昨日・今日・明日
壱カ月昨日明日


2004年06月30日(水) 経験から学べ

 午前6時半起床。3時間の睡眠ではさすがに眠い。まだ酒が完全には抜けておらず、少々気持ち悪い。ラジオでは関東地方に大雨が降っている、と報じているけれど、こちらはよいお天気だ。二日酔のフラフラ頭に眩しい朝日がけっこうキツい。そんなこんなで、午前中はあまり使い物にならなかった。

 今日は映画を観に行くつもりだったのだが、あまりに眠くて、この状態で映画を観てもどうせ居眠りするだけだと思い、諦める。そのかわりTSUTAYAへ行って、半額クーポンを使ってDVDを二本借りた。「マルホランド・ドライブ」とキェシロフスキの「偶然」。二本くらいなら返却日までに観られるだろう。「マルホランド・ドライブ」は公開当時映画館で観て、その年の「私のベストワン」に輝いた映画。とても感動してボロボロ泣いた記憶があるのだが、詳細を全く忘れてしまったので再び観てみようと思って借りてきた。楽しみ、楽しみ。
 その後タワーやHMVなど何軒かまわって、先日発売されているはずの七代目笑福亭松鶴のCDを探してみたのだが、どこにもなかった。意気消沈。やっぱり難波のアソコ(店名忘れた。演芸関係のCDをいっぱい置いている店)に行かないとダメかなあ、と考えてみたのだけれど、この時点から難波に向かうのはあまりにしんどく、今日のところは諦める。諦めてばかりの日である。

 洋服などをちらりちらりと見て、家の近所の本屋で雑誌を一冊購入してから帰宅。ごはんを食べて、阪神の勝利を確認した途端、どうにもこうにも抗いがたい眠気が襲ってきて、ずるずると寝室まで這って行ってコンコンと眠った。

・購入物:「en-taxi」6号(扶桑社)

・朝食:ごはん、焼き茄子、冷奴、ほうれん草のおひたし、梅干、麦茶
 昼食:お弁当(千切り大根の煮物、ひじきの煮物、卵焼き、トマト、ごはん)
 夕食:シシトウチャーハン、キュウリとハムのサラダ、ひじき煮物、ニンジンのキンピラ


2004年06月29日(火) 三日月に背をむけて

 どういうわけか成り行きで昼からの出勤になったため、朝のうちに洗濯や掃除、アイロンかけなどいそいそと家事を片付けた。それから、今週は映画や買物に飲み会と夜出歩くことが多いので、ごはんを多めに炊いて冷凍しておき、すぐ食べられるお惣菜もいくつか作っておくことにする。ひじきの煮物、千切り大根の煮物、各種キンピラ、ほうれん草のおひたしにキュウリの浅漬けなど。作ったお惣菜をタッパーなどに入れて冷蔵庫におさめると、もうものすごく充実した気分だ。食べ物があるって素晴らしい。神様に感謝。

 料理の後は日記をつけて、お風呂に入ってバスで出勤。午前11時前後の市バスは、見事におじいちゃんとおばあちゃんだらけだ。壮観。病院のあるバス停から乗って、病院のあるバス停で降りていく。皆すこぶる元気そうで、病院に行く必要があるとも思えないのだが。
 というわけで私はバスで立ちっぱなし。立ったまま昨日もらった「ちくま」の7月号を全部読んでしまう。「ちくま」は青山光二と高井有一の連載が楽しみで、本を開いたら真っ先にこの2編を読むことにしている。高井有一が野口富士男のことについて書いていてそれが何だかとても良くて、近いうちにまた野口富士男の本を何か一冊読むことにしよう、と思った。

 夜は、取引先との飲み会。たまにはこういうものにも出席するのだ。一軒目の店では仕事のことについて喧々諤諤と議論され、仕事への熱い情熱をあまり持ち合わせていない私はひたすら杯を重ねていただけだったのだが、二軒目ではMさんに人生相談を持ちかけられ、何らかの意見を求められたので酒をあおってばかりもいられなくなった。
 Mさんの相談とはダンナの浮気に関することで、浮気されて初めてわかった自分の独占欲の異常さが怖い、というような話になって、ダンナとその彼女を追い詰めるMさんの執拗さと粘っこさと根気のよさは、ここ最近聞いたどんなホラー話よりも怖かった。心を独占することなど誰にも出来はしないとわかっているのに、人を狂わせる嫉妬の力は恐ろしいなあ。

 午前2時すぎ散会し、タクシーにて帰宅する。お風呂へ入って午前3時半就寝。

・購入物:なし

・朝食:チーズトースト、オムレツ、トマト、珈琲、バナナ
 昼食:お弁当(焼鯖、ニラ卵、マカロニサラダ、ニンジンのキンピラ、ごはん)
 夕食:居酒屋で(刺身舟盛り、蛸のカルパッチョ、天ぷら盛り合わせ、鯛のあら煮、大根サラダ、漬物盛り合わせ、生中麦酒、焼酎ロック)
    2軒目、なんかヘンなスナックで(焼酎水割り)
    お酒は杯を数えていないのでわからぬが、相当な量だったことは間違いなし。反省。


2004年06月28日(月) そして歪んだ夢をみる

 仕事。会議や打ち合わせなどをゆるゆるとこなす。
 昼休みはNさんのおごりでラーメンをいただく。Nさんが、昨日から思い出せないことなのだが、と「タカチノボルの嫁ってなんていう名前やったっけ」と言う。ああ、タカチノボルの嫁ねえ。顔は浮かんでくるのに名前が出てこない。タカチノボルより嫁のほうが有名なはずなのに何故思い出せないのだろう。ラーメンを食べながらふたりでウンウンうなってみたが出てこず、このままではそれが気になって午後の会議に差し支える、アンタ誰か友達にでも電話して聞いてえな、とNさんが言うので、友人Kに電話してみる。仕事中だったらしいKが即座に「高島礼子」と答えてくれたので、Nさんと私はすっかり気持ちよくなって手を取り合って喜び、午後から張り切って会議に臨んだのでした。

 帰りは旭屋に寄って「ちくま」をもらう。「本の話」ももらうつもりだったのに、もう配り終わってしまったとかでなかった。くそー。不覚である。「本の話」は面白くないとか日記に書いたので罰が当たったのかなあ。
 第三ビルの古本屋さんで本を一冊買ってから、コムサに行ってベルトを買った。ファイブフォックス系列で買い物をするなんて高校生の時以来だ。コムサでは他に洋服なども見てみたが、見事に好みのものがなく、もう足を踏み入れることもないだろうと思う。

 Tと待ち合わせてお好み焼きを食べて帰り、家でごろごろ転がってギリシャ悲劇、エウリピデスの「メディア」を読む。ギリシャ悲劇って結局、しっちゃかめっちゃか色々あって、とにかく最後はみんな死んじゃうのだ。死ねばいいってもんじゃないとも思うのだが、とにかくそうなのだ。うーん、悲劇と喜劇は紙一重なり、と唸っていたら、前の職場の同僚だったU君から、何年かぶりに電話あり。
 
 オレはもうダメだ、徹底的にダメだ、と言うので、何事かいな、と思って話を聞いてみたところ、まあそうたいしたことでもなかった。この人いつもちょっと大げさなのだ、そのくらいのことでダメになるなら私なんて生まれた時からダメ人間だ。1時間くらい話をしたらだいぶ回復してきたようで、いい女の子がいたらまた紹介してくれよ、オレはいつでもオッケーだから!、と言って電話を切られた。アンタがオッケーでも先方がなかなかオッケーじゃないだろうなあ、と思ったけれど、要らんことは言わずにおく。まあ、夢は出来るだけ長く続いたほうがいい。

 午前0時頃、就寝。

・購入物:和辻哲郎「自叙伝の試み」(中公文庫)古書

・朝食:ロールパン、オムレツ、ヨーグルト、珈琲
 昼食:しょうゆラーメン
 夕食:外食、ゆかりで。御堂スジと海鮮ミックス焼きを半分づつ、麦酒


2004年06月27日(日) ここから起き上がれるか

 今日も引きこもり。いつもに増して、どうも気分が後ろ向きだ。

 本日行ったこと。
 洗濯。朝のうち、洗濯物を外に干していたら急に雨が降ってきて慌てて取り込んだ。すぐ止んで日が差してきたので外に干しなおす、にわかにかき曇ってまた降ってくる、取り込む、止む、また干す、と、午前中は雨と洗濯物に振り回されていた。部屋中に掃除機をかけて、せっせと床拭き。それからお風呂とトイレの掃除をした。とにかく身体を動かすのだ、何も考えないように。
 午後、ヨドバシカメラの人が古いテレビと潰れた再生専用ビデオとコンポを引き取りにきてくれた。空いたスペースに、あふれて床に積み上げてあった本やビデオを入れていき、古紙回収に出す古雑誌や新聞をまとめたら、ずいぶん部屋がすっきりしたように見えた。

 晩ご飯を食べた後、テレビでやっていた「未知との遭遇」を少し見る。なんでまた今頃「未知との遭遇」なんかやるの?とTに聞いたら、七夕が近いからやろ、と言っていたが、七夕と「未知との遭遇」がどういう関係にあるのかよくわからない。
 Tはこの映画を10回くらいは観ているらしくほぼセリフも覚えているようで、宇宙船が出てきたら急に「アイスクリーム!」などと言うので、前々から変な人だとは思ってはいたがなんか怖かった。私は宇宙がどうたらというような夢とロマンにあふれる映画がどうも苦手なので、なにがなにやら最後までよくわからないままであった。

 寝る前は、静かに読書。ちくま文庫のギリシャ悲劇「エウリピデス」の巻を出してきてポツポツ読み始める。私の中ではにわかにギリシャがブームとなりつつあり、それはどうも世間の流れと合致しているようなのだ、珍しいことに。
 なんだかんだで、午前0時頃就寝。

・購入物:なし

・朝食:クルミとライ麦のパン、トマト、バナナ、珈琲
 昼食:冷麺
 夕食:鶏と玉ねぎの煮込み、冷奴、カボチャの煮物、レタスとキュウリのサラダ、麦酒、ごはん


2004年06月26日(土) 傷だらけの自由に絶望するな

 ちょっとした心配事などあり、全体的に憂鬱だ。何とかしなくちゃと思うけれど、どうしていいかわからない。ボヤボヤと考えているだけじゃしょうがないとわかってはいるんだけど。ブルーだ。It's blue。昨夜は「ハリーポッターとなんとかのなんとか」を観るの忘れたし。それはまあ、どうでもいいんだけど。

 というわけで何をする気もしないので家にひきこもり。外には一歩たりとも出ていない。終日クッションを抱えてDVDやビデオばかり観ていた。雨は降ったり止んだりで、外を歩いているおばちゃん達が、蒸し風呂みたいな天気やなー、と大声で挨拶しあっていたのできっと蒸し暑かったんだろう。

 「旅芸人の記録」を最初から最後まで観た。途中トイレ休憩と称して、20分ほど酒のツマミを作ったりはしたものの、午後2時頃から見始めて終わったのは午後6時半をまわっていた。映画を観るのも一日仕事だなあ。
 倒れても倒されてもそれでも、這ってでも生きていかねばならない人々の哀しさを見せられて、圧倒的だった。鋭くて、美しくて、厳しくて、叙情的だ。この映画は一度みただけではわからない、二度目には二度目の、三度目には三度目の、感動がちゃんと用意されていると思う。戦争や内戦での体験を訥々と語るアガメムノンとエレクトラの眼光の鋭さと政府に捕らえられた時のオレステスの微笑みは、くっきり胸に残って忘れられない。

 夜は、ビデオで「麦秋」を観た。
 結婚して秋田に行くことが決まった原節子に父親が、みんな一緒にこうしていつまでも暮らせたらいいんだがそういうわけにもいかんしなあ、と言うシーンで、ハラハラと声をあげて泣いてしまった。顔がぐしょぐしょになっちゃった。
 みんな一緒にいつまでも暮らしましょうよ、こんなに楽しいじゃないの、なぜ「そういうわけにもいかん」のですか、と駄々っ子みたいに泣いてみたいと思う。でも「そういうわけにもいかん」理由は痛いほどわかっていて、それは時間というものが流れている以上人も変わらぬわけにはいかないからで、そのために誰しもが何らかの決断していかなくてはならないからだ。みんな、今ここにある楽しい時を自らの意志で捨てていく。捨てて、風化して、思い出になっていく。全然とりとめがないけれど、小津の映画を観るといつもこういうことを思って、ひたすら泣いてしまうのだ。


・購入物:なし

・朝食:ライ麦パン、ミートソース入りのオムレツ、バナナ、珈琲
 昼食:フライドポテト、オクラのカツオ和え、キュウリのスティックサラダ、麦酒
 夕食:焼いわし、冷や奴、もずく、かぼちゃの味噌汁、小松菜のおひたし、ごはん、麦酒 


2004年06月25日(金) どんなちいさなことでさえ

 湿度たっぷりの一日。温水のような雨が一日中降っていた。不快なり。

 日暮れ時、ブッキッシュで紹介されていた肥後橋の本屋さんに行ってみた。カフェとギャラリーが併設されている小さなお店。鬱陶しいお天気だったけれどちらほらとお客さんが来ていた。大阪でもこういうお店がきっちり根付いていけばいいのに、と思う。ここでは前々から読んでみたいと思っていた「四月と十月」を買った。表紙の山の景色に惹かれて最新号を選んだ。

 傘をさして梅田まで戻って、タワーに行った。エレニ・カラインドルーのCDを探しまくったのだけれど見つからず、結局「泣く大地」のサントラを買った。「泣く大地」は上映時間9時間のアンゲロプロスの新作。CDにはほとんど解説がなかったかわりにスチール写真が掲載されていて、それを見ただけでもうメロメロ、公開はいつになるのかわからないけれどそれまではこのスチールを眺めて我慢しよう。
 小耳にはさんだところによると東京では来月「アンゲロプロス映画祭」が催されるそうで、本当に羨ましい。絶対〜すべき、とかいう言い方は嫌いだけど、「映画」というものが観たいならこれは万障繰り合わせても観に行くべきよ、仕事なんか休んじゃえ。

 夜中、「泣く大地」のサントラを聴く。聴き始めたとたん、膝を抱えて縮こまってしまう。ここが地の果てだ、という感じ。なんでこんなに寂しい旋律を奏でることができるのだろう。アルバム一枚聴き終わった後、しばしその寂しさから立ち直れず、妙に静かな気分になってしまった。

・購入物:「四月と十月」vol.10
     Eleni karaindrou「The Weeping Meadow」

・朝食:はちみつトースト、りんご、珈琲
 昼食:お弁当(昨夜の残りの天ぷら、ほうれん草とベーコンのソテー、ミニトマト、ごはん)
 夕食:そうめん(ねぎ、大葉、みょうが)、おにぎり(梅とカツオ)、卵焼き、オクラ、麦酒


2004年06月24日(木) とにかく食べて忘れよう

 午前5時半起床。昨夜早く寝たせいで妙に早起きしてしまった。DVDで「こうのとり、たちずさんで」を少し観てから日記を書いた。
 『人は去る。なぜ去るのか?どこへ向かって?』というのはこの映画の中でのジャーナリストのセリフ。ずっと耳に残って忘れられない。アンゲロプロスが撮るギリシャは雲が低くたちこめている曇天でいつも薄暗くて陰気なのに、なんでこんなに美しいんだろう。今オリンピック関連のテレビや雑誌などで見かける「アテネの青い空」がものすごくウソくさく思えてくる。

 帰りに堂島のジュンク堂に行って、久々に本を買った。「ウィリアム・ブレイクのバット」はどうしようか迷ったんだけど、平出隆が野球について書く文章がとても好きなので買った。小さくてかわいい本。
 ジュンク堂をでてから通りかかった商店街の古本屋さんで、和田芳恵の短編集を200円で買った。和田芳恵は相変わらずの枯れたエロ親爺節が活き活きしていて例えば、
『お茶はセックスと関係のある遊びに思われるな。茶碗に唇をつける、指でなする、ていねいに肌をさすってみてから、ひっくりかえして、おけつをじっと見る』
 なんてことを登場人物に言わせたりしている。千利休もびっくりだ。

 家に帰りついてごはんの支度をしていたら雨がしとしと降ってきた。
 蒸し暑い梅雨時の、雨が降っている夜には梅を漬けているイメージがあるのだけれど今年はまだ何にもしていないなあ、ああそうか梅を漬ける季節に雨が多いから梅雨っていうのか、なんてボーッと考えていたらモヤシを茹ですぎてしまった。

 夜は買ってきた本を枕もとに並べてパラパラめくる。夜中には雨が本降りになった。

・購入物:「BOOKISH」第7号
     平出隆「ウィリアム・ブレイクのバット」(幻戯書房)
     和田芳恵「小説集 塵の中」(立風書房) これだけ古書

・朝食:きつねうどん
 昼食:巻寿司4切れ、サラダ巻3切れ、海鮮巻1切れ
 夕食:天ぷら(れんこん、かぼちゃ、玉ねぎ、ちくわ)、ポテトサラダ、オクラとモヤシのポン酢かけ(昨夜「きょうの料理」で紹介してたレシピ。旨し。ポン酢は手作りのほうがよいです、スダチがなければレモンでも可)、麦酒、ごはん


2004年06月23日(水) 人は去る。なぜ去るのか?どこへ向かって?

 雑事に追われる日々。打ち合わせばかりして、一日が終わったような。体の底の方がぐったりしている感じで、人と話すのも何だか億劫だ。時間がなくて本屋さんにも行ってないし、そういえばほら、ここ最近本を買ってないんじゃないかしら、今日こそなんかどこかの古本屋さんに立ち寄って100円の安くて古い本でも買おう、と思っていたのだけれど、仕事が終わった頃には身も心もへとへとになっていて、テロテロとマウンテンバイクに乗って、まっすぐお家に帰ってきてしまった。

 家でこちょこちょとオカズを作っていたら、実家からの宅急便がきた。米と母親が手作りしたシソジュース(血液がサラサラになるんだって!、ホントかどうか知らないが。銭湯の脱衣場のような味がするけど、まあまあおいしいよ)、みりんとビールに赤ワインが一本。ワインはどことなく大げさでかったるくってどこがおいしいのか皆目わからなくて、はっきり言って嫌いなので、誰かにあげることにしよう。

 このところフローベールの「感情教育」やらドストエフスキーの「白痴」やらをポツポツと読んでいたのだが、今日は長編小説を読む気になれず、寝転がって朝日選書の「国際シンポジウム小津安二郎」を拾い読みして、んんんー細かいことからどうでもいいようなことまで色々と論じたがっちゃって、みんな小津のこととなるとなんだか目の色が変わるなあ、と感心しているうちに眠くなって寝てしまった。
 
・購入物:なし

・朝食:トースト、目玉焼き、ソーセージ、ヨーグルト、珈琲
 昼食:外食、ベンガルのチキンカレー
 夕食:豚肉と白菜としめじの重ね蒸し、モロヘイヤのおひたし、キュウリとカニカマのサラダ、冷奴、ごはん、麦酒


2004年06月22日(火) 思い立ったら吉日、か?

 シネ・リーブルに「ロスト・イン・トランスレーション」を観に行った。
 夕方、映画の前に腹ごしらえをと、スカイビルの池の傍でほか弁で買ったお弁当をパクパク食べていたら、Nさんが『大きな声でモノを言わん、煮えたか煮えんかわからん男』と評していた某社のGさんが通りかかって、私はこの人とはほとんど交流がないので面倒くさかったのであるが目が合ったので仕方なく挨拶した。何をしているんですか、と聞くから、お弁当食べてるんです(見てわからんかー、と思ったがそれは言わず)、と答えたら、ハハハ君は変わった人ですね、と笑って去って行った。

 まあそれはどうでもよくて、「ロスト・イン・トランスレーション」のこと。
 可もなく不可もなく、というところかな。スケッチみたいな映画で、脚本賞をとるほどのものとも思えないけど。
 カラオケボックスでビル・マーレイがロキシーミュージックを唄っている時の疎外感、みんな楽しそうにはしているんだけど、本当は誰も楽しんでなんかいないあの感じ、どこにいても時間つぶしをしているだけのような夜遊びのシーンは、主役ふたりの所在なげな雰囲気が寂寞としていてなかなか良かった。スカーレット・ヨハンソンもかわいくて良い。
 それと、京都へ行くシーンはなくてもいい。東京は生き生きと撮れているように思えたが、京都を撮ると途端に観光ビデオになってしまう。あとヒロミックスも要らない。必要性が感じられない。余計なものは出さないほうがいい。

 家に帰ったら新しいテレビがあったので本当にびっくりした。まさか今日買うとは思ってなかったのだ。コワイ人だ。パナソニックのどうたらこうたらというテレビで、小さいけれど画面はキレイ。まあ新品だから当たり前か。DVDやビデオをとっかえひっかえ再生して、夜中まで遊んだ。

 お腹がすいて、真夜中にそうめんを食べるというような愚行をおかしてしまった。反省。

・購入物:なし

・朝食:そうめん、卵焼き、麦茶
 昼食:ゴマチーズパン、リンゴ半分、珈琲
 夕食:ほか弁の高菜弁当
 夜食:そうめん


2004年06月21日(月) 花も嵐も踏み越えて

 先週の月曜日に借りたビデオ5本を手にぶら下げて出勤。結局、5本のうち2本しか観られなかった。自分への戒めのために、いっぺんに5本も借りるな!、と手帖にでも書いとこう。

 書くのを忘れていたけど、昨夜、マフマルバフ監督の「サイクリスト」を観たのだった。昨日はひどく疲れていたけど、80分少々と短い映画だったので何とか最後まで観られた。
 妻の入院費を稼ぐために一週間自転車に乗り続ける男の話。狭い広場をグルグル回って、見物客からお金を取るのだ。観る前は、寝てしまわないように目蓋を棒で無理矢理こじ開けているスチール写真などから、悲惨で苛酷なキリキリと辛い気持ちになる映画なんじゃないかしら、と思っていて、まあそういうところも無きにしも非ずなんだけど、何じゃこりゃという意味不明シーン、爆笑シーンが数箇所あって、マフマルバフ監督って「クローズアップ現代」に出て泣きまくっていた姿からはちょっと想像できないけど、けっこうヘンな人なのかもしれない。
 
 午後から台風がやってきて、私がちまちまと働いている間に去っていった。夕方になっても風はまだ強かったけれど、蒸し暑さも一緒に去っていったようで、過ごしやすい夜になった。
 夜は、DVDで「ユリシーズの瞳」をところどころ観た。これは映画館で一度観ているので、とりあえず好きなシーンだけ再生する。だって最初から最後まで観たらただただ圧倒されてぐったりしてしまうのだ、映画を観るだけで何でこんなに疲労するんだろうっていうくらい。
 河を渡って行くレーニン像のシーンを見ていたら、どこにそんな甲斐性があるのか知らないけれど、Tが急に液晶テレビを買うと言い出して、また阿呆なことを、と失笑していたのだけれど、それから何やら真剣に考えこんでいたので案外本気かもしれない。念のため、私は一切関知しないからね、ビタ一文も出さないからね!、と申し渡しておく。
  
 フローベール「感情教育」を少しだけ読んで寝る。

・購入物:なし

・朝食:バケット(昨夜の残り)、ヨーグルト、珈琲
 昼食:おにぎり(梅干と鮭)、ワンタンスープ(インスタント)
 夕食:シシトウとニンニクのチャーハン、トマトとベビーリーフのサラダ、冷奴、キュウリの南蛮漬け、麦酒


2004年06月20日(日) 変わらないでいること

 午前9時起床。昨夜K宅に来た時降っていた雨はすっかり止んで太陽が出ており、よい天気になっていた。ただし、ものすごく暑いけれど。

 朝の光景。風呂に入る人、朝ご飯を食べる人、犬とあそぶ人、テレビを観ながらああだこうだと論評する人、台所で立ち働く人、それらをボーっと眺めている人、みんな自分勝手に動き回っている。
 Kの家には大学の時から何度も遊びに来たことがあって、よく泊まらせてもらっている。土曜の夜からふらりと来て、昨夜のように喋りたおして寝て、朝はこのような自分勝手で幸せな朝を迎えダラダラ朝ごはんを食べて、昼頃から近鉄電車に乗ってでかけ、藤井寺球場で野茂が投げるのを外野席からのんびり観て、試合終了後天王寺で、また明日気が向いたら授業に出るかもしれないから運がよければ教室で会いましょう、というような挨拶をして別れる、というのが、あの頃のごく平均的な週末の風景であった。
 十数年経った今、同じように暑い夏の朝にKの家のリビングで私が眺めたものは、あの頃と寸分違わないように見えた。まるで同じ時間が流れているように感じた。もしかしたらこのまま続いていくかもしれないと思った。それがたとえ幻想でも、出来るだけ長く続いていけばいいのに。

 昼過ぎに帰る時Kのお母さんが、こんな娘が3人もいたら毎日賑やかで楽しいやろうなあ、と言っていて、楽しいことは自信を持って保証するけれど、妻にも母親にもなることができず、かといって仕事に徹することもできない、中途半端でガンコでマイペースな私たちのような女を子どもに持つことは、楽しい、だけでは片づけられないだろう、と思った。

 Yの三菱車で家まで送ってもらう。途中、国道沿いの本屋に寄って、私は新書を1冊、Yは漫画を5冊買った。家に帰りついた時にはもう夕方近くになっていて、思いのほか疲れていて何もする気がしないので、先日作りおきしておいたミートソースで簡単な夕食を作って食べた。

 夜、アンゲロプロスのDVDが届いた。全集第2巻めで、「ユリシーズの瞳」「こうのとり、たちずさんで」「シテール島への船出」の国境3部作。とにかく届いたことだけに満足して、リーフレットを読みながら寝てしまった。
  
・購入物:テオ・アンゲロプロスDVD全集第2巻(紀伊国屋書店)
     双葉十三郎「日本映画ぼくの300本」(文春新書)

・朝食:友人宅で(トースト、クロックムッシュ、野菜サラダ、珈琲)
 昼食:友人宅で(そうめん、卵焼き、おにぎり)
 夕食:ズッキーニ入りミートソーススパゲティ、レタスと卵のサラダ、バケット、麦酒


2004年06月19日(土) 情けないとはこのことだ

 午前7時起床。「ウィークエンド・サンシャイン」を聴きながら朝ご飯の支度、それを食べてから洗濯と台所の片付け。今晩は友人宅に泊まる予定なので、出かけるまでに洗濯物が乾けばいいな、と思っていたらばっちり乾いた。

 午後から絵本の会へ。今日は私の苦手なMさんが来ていて、アラお珍しいわねえ、あんまりお顔を拝見しないから辞めてしまわれたのかと思ってたのよー、そりゃあお仕事の方がお大事ですもんねえ、相変わらずお忙しいんでしょ、ご無理されなくてもよろしいのよオホホホ、などと顔を合わせてすぐ慇懃無礼に一発かまされた。オホホホだってさ。お上品なクソババアである。
 終了後、逃げるように図書館を後にして、一路実家へ帰る。

 明日は父の日だそうなので、あまりにももったいないような気がするが馬子にも衣装というしなあ、と思って買ったラルフローレンのポロシャツを父に渡す。今度の卓球大会に着ていくわ、と言ってはりきっていた。卓球場になんか着ていってもすぐジャージに着替えてしまうんだからあんまり意味ないんじゃないの、と思ったけれど、まあ好きにすればいい。
 すぐ帰るつもりだったのだけど、せっかく作ったのだから食うて行け、と母が言うので晩ご飯をご馳走になってから友人K宅へ向かう。

 友人Kの家には来月初旬くらいまで、ちょっとした事情で友人Yが居候していて、久しぶりに3人で飲もうということになったのだ。友人K宅には両親とおばあちゃん、それから猫が2匹と犬が1匹住んでいて、それにYとYの愛犬が加わった上、今晩は私までもがのそのそと現れ、犬猫含めて喋り好きばかりが集まったという、たいへんにぎやかな(というか喧しいというか)夜となった。阪神戦を見ると身体に支障をきたすのでテレビもつけず、ビールを飲みながら夜更けまで四方山話をし、Yがハリーポッターの今までのあらすじを一生懸命説明している途中で眠った。半分眠っていたからよくわからないのだけれど、ハリーポッターとはなんと複雑で入りくんだ話であることか、世の中の善男善女はこんな難しい話を喜んで読んだり観たりしているのかと、全く驚いた。私には到底理解できぬ世界だ。

・購入物:なし

・朝食:トマトとバジルのパン、オムレツ、珈琲、ブドウ一房
 昼食:抜き
 夕食:実家で(ビーフカレー、野菜サラダ、冷奴、千切り大根の煮物、麦酒)


2004年06月18日(金) 今のところ出口なし

 なんだかんだでもう金曜日。とうとう「ヴァンダの部屋」を再見することができなかった。無念なり。

 昼休みはIちゃんと蕎麦屋でそばをすする。本日午前中にやって来た、例のイケメンの話をする。
 初めて会った時はかっこいいなあと思いましたけど、よくよく見ればあの人アレですね、髪の毛ちょっとあぶなそうですね、ホラ生え際のところからじわじわと抜けそうな気しません?、とIちゃんが言うので、男は禿げるくらいの方がいいのだ、何かに秀でた男はだいたい禿げているものなのだ、と自説を披露したところ、えっ例えば誰です?と聞くから「枝雀とか松鶴とか志ん生とか」「落語家ばっかり」「それからー、ピカソとかガンジーとか」「なんか偉大すぎますねー。もっと身近な禿げの人いません?」「ええと、竹中直人とか佐川満男とか」「佐川満男って誰ですのん?」「伊東ゆかりの元ダンナやん」「伊東ゆかりって誰です?」「ホレー、小指をかんだら痛かった、というような歌を歌ってる人やんか」「何それ、変な歌」、というような実のある話を喋っているうちに昼休みという貴重な時間は失われていくのでした。

 雲行きがあやしくなってきたので、傘も持ってないことだしと早々に帰宅し、台所で料理にいそしむ。ミートソースを作っていたら、宅急便で「ナンダロウアヤシゲな日々」が届く。装丁から左隅のパラパラマンガまでえらく凝っている本。嬉しい。

 夜は、中田カウスも愛読しているという世阿弥の「風姿花伝」を本棚から出してきて読む。
『心中には願力を起して、一期のさかひここなりと、生涯にかけて、能を捨てぬよりほかは、稽古あるべからず』

・購入物:なし

・朝食:シナモン入りのプチパン、オムレツ、ヨーグルト、珈琲
 昼食:ざるそば
 夕食:お茶漬けの素で味付けした焼きうどん(ネギと玉ねぎと干しエビと豚肉)、いんげんの胡麻和え、麦酒 


2004年06月17日(木) 日差しは雲の間から

 愛車のタイヤが崩壊したので、Tのマウンテンバイクを借りて出勤した。乗り慣れないので少々ヘンな感じ。いつもは25分くらいで到着するところ、35分くらいかかった。
 このことをIちゃんに話したところ、25分も35分もたいして変わりませんやん、と、何だか今日は機嫌が悪かった。男と上手くいってないんだろうか。でも要らぬことを言っては墓穴を掘ることになるので黙っておく。隣の席ではNさんが、なあ強迫神経症ってどんな病気?、とまわりの人に聞きまくっていた。ヘンな会社だよ。

 帰りに旭屋で「草思」の7月号をもらう。増田晶文の「結界の向こう側からー芸人・中田カウスが語った事々」は、中田カウスの芸に対する真摯さがひしひしと伝わってくる文章で、素晴らしい。中田カウスはよくジュンク堂難波店で見かけるが、いつも熱心に本を選んでおられる姿が印象に残っている。

 夜は、借りてきたビデオ2本目「スプレンドール」を観ていたのだが、途中で眠くなって脱落してしまった。マストロヤンニが経営している映画館を巡る、「ニューシネマパラダイス」みたいな(ちょっと違うけど)話。でもそれ以上のことはわからん。うーん、やっぱり返却日までに全部観ることはできなさそうだ。

・購入物:なし

・朝食:レーズンパン、リンゴ、ヨーグルト、珈琲
 昼食:おろしそば
 夕食:鶏とチンゲン菜の中華風煮込み、冷奴のオクラのせ、長いものタンザクサラダ、コスレタスのスープ、ごはん


2004年06月16日(水) これからどうなるんだろう

 チケットをもらったから、と友人が誘ってくれたので、大阪ドームに阪神ヤクルト戦を観に行った。
 
 球場に着いたのは2回表途中で、下柳は相変わらずのらりくらりと投げていたが、調子はいいような感じだった。ってこれは、今日はちゃんと球を低めに集めとるから大丈夫や、と隣席のおじさんが言っていたから解ったことで、私は何しろお腹がぺこぺこで、ビールを飲んでチキンを食べるのに一生懸命だったので、下柳の調子のことまで気をまわしていられなかった。
 
 今日は満員御礼で、人でひしめいている大阪ドームを見るのはエアロスミスのライブ以来だ。近鉄戦にこの観客の半分でも駆けつけていたらなあ、と思うとなんとも複雑な気分になる。なんでこんなドーム球場なんか作ったんだろう。藤井寺はいい球場だったし、日生球場だって良かったじゃないか、牧歌的で。今更言っても仕方がないけれど、人間誰しも「身の丈」ということを知らねばならない、と思う。

 試合は、相手のエラーでどうにかこうにか阪神が勝った。2安打でも勝てる時は勝てるのだ。決して面白い試合ではなかったが、ウダウダとどうでもいいことを喋りながら、野球を観るのはやっぱり楽しい。

 試合の後は大正駅の周辺で一杯飲んでから、梅田に戻って自転車で家に帰った。人通りの絶えた道を自転車で走るのは気持ち良かったが、途中で後輪がパンクしてしまい、ほろ酔い気分もどこへやら、ペコペコのタイヤを無理矢理ひきずったまま自宅まで何とかこぎつけた。

 お風呂に入ってから寝るまでの間1時間ほど、「憲法と平和を問いなおす」を読む。

・購入物:なし

・朝食:トースト、とうもろこし、ゆで卵、珈琲
 昼食:おにぎり2個(カツオと鮭)、ヨーグルト
 夕食:野球を観ながら(ケンタッキーのピリ辛チキン、枝豆、ベーコンエピ、麦酒2杯)
    試合後、居酒屋で(キムチ、シーフードサラダ、カンパチのお造り、麦酒)


2004年06月15日(火) 浮上できるかな

 「合併」のことについて話したり考えたりすると、ついついヒートアップしてしまう今日この頃。なんとかならんのか。そんな私のここ最近の愛聴盤は、ジム・ジャームッシュのサントラ『COFFEE AND CIGARETTES』。かっこいいです。

 帰りに、自宅近くの八百屋さんで、オクラとシシトウとズッキーニを買う。芦屋雁之助そっくりのおっちゃんがやってるこんな下町の八百屋でも、ズッキーニなんてハイカラなものを扱うようになったのか、と少し感動する。店主の雁之助が、騙されたと思って食べてみて、と勧めてくれた西瓜を4分の1切れ買った。オイシイでえ!マジでマジでマジで、と「マジで」を連発していたからオイシイんだろう。八百屋で野菜を買うのは楽しい。

 今日もビデオで映画を観るつもりだったけれど、何となく気分が乗らず、読書にいそしむことにする。堀江敏幸の新刊や久しぶりに須賀敦子などをゆっくりと読んだ。先日来、ベタベタして陰気な私小説ばかり読んでいたから、このような清々しい読み物は実に新鮮で、精神衛生上から考えてもよろしいものだ。でもまたすぐにベタベタものに手が伸びてしまうんだけど。
 
 夜中には、蚊に悩まされて二度ほど目を覚ました。くそー、蚊め。

・購入物:なし

・朝食:バケット、とうもろこし、リンゴジャム、珈琲、ヨーグルト
 昼食:巻き寿司
 夕食:ターサイと豚肉の炒め煮、オクラ、冷奴、トマト、キュウリの酢の物、麦酒、ごはん


2004年06月14日(月) ほら、どんどん暴落してきた

 午前6時前起床。今日も穏やかな晴れ。早朝だというのに、向かいの家の子どもふたりがギャアと何やら叫びながら飛び出してきて、キャッチボールをして遊んでいるのをしばしの間眺める。元気でよろしいなあ、私は眠い。

 「映画覚書」を読んでいろいろと思うところがあったので、帰りにTSUTAYAに寄って早速ビデオを5本借りてきた。一週間のうちに果たして5本も観られるのだろうか。たぶん無理なような気がするのに、なぜ借りてしまうのだろう。わからん。どんな疑問も、最後の答えはいつも「わからん」になってしまうなあ。
 まあ、四の五の言わずにとにかく1本づつ消化しようということで、ビールとプリッツェルを用意して、まず「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」から観ることにする。プリッツェルを食べる時は喉につめないように注意しなくちゃね。
 
 観る前は、どうせディカプリオとトム・ハンクスのための映画なのだろう、なんとつまんないキャスティングでしょう、と思っていたのだけれども、クリストファー・ウォーケンが出てきたことにまずびっくりし、中盤にはマーティン・シーンまで出現して、なんとなんとこれは「デッドゾーン」ではないかいな。感激。知らないということはもったいないことである。
 それに、天才詐欺師を敏腕刑事が追いかけるだけのもっと軽い内容のものなのかと想像していたのだが、登場人物はほとんどみな孤独で、エピソードのそこかしこに寂寥感の漂うえらくさみしい映画であった。スピルバーグはどこかに何か意味をもたせよう、暗示しようとするところがあって、それが時々鼻につかないでもない。ただ面白いだけではアカンのか。

 予想外に長い映画で、終わった時には午前1時近くになっていた。続いて「サイクリスト」を見るつもりだったけれど、最近の私はお子様で、日付が変わるともう眠くなってしまう。本日の上映はこれにて終了、また明日。

・購入物:なし

・朝食:バケット、バナナヨーグルト、ゆで卵、レタススープ、珈琲
 昼食:お弁当(鮭、いんげんの胡麻和え、ミニトマト、梅干、ごはん)
 夕食:外食(古たんラーメン、餃子)


2004年06月13日(日) すべては終わったことなのだ

 やっと晴れた。嬉しくて、いろんなものを洗って干しまくる。布団、シーツ、クッション、傘、靴など。ハタハタと風にあおられて、おもしろいようにどんどん乾いていく。これこそが家事の歓びだ。

 朝っぱらからどこやらへ出かけて行ったTが、近所に出ていた粗大ゴミの中から、少々傷はあるけれども木目がキレイな傘立てと、白いカラーボックスを拾って帰ってきた。傘立てはそのままで使えるし、カラーボックスは色を塗りなおしてどこそこを細工して本箱にするのだ、と言って、急に日曜大工のようなことを始めだした。家に一人でも器用な人がいると何かと重宝するものだ。
 
 邪魔になってもいけないので(と言うのは表向きで本当は手伝うのが嫌なのだが)、午後から図書館へ出かけた。パラパラと拾い読みした高橋源一郎の本を返して、「憲法と平和を問いなおす」を借りてくる。地元の図書館にはもう借りるものがなくなってきたような気がする。
 スーパーなどに寄ってふらふらと帰宅すると、文庫本専用の立派な本箱が出来上がっていた。嬉々として本を収める。今朝まではゴミだったのに、もう我が家になくてはならないものとなっていて、モノの運命なんてわからぬものだ。

 本日の読書。
 阿部和重「映画覚書」を大半読む。こんなものはダメだと決めつけて観ていなかった映画、例えば「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」とか「マイノリティ・リポート」とかそういう類のものも、ビデオでも借りてきてちょっと観てみようかしら、という気にさせられた。それからカサヴェテスを入念に観かえしたくなった。
 島尾敏雄「硝子障子のシルエット」読了。2、3頁で終わるような小品ばかりを集めた「葉篇小説」集。
 島尾敏雄は、限りなく優しくて穏やかな目と、それにつられて差し出した手を思わず引っ込めたくなるような冷たい目を同時に持った小説を書く人だと思う。特に前半の、非現実的な空間を描いた4編がよい。

 夜になったら、肌寒いほどだった。太陽の匂いのする布団にくるまって眠る。
 
・購入物:なし

・朝食:ねぎとワカメのうどん
 昼食:穴子の天ぷら(近所で買ってきた)、ざるそば、麦酒
 夕食:鶏の照り焼き、レタスとエリンギのスープ、冷奴、蛸とキュウリの酢の物、麦酒、ごはん


2004年06月12日(土) ここからがイバラの道なのだ

 朝になっても雨は降っていた。
 
 昼下がり、出かけようと玄関を出たところ、食に関するアンケートに答えてもらえませんか、と言って学生風の男の子がやって来た。記入しておいてくれたらボク明日また取りに来ますから、と言う。見れば10ページ以上あるし、面倒くさいので断ろうとしたら、
 「謝礼として図書券を差し上げますので」
と、図書券千円分を見せるものだから答えることにした。私に何かさせようと思ったら、図書券をちらつかせればいいのだから簡単だ。
 引き受けたアンケートと、図書券を持って、傘をさして出かける。

 梅田周辺でいろいろとお買い物。Y'SACCSでコットンのバッグを、かっぱ横町の萬字屋書店で井出孫六の新書を、旭屋でもらった図書券を使ってホンマタカシが中平卓馬とその周辺を撮った「きわめてよいふうけい」を、WAVEでジム・ジャームッシュの「COFFEE AND CIGARETTES」というサントラなどを買ったりした。
 このサントラの正体はよくわからないのだけれども、ジム・ジャームッシュは昔々に同タイトルの短編を撮っているはずで、短編にしてはスカタライツやファンカデリック、トム・ウェイツなど盛りだくさんの内容であるから、もしかして新たに撮り直したのかなあ、とも思う。だとしたら、一刻も早く観たいものだ。日本語タイトルはそのまま「珈琲と煙草」にして欲しい。

 テアトルのレイトショウで「タカダワタル的」を観た。
 高田渡の個性に依っているだけの、なんということもない映画であった。表面をさっと撫でただけという感じで少々軽すぎるし、内容として散漫なところもあり、高田渡の何をどのように見せたいのかよくわからぬまま終わってしまい、消化不良である。
 しかし、下北沢のライブのシーンで高田漣がスティールギターを弾いているところを見ることができたので、これはこれでまあよかったということに、とりあえずしておくか。

・購入物:ホンマタカシ「きわめてよいふうけい」(リトルモア)
     井出孫六「抵抗の新聞人 桐生悠々」(岩波新書)これは古書
     SOUL JAZZ RECORDS PRESENTS「STUDIO ONE SKA」
     サントラ「COFFEE AND CIGARETTES」

・朝食:焼きそばパン、トウモロコシ、バナナ、珈琲
 昼食:外食(モダン焼、麦酒)
 夕食:鮭茶漬け、トマト


2004年06月11日(金) 少なくとも、私にとっては恵みの雨のような

 しとしと雨の金曜日。蒸し暑さがなくて過ごしやすい。
 行きの電車の中で「私小説名作選」を読了した。中村光夫が選んだ私小説ばかり26篇が収録されている。ここで初めて読んだ作家は志賀直哉と遠藤周作、それから三浦哲郎。志賀直哉の「城の崎にて」は別段面白くもなかったが、遠藤周作「男と九官鳥」、三浦哲郎「拳銃」は辛辣な中にもどこかとぼけたような味わいがあって、なかなか良かった。

 帰りにぶらりと堂島のジュンク堂へ行く。やはり大阪ではここが最も購買意欲をそそる書店だと思う。
 迷った末2冊購入。今月はちくま文庫と文芸文庫に買うまでにいたる気持ちの盛り上がりを持てなかったので、割とおとなしめの買い物になってしまった。何だかさみしいわ。このさみしさは一体どこから湧いてくるんだろう。

 喫茶店に寄り道していたためか、帰宅は21時をまわっていた。鯖を煮ながらテレビをつけたら、何という題名か知らないけれどスタローンとアントニオ・バンデラスが出演している映画をやっていて、ふたりのあまりの暑苦しさにクラクラした。画面から何か悪い匂いが漂ってきそうだ、速やかに消す。

 レイ・チャールズを追悼しようと、それらしいCDを探してみたのだけれどうまく見つからず、その代わりと言ったらナンだけど久しぶりにカーティスを聴いたら、やっぱり、というか当然、すごく良くて、レコードまで出してきて聴き惚れていたらあっという間にこんな時間になってしまった。
 どうやら雨は止んだようだ。

・購入物:野見山暁治「遺された画集」(平凡社ライブラリー)
     堀江敏幸「一階でも二階でもない夜」(中央公論新社)

・朝食:フランスパンに昨日の残りのカレーをペタペタつけて食べた、珈琲
 昼食:サラダ冷麺
 夕食:鯖の味噌煮、レタスとトマトのサラダ、冷奴、えのきのかき玉汁、ごはん


2004年06月10日(木) 定位置は低位置なのか

 なにかと失敗の多い一日であった。
 失敗その一。まあまあ大切なデータが入っているMOをなくした。というか、どこかにしまってあるはずなのだが、しまってある場所がわからない。Nさんに、ホンマにアンタはB型なんやから!、と言って怒られた。物をなくすことと血液型は何か関係があるのだろうか。
 失敗その二。夕方外出した折、御堂筋のところで「東急イン」までの道を聞かれたのだが、間違って「東興ホテル」の場所を教えてしまった。似ても似つかぬ名前なのに何を考えていたのだろう、気の毒なことをしたもんだ。
 失敗その三。夜、大切にしていた伊万里の蕎麦猪口を落として割った。大ショックであるが、形あるものいつかは壊れるわなあ、とも思う。破片を拾い集めながら冥福を祈った。
 たくさん失敗したような感じがあったが、こうして挙げてみると三つだわ、案外たいしたことないな。
 それから健康診断の結果も出た。だいたいのところ正常な数値を示しており、少なくとも身体的には標準タイプであるということが判明したようで、まあよかったような。

 帰りに旭屋に寄って本を購入。今日は時間とお金がなくてゆっくり見られなかったのが残念であった。図書館で借りるか立ち読みですまそうと思っていたのにやっぱり買ってしまった、阿部和重の映画の本。「ヴァンダの部屋」のところを早速読んで、うーん、と唸ることしきり。やっぱりもう一度観ないとな、と決意を新にする。

・購入物:阿部和重「映画覚書vol.1」(文藝春秋)
     蓮實重彦・山根貞男・吉田喜重編「国際シンポジウム・小津安二郎」(朝日選書)

・朝食:トースト、ボイルしたソーセージ、ゆで卵、珈琲
 昼食:外食(冷やしきつねそば)
 夕食:ビーフカレー、中村屋のコロッケ、レタスと卵の中華風スープ、冷奴、麦酒


2004年06月09日(水) そして、気がつけば定位置へ

 午前6時起床。なんか朝からもううっすら蒸し暑い。晴れるそうなので、洗濯して出かける。

 来月から所属部署が変わるというMさんが新しい担当を連れてやって来た。この新しい担当というのがまあタイヘンな男前で、私も社会人らしきものになって幾年月かが経過したけれども、これほど顔の美しい男と仕事をするのは初めてだ。しかも標準語を喋るし。
 二人が帰った後Iちゃんが小走りにやって来て、メチャメチャ格好いい人でしたね名前は何て言うんですか何歳ですか独身ですか両親と同居してはるんですか、としばらくうるさくて仕方なかった。お見合いしたわけでもあるまいし、知るかそんなこと。
 まあこうして誰が男前だの男前でないだのとアホなことを言っていられるうちは、この仕事も気楽なんだけどなあ。

 夜、明日の朝ごはんにする食材を買うため、散歩がてら外出。夜になっても相変わらずのっぺりした空気が漂っている。食パンを買ってから、深夜まで開いている近所の本屋へ行ったら、もうほとんど諦めていた「波」の6月号を無事入手出来た。執念なり。
 楽しみにしていた車谷長吉の「意地っ張り文学誌」のテーマは畸篇小説で、所謂ショート・ショートのこと。文中に島尾敏雄と森瑶子と岸田今日子の掌編を丸々引用してあって、少々手抜きのような感じがしないでもなかった。しかし島尾敏雄の「鶏飼い」という一編は、凄味たっぷりの巧さであって、実に堪能した。島尾敏雄はさすがである。  

・購入物:なし

・朝食:お粥、梅干、トマト、麦茶
 昼食:無花果のパン、リンゴ半分とバナナ1本、珈琲
 夕食:ポークステーキの上にセロリとルッコラをバサバサとかけたやつ、小松菜と油揚げを炊いたもの、大葉のせ冷奴、麦酒、ごはん


2004年06月08日(火) 余韻

 朝になって、歯を磨いたり朝食の準備をしたり出かける支度をしている時などに、気がついたら昨夜みた「ヴァンダの部屋」での様々なシーンが頭にチラついている。どうにも忘れられない。
 雨が降っているので地下鉄で出勤する。駅にたどり着く手前の道に今まさに解体中の家がある。もうほとんど原型をとどめておらず、破片になった家の欠片が雨にさらされて、土の匂いが立ち上っていた。崩れた壁や柱を見ているとまた「ヴァンダの部屋」でぶち壊されていた家々を思い起こして気持ちがザワめいてきた。
 まあこのような感じで、もうすっかり心をとらわれてしまっているようなのだ。できればもう一度観てみたいけれど、うまく時間がとれるかな。

 帰りに旭屋に行って、「本の旅人」をもらう。本当は「波」が欲しかったのだけれど置いてなかった。「波」に掲載されている車谷長吉の「意地っ張り文学史」を何としても読みたいので、どこかで手に入れなければならない。なんかPR誌に振りまわされる日々だなあ。なぜこのようなことになってしまったのだろう。

 これといった寄り道はせず、まっすぐ帰る。ごはんの支度をしていたらTのお母さんから電話がかかってきたのでしばし話す。焼きうどんを永谷園のお茶漬けの素で味付けするとものすごく美味しい、というような話を聞く。絶対美味しいから!今晩早速やってみ!、と勧められたけれど、焼きうどんはこないだ食べたところなのでまた今度やってみるわ、と答えておく。それから、ホットケーキの素を炊飯器で焼くと蒸しパンみたいになってこれまた絶品なのよ!、とも言っていた。いろんなことに挑戦しているんだなあ、冒険者だ。ウチには炊飯器がないから(米は鍋で炊いている)その蒸しパンは出来ないが、興味のある方はやってみてください。クルミなど入れると、よりおいしいらしいです。

・購入物:なし

・朝食:ごはん、卵焼き、大根の味噌汁、キュウリの漬物、梅干、麦茶
 昼食:明太子オニギリ、トマト、リンゴ
 夕食:蒸し鶏のサラダ、冷奴、レタスと卵とワカメのスープ、麦酒、塩昆布でお茶漬け


2004年06月07日(月) 強靭

 湿気の中にべっとり浸かっているような一日。爽やかさのかけらもない。日暮れ時には3分間ほど激しい夕立があって、私はしばらく九条駅のホームに座って雨をボーッと眺めていた。雨が上がった後、どこからか強い磯の匂いが漂ってきて、湿度がさらに増したような感じがした。

 九条に行ったのは「ヴァンダの部屋」を観るためだ。
 観客は約5〜6名。こんな少人数でみるのはあまりにも、あまりにももったいない。素晴らしい、とでも言えばいいのか、その言葉は何か違う気もするのだけれど、とにかく一言ではちょっと言い表せないような密度の濃い映画であった。

 港千尋はこの映画について『フェルメールに勝るとも劣らない強い親密さがある』と言っていて、それは確かにフェルメールのようでもあるし、壁の汚れやテーブルの乱雑さ、放り出された野菜や果物、窓から入る光線の色や草を揺らす風など、めんめんと続く日常のありふれた風景は、先日姫路で見たワイエスのようでもあった。
 それがたとえ廃墟のようなスラム街での風景であっても、やはり人々の生活というのは強いなあ、と思うのだ。どんな状況下におかれても、例えば明日からの住む場所に汲々とするような時でさえも、人々は世間話にケケケと笑ったり、部屋の模様替えをしたり、ポスターを貼ったり、野菜を売ったり買ったり買わなかったり、日蝕を眺めたりする。切なくなるくらいに強靭だ。
 寝て起きたら朝になっていたからとりあえず今日も生きてやろう、ろくでもない毎日だけど、くたばるまでは人生だからね。

 というわけで、観終ってしばしの間放心状態になるほど、ものすごく感動したのだった。今もまだ余韻が残っているという感じで、映画を見てこんなふうになるのも久しぶりで、それはとても気持ちのよいことだったのだと、あらためて思った。
 
・購入物:「ヴァンダの部屋」パンフレット

・朝食:クロワッサン、オムレツ、バナナ、珈琲
 昼食:カレーパン、レタスとミニトマトのサラダ、ミルクティ
 夕食:外食、かきあげうどん


2004年06月06日(日) 到来

 お昼前にこないだ頼んだ文机が届いた。部屋にしつらえてみるとお店で見たときよりずいぶん大きいように思うけれど、木目もきれいだしつややかに光っていてとてもステキだ。しみじみ嬉しい。
 早速引き出しに文房具の類を収納する。この机にむかい、ゆるゆると硯で墨などすって、何か一筆したためてみたいものだ。実はわたくし書道を十数年やっていたので書をしたためるのは割と好きなのだ、こう見えても。ってどう見えてるのか知らんけど。

 まあ一日机を眺めているわけにもいかぬので、掃除など家事仕事にいそしむ。昼からちょこっと図書館をのぞいて、紙芝居と高橋源一郎の本を借りる。高橋源一郎は決して嫌いではないのだが、ヘンに巨人ファンなところがちょっと何とも言えんなあ…、と思う。
 
 図書館の後はスーパーにて買物。レジで私の前に並んだ「おばちゃん」と「おばあちゃん」の間くらいの年代の人が、会計するのに持ち合わせのお金が30円足らないと言って、やれ豆腐をやめるだのやっぱり卵をあきらめるだのと大騒ぎをしていたので見るに見かねて、私が30円を出した。おばちゃんとおばあちゃんの間くらいの人は申し訳ないくらいに恐縮してくれて、借りたお金を現金書留で送るから住所を教えて、と食い下がられたのだけれど断って帰ってきた。現金書留って、そんなたいそうな。おばちゃんとおばあちゃんの間くらいの年代の人(しつこいな)っていうのは、真面目で律儀な方が多い、ような気がする。

 今日の読書。中村光夫編「私小説名作選」の中から、田山花袋、近松秋江、藤枝静男、徳田秋声、嘉村磯多などの短編を読む。じっとりとじとついている。梅雨にぴったりの読み物だ。
 それにしても近松秋江の「黒髪」を私は一体何度読み返せば気がすむのか、どこかで目についたらどうしても読んでしまう。主人公の心の動きがどこかしら他人事のように思えず、妙に感動してしまうのだ。このような小説に感動しているようでは、立身出世は望めませんなあ。

・購入物:文机

・朝食:冷奴、キュウリの漬物、オクラ、卵焼き、ごはん、麦茶
 昼食:かにクリームコロッケ(スーパーの惣菜売り場で買った)、キュウリサラダ
 夕食:焼きうどん、キュウリのゴマ酢和え、キュウリの漬物、大根の味噌汁、麦酒
 なんかキュウリづくしだなあ。


2004年06月05日(土) 蒸暑

 午前中にせっせと荷造りして、午後から実家へ帰る。荷造りといっても別に家出するというわけではなくて、コートなど冬物の洋服を家に置いておくと手狭になるので実家へ移動させるというだけのことなのだが。

 ついでに、父親には頼まれていた野球のチケット、母親には成瀬巳喜男のビデオを持っていく。
 チケットを渡したら、父は顔をほころばせて喜んでいた。阪神はこのところ負けてばっかりだねえ、と私が言うと父は、勝っても負けてもいいやないか、負ける日もあれば勝つ日もあるさ、などとホトケさんのようなことを言っていた。昔の父は、阪神が負けた翌日は新聞のスポーツ面を読めないようにホッチキスで止めたりして母によく怒られていたもんだが、よくぞここまで大人になったものだ。エライぞ。

 晩ご飯をご馳走になって、キュウリの漬物とオクラとりんごジャム、月桂冠のお酒をもらう。
 それから実家に置きざりになっていた集英社の「世界の文学第12巻・ドイツ・中欧・東欧・イタリア」を持って帰ることにする。当時はまだ単行本化されてなかったクンデラの「存在の耐えられない軽さ」を読むために、大学の時に大枚はたいて買った全集の端本だ。他にはシュルツ「肉桂樹の店」やゴンブローヴィッチ「フェルディドゥルケ」、モラヴィア「侮蔑」などが読めるし、この「世界の文学」シリーズの中ではこの巻が一番面白いと私は思う。

 帰りの荷物の重いこと、重いこと。電車の中では「世界の文学」の中からカフカの「田舎医者」と「流刑地にて」を読む。カフカの小品の中には、ここで終わるのは反則やろ、と思うものもあるけれど、この2編はいつ読んでもゾクゾクするほど上手くて怖い。現実の膜をベラッとめくられた世界。

 蒸し暑くて寝苦しい夜。日付がかわる頃雨が降ってきた。

・購入物:なし

・朝食:インゲンと豚肉の炒め物、レタスの中華風サラダ、わかめの味噌汁、ごはん
 昼食:ぬき
 夕食:実家にて、ラタトゥユのパスタ、鶏の香味揚げ、レタスとパプリカのサラダ、麦酒
 


2004年06月04日(金) Let me try to be back to this place anyday

 打ち合わせに行ってそのまま直帰します、と会社に嘘をついて、中之島公会堂での高田渡のライブに行った。こうでもしないと、17時半の開演なんて間に合うはずがない。それでも15分少々の遅れ。トークショーの途中で席についた。

 高田渡は、歌えというなら歌いましょうか、という相変わらずの飄々とした感じで「生活の柄」を含む数曲を歌った。金子光晴や山之口貘といった人の詩を歌っているからというだけではなくて、この人にはどことなく文学の匂いがするところがあって、私はそこがすごく好きなのだと思った。
 高田渡の前には昔からの仲間であるふたりが何曲か歌ったのだが、これは何となくねちっこく、ノスタルジーにも浸れなくて、私にはよくわからなかった。歌詞世界も含めて、フォークというのは自分が好んで聴くタイプの音楽ではないのかもしれない。
 でも「プカプカ」は良かった。
 『遠い空から降ってくるって言う
  「幸せ」ってやつがわかるまで
  あたいタバコやめないわ
  プカプカプカプカプカ』

 タワーに寄って、曽我部恵一のアルバムを買ったらインストアライブの整理券をくれた。これには行くかどうかわからないけれども、曽我部恵一による「Baby Blue」のカバーは本当に良いと思う。

 自転車をこいで夜道を帰る。空には丸い月が見えていたけれど、今日はうっすらと雲がかかっていてぼんやりぼやけていた。月を見ていたらまた「シヤ・ラ・ラ」が頭の中に出てきたので口ずさんでいたら、シン、とした気分になった。
 顔や姿や言葉や声をもうきれいさっぱり忘れていてほしいという思いと、一年に一度でもいいから折に触れて私のことを思いだしてほしいという思いが、あの人に対してはいつもある。例えば懐かしい歌を耳にしたり、こんな月を見たりした時などに。たぶん心のどこかに引っかかっていたいのだ、私があの人を引っかけているように。
 そんなこんなで、ちとセンチメンタルになった初夏の夜なのでした。

・購入物:曽我部恵一「shimokitazawa concert april3.2004」

・朝食:バナナ、珈琲
 昼食:ベーコンロール、メロンパン、珈琲
 夕食:外食、ごはんや(鶏のおろしあんかけ、千切り大根、味噌汁、サラダ、ごはん)


2004年06月03日(木) 月夜

 業務煩雑のため、少々お疲れ気味。今日も一銭にもならないつまらぬことに追い立てられて、肝心の仕事は何にも進められないまま一日が終わってしまった。
 夕方、電話待ちをしている間に日記を書く。そんな悠長なことをしている場合でもないのだが、忙しい時に限って遊びたくなるのが私の習性なのだ、厄介なことに。
 
 電話はかかってきたけれど、結局何にも問題解決できなかった。もうどうにでもなれ、という気分。
 Tと待ち合わせて、骨董屋へ行く。以前からの懸案であった文机をとうとう購入するにいたる。大正期のもので、両脇にすかし彫りが施してある。この机で書きものなどして「文士ごっこ」をするのが今から楽しみだ。三万二千円也。そんな金は今はどこにもないので、これからせっせと稼ぐのだ。だから文句を言わずに働こうと思う。
 骨董屋さんで、大津の旧家で長いこと使われていたという回転椅子に腰掛けさせてもらった。座り心地は抜群によかったが、これに座ってからというものどうも、腰から右足にかけて痛くて仕方ない。大津の旧家の祟りかな、もしかして。

 ご飯を食べてからTSUTAYAに寄ってみる。しばらく行かぬ間に昔の日本映画ビデオが充実していてびっくり。成瀬巳喜男が数十本、「次郎長三国志」が全巻、貸し出し中だったけれど「人情紙風船」まであった。まあ、うれしい。レンタルビデオ屋もちょくちょくチェックしておかねばならない。
 それからこの秋公開されるという「丹下左膳・百萬両の壺」のチラシももらった。豊川悦司の丹下左膳は百歩譲るとしても、和久井映見はミスキャストだと思うけれども、どうなんだろ。チラシだけ見るとどうも安っぽく魅力がなくて、なんにしてもあまり観る気のおこりにくい映画ではある。

 旭屋で文庫本を一冊買って帰る。大阪城の横にまん丸のお月様がでていた。

・購入物:エミール・ファゲ「読書術」(中公文庫)

・朝食:冷やしうどん
 昼食:クロワッサン、グリーンサラダ、バナナ、珈琲
 夕食:外食、店名忘れた。えーと、ほうれん草のチャーハンが有名な中華料理屋さん(小籠包、シュウマイ、エビチリ、グリーンチャーハン、ミニ担々麺、麦酒)


2004年06月02日(水) 馬鹿

 午前5時頃、悪夢を見て起床。ヘンテコリンな夢であったがもう詳細は思い出せない。早く起きすぎてすることがないので、パスタを茹でてトマトソースを作り、ちょっと凝った朝ご飯をこしらえて悦に入ったはいいけれど、食べ過ぎて気分が悪くなり、出勤時間になるまで再び寝転がってしばしの間苦しんだ。馬鹿みたい。というか、馬鹿である。

 なんとか復活して出勤。会社で昨日Kにもらった唐辛子チョコレートを皆々様に配る。Nさんは、まともな食べ物くれよ、と食べる前は不満顔だったけれど、2個目を所望されたので、たぶんおいしかったんだと思う。勇気がなくて私は食べていない。

 帰って、晩ご飯を作りながら久しぶりにテレビで野球を観る。井川がやっと髪を切ってくれた。いつもいつもザンバラ頭で、この人はなにか髪を切ってはいけない特別な事情でもあるのかと思っていたが、全くよかったことだ。これからも出来れば一ヶ月に一度は散髪してほしいものだと思う。

 夜は、「カフカ短編集」を読む。

・購入物:なし

・朝食:ピーマンの肉詰め(昨日の残り)、トマトソースとほうれん草のパスタ
 昼食:セサミロール、バターロール、
 夕食:豚と大根の炒め煮、小松菜の胡麻和え、サニーレタスのピリ辛サラダ、海苔、麦酒、ごはん


2004年06月01日(火) 訪問

 昨夜はご飯作りをサボったので、昨日届いた野菜の下処理をするべく、早起きしていそいそと台所で立ち働く。今朝早くに友人が、今晩ちょっとお邪魔させていただきたい、ついでにご飯も食べさせてもらえたらなおうれしい、と携帯電話にメールしてきたので、夜の分のサラダも作っておく。何をしに来るのか知らないが、まったく手間のかかることだ。

 帰り際に旭屋で、岩波の「読書のすすめ」をもらい、帰りの地下鉄でだいたい読んでしまった。「読書のすすめ」の堀江敏幸の文章に影響されて、「カフカ短編集」を読みかえしたくなった。

 夜。ひき肉をこねくり回していたら友人Kが、クラシックラガーの6巻パックとスルメやピーナツやら韓国海苔を手にぶら下げ、ヨレッとしたTシャツとジーパンにサンダルをつっかけて、ひょこひょこやって来た。玄関でその姿を見た途端、アンタ気楽やなあ、と言ってしまう。Kは去年の後半から無職で、あちこち旅行などしてブラブラ暮らしており、なんだか毎日が日曜日であり毎日が夏休みで毎日が行楽日和な人、という感じがするのだ。
 ご飯を食べながらここ最近彼女の身の上に起こった少し哀しく少し可笑しい話を聞く。気楽そうに見えてはいてもKもいろいろあるのだ、当然のことながら。Kは午後11時頃まで話し、韓国土産だと言って唐辛子入りチョコレートを置いて帰った。唐辛子入りチョコレートというのは甘いのか辛いのかどっちなんだろう。

 寝る前、本棚に「カフカ短編集」があるかどうか確かめてみる。あった。しかも2冊も。とほほ。

・購入物:なし

・朝食:しめじとえのきのスープ、トマトとルッコラとベビーリーフにオリーブオイルをかけたサラダ、トースト、珈琲
 昼食:梅のオニギリ、春雨スープ、リンゴ
 夕食:ピーマンの肉詰め、レタスとキュウリのサラダ、中華風冷奴、麩とネギの味噌汁、ごはん、麦酒


フクダ |MAIL

My追加