昨日・今日・明日
壱カ月昨日明日


2004年02月29日(日) 贈物

 目を覚ましたら雨が降っていた。洗濯をしたかったんだけどなあ、当たらなくてもいい天気予報はよく当たる。
 起きて、「新・日曜美術館」を観る。今日は中平卓馬が取り上げられるので何としても観なければならぬ、と9時前に目覚ましをセットしておいたのだ。
 中平卓馬は写真だけじゃなくて文章も好きだ。「なぜ、植物図鑑か」を読みかえしはじめたらまた寝てしまい、11時頃、宅急便に起こされた。

 宅急便の中身は友人K子からの誕生日プレゼントだった。中身は芋焼酎。誕生日プレゼントに酒か…。
 誕生日を1ヶ月間違えて(私の誕生日は来月)買ってしまいました、手元に置いておくとつい飲んでしまいそうなので送っておきます、私はこの750ml瓶を一人で二晩のうちに飲んでしまいました、何だか自分が恐ろしいです、とか何とかごちゃごちゃと書かれた手紙が一緒に入っていた。
 お誕生日おめでとう、とは一行も書いていなかった。そんなK子が好きだ。

 午後から雨もあがったようなので洗濯をして、掃除。明日からまた寒くなるそうなので天気予報を信じて灯油を買いに行く。一旦帰ってまたスーパーへ。丸大豆醤油、料理酒、サラダ油、瓶入りのパスチャライズ牛乳と果物と野菜を買う。お、重い。

 カレーが食べたい、でも自分で作るのはイヤ、という気分だったので夕方から外出。食べる前に、カレー屋の隣の古本屋で安い文庫本3冊購入した。ひそかにファンである加東大介の本があったのが嬉しい。「秋刀魚の味」をまた観たくなった。

 夜は、森敦が、これを読んでいないなんて軽蔑に値する、と言っていた尾崎紅葉の「多情多恨」を読み始めた。

・購入物:フィリップ「若き日の手紙」(岩波文庫)
     田村隆一「鳥と人間と植物たち」(徳間文庫)
     加東大介「南の島に雪が降る」(ちくま文庫) すべて古書

・朝、昼食:トースト、りんご、バナナ、珈琲
 夕食:外食、印度屋(ビーフカレーにポテトオニオンをトッピング、スープ)


2004年02月28日(土) 探索

 午前7時に目を覚ました。土曜の朝は目覚めたらまず、NHKFMにチューナーをあわせる。そして半分眠りながらピーターバラカンの番組を聴くのだ。今日は気になる曲が2つほどあった。寝ぼけ眼でとりあえずメモをとっておく。 

 午後から外出。さわやかなお天気なので、自転車をコキコキこいで行く。
 子どもに絵本を読み聞かせる会に参加。「三匹のやぎのがらがらどん」などを読む。子ども達はこの話が大好きだなあ。私も好きだけど。
 今日は、広島カープの赤い帽子をかぶった幼稚園年長組の男の子と仲良くなった。熱心なカープファンらしい。好きな選手は前田だと。前田かあ。男の子は帽子を振り回し、今年はカープ優勝や!、と何回も叫んでいた。カープ球団関係の方々は、子どもの夢を壊さぬようしっかりやっていただきたいと思う。

 帰りにタワーに寄って、念願の「ラティーナ」、ジョアンの記事を立ち読み。何となく予想はついていたが、やっぱりたいしたことは書いてなかった。拍子抜け。
 それから今朝、ラジオでチェックしたCDを探し当てた。海のものとも山のものともわからぬが、2枚組で1600円とお安いので買っておく。
 その後、ジュンクで坂口安吾全集を片っ端から引っこ抜いて、例の織田作論とやらを探してみるも、これはとうとう見つからず。何でだろ。私の探し方が悪いのかなあ。今日のところは諦めてすごすごと帰る。

 夜、「ルーツ・オブ・レゲエ」を聴いてみたら、何やら大変良かった。ジャケットセンスはびっくりするほど悪いけど、思い切って買ってよかった、冒険成功。 

・購入物:Count Ossie&the mystic reveiation of Rastafari「The root of reggae」

・朝、昼食:カレーパン、バターロール、チーズ、コスレタスのスープ、珈琲
 夕食:豚肉と大根のキムチ炒め、トマトサラダ、玄米ご飯


2004年02月27日(金) 失恋

 朝っぱらから、残っていたホットケーキの粉でドーナツを揚げた。アツアツのドーナツにハチミツやジャムやバナナやヨーグルトをのせて食べる。美味しいけれど、こんなものばかり食べてたら太るぞ。もう今日限り止めよう。
 などと思いながらまるで休日の朝のように優雅な朝食をとっていたら、あやうく遅刻するところであった。

 今日も会社から一歩も出ず、7月以降の企画を悶々と考える。明日のこともあやしいのに、そんな先のことがわかるもんか。提出が来週半ばだということもあってイマイチやる気が起こらぬので、途中で放り出して帰ることにする。これ以上机に向かっていたら脳みそに蛆がわきそうだ。

 帰ろうとしたところでIちゃんにつかまって、近くの喫茶店で事の顛末を聞く。
 「駄目でもともと」と百も承知で臨んだはずなのに、「駄目」が現実になってしまうとやっぱり傷つく。終わってしまった後、心のどこかで期待していた自分がいたことに、その期待がとても大きかったことに気がついて愕然とする。好きな人にふられた時の、この人私のこと好きじゃないんだなあ、と実感した時の、あのやるせない気持ちには、何度経験しても慣れない。いくら年を重ねても、絶対に慣れない。

 夜、数年ぶりに「グロリア」をビデオで観た。ジーナ・ローランズ!かっこいい。

・購入物:なし

・朝食:ドーナツ、バナナ、りんごジャム、マーマレード、ヨーグルト、珈琲
 昼食:お弁当(人参と牛蒡のキンピラ、卵焼き、カツオのふりかけ、玄米ご飯)
 夕食:大根と厚揚げの煮物、水餃子とコスレタスのスープ、玄米ご飯


2004年02月26日(木) 馬鹿

 一日、会社にベッタリはりついて仕事。窓から外を眺めれば今日はとてもいい天気で、こんな日に部屋の中に閉じこもっているのは実に不健康だと思う。
 夕方から、大きなマスクをしたWさんと打ち合わせ。花粉症であるうえ、風邪もひいておられるとのこと。あらら、ダブルパンチとは気の毒に。
 Wさんに、アナタはいつも元気そうでいいですね、アレルギーとかもないでしよう、と言われる。アレルギーなんかないよ、薬だって生まれてこのかた数えるほどしか飲んだことないもん、と答えたら、ああそうでしょうねえ、いかにもそんな感じです、と失笑されたが、これって何か馬鹿にされてるのかしら?合点がいかんなあ。

 帰りに堂島ジュンク堂に寄って、文庫本のお買い物。それから「ちくま」の3月号をもらって、アバンザ地下の喫茶店で読む。
 青山光二の聞き書き連載の3回め、今回は坂口安吾のこと。坂口安吾は久しく読んでないなあ。それから安吾が「大阪の反逆」という題の、織田作論を書いていることを今日初めて知った。何でこんな重要な文献を読んでいないんだろう、私は。早急にチェックせねばならない。

 帰って、晩ご飯を作りながらチラチラ「エースをねらえ」を観る。何かしらんけどこのドラマにも水野真紀が出ている。どこにでも出て来るなあ、この人。いつも同じような下手くそ演技だけど、それでも女優と言えるのか?

 夜、Tが買ってきた四方田犬彦の「ハイスクール1968」を横取りして読みはじめた。

・購入物:チェーホフ「妻の手紙 上・下」「シベリヤの旅」(岩波文庫)
     伊良子清白「詩集 孔雀船」(岩波文庫)

・朝食:トースト、スクランブルエッグ、珈琲 
 昼食:カツオのおにぎり、長ネギの味噌汁(インスタント)、蜜柑
 夕食:蛸とチンゲン菜の白ワイン蒸、人参と牛蒡のキンピラ、とろろ玄米ご飯


2004年02月25日(水) 書物

 早朝、電話のベルで起こされる。出たらブツッと切れた。何やねーん、腹立つ。
 
 時計を見たらまだ6時前だったけれど、もうそのまま起きることにする。今日は一日晴れるらしいので、はりきって洗濯。それからお風呂掃除。朝食を食べて台所の片づけをして、ちょっと早目に会社へ行き、まだ誰もいない部屋で昨日残した仕事の続きをする。
 私って働き者だなあ。誰も言ってくれないので自分で言うておこ。

 午後から外出。東西線でぶらりと北新地駅に帰ってきて、階段をポコポコと上がったら第2ビルの古本市会場に行き当たる。つい2,3日前にものぞいたところではあるが、まっすぐ会社に帰りたくないし、仕事もしたくないので、再度グルッと一周して合計2冊購入する。千林では2000円で売っていた安藤鶴夫を200円で発見できたのが何よりの収穫であった。
 本を抱えて会社へ戻ると、机に仕事が山と積まれていた。私が無邪気に古本など見ている間にまたまたややこしい問題が起こっていたのだ、ああ面倒くさい。

 残業して帰宅すると、スムースから本が2冊届いていた。良いことと悪いことはかわりばんこにやってくる。
 夜、早速「一読書人の日記」を読む。1935年から1984年までに書かれた作者不詳の読書日記、というか書物蒐集日記。阪神大震災の後、幾多の廃棄物の中から偶然発見されたものらしい。これはすこぶる面白い、例えばこんなところとか。
『1936年1月25日
 書物 何時かは読むだろうと思ってハ見るが、何時になつたら読めるやら。
 俺の周りにハあまり本がありすぎる。何時かハ読むと思つた出物もこれでハ、金をかゝえて苦しんでゐるそんじよそこいらの金持と少しも変わりはなさゝうだ。
 女は要らぬと書いては見るが、夜毎夜毎悩まされる。「すべての理論は灰色だ。たゞ黄金なす生命の木のみがとは緑だ」とGoethe(ゲーテ)はいらぬ事を云った。俺はさう考へたくはないけれど、女のことを思ふとき、理論も何もはねとばされる。』
 
・購入物:安藤鶴夫「三木助歳時記」(旺文社文庫)
     高見順「文壇日記」(同時代ライブラリー)ここまで古書
     以下、届いたもの
     「一読書人の日記」「私の見てきた古本界70年」(スムース文庫)

・朝食:野菜豚汁、かぶらの漬物、海苔、玄米ご飯
 昼食:ゴマとチーズのパン、野菜サラダ、珈琲
 夕食:わかさぎの南蛮漬、千切大根の煮物、豚汁の残り、玄米ご飯
     


2004年02月24日(火) 早退

 イベント準備のため7時すぎには会社に行かねばならないので、今日は5時半起き。昨夜は遅くまで岩野泡鳴を読んでいたため(やっとこさ読了したぞ。寺田透の言う通り、世間の間尺に合わない小説だった、でも私は好きよ)眠くて眠くて、目覚ましがギャンギャン鳴ってもなかなか布団から出られなかった。
 なんだかんだと人にこき使われたり、はたまた人をこき使ったりして、朝から昼すぎまでバリバリ働いた(ホントだよ)ので、午後からの仕事はもう打ち止めと勝手に決めて早々に会社を出る。この傍若無人ぶりがどこまで通用するのかわからんが、まあ行けるとこまで行ってみようと思う。

 早く帰って髪を切りに行くつもりだったのだが美容室の予約が取れず断念し、図書館に寄った後、心斎橋周辺でうろうろ洋服などを眺める。眺めるだけで買う気もない(というかお金がない)のにさまざまなお店でスカートを試着してみたり、靴を履いてみたりした。
 図書館へは、予約されている本が届いてます、と連絡をもらったので喜び勇んで行ったのだが、届いていたのは「モンテーニュ私記」だったのでガックリ。何だ今頃、もう買って読んだよ。
 書庫から出してもらいたい本もあるのだけれど、これ以上借りてもちょっと読めそうにないので今日のところは手ぶらで帰った。

 夜は、田中小実昌の「ないものの存在」を読む。うーむ、面白い。

・購入物:なし

・朝食:クロワッサン、ミルク珈琲、バナナ
 昼食:お弁当(牛肉と牛蒡のしぐれ煮、ポテトサラダ、海苔、玄米ご飯)
 夕食:鯛のお刺身、野菜豚汁(大根、人参、牛蒡、豆腐、ネギ入り)、温泉卵、玄米ご飯


2004年02月23日(月) 酔頭

 朝起きたらガンガンと頭が痛い。昨夜調子に乗って焼酎をグビグビ飲んだからな。月曜日から二日酔とは、勤労意欲の低下につながる忌々しき事態だ。謹んで反省しよう。反省するだけならバカでもできるだろう。
 どんな時でも食欲は低下しないので、冷蔵庫に残っていたベビーリーフを使って卵焼きを作って朝ご飯。これで野菜室はもうカラッポ、心細いなあ。

 昼休みパンをかじりながら岩野泡鳴の「憑き物」を読んでいたら、冴えない顔のIちゃんがやってきて横にすわってため息ひとつ、「今までにね、好きな人にふられたことあります?」と言うので、あるよ、と答える。あるよ、もちろん。ショックでした?どうやって立ち直ったんですか?、といろいろ聞かれて岩野泡鳴どころじゃなくなった。彼女はあの景山民夫似の男と、多分うまくいかなかったのだろう。まあ仕方ない、人生いろいろだ。
 憂さ晴らしに飲みに行こう、と誘ってはみたものの、二日酔がまだ抜けきっていないので今日のところは勘弁してもらう。とほほ、情けない。

 夕方ふらふら地下街をさまよっていたら、第2ビルの広場(ヘンテコリンなシャツとか、これ誰が買うんです?と思う派手なネクタイをよく売っているところ)で古本市をやっていたので少しのぞく。大した本はないけれども、旺文社文庫の内田百けんが200円と安かったので一冊購入。手ぶらで帰ることにならないでよかった。

 帰宅後、宅配野菜の整理。これでまた野菜室がいっぱいになった。嬉し。
 
・購入物:内田百けん「随筆 億劫帳」(旺文社文庫)古書

・朝食:ベビーリーフの卵焼き、キムチ、海苔、玄米ご飯
 昼食:クルミパン、メロンパン、紅茶
 夕食:牛肉と牛蒡のしぐれ煮、ジャガイモとネギの味噌汁、セリのゴマ和え、玄米ご飯


2004年02月22日(日) 男前

 午前9時起床。今にも雨が降り出しそうな空なので、洗濯はあきらめる。

 ホットケーキを焼く。2日連続、朝ご飯はホットケーキ。特に好きだというわけではなく、こないだ食料庫の整理をしていたら賞味期限切れ間近の粉が出てきたから、せっせと焼いて食べているのだ。しかしさすがにもう飽きた。味を変えるためヨーグルトをのせて食べてみる。可もなく不可もなく。

 午後から外出。今日は春を飛び越して、初夏という感じ。暑くて湿気があって、なんだか気持ち悪い。
 梅田周辺とロフトで買い物をしてから、テアトルで「モロ・ノ・ブラジル」を観た。
 ブラジル音楽のルーツをたどる音楽ドキュメンタリー。サントラを何回も聴いていたとはいえ、スクリーンで実際にライブ風景を観るとさらに良い。
 特にかっこいいのが、「ブラジス」を歌うカブリエウ・モウラと、「シティ・オブ・ゴッド」にも出ていた(らしい)セウ・ジョルジ。世界にはまだまだいい男というのがいるんだなあ。よかったよかった。
 ブラジル音楽の豊かさと、ブラジルの人達の淡々とした前向きさに心をうたれる。いい映画だったと思うなあ、客は10人もいなくて場内はガラガラだったけど。

 パンフレットを買って映画館を出たら、雨が斜めにジャアジャア降っていて、傘をさしていてもかなりぬれた。
 夜は焼酎のお湯割りを飲みながら佐々木基一の「私のチェーホフ」を読む。

・購入物:「モロ・ノ・ブラジル」パンフレット

・朝、昼食:ホットケーキ、珈琲、ヨーグルト
 夕食:外食、花柳(ひとくちカツ、サラダ、赤だし、ご飯)


2004年02月21日(土) 鑑賞

 梅田で母と待ち合わせて、阪急電車で三宮へ行く。今日も快晴、そしてかなり暖かい。電車内には、半袖シャツの人もいれば、ファー付きコートの人もいるし、扇子で胸元をあおいでいるオジサンもいれば、マフラーをぐるぐる巻きにしている高校生がいたりして、世の中はますます混沌としておるなあ。

 神戸市立博物館で「大英博物館の至宝展」を鑑賞した。二人とも特に大英博物館や古代史に興味があるわけでなく、知人から母が招待券をもらったから、という理由で行っただけなのだが、なかなか面白かった。面白かったけれども、入場者の多さにほとほとウンザリ。どの展示作品の前にも人だかりができていて、順番にひとつひとつ観ていこうとしたら日が暮れてしまう。なので、ロゼッタ・ストーン、南方熊楠のノート、女性のミイラ、ミイラマスク、ルイス島のチェス駒、デューラーの「メランコリア」など、気になるものだけしっかり見て、あとはさらっと流すことにする。
 母は装飾品や金貨のところで何やら激しく興奮していたが、あんまりうるさいので相手にならず放っておいた。

 博物館の後は、南京街で中華食材のお買い物。それから付近を散策してから梅田に戻って母と別れ、私はジュンクで本を一冊買って帰った。
 あ、また「ラティーナ」を立ち読みするの忘れた。馬鹿だ。

 「関西赤貧古本道」を読む。古書と古書店に身も心も奪われてしまった人の一喜一憂。もはや他人事とは思えぬ。それにつけても、加藤一雄の「無名の南画家」を持っておられるとは、なんて幸せな人だろう。

 今日は朝も夜も、部屋にいる時はずっと絶え間なく、ジョアンを聴いていた。
 
・購入物:山本善行「関西赤貧古本道」(新潮新書)

・朝食:ホットケーキ、珈琲、バナナ
 昼食:外食(中華粥、シュウマイ、春巻、ごま団子、杏仁豆腐)
 夕食:水餃子鍋(南京町で買ったエビ入り餃子)、麦酒


2004年02月20日(金) 音楽

 ナマあたたかい一日。春だなあ。春にはいい思い出がなく、もう全然なく、あんまり好きじゃないので、どことなく憂鬱だ。
 
 午前中は取引先の会社でミニ会議があり、終了後心斎橋から北へ向かってとろとろと歩いて帰る。こうしてわざわざ歩くのは現実逃避している証拠で、よろしくない傾向だ。そして、ふらふらと通りがかりの古本屋に入ってしまったりして。完全に逃げてるなあ。
 富士正晴の随筆集を100円で買った。お昼休みにパラパラめくる。ヴァージニア・ウルフと久坂葉子に関する文章がいい。富士正晴の飄々としたところがとても好きだ。

 仕事の後は、旭屋で「草思」と「青春と読書」をもらってから、タワーへ行く。今日は「in Tokyo」が発売される日なのだ。今日という日はこのためにあるんだ。瞳がウルウルするくらいうれしい。一刻も早く聴きたいので、すばやく購入して帰る。急ぎすぎて「ラティーナ」を立ち読みするの忘れてた。しまった、明日どこかでチェックしよう。

 夜、心静かに「in Tokyo」を聴く。通して3回聴いた。もう何にも言うことない。万歳。

・購入物:JOAO GILBERTO「in Tokyo」
     富士正晴「狸ばやし」(編集工房ノア)古書

・朝食:はちみつトースト、目玉焼き、珈琲、蜜柑
 昼食:お弁当(ピーマンのキンピラ、茄子のそぼろ炒め、海苔、玄米ご飯)
 夕食:豚のしょうが焼、長芋のサラダ、がんもどきと牛蒡の味噌汁、玄米ご飯、かぶらの漬物


2004年02月19日(木) 小幸

 午前5時前起床。外はまだ暗い。洗濯機をまわしながら日記を書く。お腹が空いたので台所で食料を探して、冷凍してあったうどんと油揚げできつねうどんを作り、ミルトン・ナシメントを聴きながら食べた。あたたかいうどん、おいしいなあ、幸せ。この時点でまだ6時半。早起きすると心が豊かになる。

 そして、たのしいたのしいお仕事。こうなったらもうヤケクソだ。今日もイッショウケンメイ働くぞ、でも「エースをねらえ」までには帰りたい。

 と、願っていたにもかかわらず、仕事は19時頃終わったものの少し喫茶店に寄り道して1時間ほど読書をし、近所でごちゃごちゃ買物をしてから21時半頃帰宅して、ご飯を作り始めた時にはもう「エースをねらえ」のことはきれいさっぱり忘れてしまっていた。

 岩野泡鳴「毒薬を飲む女」と「放浪」と「断橋」読了。
 もう内容はほとんど破綻してしまっているんだけれど、全体の勢いは全然衰えず、オッサンどこまでいくねん、という感じ。あと一編読んだら五部作を通読したことになるからくじけずガンバロウ、と我と我が身を励ます。
 岩野泡鳴の書いたものを読むと確かに疲れる。何度も何度も読み返したい、なんていう本ではない。だけど、強烈に濃くて面白い。この人の小説を読んだ後では、美辞麗句で上塗りされたキレイキレイな物語やウジウジイジイジした自分語りの小説など、嘘っぽくて辛気くさくてとても読んでいられなくなると思う。
 
・購入物:なし

・朝食:きつねうどん、玄米ご飯、梅干、キンピラ
 昼食:セサミロール、チーズウィンナーのパン、珈琲
 夕食:ひき肉とキャベツのオムレツ、かぶとひろうすの煮物、ままかりの酢の物、玄米ご飯、大根の漬物


2004年02月18日(水) 撤退

 働くのがほとほとイヤになったので、今日は早めに仕事を切り上げる。えー帰るんですか、とIちゃんが非難の言葉をかけてきたけれども、誰が何と言おうとも帰ると決めたら私は帰る。

 そしてジュンク堂へ。何だかすごく久しぶりのような。しみじみうれしい。本屋さんに行けないと、生活が荒んでいくような気がする。
 どうも家でご飯を作る気がしないので、今日はサボって外食。食べながら買ってきた本をひもとく。「妙好人論集」は寿岳文章編、というのに惹かれて何も考えずに買ってしまったけれど、仏教にまつわる随筆が中心でちょっとついていけず。文章は平易なんだけど、内容に興味がわかない。
 諦めて、岩野泡鳴の続きを読む。今度は愛人との罵りあいが始まったぞ。『早うあいつを追ひ出して、あたしを本妻にせい!』、『妻にしてくれ、妻にしてくれ、してくれんと殺すぞ』などと責め立てられる主人公。お気の毒に。

 家に帰ってテレビでサッカーを見る。後半になって強烈な眠気が襲ってきて起きていられず、布団に入って早々と寝てしまった。

・購入物:寿岳文章編「柳宗悦 妙好人論集」(岩波文庫)
     戸板康二「続 歌舞伎への招待」(岩波現代文庫)

・朝食:トースト、ジャム、珈琲、蜜柑
 昼食:お弁当(蓮根とゴボウのキンピラ、卵焼き、かぶらの漬物、玄米ご飯)
 夕食:外食、WEST(コロッケハヤシライス、麦酒)


2004年02月17日(火) 改善

 今日も長々と残業。次から次へと問題ばかりおこる。何で?私が悪いのか?悪いんだろうなあ、多分。しょんぼり。
 
 おまけにNさんに、個人主義で協調性に乏しく、可愛げがなくお世辞が下手で、粘りがなくてすぐ諦める、と約半時間ほどくどくどと説教される。全てごもっとも。おっしゃる通り、私はないものだらけの人間なんだ。鋭意努力して改善に努めたいと思う。思うけれども、できるかなあ。

 がっくりと落ち込んで帰宅、ということは特になく、帰りのバスで読了した岩野泡鳴「発展」の主人公の、世間一般の常識や道徳なんか虫けら同然に蹴散らかしていく行動や言動が滅法面白くて、つまらぬことでくよくよしている自分がバカらしくなり、何だかすごく元気が出てきた。特に後半部分の、愛人の前で展開されるどっちもどっちの夫婦喧嘩は、まあようここまで人を罵倒する言葉を並べられるもんだと、感心するほどすさまじい。
 こんなのを読んで喜んでいるようでは性格改善など夢のまた夢、という感じもするが、面白いものは仕方がない。

 夜、友人より電話あり。飲み会の打ち合わせと、誰にも言わず先週密かに行ったらしいお見合いの報告。結婚なんて面倒くさい、とか言ってたくせにお見合いなんてしてたのか。
 なかなかいい男だったのだが年収が低いのが気にかかるとか、友人はぐちゃぐちゃ文句を言っていた。自分も働けばいいんだし、相手の年収なんかどうでもいいじゃないか、と私は思うんだけどなあ。そういうことでもないのかな。よくわからないまま電話を切った。

・購入物:なし

・朝食:ネギと卵のチャーハン
 昼食:カレーパン、豆のパン、紅茶
 夕食:豚肉とチンゲン菜のショウガ炒め、レンコンと牛蒡のキンピラ、かぶらの漬物、玄米ご飯


2004年02月16日(月) 眩暈

 なんかいろいろとあって、9時から21時まで働いた。12時間のうち4分の1は遊んでいたとはいえ、懸案事項も片付いたし人の手伝いもしたし、ダメ人間にしては上出来だと思う。

 午後、神戸まで外出することになったのだが、今日は迂闊なことに本を持って家を出るのを忘れてしまい、電車の中で読むものがないと困る(本当に困る)ので、Iちゃんが持っていた唯川恵という人の小説を借りた。
 パラパラめくってみたところ、何だかちょっぴり悪い予感がする。しかし背に腹はかえられぬと読み始めるも、あまりの難解さにめまいがしてきた。良いとか悪いとかでなく、理解が出来ないのだ。行きの車内だけでもうギブアップ、帰りは車内吊りと車窓からの景色と他人の顔を、ボウと眺めて過ごした。
 帰ってきたら、ちょうど沖縄旅行に行っていたMさんがやって来て、お土産に黒糖キャラメルをくれた。この人がくれるものはろくなものがないけど(「半落ち」のチケットとか)、黒糖キャラメルは美味しかった。

 くたびれて帰宅。朝ご飯みたいな献立の晩ご飯を食べてから、岩野泡鳴を読みながら寝てしまった。

・購入物:なし

・朝食:トースト、ジャム、珈琲、ヨーグルト
 昼食:野菜サンドイッチ、ミルクティ
 夕食:焼き鮭、大根とえのきだけの味噌汁、卵焼き、ほうれん草のゴマ和え、玄米ご飯、かぶらの漬物


2004年02月15日(日) 我慢

 一夜明けたらまた寒くなっていた。
 自転車をこいで、近くのパン屋さんに焼きそばパンを買いに行く。パン屋の帰りにクリーニング店に寄ってコートを引き取る。汚れはきれいに取れていた。さすがプロの仕事だ。

 午後から図書館へ行き、Iさんと打ち合わせ。終了後、2時間くらい図書館にこもって本と戯れる。
 それから心斎橋へ向かってふらふらと歩く。途中のお店で出会った、伊万里の器とお皿、それと革のバッグに激しく心惹かれる。今日のところは思いとどまったけれども、今でもあの姿がまぶたにちらついてどうにも忘れられない。忘れよう、忘れなければ。
 なんだかんだ言って、結局タワーでCD一枚、中尾書店で古本一冊お買いあげ、といういつものパターンに終わる。これを数十回我慢したら伊万里の器なんかすぐ買えちゃうんだけどなあ。
 御堂筋でTと待ち合わせて、珍しくパスタなど食べて帰った。
 
 以下、本日図書館で借りた本。
 尾崎紅葉「多情多恨」、岩野泡鳴「泡鳴五部作 上・下」、佐々木基一「私のチェーホフ」、今橋英子「パリ・貧困と街路の詩学」、虫明亜呂無「時さえ忘れて」「野を駆ける光」。合計7冊。
 部屋にも未読の本が佃煮にするほど溢れているというのに、何でこんなに借りてしまうのか、自分で自分のやっていることがよくわからん。
 
 まあ千里の道も一歩からということで、まず岩野泡鳴から読み始める。主人公のすさまじい自己中心主義と、妻子に向かって投げつけられる罵詈雑言の数々にただただ唖然。この人の書いた小説を読むと頭だけでなく体も疲れるわ。岩野泡鳴とは一体どういう人なんだろう。五部作全部読んだらわかるかな。でも通読するまで私の体力持つかしら。

・購入物:島尾敏雄監修「イメージの文学誌 水底の女」(北宋社)古書
     annie ross「live in LONDON」

・朝、昼食:焼きそばパン、オニオンロール、蜜柑、珈琲
 夕食:外食(店名忘れた、なんとかかんとかというイタリア語だった)茄子とトマトのパスタ、生ハムのピッツア、温野菜のサラダ、ガーリックトースト、麦酒


2004年02月14日(土) 約束

 暖かい。というか、昼間外を歩いていると暑いような気もする。

 朝から洗濯。セーターとカーディガンを手洗いする。その後、台所の片づけや整理、掃除、布団干し、など家事雑用を黙々とこなしていたらあっという間にお昼になった。この間、カエターノ・ヴェローゾのアルバム3枚聴いた。やっぱり「リーブロ」は良いわ。

 梅を見に行きましょうよ(こんな上品な言い方じゃないけど)、と母から誘われていたので電話をしたら、風が強くて気が向かないから止める、との返事。気まぐれな人だ。来週神戸に行くことを約束して電話を切ったが、さてホントに行くかね?母と私は正反対の性格だけど、計画を立てられない、計画を立ててもそのほとんどは実行されず、やることは全て思いつき、というところだけは似ているので、どうなることやら。

 ヒマになったのでぶらりと買い物へ。スーパーで食料と日用品の買い出し。その後、本屋さんで「みすず」を買う。
 家に帰り着く手前で、ついさっきまで晴れていた空が一転にわかにかき曇り、ポツポツと雨が降ってきた。大慌てで洗濯物をとりこむ。少しぬれたけど気にしないことにする。細かいことにはこだわっていては家事なんか一向に終わらないのだ。
 風がビョービョーと電線をゆらすのを眺める。もしかして春一番というやつだろうか。もう春とは、いくらなんでも早いように思うけど。少しずつ、何かが狂っていくような。

 「みすず」の読書アンケート特集を読む。潮田登久子さんの写真を見てホクホクと幸せな気分になった。夜は、山田稔があげていたので思いついて、久しぶりに尾崎一雄を読んだ。


・購入物:「みすず」1、2月合併号

・朝、昼食:クロワッサン、ボイルソーセージ、蜜柑、バナナ、珈琲
 夕食:牛肉とブロッコリーのオイスター炒め、野菜の天ぷら(カボチャ、マイタケ、玉ねぎ、ししとう、さつまいも)、筍の煮物、玄米ご飯、麦酒
 


2004年02月13日(金) 希望

 会社に行く前に、銀行でお金をおろす。予定外。不本意なり。でも銀行におろす金があっただけでもいいか。
 隣でATMに翻弄されて戸惑っているおばあちゃんの振込を手伝う。こんなややこしいもんはかないまへんなあ、出来たら使いたないねんけど、今は何でも機械機械でもうしょうがおまへんわ、とまた話が長くなりそうなところを何とか切り抜ける。

 昼休み、Iちゃんの手作りチョコレート(試作品)を試食。トリュフを3つも食べて、胃がもたれる。甘いものは苦手だ。もう年内いっぱいはチョコレートは食べなくてもいい。でも初めて作ったにしては素晴らしい出来だ、これでうまく獲物が釣れたらいいと思う。不撓不屈の姿勢で臨むよう、励ましておく。
 それからIちゃんがいれあげている、明日の獲物の写真を見せてもらった。見た目は、景山民夫をトンカチで叩いたみたいな人だけど、話が面白くて優しいんだって。やっぱり男は見た目じゃないね、みんな希望を持て。

 少し早めに外出先から直帰できることになったので、成城石井で珈琲とオリーブオイルとゴマ油を、中央郵便局の前でビッグイシューを買って帰る。ビッグイシューに載っていた「パンクしない自転車」というのがとても気になる。欲しい。今はお金がないけど。

 夜は久しぶりに「ナイトスクープ」を見て、桧山はやっぱりイイ奴だ、と思う。その後寝るまで、読み残していた国木田独歩の短編を読んだ。

・購入物:ビックイシュー第5号

・朝食:たらこおにぎり、キンピラ(昨日の残り)、赤だし
 昼食:お弁当(昨日の夕食の残り、玄米ご飯)
 夕食:肉じゃが、大根と油あげの味噌汁、キャベツのカレー炒め、玄米ご飯


2004年02月12日(木) 貧乏

 このところ貧乏だ。貧乏は今に始まったことでもないが、今月は特にお金がない。どこに行ったんでしょう、私のお金。懐がさみしくて煙草も買えない。アンタ昨日古本買ってたじゃないか、という声も聞こえるが、古本を買うお金はあるのです、何故か。
 給料日を指折り数えて待たねばならぬのか、と嘆いていたところ、ちょうどたてかえていた交通費がまとめて返ってきた。天の助け。気が大きくなって近所の本屋さんに寄り道、大枚はたいて文庫本2冊買っちゃった。トホホ。

 晩ご飯を食べながら、初めて「エースをねらえ」を最初から最後まで観た。はあ。
 努力は認める。認めるけれども、テニス部の合宿にパールのネックレスをしていく竜崎麗香というのは、なんぼなんでも現実感がないなあ。まあもともと現実感などないのだが。今後私の大好きな宝刀冴子は出てくるのだろうか。宝力冴子が出てこないと、今日の宗方コーチの苦悩が浮き彫りにならないぞ。

 伝記「織田作之助」読了。織田作のことはともかく、時折出てくる宇野浩二の文学馬鹿ぶりに驚嘆すること数回、毎度のことながら恐れ入る。
 昭和19、20年になっても戦争に関心がまるでなく、そんな下らない話は止めようと言い、空襲下でもバルザックの「ゴリオ爺さん」を延々と論じる。時候の挨拶も世間話も世相も戦争もあるもんか、文学文学文学だ、という人なのだ宇野浩二って。すごいね。

・購入物:志ん朝の落語6「騒動勃発」(ちくま文庫)
     関川夏央「豪雨の前兆」(文春文庫)

・朝食:ハチミツトースト、珈琲、ハム
 昼食:ドトールにて(ジャーマンドッグ、珈琲)
 夕食:鶏肉とセレベスの煮物、人参とゴボウのキンピラ、玄米ご飯、かぶらの一夜漬け

 

 


2004年02月11日(水) 満足

 ヘンな夢を見て午前5時前に起床。SFっぽい内容の、なかなか斬新な夢だったのだが詳しいことはさっぱり忘れてしまった。こんなことではとても夢日記はつけられそうにない。つけるつもりもないけど。
 日記を書いたらお腹が空いたので、まだ日も登らぬうちから朝ご飯を食べ、朝刊を読んでから再び就寝。9時頃Tに、古本市に行くぞう、と叩き起こされて洗濯をしてから出掛ける。

 そんなこんなで大阪天満宮へ行った。今回の古本市は梅祭りとの併催ということもあって規模としては小さめだけど、梅を見るついでにのんびり古本を探す、という穏やかさが漂っていていい感じ。収穫は杉本秀太郎と「太陽」の2冊だけだったけれども、ゆっくり天満宮の散歩もできたし、白玉ぜんざいも食べられたし、私としては満足だ。
 天満宮近くのうどん屋さんでかきあげうどんを食べてから、天牛書店で何冊か購入。矢野書房では今日は何も買わなかったけれど、店内にモノノケサミットの「インターナショナル」が流れていて、嬉しくなってしまった。

 商店街で野菜を調達して、松坂屋で化粧品をチラチラと見てからジュンクで「放浪記」を買って帰る。
 林芙美子の「放浪記」は、はるか昔に読んだような、しかしアレは「浮雲」だったような気もするし、みすずから改造社版が出たのを機会にちゃんと読んでみようと思って買った。今年は女性作家の作品もたくさん読もうと年明けには思ったんけど、どうしてもオッサンかオジイサンの書いたものばかり選んでしまう。自分も女のはずなのだが、女の人はどうも苦手だ。

 晩ご飯を食べる時テレビをつけたら、なんでかわからんが紅白の再放送をやっていて、あの森山某という人が出てきて歌いだしたのには参った。紅白に出ているのだから人気があるのだろうけど、ヘンなものが流行る世の中になったもんだ。

・購入物:「太陽」1978年10月号 特集:手紙
     川本三郎「映画のランニングキャッチ」(講談社)
     杉本秀太郎「新編 洛中生息」(ちくま文庫)
     石川淳「鷹」(講談社文芸文庫)      ここまで古書
     「大人の本棚 林芙美子 放浪記」(みすず書房)

・朝食:豆腐としめじの味噌汁、ジャガイモの土佐煮、玄米ご飯、漬物
 昼食:外食(かきあげうどん)
 夕食:キャベツとキムチの焼きそば、麦酒


2004年02月10日(火) 期待

 快晴。気持ちがいいので、今日は公園でお昼ご飯を食べる。
 仕事は相変わらず面倒くさいことばかり起こり、人間心理の複雑さにただただ呆然と立ちつくす日々だけれど、明日はお休みなのでどんなことにも寛大な気分になれる。
 決して振り返ってはいけない、楽しいことを考えよう。

 ややこしいことはとりあえず忘れて、帰りにジュンク堂へ行く。
 本日発売の文芸春秋が飛ぶように売れているようだがまあそれはどうでもいいとして、店内を歩いているうち、今晩KBS京都テレビで「子を貸し屋」のドラマが放送されることを思い出し、急いで自転車を飛ばして帰る。宇野浩二原作のドラマを再放送してくれるなんて、今日からKBS京都の番組編成部には足を向けて寝られないわ。
 ちらっと見たかぎりでは大した出来ではなさそうだけれど、一応ビデオに録画する。ナレーターが志ん朝なので、その語りを聴けるだけでもまあいいか。

 今日から図書館で借りた大谷晃一の「織田作之助」を読んでいる。ところどころ語り口が鼻につくところもあるけれど、そんなことはこの際どうでもいい。織田作って確かに、おしゃべりで軽薄で超自分好きのイヤな奴、という部分もあるんだけれど、それも含めて魅力になっているところがすごい。考えてみれば、イヤなところがない人間なんてカスカスで面白くもなんともないもんな。
 まあとにかく織田作の隅から隅まで全部好きなんだ、後半を読むのが楽しみ。

・購入物:なし

・朝食:鮭、豚汁、玄米ご飯、漬物
 昼食:メロンパン、セサミロール、紅茶、デコポン
 夕食:豚肉と葉にんにくの炒め物、豆腐としめじの味噌汁、ジャガイモの土佐煮、玄米ご飯
 


2004年02月09日(月) 事故

 7時起床。9時間半寝た。よく寝たわりにはまだダルさがとれてなくてあんまり良くなっていないような気がする。休日の度に体調不良になるのは、もう休まずにずっと働いておれ、というどこかからの御達しなんだろうか、とぼんやり考えながら朝ご飯を食べる。食欲だけは、何がどうなってもなくならないのが不思議だ。

 帰り道、いつも通る人気のない道で倒れているおじいさんがいた。傍らに孫らしき女の子がいて「おじいちゃんコケタ」と言って泣いている。意識はしっかりしているけれど、倒れた時に手をついたせいか掌からの出血がひどい。足もふらついていてとても歩ける状態ではないので、近くの公衆電話から救急車を呼んだ。携帯電話を持っていないとこういう時に不便だ。
 救急車が来たらおじいさんは急に元気になって、車に乗るのをどうしても嫌がり、応急処置をしてもらってから救急隊員に連れられ、孫と一緒にひょこひょこ自宅へ帰っていった。救急車と見るとそこら辺りからワラワラと野次馬が寄ってきて、大した怪我でないとわかるとすぐ散っていく。どいつもこいつもみんな薄情だ。
 私は通報者として名前を聞かれただけで無罪放免となったが、気が付くとコートの袖や肩、おじいさんの手が触れた部分にいっぱい血がついていた。コートを脱ぐと寒いのでとりあえず血だらけのコートを着たまま家に帰り、ぬれタオルで粗方の血痕をぬぐってクリーニング屋に持って行ったら、千円とちょっと取られた。最近のクリーニング料金は高いなあ。
 こんなことをしているうち、自分の体調がイマイチなことなどすっかり忘れてしまった。救急車なんか呼んじゃって余計なことをしたかもしれないけれど、おじいさんが元気になっていてくれたらいいなあ、と思う。

 夜は、島村利正の「清流譜」を読む。しみじみ。
 
・購入物:なし

・朝食:トースト、ハムエッグ、珈琲
 昼食:かつおのおにぎり、ポテトサラダ
 夕食:鰯と大根の煮物、野菜豚汁、油揚げとコスレタスの煮物、玄米ご飯


2004年02月08日(日) 収拾

 町内の班長さんに言われて、近所周辺のゴミ拾いに参加する。今年から日曜日の朝に交代で行うことになったらしく、ウチに順番が回ってきたのだ。朝7時30分からなので、普段よりずっと早起きして集合場所の公園まで行く。
 
 ツマミでゴミを拾って袋に入れていく。同じルートで作業を行うことになったアパートで一人暮らしをしているおばちゃんの話を聞きながら、約1時間歩いた。
 そのおばちゃんの話というのが、自分はもともと九州で夫婦で小料理屋をしていた、いろいろ苦労もしたがようやく店が軌道にのったその矢先、息子がグレて家出したり、ダンナが女をつくって蒸発したり、板前に金を持ち逃げされたりともう散々な目にあい、やがて店も左前に、自分も身体を壊すなどして、借金と病気でとうとうどうにも仕様がなくなり、流れ流れて数年前一人大阪にたどり着いたのだ、というような、早朝から聞くには少々ヘビーな内容だった。
 おばちゃんは、人生って登るときは一歩一歩ゆっくりだけど下る時は一気だから怖い、という意味のことを言って、
 「誰でもさ、ああ今調子がいいなあ、とか、ああ幸せだなあ、とか思う時があるでしよ、でもその時はもうねえ、落ちていってるんだよ」と付け加えてから、フフフと笑った。
 
 ゴミは、お菓子の袋、空き缶、それから煙草の吸殻が最も多かった。道にゴミを捨てることなんか、みんな何とも思っちゃいないんだ。
 終了後、ポカリスエットをもらって帰る。

 午後遅くから外出。買物のついでに古本屋さんをのぞいて、この本が100円とはあまりに安いではないか、と思ったものを2冊購入した。
 夕方から急にゾクゾクと寒気がして身体の節々が痛くなってきたので風邪の危険を感じ、ご飯を食べて日曜美術館を観てから、お酒をグイッと飲んで布団をかぶり早々に眠る。21時30分就寝。治りますように。

・購入物:四方田犬彦「最新流行」(青土社)
     田中小実昌「ほろ酔い気分は旅の空」(弘済出版社) 古書

・朝食:かぶのクリームシチュー、玄米ご飯、海苔
 昼食:ホットケーキ、珈琲
 夕食:野菜カレー、コンソメスープ
 


2004年02月07日(土) 休日

 午前7時頃目を覚まし、ウトウトしながらピーター・バラカンのラジオを聴く。時折、オッかっこいい、と思う曲があるものの、半分夢の中なので曲名まではわからず。

 空腹を感じて9時すぎにのこのこ起き出し、キャベツとモヤシとピーマンとニンニクと豚肉少々を塩こしょうで炒めて、「サッポロ一番」の上にゆで卵と一緒にのせて食べる。おいしいなあ。ここまでおいしいと、バカらしくてもうラーメン屋になんか行きたくなくなるね。
 腹がくちたら、掃除と洗濯。それからMDで落語を聴きながら本棚の整理。「くしゃみ講釈」の、八百屋の店先で「八百屋お七」のからくりを語るくだりは、何度聴いても爆笑してしまう。

 今日、外に足を踏み出したのは夕食の買い出しに近所のスーパーに行った時だけ。あとは、本棚からとっかえひっかえ本を出してきて拾い読みしたり、ビデオで映画をちょこちょこ観たりして、じっとりと家に引きこもる。
 昔々に録画した、若くてビックリするくらい美しいイングリット・バーグマンが出演している「別離」という古い映画が、なかなか良かった。古くさい映画には、その古くささの中でしか出せない哀切さみたいなものがある。

・購入物:なし

・朝、昼食:野菜ラーメン
 夕食:かぶのクリームシチュー(自分でホワイトソースを作ってみた。なかなか上手く出来たのはよかったけれど、バターや小麦粉の分量を量っていないため二度と同じ味は出せないだろうなあ、と思うとちと空しい)、フランスパン、レタスサラダ


2004年02月06日(金) 降参

 やっと金曜日までこぎつけた。仕事もようやく一段落。一時はどうなることかと思ったが、何とかなりそうな予感がする。あくまで予感だけど。こうすれば良かったなあ、という反省事項もないではないが、終わったことだからもういいや。

 夜は、無事に週末を迎えられたお祝いに友人と呑む。毎度のことながらお互いお金がないので、店に入る前に、今日は一人2千円以内で何が何でも抑えよう、もう絶対に抑えよう、と二人で固く誓いあう。おかげでビール3杯飲んだだけですんだ。会計は2千円より300円オーバーしたけど、まあいいことにしよう。
 例によってうだつのあがらぬ話を午前0時まで延々と続け、寒空の下自転車で帰る。
 呑んでいる時、友人が「これあげる、感動するでえ」と言って「プロジェクトX」のマンガを出してきた。要りません。何が要らないと言って「プロジェクトX」のマンガほど要らないものはない。きつく断ったにもかかわらず、帰ってカバンの中を整理していたらそのマンガが出てきた。私が席を外している間に、勝手に入れておきやがったのだ。くそー腹立つ。でもせっかくなので読んでみようかなあ、イヤだけど。

 真夜中、国木田独歩の「忘れえぬ人々」を読む。わお。これは私が一番好きな種類の小説だ。文章を追っていくだけで描かれている風景がしっかり立ち上がってくる。まるですぐそこに見えているようで、人の気配や風の匂いを実際に感じたような気がするのだ。まいった、まいった。余韻にひたってヌクヌクと眠る。

・購入物:なし

・朝食:クロワッサン、ハム、珈琲
 昼食:お弁当(ほうれん草のおひたし、卵焼き、サンマ、玄米ご飯)
 夕食:居酒屋で(ゴーヤチャンプルー、茄子の煮物、肉豆腐、ワカサギの唐揚、おからの煮物、生麦酒中ジョッキ3杯) 


2004年02月05日(木) 雪舞

 午後から図書館へ行く。途中で雪がバサバサ降ってきた。最近、私が出かけようとするといつも何か降ってくる。
 
 図書館に約3時間こもる。そのうち、仕事の資料集めをしていたのは30分くらいで、後は好きな本を読みながらウトウト居眠りしていた。暖かい館内で本に囲まれて眠るのは本当にいい気持ち。気楽だなあ。この気楽さで、いけるトコまでいくんだ、絶対。
 本日の貸し出し本は、明治の文学第22巻「国木田独歩」と大谷晃一「織田作之助」の2冊。国木田独歩は、織田作が杉山平一に宛てた書簡の中で、
 『国木田独歩の「忘れ得ぬ人」をよんだが、これは非常によい。一読をすすめる。』
 と書いていたので、私も一読しようと思って借りた。恋は盲目だ。

 サボっていたのが祟って残業するはめになり、今週こそ!、と楽しみにしていた「エースをねらえ」が最後の15分くらいしか観られなかった、残念。緑川蘭子はちと可愛すぎるんではないのか。でもテレビ朝日にしては良く出来ていると思う。
 
 帰ったら、アマゾンからアッジェの写真集が届いていた。フランス版は品切れでもう手に入らないかと諦めていたけれど、アメリカ版が残っていた。仏でも米でも何でもいいんだ。嬉し涙にくれる。


・購入物:「ATGET PARIS」(GINGKO)

・朝食:トースト、目玉焼き、珈琲、りんごジャム
 昼食:おにぎり(天むす、しそ梅)
 夕食:白菜鍋、山芋とろろ、玄米ご飯、大根の漬物


2004年02月04日(水) 限界

 引き続き、サクサクと働く。だんだん飽きてきたぞ。本屋さんに行きたいよう。

 夕方近くになって会社に閉じこもっているのがほとほと嫌になり、某社に資料を届けに行くのを口実に外出して、喫茶店でサボる。
 「マンスフィールド短編集」を読む。短編とはこのように書くものなのよ、というお手本みたい。この人がチェーホフから多大な影響を受けていることはよくわかる。そうだなあ、人生とは「このような」ものかもしれないなあ。
 
 本を読んでいたら仕事に戻るのがバカらしくなり今日はこのまま帰ることにして、難波界隈をブラブラしているうち、昨日もらった映画招待券がカバンに入っていることに気づいて、映画でも観るかと思い立ち、「はり重」でカレーを食べてから道頓堀東映に行った。

 そんなこんなで「半落ち」を観る。
 ああこれはねえ、映画ではなくて公共広告だ。教習所で見せられるビデオのような感じ。主題がどうの、ストーリーがどうの、役者がどうのと言う以前の問題だ。センスの良さというものが全く感じられないし、雑な撮り方とベタベタな演出はもう正視できないけれど、映画でないと思えば何にも腹は立たない。これはこれでいいのかもしれない。
 しかし、最後に流れる森山なんとかという人の歌は、ありゃ何だろう?キモチワルイ。作品のことは一万歩譲って許すとしても(イヤだけど)、あの歌だけは我慢がならない。

 お口直しに心斎橋アセンスにちょこっと寄って、くまのプーさんのサイコロ絵本を発見、あまりのかわいさに一目惚れして、買って帰った。

・購入物:Pooh's Little Books「teatime」

・朝食:巻寿司(昨日の残り)、きつねうどん
 昼食:ミルクフランス、紅茶
 夕食:外食、はり重で(ビーフカレー)
 
 
 

 


2004年02月03日(火) 貰物

 今日も一日、開き直ってせっせと働く。
 
 取引先のMさんがやってきて、おっ忙しそうでタイヘンですねえ、と声をかけてきたけれど、私は確かに忙しいが別にタイヘンではない。あれもこれもどれも、全部自分で蒔いた種であり、充分予測できた事態が予測したようにやってきているだけなのだ。
 
 そのMさんに映画「半落ち」の招待券をもらった。Mさんはもう見てきたらしく、いやあホントに泣けるよ、とうるさいんだけれど、「泣ける」というのは映画を薦めるのに適切な言葉なのか?私は泣きたくて映画を観るわけじゃないけどな。
 まあ文句は観てからつけるとして、どういう風のふきまわしか知らないが6枚もくれたので、NさんとIちゃんと私とで2枚づつ分けた。Nさんは「もっといいもんくれよ」と不満顔だったけれど、「そんなこと言っては罰が当たりますよ」と20歳以上も年下のIちゃんに叱られて、シュンとしていた。

 夜は「マンスフィールド短編集」を読む。

・購入物:なし
  
・朝食:バケット、チーズ、リンゴジャム、珈琲、蜜柑
 昼食:お弁当(蓮根と牛蒡のキンピラ、コンニャクのピリ辛炒め、レタス、玄米ご飯)
 夕食:巻き寿司、鰯(節分なので)、えのきだけと九条ネギの味噌汁、蓮根と牛蒡のキンピラ、大根の漬物


2004年02月02日(月) 回復

 月曜日。雨降り。家にいる時は小雨だったのに、出かけようとしたら急にバラバラと大粒の雨が降ってきた。何か恨みでもあるのか、それとも日頃の行いが悪いのか。地下鉄では「チェーホフ短編と手紙」を読む。

 風邪が流行っているんだなあ、休んでいる人がちらほらいる。Nさんも地獄に堕ちた森進一みたいな声になってるし。私も微熱があるのだが、誰にも信じてもらえず。
 気は進まぬが、ごちゃごちゃ言わず働くことにする。いくら愚痴を並べたところで何にも解決しないのだ。やればいいんだ、やれば終わるんだから。
 結局、2時間ほど残業する。黙々と働いている間は体の不調も忘れていて、帰って熱を計ったら平熱に戻っていた。あーあ、こういう自分の頑丈さが何だか哀しい。

 帰りのバスに乗る前に、旭屋へ行って「一冊の本」をもらう。それから「大阪人」をパラパラ立ち読みしていたら、織田作之助「夫婦善哉」の自筆草稿の写真が掲載されていたので、居ても立ってもいられず購入した。かっこいい字だ。織田作にまつわることは、もう何でもかんでもかっこいい。

 夜は「一冊の本」を読む。ゴタールはe-メールが何か知らないんだって。世界はまだまだ広いねえ。

・購入物:「大阪人」3月号 特集:図書館へ行こう!

・朝食:トースト、目玉焼き、ソーセージ、珈琲
 昼食:食べる時間なし。信じられん。食べる時間を割いてまでしなければならないこととは一体何だ。まあ、自業自得なんですが。
 夕食:豚肉とセロリの炒め物、蓮根とゴボウのキンピラ、レタスのゴマサラダ、玄米ご飯 


2004年02月01日(日) 不調

 昨日は何とか乗り切ったけれど、今朝はよりいっそう体が怠くなっていた。しかし、今日は文楽を観に行く予定になっているので、このままくたばるわけにはいかないのだ。それにしてもしんどい。
 
 起きる元気が出ないので、布団の中で「森敦との対話」を読んでしまった。何ともかんとも。
 この作品を読んで知ったこと。小島信夫の「抱擁家族」は森敦の渾身の指導のもとで書かれ、題名も森がつけたこと、森敦に「月山」を書くよう勧めたのは古山高麗雄だったこと。それから森敦が筋金入りの変わり者だったこと。
 あと、カフカと尾崎紅葉を読もうと思った。そして、人間ってやっぱり不思議な生き物だなあ、とつくづく思った。

 本を読んでから少し眠ったら何となく楽になったので、それまできれいさっぱり忘れていた知事選挙の投票に行ってから、NHKホールで文楽「曽根崎心中」を観た。NHKホールは必要以上に綺麗だけど、文楽を観るには会場が大きすぎるように思う。人形の細かい所作が見えにくくて少し残念だった。
 「曾根崎心中」で一番好きなのは「天満屋の段」の、もうこうなったらいつまで生きても同じこと、私はアナタと運命を共にすると決めましたよ、でもアナタは死ぬ覚悟が出来ているのですか、と、お初が徳兵衛に暗にふくめて問い確かめるところ。いつ見てもかっこいい。

 21時頃、帰宅。やる気なくうどんを作って食べ、再び布団にくるまる。あーあ、明日は仕事だよ。とてつもなく憂鬱。

・購入物:なし

・朝食:春雨スープ、ストーブで焼いた紫サツマイモ
 昼食:外食、なか卯で(豚どんぶりの並。もっとしょうが焼き風にすればいいのに。)
 夕食:卵とじうどん
 


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