 日暮れ時頃、所用で出かけたついでに久々に伏見屋書林をのぞいて、高井有一の文庫を見つけた。この間から探しはじめたところで、案外早く入手することができ、誠にめでたい。ここではもっと欲しい本があったけれど、先立つものがないもので今日は諦める。今週末には買うつもり、それまで棚に残っていますように。

 夕食は簡単にすませて、DVDでキェシロフスキの「偶然」を観る。というか、観ようと試みて挫折した。半分くらいまでは記憶があるのだが、どうにもこうにも眠くて眠くてたまらなかった。たぶんあんまり面白く感じなかったんだと思う。政治やら運動やらがからむ何か辛気くさい話だった。気がついたら夢の中で、むっくり起きたのが0時前。お風呂にも入って、すっかり目が冴えてしまった。明日も早いのでもうぼちぼち本格的に寝なくちゃな、とは思っている。 

・購入物:高井有一「夜の蟻」(ちくま文庫)
     野坂昭如「もっとゲリラ風に生きてみないか」(KKベストセラーズ) なんかすごいタイトルだなあ…。いずれも古書。当然ですが。

・朝食:日曜日のチキンカレー
 昼食:おにぎり(シソとカツオ)、トマト、ヨーグルト
 夕食:中村屋のコロッケ、キュウリとジャコの酢の物、トマト、焼ししとう、オクラ、ごはん、麦酒


2004年07月05日(月) 世界が溶解するような

 午前6時半起床。マーロン・ブランド追悼、ということで、今朝の音楽は「ラストタンゴ・イン・パリ」のサントラ。あんまり好みの映画じゃないんだけれど、サントラはけっこうよく聴いている。流れるような感じが好きなのかも。
 今日は大雨になりそうなことを天気予報が伝えていたので念のために地下鉄通勤にしたが、午前中にちょろっと雨が降っただけで、後はずっと晴れていた。少しだけ降った雨が蒸発する時のなまあたたかい空気がとても蒸し暑く、不快指数の高い日であった。

 不快なのは天気だけでもなく仕事も同じことで、皆々様の得手勝手ぶりに呆然とすること多々あり。全くイヤんなっちゃうわ。ただ呆然としているだけでは事態が好転しないので、なんとか状況を良くするため奮闘努力してみたのだが、結局はさらにこんがらがってしまい、己の無能を痛感したというようなことであった。
 疲れたので帰ることにする。今週はきっとこの問題で右往左往することになるだろうと思うと、なんだか遠くへ旅に出たくなる。

 帰りに大阪駅前の歩道橋の前を通ったらまた演説をやっていて、人だかりができていた。今日は眼鏡人口多し。眼鏡、眼鏡、眼鏡。世の中にはいろんな種類の眼鏡があるもんだ。
 阪神百貨店で少し買物をしてから、バスで帰る。バスでは高井有一の「北の河」を読む。文章の整い具合、流れとリズム、緻密な描写と言い回し、それに漢字が多用されているところが好きだ。私は多分、漢字が好きなのだ。

 夜は、暑い部屋で「マルホランド・ドライブ」を観た。人の心が離れていくところとそれを必死につなぎとめようとする様を描いた非常に哀しい物語だ。すごくまともでストレートな映画だと思う。まあ、確かにちょっとヘンだけど。でも誰の夢も歪んでいるものなんだし、これはこれでいいのだ。

・購入物:なし

・朝食:昨日のチキンカレー、ヨーグルト
 昼食:豆腐ハンバーグをはさんだホットドッグ、珈琲
 夕食:豚肉と小松菜のピリ辛炒め、トマト、モロヘイヤのおひたし、玉ねぎとニンジンの味噌汁、キュウリの漬物、麦酒、ごはん


2004年07月04日(日) ずっと忘れない

 暑苦しくて目覚める。午前7時起床。よく晴れているので午前中に干して乾かしてしまおうとシーツ等かさばるものを洗濯、布団も干す。ちゃぶ台の上にいっぱいのお惣菜を並べて朝食。うらびれた民宿の朝ご飯みたいだ。ごはんを食べながら、昨日MDにおとしておいた「世界の快適音楽セレクション」を聴く。今日は『丘の音楽』。小沢昭一の「とんがり帽子」が超ほのぼのしていて良かったなあ。

 ごはんの後はTを送り出してから大掃除をして、暑い部屋で内容空疎な日記を書いたら大汗をかいたのでお風呂に入り、支度をして難波にお買物に出かけた。
 難波の高島屋の前に大勢の人がワラワラと集まっていて、何事かいなと覗いてみると某政党の党首が演説をしていた。集まっている人は圧倒的におばちゃん。しかも皆派手。花柄のワンピースを着ているおばちゃんの率高し。まるでユニフォームのようだ。あのような趣味の悪い服はいったいどこで売っているのだろう。党首が何か言うごとに拍手したり、ワーワー叫ぶからうるさくて仕方ない。無視してジュンク堂ヘ行く。

 ジュンクでは、もう品切れになっているとばかり思っていた阿部昭の文庫や、急に読み返したくなったゴーゴリを買い、いろいろと立ち読み。本屋を出て千日前まで出て、「大十」(店名思い出した!)で「七代目」のCDを一気に3枚買った。コーナーをつくってきっちり並べてあり、やっぱりこの店でないとダメだわ。念願叶い、嬉しいかぎり。今月末には仁鶴の全集も出るとのこと、ちょっと、いや、かなり欲しいなあ。しかしこんなに本能のまま生きていていいものだろうか。

 そのまま日陰を選んで心斎橋までふらふら歩く。途中のお店で、ルーディックライターのスニーカーを買った。少しサイズが大きいんだけれども、安かったのでまあいいか。なんとかごまかして履こう。
 長堀橋まで来たところ、また人が集まってワーワー言っているので近寄ってみると、今度は島田紳助が大声で応援演説していた。このクソ暑いのに黒いスーツを着ている。見ているだけで暑い。ここに集まっているのは若い人が多く、みな少し崩れた感じがする。そういう感じがするだけかな。
 
 お腹が空いてきたのでドトールに入ってひと休み。CDの解説を読んでいると、目がウルウルしてくる。家に帰ってCDを聴いた時も感慨無量で涙が出た。大学生の頃「痛快エブリデイ」は大好きな番組だったし、松葉さんのことも大好きだった。あの番組を見ていた人で、松葉さんのこと好きじゃない人って多分いないと思う。松葉さんの落語を実際に聞いたのはとうとう一回しかなかったけれど、人柄の良さがにじみ出ているようでとてもステキだった。
 手に入れたディスクは、これからゆっくり大切に聴こう。

 夕方から夜にかけては、FMco-co-roの音楽番組を聞きながら、オクラのキーマカレーを作ってみようかと思ったけれどなんだか失敗しそうな気がして、結局シンプルなチキンカレーにした。
 夜が更けてもいっこうに気温は下がらず。エアコンをつけて、読書にいそしむ。洗い立てのシーツが気持ち良かった。
 
・購入物:「七代目笑福亭松鶴」全3巻
     ゴーゴリ「ペテルブルク物語」(群像社)
     阿部昭「父たちの肖像」(講談社文芸文庫)

・朝食:鮭、卵焼き、ウィンナー、ひじきと豆の煮物、ゆず豆腐の冷奴、麩の味噌汁、キュウリの漬物、ごはん、麦茶
 昼食:ドトールで(アイス珈琲、トースト)
 夕食:チキンカレー、オクラのカツオ和え、キュウリのサラダ、トマト、麦酒


2004年07月03日(土) なんてバカバカしい一日

 灼熱地獄。暑いってもんじゃない。とうとうセミまで鳴き出した。夏なんですな。

 暑くて寝てもいられず7時起床。朝ご飯を食べながら「ウィークエンドサンシャイン」のローウェル・ジョージ特集を聴く。何年かぶりに「ディキシーチキン」が聴けてご満悦。
 台所の片づけだけして、外出。銀行と郵便局、薬局に酒屋、スーパーと肉屋をまわる。肉屋のおじさんに、おっ久しぶりー久しぶりぶりブロッコリー、と言われて不本意ながら笑ってしまった。アンタもけっこうしょうもないギャグ好きやなあ、と同じく肉屋のおばさんに呆れられる。不覚なり。ここでは豚ヒレ肉を買った。

 いったん帰って、買ってきたものを収めるべきところへ収めてから再び外出。図書館で打ち合わせ。Iさんに会って今年下半期の予定表をもらう。また苦手なMさんが来ていて、毎年夏から秋にかけては渡英することにしてますから会はお休みさせていただくわ、なんてヘンテコリンな匂いのする扇子をパタパタさせて言っていた。私は最初、「トエイ」が「渡英」だとピンとこず、「トエイ」って?、「都営」ってことかな、なんのこっちゃ相変わらずわけのわからんオバハンだ、と思っていたのだが、Iさんが、まあイギリスに?いいわねえ、と言ってくれたのでようやくわかった。「渡英」なんて言わず、アホにもわかるようにはっきりと、イギリスに行くんですって言えよ、ややこしい。
 打ち合わせの後は図書館で本やらCDやらを借りて帰ろうと思っていたのに、みんなのくだらぬ話が閉館時間までだらだらと続いたため果たせず、そのままぼんやり手ぶらで帰った。

 夜、巖谷大四の「懐しき文士たち」を読了。面白かったところを抜き書き。

『第六回芥川賞(昭和十二年下半期)の選衡委員会が開かれた。委員の誰かが、「今回はいいのがないからなしにするか」と言うと、宇野浩二が、「『糞尿譚』という変わった小説があるよ」と言った。すると久米正雄が、「うん、面白いけど、お座敷には出せないな」と鼻の下をなでながら笑って言った。佐藤春夫が、「僕も面白いと思うが、岩野泡鳴賞というところだね」と言った。菊池寛が「僕はまだ読んでいないんだが」と言うと、久米が、善良素朴な糞尿汲み取り人を主人公とするその内容を説明し、最後の一節を朗読してから、「そのクソの雨に夕日が燦然と射すんだよ」と言うと、皆、どっと笑った。「そりゃあ、面白そうだ」と菊池が言うと、「わしはそんなキタナイ小説は嫌いだ」と室生犀星が言った、すると宇野が、「君の小説だってキタナイじゃないか」とまぜかえした。結局、菊池が読んで「これはいい」と言うことで受賞が決まった。』

 なんだかんだ言っても、この人達気楽だなあ。

・購入物:なし

・朝食:ごまだれそうめん(ゆでた素麺の上にオクラとごまだれをかけたもの。旨し)、麦茶
 昼食:バナナ、牛乳
 夕食:豚ヒレカツ、キャベツとレタスと紫蘇とみょうがのサラダ、ひじきと豆の煮物、麦酒、キュウリの漬物、ごはん
 


2004年07月02日(金) 月夜には宝さがしを

 朝ごはんを食べていたらTが、今日はまたどこかへふらふら出かける予定があるのですか、と聞くので、いいえ特にありませんけど、と答えると、それなら帰りに今日からOMMビルで開催される古本市に行って来て欲しい、自分は不本意ながらここ数日休みが取れず不幸なことに一日も行けそうにないのだ、と寂しそうだったので、よしよし行ってきてやろう、アンタの欲しそうな本も見つけてくるからね、と約束した。というわけで、夕方は残業もさぼって古本市へ。

 思ったより仕事がもたついて、会場に着いたのは閉場の30分前であった。急いで信号を渡ったせいで交差点で車に轢かれそうになった。あと数秒遅れていたら今頃は、病院のベッドの上か地獄の入り口である。古本を買うのも命がけだ。
 30分ではほとんどザッと流すことしかできず、任せておけ、とは言ったものの、ほとんど目新しいものは拾えなかった。山口瞳の日記が安く買えたし、今マイブームの高井有一が見つかったので、まあいいか。4冊買ってちょうど千円。天満橋のジュンク堂に寄って、「図書」「本の旅人」「月刊百科」をもらって、京橋でTと待ち合わせ、いつもお客さんでいっぱいなのにきょうは奇跡的に空いていた丸久で、久しぶりに餃子を食べた。美味しいなあ、しみじみ感動。

 帰宅後、あまりの蒸し暑さに耐えきれずお風呂に入ってから、買ってきた本ともらってきたPR誌を読んだ。読んでいたはずなのだが、いつの間にかぐったり寝てしまっていた。

・購入物:高井有一「半日の放浪」(講談社文芸文庫)
     山口瞳「私本歳時記」(新潮文庫)
     山口瞳「年金老人奮戦日記」(新潮社)
     辻邦生「小説への序章」(中公文庫)   全て古書

・朝食:楽童のプチパン、ゆでとうもろこし、リンゴジュース、珈琲
 昼食:お弁当(梅干しおにぎり、ひじきの煮物、卵焼き、トマト)
 夕食:外食、丸久で(餃子、煮豚、キムチ、もやし、きゅうりの漬物、麦酒)


2004年07月01日(木) おそるおそる振り返る

 午前5時半起床。カーテンを開けて陽光を部屋に入れ、起き上がって動き出すまでの約30分ほど布団の上でコロコロしながら本を読むのが至福の時。これで仕事が休みなら言うことないんだけど、限られた時間だからこそ楽しいのかなあ、とも思う。
 昨日買った「en-taxi」を読む。うーん、この雑誌なあ。出てくる人にしても書いている人にしても書いてある内容にしても、暑苦しいというか辛気くさいというか、なんか全体的に鬱陶しくてどうもイマイチだ。特に一番最初に載っている小説なんかは徹底的に合わないし。なのになぜ毎号買って読んでいるのだろう。

 今日は映画の日ということで、ガーデンシネマで「永遠のモータウン」を観る。 その前に通りがかりの古本屋で巌谷大四の文庫本を買った。芥川から始まる昭和の文士についての文章で、私の最も好きなパターンの本。この文庫には心斎橋の「窯だしカステラ」のリーフレットと、グラニュー糖の細長い袋と、『9月21日中百舌鳥で大田さんと。フランス料理かイタリア料理?』と殴り書きしたメモがそれぞれバラバラのページに挟まっていた。前の持ち主はどうもわけのわからん人のようだ。
 映画の前に、スカイビル地下の自由軒でカレーを食べた。自由軒のカレーはあんまり好きではないけれど、これしか食べるものがなかったし、なにしろ織田作も食べたカレーなんだから!織田作が食べたものは私も食べたいの。

 「永遠のモータウン」はメンバーや関係者の思い出話や、再現フィルム、当時の写真などとライブの映像でつないでいく、ドキュメンタリーとしてはありふれた手法の映画だったけれど、とりわけライブシーンが素晴らしかったので、やはり映画館で観てよかった。音をつくっていく過程が見られたこと、それがものすごく楽しそうだったこと、それからミシェル・ンデゲオチェロが良かったなあ。それに、最後の「ain't no mountain high enough」は感動的だった。

 家に帰って、夜はしみじみとマーヴィン・ゲイを聴いた。

・購入物:巌谷大四「懐かしの文士たち・昭和篇」(文春文庫) 古書

・朝食:トースト、バナナ、ヨーグルト、珈琲
 昼食:お弁当(おにぎり(梅、カツオ)、ニンジンとゴボウのキンピラ、卵焼き)
 夕食:外食、自由軒のインディアンカレー、麦酒


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