昨日・今日・明日
壱カ月|昨日|明日
8時30分起床。目覚めの気分は最悪で何だか体がダルい。ダルくて少し寒気もするけれど、京都で旧友と4,5年ぶりに会う約束があるので何としても出かけなければならない。 家事を片づけて午後から外出。外は晴れたり、曇ったり。車中では「森敦との対話」を読む。凄まじい文学魂と奇行の数々に圧倒される。 森敦は学生時代、参考書を使って英単語を覚える時、完全に覚え込んでしまったページを片っ端から食べていったんだってさ。山羊じゃあるまいし、どうなってんだ。頭がクラクラする。
母に小津のビデオを持ってくるよう言われていたので、まず実家に寄る。 弟の彼女らしき女の子が来ていた。栗色の髪のかわいい子。23歳だって。えらい若いのをつかまえてきたもんだ。 彼女は「お姉さんの面白いお話をいろいろお聞きしてて、ぜひ一度お会いしてみたかったんです」と言う。私の面白い話ってどんなんだ?どうせろくな話じゃないはずだ、ろくなことしてないんだから。それから、「想像してたよりずっと普通の人なんですねえ、アハハハ」と笑われた。何がおかしいのかさっぱりわからん。私は普通の人ですよ。でも普通って何だろう。 弟とつき合ってるの?と聞いたら、彼女は、ハイ、と顔を赤らめていたけれど、後から弟に同じ質問をしたところ、うーんわからん、という答えが返って来た。あらら、両者に見解の相違あり。しかし恋愛が本当に面白くなるのはここからなので、せいぜい楽しんでもらいたいと思う。
夕方、T子と焼き肉を食べに行った。私たちはとても仲が良かったが、T子が結婚して子どもを生んでからは、私がこうして京都まで出てこないかぎりなかなか会えなくなった。久しぶりにゆっくり話せてよかった。今度またいつ会えるかはわからないけれど。 駅までの帰り道、星空を見上げる。冬の夜空を見るのは好きだ。リゲルもポルックスも、大阪よりずっとはっきり見えてとても綺麗だった。
・購入物:なし
・朝、昼食:トースト、ベーコンエッグ、珈琲 夕食:外食(焼肉、焼き野菜、サラダ、キムチ、麦酒)
現実から目を背け、今日は雑用を片づけてしまおうと外回りに出る。春みたいに暖かく気持ちが良くてどこまでも歩けるような気がして、どんどん歩を進めていると、気がついたら難波から中津まで来ていた。 結局、しんどい仕事は全部来週にまわしてしまった。これが自分の首を締めることになるとわかっていながら、何でも先延ばしにしてしまう。とりあえず置いとこう、それも見えないところに、という感じ。 地下鉄に乗ればすぐなのにわざわざ難波から中津まで歩いたのだって、要するに逃げているのだ。どうせ逃げ切れはしないのに。崖っぷちぎりぎりまで追い込まれないと何もできない。このやり方をどこまで続けるのか知らないが(多分どこまでも続けるだろう)、いつか何もかもどうでもよくなって、崖から下へと飛び込んじゃうのかもしれない。
歩いている間に裁判所近くの古本屋さんに立ち寄り、何となく探していた田山花袋の「時は過ぎゆく」を見つけた。300円。時代の波にさらわれてだんだん没落してゆく一家を描いた小説。こんなんばっかり読んでるからダメなんだろうか。
晩ご飯を作っていたら大学生の女の子から電話があった。私は関西の有名大学在籍中の某と申しますが家庭教師をさせていただけませんか、と言う。欲しいものは数々あれども家庭教師はいらないわ、さすがに。まあ間違い電話だったのだが、「有名大学在籍」などと自分を紹介する奴に子どもの家庭教師をしてもらおうと思う人がいるんだろうか。いるんだろうなあ。とほほ。
・購入物:田山花袋「時は過ぎゆく」(岩波文庫)古書
・朝食:フランスパン、ハムサラダ、珈琲 昼食:お弁当(ほうれん草のおひたし、サンマ、海苔の佃煮、玄米ご飯) 夕食:大根と人参と白菜と豚肉の重ねて蒸したもの(残った野菜の始末に困って作った投げやり料理)、サツマイモの味噌汁、レタスサラダ、玄米ご飯
暖かい一日。午前中はヒマだった。今日も心穏やかに過ごせるなあ、と思っていたら、夕方からの打ち合わせで地獄へ落とされた。何だかまたまたややこしく複雑怪奇な仕事が飛び込んできたような。頭を抱えて茫然としている、近未来の自分の姿が見えるようだ。南無阿弥陀仏。
食料調達のついでに近所のブックオフに寄って、100円均一の棚から車谷長吉の「銭金について」を見つけた。ペラペラめくってみたところ、また永井龍男のことがつらつらと書いてあるようなので、100円ならまあいいか、と思い購入する。 先日読んだ阿部昭の「短編小説礼賛」はとても面白かった。特にチェーホフとマンスフィールドの章は、自分で感じてはいても言葉に出来なかったことがそっくりそのまま書かれていて素晴らしかった。チェーホフについて書かれた文章はそのほとんどが名文だ、と誰かが書いていたけれど(狐の書評だったかな)、そりゃホントだわ。 思えば阿部昭という人のことも車谷長吉に教えてもらったのだから、感謝しなくちゃなあ。
夜は「すばる」の「森敦との対話」を読み始める。この森敦という人はまあとにかく相当変わってるぞ。文学者って一体何なんだろう。 ・車谷長吉「銭金について」(朝日新聞社)古書
・朝食:チーズトースト、ツナサラダ、珈琲 昼食:うなぎ弁当、蜜柑 夕食:鶏肉とセレベス(里芋みたいな野菜)の煮物、白菜とひらたけの味噌汁、海苔佃煮、玄米ご飯
早起きして洗濯。よく晴れていて気持ちがいい。 今日はスーツを着ておでかけ。おでかけって仕事に行くんだが。肩の凝る服を着ると疲れるわ。おまけに昼食時のホテルの立食パーティで、ついつい魔がさしてケーキを食べてしまったもんだから、一日中胃がもたれて気持ち悪かった。
帰りにイーマに寄って、何となくバッグなど物色しているうちにふらふらと最上階の映画館に入ってしまって、これまた何となく上映時間表を眺めていると、急に「シービスケット」が観たくなったので観た。特に計画性もなく本能のままに生きているという感じである。 こういう素直で率直な「感動」作はあんまり好きではないのだが、ジェフ・ブリッジスとクリスクーパー、それにウィリアム・H・メイシー(!)が出演しているし、私は大の馬好きなので、まあこれはこれで良いということにしておく。調教の場面では栗東のトレセンを、レースの場面ではライスシャワーのことを思い出した。馬は美しい。 シービスケットの騎手であるレッドは片時も本を離さぬ文学好きで、喧嘩の後でもレースの直前でも調教の合間でも、当たり前のように本を読んでいるというエピソードが挿入されていて、それがとてもよかった。この単純明快な成功物語がただの「感動」の大安売り映画になっていないのは、このような細部を丁寧にしっかり描いているからだと思う。
晩ご飯は家で地味にうどんを作って食べる。やっぱり和食がいいわ。
・購入物:なし
・朝食:カレーパン、珈琲 昼食:ホテルで(魚と肉を焼いたり煮たりマリネにしたりしてあるのと、野菜のゼリー寄せみたいなのと、テリーヌみたいなのと、ビザのようなものと、何かそんなの。全て料理名はわからず。あとはフルーツとケーキと珈琲。それから麦酒も) 夕食:きつねうどん
Iちゃんが、外でお昼ご飯食べましょうよう、と誘って来たので、会社近くの公園でお弁当を広げる。私たち以外誰もいない。このクソ寒い日に外でご飯を食べようなんていう変わり者は多分いないんだろう。 ヒューと木枯らしが吹いて、Iちゃんのお弁当から唐揚げが一つ転がり落ち、それをすぐさま鳩がつつきに来た。鳩は何でも食べるなあ。
帰りにジュンク堂に寄る。私の横で会計をしていたオジサンが「新・地底旅行」を買っていた。私以外に読んでいる人がいるのだろうかと思っていたこの小説、やっぱりちゃんと買う人がいるんだわ、よかったよかった。何だかとてもうれしい。ではでは私も、と思い立ち、ずっと読みそびれていた「『吾輩は猫である』殺人事件」を買うことにした。それから「ちくま」をもらって、早速地下の喫茶店にこもり、「青山光二が語る思い出の作家たち」連載第2回目を読む。 今回は太宰治のことが中心。太宰のことは別にどうでもよい。こんな年がら年中死ぬことばっかり考えてる人嫌い。ねちねちねちねちと鬱陶しい。 でも「織田作之助」という名前がちらちら出てくるだけでドキドキ、胸がときめいてしまうのだ。もうほとんど病気である。
夜、友人から心情吐露の電話あり。話をして楽になるなら聞くくらいのことはするけどさあ、みんな私を何だと思ってるんだろ、ここは寂庵か。 ・購入物:広津和郎「年月のあしおと・下」(講談社文芸文庫) 奥泉光「『吾輩は猫である』殺人事件」(新潮文庫) 「ビッグイシュー第4号」(書き忘れ。月曜日に淀屋橋で買った)
・朝食:トースト、セロリとトマトのスープ、りんごジャム、珈琲 昼食:お弁当(筑前煮、セロリの葉の佃煮、玄米ご飯) 夕食:九条ネギと豚肉の豆板醤炒め、水菜のゴマ和え、セロリの葉の佃煮、玄米ご飯)
上司の葬式に参列する夢を見て目覚める。時計を見たら午前6時。あんまり寝ていないけどすっきりしていたので(夢のせいかしら)、そのまま起きた。 ご飯を食べながら新聞を読んでいたら、自分でもどうしていいかわからない怒りがふつふつとこみ上げてきて、今日は一日気分がすっきりしなかった。 会社に着いたら上司とばったり会い、ふたりきりでエレベータに乗る。神妙な顔つきで「おはよう」なんて言ってるけど今朝アンタ死んでたで、と心の中で独り言。でも仲良しのビル掃除のおばちゃんが、夢の中で死んだ人は長生きするんだよ、と言っていたから、まあ良かったんじゃないの。憎まれっ子世にはばかる。
阿部昭の「短編小説礼賛」を読む。 サローヤンは、書物として書店の棚に並んでいるものだけが短編小説ではない、それを文学作品と考えるより前に私達のありふれた日常そのもの、その経験のひとつひとつがすでに短編小説なのだ、と言っている。 『それは日々すべての人の身にふりかかる。それは形式と文体(話しぶり)とをもって、人から人へと伝えられる。こんなことが起こった、こんなふうに起こった、こういうわけで起こった等々と。要するに短編小説は、おのずからにして、人間の経験に対して中枢の位置を占めている。』 誰だって「物語」のある毎日を生きている。面白いと感じるか感じないかは自分次第だけど。 短編小説の作者は洋の東西を問わず長生きしていない人が多いらしい。そうだな、あの人もあの人も、そしてそしてあの人も、みんな早く死んでしまった。ダメだ、また寂しくなってきた。
・購入物:なし
・朝食:卵焼き、海苔の佃煮、大根の漬物、玄米ご飯 昼食:チーズとソーセージのパン、ミルクティ 夕食:筑前煮(鶏肉、人参、蓮根、牛蒡、里芋)、セロリとトマトのスープ、セロリの葉の佃煮、玄米ご飯
朝、カーテンを開けたら空から雪がボタボタと落ちてきた。今日は割と暖かいかも、なんて思っていたのに、雪を目にした途端急に寒さが身にしみてくる。 朝食を食べながら、桐竹勘十郎さんが小学生に文楽人形の遣い方を教える番組を見る。手は何とか操れるようだが、足を遣うのは相当難しそうだなあ。それから、最初は見様見真似でやっていても、次第にこっちが考えもつかないような独創性を出してくる、子どもの頭の柔軟さがすごい。
午後からは神戸へ遊びに行った。 お洋服と靴を見て歩いたり、生田神社にお参りしたり、南京町をぶらついて豚まんを食べ雑伎団の演技を眺めたり、古本屋さんをのぞいたり、エビアンで珈琲を飲みながら購入した本を読んだり、帰りに三宮のジュンク堂に寄って、もう品切れになったんではと思っていたキャメロン・クロウの本を見つけて小躍りしたり、まあそんな感じで楽しく過ごし、阪神電車に乗って帰ってきた。
晩ご飯を食べてしばし仮眠をとった後、午後11時頃ムクと起きて、途中で止めていた「平凡」をおしまいまで読んだ。 終わり方がちと唐突で物足りない気もするが、二葉亭四迷の人間に対する諦観ぶりは痛いほどよくわかった。それを我が身にひきつけて考えてみると、ついつい見て見ぬふりをしてしまう自分のダメな部分をことごとく指摘され目の前にズラリと並べられたようで、ただでさえ傷だらけだというのに、さらに傷口をえぐられたような感じがする、ああイタイ。
・購入物:阿部昭「短編小説礼賛」(岩波新書) 原二郎「モンテーニュ」(岩波新書) 「マンスフィールド短編集」(新潮文庫)以上古書 「暮しの手帖」第8号(暮しの手帖社) 三島靖「木村伊兵衛と土門拳」(平凡社ライブラリー) キャメロン・クロウ「ビリー・ワイルダーならどうする?」(キネマ旬報) ・朝食:鰯と大根の煮物、コンニャクのピリ辛炒め、海苔の佃煮、玄米ご飯 昼食:南京町で、豚まん、コロッケそれぞれ1個づつ 夕食:セロリと豚肉の炒め物、朝食の残り、玄米ご飯
午前10時頃目覚めるも起きる元気が出ず、NHK-FMのクラシック番組を1時間聴く。起きる気にならないこの気怠い気分の原因は多分、今夜予定に入っているアレのせいだ、イヤだなあ。
でも寝てばかりいるのはもっとイヤだから起き出して、昨日作ったカレーにだしと葱と油揚げを入れ、カレーうどんにアレンジして食べる。その後、洗濯と掃除。
夕方になってから、支度をして出かける。今日は友人の結婚式二次会。憂鬱の元凶はこれだ。私は何でこんなに結婚式の二次会が嫌いなんだろう。とにかく早く終わってほしい。 心ではそう思っていても、会場に着いたらめちゃめちゃ愛想振りまくのが私の腹黒いところ。とりあえず友人である新郎新婦にお祝いの言葉を申し述べ、綺麗ねえ、とか何とかお世辞をいくつか並べておく。それから久しぶりに会うあんまり気の合わない知人数人と話し、ひどく気力を消耗する。 私と同じく腹黒い友人Kとともに隅のテーブルに座り、著しく馬鹿馬鹿しいと思われる「二人の馴れ初め当てクイズ」などを横目で見て、会が滞りなく、かつ速やかに進行することを願いつつ、お酒を摂取しつづけること約2時間後、無事解放された。 疲労困憊した体をひきずって、Kと駅まで歩く。Kは「結婚おめでとう、とか言うけどさ、ホントにめでたいんかな、私には地獄のはじまりのように思えるけど」とボソッと言っていた。よっぽどひどい目にあっているのだろうか。 この世の地獄と極楽は表裏一体、一心同体、マーブル模様のように混ざり合っているように思う。何を以て地獄とし、何を以て極楽とするかは生きてる本人しかわからぬことなのだろう。
まあ、とにかく私は疲れたよ。
・購入物:なし
・朝、昼食:カレーうどん、蜜柑 夕食:二次会会場で(サラダ各種、寿司、サンドイッチ、ローストビーフ、麦酒など。麦酒以外はすべて不味い)
午後からIちゃんと一緒に外出。冷たい風がピューピュー吹く中、マフラーに顔を埋めて歩く。 道中、Iちゃんから、恋人のいる人を好きになっちゃったんです、などというような恋愛相談をもちかけられる。くどくどいじいじ悩んでいるので面倒くさくなって、そんなもの別れさせちゃえばいいじゃないか、とまたまた無責任発言をしてお茶をにごしておく。「えっ、そんなことしていいんでしょうか」と身を乗り出してくるIちゃん。「どうやって別れさせるんです?」と聞いてくる目はもうすっかりその気だ。女は怖いなあ。
『「何でやねん!」文句の前にまず投票』ということらしいので、チキンカレーを作りながら、家のポストに入っていた大阪府知事選公報を読む。…。何とも言えんなあ、これ。笑うもんじゃないとは思うんだけど、ちょっと笑ってしまった。全然投票の参考にならない公報だけど、大阪府在住の人がいたらぜひ読んでみて。笑うで。
選挙公報に飽き飽きしたので、昨日買った「おいてけぼり」を読む。好きな絵は数々あれど、特に古茂田守介の「柿の静物」や高良真木の「土」、林武の「星女嬢」に心惹かれる。それらの絵を洲之内徹の文章がまたしっかり支えていて、読めば読むほどしみじみ良い本だ。
・購入物:なし
・朝食:クロワッサン、キャベツのサラダ、珈琲 昼食:五目いなり寿司、ゴボウサラダ 夕食:チキンカレー、カリフラワーのサラダ
中平康の映画を観に行く予定だったのに、仕事が次から次へと舞い込んできて結局行けず。ついこないだまでほのぼのと長閑に働いていたというのに、世の中一寸先は闇ですなあ。
映画がダメでも本があるさと、帰りにジュンク堂へ寄った。ブラブラと芸術の棚を眺めていると、なんと洲之内徹の本が並んでいるではないか、びっくり仰天。発売するなら発売すると、誰か教えといてくれないと心臓に悪いなあ。何故今頃新刊が出るのだろう、巷では洲之内徹がアツイのか?まあアツクてもサムクてもいいや、すばやく購入した。この本に出会えたので映画に行けなくてよかったのかも知れない、と思うことにする。これも一種のプラス思考かな。
自転車を走らせて帰る。今夜の気温はマイナス一度。こんな寒い夜に何で自転車なんか乗ってるんだろう。信号で止まる度、空を見上げてオリオン座を確認する。家に帰り着くまでずっとくっきり見えていた。
「浮雲」が面白かったので次は「平凡」を読む。まだ途中なのではっきりとはわからないけれど、二葉亭四迷は何かを非常に憂いておられるようだなあ。そんなにさあ、物事をムズカシク考えなくてもいいんでないの、と肩をたたいてあげたいような感じがする。
・購入物:洲之内徹「芸術随想 おいてけぼり」(世界文化社)
・朝食:トースト、ゆで卵、珈琲、蜜柑 昼食:お弁当(ポテトサラダ、ネギとお豆腐の味噌汁(インスタント)、かつおのおにぎり、りんご) 夕食:水餃子、鶏ささみとキャベツのサラダ、玄米ご飯、漬物
ここ数日の睡眠不足のせいで、一日眠くて仕方がない。そんな日に限って午後から会議があるのだよ、もうこれは拷問である。 おまけに今日の会議は私にはほとんど発言権がなく、ひたすら他人のクソ面白くもない話を聞かねばならなくて、これがまた苦痛この上なし。特にAさんのぼそぼそした話し方はまるで子守歌で、もういっそのこと今ここで私を殺してほしい、と願うほど眠かった。 でも、私も一応社会人の端くれの端くれなので居眠りはしなかった、と思う。それを証拠にちゃんとメモを取ってるもんね、判読不可能だが。
図書館に行くつもりだったが、少々残業したため会社を出るのが遅くなったのと、あまりの寒さにくじけてしまい、取りやめてまっすぐ帰る。帰り道に近所の商店街に寄って、山芋と豚肉と海老とイカとビールを調達。豚肉を200グラム買ったところ、店のおじさんが少しだけおまけで追加してくれた。嬉し。 今日の晩ご飯はお好み焼き。はっきり言っておいしいぞ。これはもうぼちぼちお好み焼き屋が開店できる味だと思うなあ、と自分で自分を褒めたたえながら食べる。食べたらまた眠気が襲ってきて、午前0時すぎまでリビングで熟睡してしまった。
夜中、ちくま文庫の梶井基次郎全集から何編か読む。梶井基次郎は、人間の内側に潜む、どうにもこうにも抗いがたいある種の衝動について書くのが上手いなあ。
・購入物:なし
・朝食:玄米ご飯、豆腐とネギの味噌汁、海苔の佃煮、漬物 昼食:カレーパン、サツマイモのパン、ミルクティ 夕食:お好み焼き、キャベツ焼きそば、麦酒
出かける直前に宅急便が届いた。何だ何だ、と開封してみたら先日自分で頼んだ玄米だった。というわけで、本日からしばらくは玄米ご飯を食べる。
朝、エレベーターの所でNさんと一緒になったので、「ドン・キホーテの話題パート2」をしようと思い、あのねドン・キホーテがどうのこうのしたのは水車じゃなくて風車でした、言ってみたのだが、Nさんはただ、ふうん、と答えたきりで、さして興味がなさそうだった。「そんなことよりさ」と目を輝かし、「私、来月か再来月、ニュージーランドに行くことにしたからよろしくね」と言い捨て、外回りに出て行ってしまった。よろしくね、って私にとってはあんまりよろしくない事態だが。ニュージーランドへ一体何しに行くんだろう。 まあとにかく、ドン・キホーテのことはもうどうでもいいみたいだ。
今日はハナレグミの新譜が発売されるので、タワーに寄って買って帰る。ジャケットの永積タカシの写真をみて、私は眼鏡をかけた男に弱いなあ、と思う。 晩ご飯をこしらえながら聴いたハナレグミは、何て言うか、じわじわと心身にしみてくる感じでとても良かった。
夜は、織田作之助全集第五巻から「螢」と「アド・バルーン」を読む。 どちらも物語展開が早い早い、数行読み進むうちに、人が何人か生まれたり死んだり、主人公がいくつか職を変えたり一文無しになったりまた助けられて復活したりする。ぼやぼやしてたらこっちが置いていかれてしまうのだ。このたたみかけるところがかっこよくて好きなんだ。でも同時に、何でそんなに急ぐのかなあ、という気持ちもわきあがる。自分にはあんまり時間がないことを織田作はやっぱりどこかでわかっていたのだろうな。さみしいなあ、なんてさみしい人だろう。
・購入物:ハナレグミ「日々のあわ」 Rickie Lee Jones「The evening of my best day」
・朝食:トースト、目玉焼き、バナナ、珈琲 昼食:お弁当(昨日の夕食の残り、海苔の佃煮、ご飯) 夕食:セロリとジャガイモとベーコンのソテー、豆腐とネギの味噌汁、小松菜のおひたし、玄米ご飯、漬物
月曜日になったので働きに行く。仕事が一段落して何だかヒマ。忙しいのもイヤだけど、ヒマなのもイヤだ。時間が亀の歩みのごとく遅々として進まない。 お互いヒマなNさんと雑談。 Nさんが「なあなあ、前から気になっててんけどさあ、ドン・キホーテってどんな話?」と聞いてきた。そんなことが気になっていたのか。ああアレでしょいろんな女と次から次へとつき合う男の話でしょ、と答えたら、妙な顔をして「それはドン・ファンやろ」と言う。ああそうでしたそうでした、ドン・キホーテはアレですね水車をどうのこうのする話ですね、と言い直すと「どうのこうのって?」と重ねて聞いてくる。面倒くさくなって、さあ知りません、と投げ出したら、明日までに調べておけ、と宿題にされた。何で? 帰りに本屋さんで「ドン・キホーテ」を立ち読みするつもりだったが、先に「歌舞伎への招待」を買ったら嬉しくて、「宿題」のことなどコロッと忘れ、そのまま帰って来てしまった。
「新・地底旅行」読んでしまった。楽しかったよう。読んでしまって、もうめくるページがないと思うと、何だかさみしいなあ。
・購入物:戸板康二「歌舞伎への招待」(岩波現代文庫)
・朝食:昨夜のおでんの残り、ご飯、漬物、海苔の佃煮 昼食:お弁当(海苔の佃煮、ちくわとピーマンのキンピラ、大根サラダ、ご飯、漬物) 夕食:豚肉とレタスとネギの炒め物、小松菜とカブの葉の煮物、セロリとかぶのスープ、ご飯、漬物
ほとんど夜が明けるまで本を読んでいたため、目覚めたのは午前11時前。ああダメだ、またすぐ一日が終わってしまう。
スーパーで食材を調達して、山下達郎のラジオを聴きながら、今夜の晩ご飯のためにおでんを、明日の朝ご飯のためにセロリとレタスとかぶのスープを作る。山下達郎は志ん生が好きで、ラジオで一人喋りをする時などかなり影響を受けていると話していて、ああやっぱりな、と思う。それからリスナーが書いて送った葉書の内容を聞きながら、山下達郎のライブに行くような人ってどんな感じの人だろう、とぼんやり考えたがうまく想像できなかった。
ご飯を作ってから、ふらふらと散歩。千林の古本屋さんで本を3冊買った。 島尾敏雄の「夢日記」は、題名の通り自分が見た夢の記録。他人が見た夢の話など大抵わけのわからんものが多いのに、これはわけがわからんなりにもところどころハッとさせられるところがあって、さすがだなあと思う。夢日記においても、頻繁に「ミホ」の名が見受けられるのがまたすごい。もう何にも言うまい。
夜、本棚の整理をしていたら岩波文庫の二葉亭四迷「浮雲」が出てきたので、何となく読んでいたらだんだん面白くなってきてやめられなくなった。昔は、こんなもの退屈だ、と切り捨てていたもののことが、最近どんどん好きになっていくような気がする。
・購入物:サマセット・モーム「作家の手帳」(新潮文庫) 開高健「人とこの世界」(中公文庫) 島尾敏雄「夢日記」(河出文庫) すべて古書
・朝、昼食:コロッケパン、珈琲、バナナ、蜜柑 夕食:おでん(大根、コンニャク、卵、竹輪、牛スジ、ゴボウ天、厚揚げ、蛸、餅巾着など)、麦酒
のこのこと午前10時前に起き出す。 起きてすぐテレビをつけて、ビデオ録画しながらNHKの「かんさい想い出シアター」を観る。今日は「桂枝雀45分一本勝負・質屋蔵」。質屋がいかにして人の怨みを買うのか旦那が番頭に話して聞かせるくだりと、丁稚の定吉がでてくるところが好き。 時間を忘れて最後まで観てしまった。慌てて支度をして出かける。図書館でIさんと打ち合わせをしてから、年末に借りていたもの(お重とか)を持って実家へ帰った。
母が漬けたかぶらの漬物と千枚漬、手作り餃子と蜜柑ジャム、それから旅行仲間の某さんからレシピを教えてもらって焼いたというアップルパイをもらう。母の食への飽くなき追求には、毎度のことながら恐れ入る。 母は会う度、アンタ痩せたなあ、と顔をしかめては、アレ食えコレ食えといろんなものを食べさせようとする。体の心配してるんやんか、と言うけれどアレは心配している顔ではない、お姉ちゃんもデブの道へ引きずりこもうとしている顔だ、と弟が言っていたので今後注意しよう。
行き帰りの電車等で「新・地底旅行」を読む。やっぱり丙三郎は最高、心の恋人だ。
・購入物:なし
・朝食:レンコンとゴボウのキンピラ、キムチと春雨のスープ、ご飯 昼食:あべかわ餅 夕食:実家で(水餃子、麻婆豆腐、ほうれん草のおひたし、根菜汁、麦酒、ご飯)
朝からNさんと一緒に外出し、先日怒りの電話をかけてきた客のところへ行く。経緯を説明したらわりとすぐ納得してくれて、急に愛想が良くなったので気持ち悪かった。怒ったり笑ったり忙しい人だ。こんな人は案外、毎日楽しいかもしれない。 結局、オッサンをなだめすかすのに丸二日もかかった。疲れたわ。
朝からかなり寒かったけれど、夜帰る頃にはさらに冷え込んできた。風が冷たいというより、痛い。でも今日は楽しいお買い物の日なので、寒さに負けずジュンク堂へ行く。 ちゃんと「新・地底旅行」が棚に並んでいた。よかったよかった。新聞連載時より大幅加筆修正してあるらしい。ホントかな。まあ何でもいいや、とにかく嬉しい。「モンテーニュ私記」は図書館で予約をしているにもかかわらず待てど暮らせど貸し出しの順番がまわってこないので、待ちくたびれて買ってしまった。 タワーへ移動しCDを1枚買って、地下の喫茶店でひとり静かに読書。やっぱり「モンテーニュ私記」は買ってよかったなあ、こんなにいい本だったとは知らなんだ、装丁はイマイチだけど。
『あんたは自分の生活のことをしっかり考えて、その舵を取ることができたのか。それなら、すべての仕事のなかで一番立派な仕事をやったのだ。自然は人に自分を見せたり、自分を活かしたりするために、特別な運命など必要としない。自然はどんな段階にあっても、幕のうしろでも、幕がなくても、ひとしく自分を見せるものだ。われわれの務めは日々の生活態度を作ることであって、本を作ることではない。戦いや諸国を勝ち取ることではなく、われわれの行いに秩序と平穏を勝ち取ることなのだ。われわれの偉大な、名誉ある傑作は、賢明に生きることである。ほかのいっさいのことは、国を治めるのも、財を成すのも、建築するのも、せいぜいこれに属する、補助的なことにすぎない。』
・購入物:奥泉光「新・地底旅行」(朝日新聞社) 保苅瑞穂「モンテーニュ私記」(筑摩書房) 車谷長吉「業柱抱き」(新潮文庫) 「ブッキッシュ・vol.6」 Tamba Trio「black plus blue」
・朝食:クリームパン、珈琲、みかん 昼食:きつねうどん、みかん 夕食:いわしと大根の煮物、レンコンとゴボウのキンピラ、かぶらの漬物、ご飯
友人と飲む。 待ち合わせまで少し時間があったので、「新・地底旅行」を買おうと本屋さんに行ってみるも、まだ並んでいなかった。早く読みたいよう。いつ発売されるんだろう。 友人がやって来て開口一番、お金がないから安い店に行こう、と言う。寒空の下歩き回っていかにも安そうな店を探し、安い料理ばかりを選んで注文したまではよかったが、ビールを2人で15杯近くも飲んでいては安い店もヘチマもない、と私は思う。この友人とは大学のときからずっと定期的に飲んでいるが、だいたいいつもこの繰り返しだ。私達に「安い店」なんかない。
ペラペラと四方山話をする。彼女は今年から「小鳥のような女の子」を目指すそうだ。30もとっくに超えてから「女の子」ってアンタ、頭がおかしくなったんじゃないか。それから「小鳥のような」というのがまたよくわからない。 それは、華奢で髪が長くて白いコートとか着てブーツを履いて小さいバッグを持ってウフと笑っているような感じの女のことらしいのだが、わかったようなわからんような。つまるところ友人と正反対の人間を思い浮かべておけばいいようだ。 それから、小鳥のような女の子というのは例えば居酒屋のメニューに例えると、「本日のおすすめ料理」みたいなもんなのだ、とも言った。大抵の人の口に合っておいしくて無難な料理。なるほどね。 ちなみに私をメニューに例えたら「珍味」なんだって。大抵の人の口に合わないけど好きな人にはたまらん料理、らしい。なんじゃそら。 真面目な話もしたのだがもう忘れてしまった。午前0時半頃帰宅。泥のように眠る。 ・購入物:なし
・朝食:トースト、プレーンオムレツ、りんごジャム、珈琲 昼食:ビーフカレー 夕食:居酒屋で(大根サラダ、コーンサラダ、枝豆、きゅうりの漬物、生春巻、カマンベールチーズのなんとかかんとか等、麦酒中ジョッキ7杯くらい)
出社早々、お得意先とトラブル発生。大変なミスだ、失敗だと、えらい剣幕で怒られて、朝からグッタリ。あんなに怒鳴りちらすのは身体に悪いと思うけどなあ。 よく調べてみたところ、こちらには特に間違いがないことがわかった。向こうが勝手に何か誤解して怒っちゃったのだ。こちらは悪くないんだから謝るのもおかしいし、かといって正当性を主張しすぎると恥をかかすことになって余計にご機嫌を損ねちゃうしなあ。相手のプライドを傷つけることなく、振り上げたコブシを静かに下ろしてもらうにはどうしたらいいのだろう。 まあ起こってしまったことは仕方がない、今日のところは解決する見込みもないのでさっさと会社を出て、映画を観に行った。
ラーメンを食べてから、ピカデリーで「ミスティック・リバー」を観た。何だったんだろ、この映画。 とにかくいろんなことを盛り込みすぎ。殺人、誘拐、暴力、復讐、冤罪、幼児虐待、貧困、トラウマ、二重人格、同性愛、友情、恋愛、親子、兄弟、夫婦、被害者と加害者、偶然と必然、幸運と不運、などなどなど。これらひとつひとつは重くて重要なテーマであるかもしれないが、あまりにも盛りだくさんすぎて、どれも心の中をスウッと通過していってしまう感じがする。すべてがバラバラなのだ。 ショーン・ペンやティム・ロビンスの演技が素晴らしい、などと言ってみたところで、そんなの当たり前のことだし。これは過去をどうしても振り切れない人間の悲劇を描いているのだ、とか何とか、わかったような感想を言うのは簡単な映画なんだけど、胸に迫ってくるものがなかった、だからすぐに観たことさえも忘れてしまうだろう。
自転車で帰る。雪か雨かよくわからない、冷たいものが降っていた。 夜は布団の中で広津和郎の「年月のあしおと」を読み返す。広津親子に翻弄される日々。
・購入物:なし
・朝食:クロワッサン、リンゴジャム、珈琲 昼食:お弁当(水菜の辛子ゴマ和え、ゆで卵、海苔、ご飯) 夕食:外食、店名忘れた、東通り商店街のラーメン屋で(とんこつラーメン・並)
出かけようと思ったら、大粒の雨が降っている。おまけにバリバリと雷まで。だから今日は地下鉄通勤。車内では広津柳浪の「河内屋」を読む。我ながら、朝からよくこんな暗いものが読めるなあ、と思う。
新年も明けたことだし今日から真面目に働こう。って年はとっくに明けてるんだが。先週はどうもやる気がおきなくて遊んでばかりいたので、たんまりと仕事がたまっている。黙々と働く。ただ黙々と。おかげでかなり片付いた。やれば出来るんだけどなあ、やろうと思うに至るまでが一苦労なのだ。
タワーに寄って、頼まれていた「レコードコレクターズ」を買い、バスで帰る。冷たく強い風が吹き、とても寒い。バスでは引き続き広津柳浪を読む。あははは、もう笑ってしまうほど暗い。何もそこまで悲惨な話にしなくてもいいじゃないかと思う。でもそれが好きなのでやめられない。下を向いて本を読んでいたのでバスに酔った。ひとつ手前の停留所で降り、ブラブラ夜道を歩いて帰る。
家でパラパラと「レココレ」を読み、欲しいCDをチェックしていたら、なんかこの先お金が湯水のごとく出て行きそうな予感がして、怖くなってきた。
・購入物:「レコードコレクターズ」(2月号)
・朝食:けんちん汁、目玉焼き、ご飯 昼食:カレーパン、メロンパン、ミルクティ 夕食:チンゲンサイのしょうが炒め、豆腐と下仁田ネギの味噌汁、水菜の辛子ゴマ和え、ご飯、大根の漬物
快晴。布団を干して掃除。 テレビをつけたら「カレーパンの作り方」をやっていた。調理師学校の先生がパン生地をこねくりまわしているのをボーッと見る。おいしいパンを作るコツは生地をたたきながらしっかり捏ねることです、と言って生地をバンバンと台にたたきつけていた。あれは面白そうだなあ。嫌な奴の顔を思い浮かべてやるといいかもしれない。ストレスのたまっている人はパン作りをすればいい。
そろそろ返却に行かないと出入り禁止になっちゃうかも、と思い図書館へ。閉まってる。やる気ないのか、この図書館。借りたい本もあったのだが仕方ない、返却ポストに本を入れておく。 その後、買い物のついでに近所の古本屋をのぞく。店頭に100円と50円の均一ワゴンがあって、100円のワゴンから後藤明生を見つけレジへ持っていく。アルバイトらしき女の子が「あのう…これはどちらのワゴンにありましたか?」と聞くのですかさず、50円のワゴンにあったよ、と答えたらあっさり50円で売ってくれた。 家に帰って、いたいけな少女を騙して買った後藤明生の「笑い地獄」を読む。この人の小説を読むと、何だかクラクラめまいがしてくるなあ。それが面白いんだけど。 今日の晩ご飯は蟹のしゃぶしゃぶ鍋、焼蟹、蟹雑炊と、蟹三昧。豪華だなあ、といっても蟹は到来物だけど。ほとんどしゃべらず、ただ一心に食べる。
・購入物:後藤明生「笑い地獄」(集英社文庫)古書
・朝、昼食:キャベツとベーコンのカレー炒め、けんちん汁、ご飯 夕食:蟹しゃぶ鍋、雑炊、焼蟹、麦酒
午前9時頃、電話のベルで起こされる。電話の主は電気店で、今から1時間後くらいに洗濯機を持って行きます、と言う。寝ぼけていたので、はあい、と返事をしてしまったが、買った覚えもないものが届くとはこれ如何に。 何か知らんけど今から洗濯機が届くそうですよ、とTを叩き起こしたら、ああオレが昨日買ったやつだ、というお応え。この人はどうでもいいことはペラペラ話すくせに重要連絡事項をすぐ言い忘れる癖があるので困る。でもお金を出してくれたのならまあいいか、と簡単に納得して、先日ご臨終となった洗濯機を外に運び出し、空いたスペースの掃除をした。 到着した洗濯機は私が買おうと思っていた「二層式」ではなく「全自動」で、色は真っ黄色だった。なんかバナナみたい。あんまりセンスは良くないが、ちゃんと洗えれば何でもよろしい。設置してもらって早速たまりにたまった洗濯をした。やっぱり洗濯機は便利だわ。
命日に一日遅れたけれどもどうしても参っておきたかったので、午後から織田作之助のお墓参りに行った。お墓は上町台地の拐厳寺にある。思ったより小さいけれど、静かで清潔で、すみずみまで手入れの行き届いたとても感じの良いお寺だった。 墓前に煙草が数本お供えしてあるのを見た時、こうしてちゃんと今でも織田作は誰かに愛されてるんだなあと思ってうれしかった。なんだか無性にうれしかった。
そのあと、周辺をぶらぶら散歩しながら、結局難波まで歩いて南海古書センターで文庫本を何冊か買い、「戎さん」で賑わう通りの夜店をちょろちょろ眺めながら帰った。 帰ってから、テレビで「ロストワールド」をちらちら観ながら本棚を探索、奥の方から森敦の「月山・鳥海山」を無事発見することが出来た。よかった、よかった。
・購入物:森敦「わが青春・わが放浪」(福武文庫) 広津柳浪「河内屋・黒蜥蜴」(岩波文庫) いずれも古書
・朝、昼食:クロワッサン、珈琲 夕食:外食、田舎そばにて(かきあげそば、ちらし寿司) 家で、ジャガイモのホイル焼き(バターをつけて)
文楽初春公演に行く。朝から晩までびっちり観た。楽しかった。とても楽しかったが、ちょっと体調不良だったこともあってか、すごく疲れた。 「壇浦兜軍記」阿古屋琴責の段、簑助さんの阿古屋が琴を奏でる、本日一番の見どころで、どうしようもない眠気が襲い、集中力がとぎれてしまった。一生の不覚。やっぱり一日通しで観るのは体力がいるなあ。春には「義経千本桜」の通し狂言が控えているというのにこんなことでどうする、反省反省。
それから、前の席のオバチャンが紙袋をガサガサさわって「那智の黒飴」やら「いもけんぴ」やらを出してきて上演中に食べるのが、もう気になって気になってイライラしたのも疲れた理由のひとつ。なんかイヤにおいしそうなもんだから余計気になるのだ、また何か出してきたぞ、何だろ、あ飴だ、へえおいしそう、なあんていちいち反応してしまう。食いしん坊はやだねえ。
「寿式三番曳」の桐竹勘十郎と「良弁杉由来」で玉男さんの良弁僧正が二月堂の前に登場するところがとびきりよかったなあ。出てくるだけでドキドキして、このドキドキを味わうだけでも観に来てよかったなあ、と思う。
今日は織田作之助の命日。なので、夜は心静かに全集をひもとき、何度読んだかもうわからない「木の都」と「六白金星」を読んだ。
・購入物:文楽公演パンフレット
・朝食:バターロール、チーズ、珈琲、みかん 昼食:ねぎとろおにぎり、お茶 夕食:キャベツ焼きそば(キムチ入り)、麦酒
早く起きて洗濯をするつもりだったのだが、寒くてなかなか布団から出られない。体が布団にくっついているみたいで、起き上がる時バリバリバリと接着剤がはがれるような音がする気がする。
今読んでいる「本郷菊富士ホテル」の中に、宇野浩二は毎朝6時半には起きていたらしいという記述が出てくる。なぜ早起きするのかと三宅周太郎に問われて、 『自分がしてきた恥ずかしい事、不快な事、嫌な事、変な事と思うと、もう私は床の中にいたたまれない。で飛び起きます。早起きしたいのじゃあないのですが、いろいろの過去の気恥ずかしい事をひょいと思うと、この辺り(背中を指しながら)がむずむずして起きてしまうのです。』 と答えている。 ふうん、なるほどそうか。私も真似をして「過去の気恥ずかしい事」を思い浮かべてみようと思うが、そんなことを思い出したらさらに布団の中奥深くにもぐり込んでいっちゃいそうだなあ。まだまだ修行が足りぬようだ。
夜は友人と長い長い電話。早く切りたいのに友人がなかなか話を止めないのだ。友人は真剣に話しているのだが、私はもう眠くて眠くて、ああでもないこうでもないと向こうが喋り続けている間、約1分少々ほど寝てしまい、私のことなんてどうでもいいと思ってるやろ、と怒られた。
・購入物:なし
・朝食:トースト、目玉焼き、珈琲 昼食:お弁当(蛸キムチ、水菜のゴマ和え、ちりめんじゃこの混ぜご飯) 夕食:大根と豚肉のキムチ炒め、ブロッコリーとジャガイモのサラダ、麦酒、漬物、ご飯
早目に仕事を切り上げて、地下鉄で日本橋まで行く。自転車で行こうかと思ったが、寒さにくじけてしまった。 まず文楽劇場でチケットを買ってから、洗濯機購入のため、ぶらぶらと電器屋街へ。2軒入ってみたが、1軒目は死にかけの魚みたいな目をしたやる気のなさそうな店員が、配達は一週間後になりますねえ、などと悠長極まりないことを言うし、2軒目の店員は愛想がよすぎてうるさいほどだったが値切り交渉に失敗したため、今日は購入にいたらなかった。 堺筋を歩いているうちだんだんどうでもよくなってきて、洗濯機なんか本当に要るだろうか、手で洗えばすむことじゃないのか、洗濯機じゃなくて洗濯板を買おうかな、それじゃホントに「おしん」だなあ、などど思いながら歩いていたら通天閣の近くまで来てしまったのでまた引き返し、ジュンク堂で本をバカスカと買って帰った。
「狐の書評」は立ち読みですますつもりだったが、目次をみたら『織田作之助「夫婦善哉」』の文字が目に入ったのでズルズル買ってしまった。それから、森富子さんの『森敦との対話』が読みたくて、「すばる」を初めて買った。帰りの電車で読んでいたら面白くてどんどん引き込まれ、あやうく電車を乗り過ごすところであった。これを読み終えたら森敦の小説を読み返したくなること必至であるが、混沌としたウチの本棚からスッと出てくるかしら、また大捜索せねばなあ、などとボヤボヤ考えながら夕食を作り、「白い巨塔」を観ながら食べた。
・購入物:仲田定之助「明治商売往来・続」(ちくま学芸文庫) 「水曜日は狐の書評」(ちくま文庫) 志ん朝の落語5「浮きつ沈みつ」(ちくま文庫) 大竹昭子「眼の狩人」(ちくま文庫) 「すばる・2月号」(集英社) 樺島勝一・織田小星「正チヤンの冒険」(小学館) ・朝食:トースト、りんごジャム、珈琲、蜜柑 昼食:かまたまうどん(小) 夕食:焼き鮭、水菜のゴマ和え、大根と豆腐の味噌汁、じゃがいも(アルミホイルにくるんでストーブの上で転がして焼いたものに塩をかけて食べる。そのまま食べてもおいしいよ。)、麦酒、ご飯、漬物
とうとう洗濯機が壊れた。すすぎの途中でガタッとヘンな音がして、それきりどこを触っても、叩いても、蹴っても、もう動かなくなってしまった。ご臨終。 仕方ないので、手で洗濯物の水をしぼる。水がとても冷たくて、手の感覚がなくなってくる。「おしん」の気持ちがほんの少しわかった。 洗濯物との格闘のせいで朝ご飯を食べる時間がほとんどなくなり、午前中はお腹が空きすぎて、地獄の時間を過ごした。
帰りに、九条でカール・ドライヤー「裁かるるジャンヌ」を観る。名作だけにさすがに観客が多く、私が着いた時には客席はほぼ埋まっていた。 スクリーンで観るのは初めて。ビデオには音楽が入っていたけれど、今日はまったく無音。そのほうがずっと良かった。この映画に音楽はいらない。 年齢を聞かれて、少し戸惑いながら「19歳…だと思います」とこたえるシーンと、主の祈りを誰に教わったのかと問われて、「…母です」と言った後ジャンヌが初めてポロポロ涙をこぼすシーンは、とても平静な気持ちでいられない。ジャンヌは映画の中で何度も泣くけれど、この一番初めの涙がたまらなく哀しい。
この特集上映は合計3本しか観られなかったが、どれも素晴らしかった。特にあんまり期待していなかった「吸血鬼」がヘンに面白かったのが収穫だった。機会があったらまた観たいなあ。
・購入物:カール・ドライヤー特集のパンフレット(先日「奇跡」を観た日に買ってたんだった。書くのを忘れてた)
・朝食:珈琲、みかん 昼食:ちりめん山椒のおにぎり、キムチチゲラーメン(インスタント。辛すぎる) 夕食:外食、ヒレカツ定食(ヒレカツ、キャベツ、味噌汁、ご飯)
・
「向田邦子の恋文」で山口智子が食べていた大きなどんぐり飴が欲しくて、出勤前に朝7時から開店している近所のスーパーで買って、会社で食べる。おいしい。おいしいが口の中が飴に占領されるので喋りにくく、食べ始めたらしばらく電話にもでられない。アンタ仕事する気ないやろ、とNさんににらまれてコワーイので、もう会社では食べないようにしよう。
昼休みの後、外回り。途中、時間待ちのため中之島公園でひと休みし、おじさんが鳩にエサをやっているのを眺める。鳩サブレ食べたい。 眺めるのに飽きたら読書。富岡多恵子の「遠い空」を読む。この小説、とても怖い。エサをやっているおじさんも、歩いているカップルも、行き交う車も、なんだか急に遠くに感じられて、現実感がなくなるというか自分だけがこのまま取り残されていくような感覚にとらわれる。富岡多恵子の小説はスーパークールだ、まったくといっていいほど感傷的な描写がなくて、それがとてもかっこいい。 夜中、眠い目をこすって新聞を読んでいたら、今月末にNHKホールで文楽「曾根崎心中」が上演されることを知った。いっぺんに目がパチクリ。何でこんな重要行事を私は今の今まで知らずに生きてきたんだろう。反省しきり。早くチケット取らなくちゃ、まあ多分取れるだろうけど。
・購入物:なし
・朝食:トースト、ツナと卵のサラダ、りんごジャム、珈琲 昼食:むらさき芋(紫色のサツマイモ。見かけはグロテスクだけど、アルミホイルに包んでストーブの上で焼くとおいしい)、蜜柑、珈琲 夕食:里芋と手羽元の煮物、チンゲンサイのカレー炒め、蛸の酢の物、麦酒、ご飯、漬物
久方ぶりに働いて、別にたいしたこともしていないのになんだか疲れた。 仕事もせずに何をしていたかというと、お正月に飲みに行って財布を落とし、その上買ったばかりのコートにビールをこぼし、おまけに風邪もひいて休み中はずっと寝ていたというNさんの景気の悪い話を聞いたり、大掃除中に脚立から落ちて骨にヒビが入ったと言って、手に包帯をグルグル巻いている気の毒なKさんと話したりしていた。 それから疲れついでにと、特に目当ての服もないのにバーゲン中のお店などちょこっとのぞいたりしたもんだから、余計グッタリしてしまった。
でも、ふと寄り道した天神橋筋商店街の古本屋さんで近藤富枝の「本郷菊富士ホテル」を見つけたので、たちまち疲れは取れた。 菊富士ホテルは広津和郎や宇野浩二が逗留し、執筆活動の拠点としたホテル。この本は菊富士ホテルを舞台として作家たちの交流を描いた大正文壇史になっていて、これが100円で売られているとは私に買ってくれと言っているようなもんだ。 装丁がかっこよかったのでついふらふらと手がのびたカフカ全集の端本と、大好きな映画である「特別な一日」のパンフレットも入手して、またまた充実の買い物ができた。 晩ご飯を食べてからビデオに録画しておいた「向田邦子の恋文」を観る。山口智子はもちろん、藤村志保もよい。それにしても山口智子は何でもおいしそうに食べるなあ。蕎麦と飴、それからお茶を淹れてせんべいが食べたくなった。向田邦子は食べることをとても大切にした人だったから、食欲をビリビリ刺激するドラマに仕上がっていたことは、とてもよかったんではないかと思う。 ・購入物:近藤富枝「本郷菊富士ホテル」(中公文庫) フランツ・カフカ全集第6巻「日記」(新潮社) エットーレ・スコラ「特別な一日」パンフレット いずれも古書
・朝食:きつねうどん(お餅入り) 昼食:ピロシキ、レーズンパン、珈琲 夕食:豚肉と大根とニラの炒め物、小かぶとひろうすの煮物、赤かぶの漬物、ご飯
朝食に大根や人参、里芋、こんにゃくなどを入れた味噌仕立てのお雑煮を作る。年末に実家から20個以上はもらってきたお餅が、もう残り少なくなっている。コワイ。
テレビをつけたら「アメリ」をやっていたので、しばし観る。「美女と野獣」や「ボディガード」が好きで、私とはことごとく映画の好みが合わない友人が、もう最高によかったわ!、と瞳をキラキラさせて言っていたので、絶対観ないでおこうと思ってきた。 15分くらいしか観てないけど、何が良いのかさっぱりわからず。甘ったるいお菓子を食べた後みたいで気持ち悪く、水で口をすすぎたくなった。
九条でカール・ドライヤー2本目、今日は「奇跡」を観た。 家族の中心的存在だった長男の嫁が死ぬ。家族や関係者は悲しみにくれるが、自らを神だと思い込んでいる次男と、死んだ女の幼い娘だけは必ず生き返ると信じる。やがて神への信仰の篤さとその祈りの力によって、死んだはずの人間が息を吹きかえす。信仰の権化みたいな次男は言う、なぜ信じないのだ、なぜ祈らないのだ、ただ一途に信じ祈念する心が奇跡を起こすのだ、と。 しかしなあ。死んだ人はもう生き返らないし、どんなに信じても叶わないこともあるし、どんなに祈っても届かないことだってあるし、それらをしっかり受け止めるところから何かがはじまるんじゃないのか。 人が生き返ることなんかよりも、今日もこうして、笑ったり怒ったりびっくりしたりうんざりしたり、餅食べたり映画を観たり本を読んだりして、何でもない一日を過ごしたことこそが奇跡だと、私には思える。 それからねえ、白い壁をバックに白い文字で字幕を出すのはやめてほしい。字が見えないので。
もうぼちぼちおせちには飽きたので、ここのところずっと食べたくてしょうがなかった、アツアツのトンカツがのった辛いカレーを食べて家に帰った。
・購入物:なし
・朝、昼食:お雑煮、おせちの残り 夕食:外食、印度屋にて(カツカレー、サラダ)
冬休みもあと2日か。 いつもなら晴々とした気分で迎える土曜の朝だけど、9連休の最後の2日かと思うと、何だか値打ちが下がる。向かいの家族は昨夜遅く帰省先から帰ってきたようで、朝から子どもがギャアギャアうるさいし、Tは仕事へ行ってしまったし、休んでいた近所のスーパーは開店したし、もうお正月休みは終わった、という感じ。なので、本日より朝からお酒を飲むのは止めにしよう。ああ、さみしい。
洗濯をして、布団干し、掃除を少々。それから届いた年賀状を眺める。 『毎日がんばっていますか?』とか『今年もいろいろなことにがんばってください』などと書いている人がいる。そういうことを書いてくるのは、大抵あんまり親しくない人達だ。年賀状を読みながら、別に何にもがんばってません、がんばるつもりはありません、と小さな声で返事をしていく。 午後から葉書を買ってきて、九州や東京など遠くに住んでいて普段会えない友人と知人に宛てて年賀状を書く。ジョアン・ジルベルトなど音楽を聞きながらだらだら書いていたら、すぐ日が暮れてしまった。
夜は、幸田文の「流れる」をおしまいまで読む。 幸田文の小説は「おとうと」以外読んだことがないので何とも言えないが、これは最高傑作ではないだろうか。話は、市原悦子の「家政婦は見た」みたいなもんなんだけど、丁寧な心理描写と言葉使いの巧みさに何度もうーんと唸ってしまった。年明け最初に読んだものがここまで素晴らしいなんて、幸先がいいなあ。今年も良い小説をたくさん読めますように。
・購入物:なし
・朝食:きつねそば、お餅入り(年越しそばの残り) 昼食:メロンパン、珈琲 夕食:牛肉とゴボウのしぐれ煮、ゆでキャベツとポテトのサラダ、大根と人参の味噌汁、五目なます、おせちの残り、麦酒、ご飯
午前9時起床。 起きてすぐお酒を呑みはじめる。晴れた朝にのむお酒は、五臓六腑にしみ渡るなあ。
すっきり晴れて暖かい。お昼前にカメラを持っておでかけ、近江八幡市内の古い商家が立ち並ぶ界隈や、水郷めぐりの八幡堀辺りを散策する。 ちょうど通りかかったところにあった、日牟礼神宮という神社にお参り、何年かぶりにおみくじなども引いてみた。 結果は「平」。なんだろ「平」って。「吉」の意味かしらん、と思ったら横に「下降運」と書いてある。あらら。 要するに、総体的に運気は下降気味なんだそうである。しかし、苦しい時や壁にぶち当たった時は、ヤケにならず心静かに誠意を持って対応していれば、自ずと運は拓け躍動の一年が待っているんだそうである。他にも、待ち人・いずれ来る、とか、方角・東北が吉、とか、書いてあるんだけれども、こんなどのようにも解釈できる、通りいっぺんのことをつらつらと書いて一回100円とは、なんとボロイ商売だろう。うらやましい。 とりあえず、引いたおみくじは木にくくりつけて帰ってきた。
カニやら鯛やら鮭やら、たくさんの食材をいただき、夕方、帰りの電車に乗る。こうして周りの多くの人に助けられて、楽しいお正月が過ごせたことに感謝多謝。 梅田に着いて、旭屋で「一冊の本」をもらって自宅へ帰る。
夜は久しぶりにパソコンに向かい、3日分の日記を書いて、肩が凝った。 何となくはじめてしまったこの日記、誰かの役に立っているとも思えぬが、まあ、役に立つものを求めている人ばかりではないだろうし、日記を書くのは好きなので、今年ももう少し続けてみようと思う。
・購入物:なし
・朝食:鰤のおさしみ、きずし(鯖)、おせち、ポテトサラダ、熱燗 昼食:茶碗蒸し、カニの蒸し寿司 夕食:おせち(の残り)、ポテトサラダ、麦酒
ぴっかりよく晴れている。はりきって洗濯、それから大根と金時人参を切って、お雑煮を作り、サム・クックを聴きながら、おせちを食べ始める。お正月にサム・クックはなかなか合うなあ、とお酒に酔った頭でボーッと考えた年の初め。
毎年1月1日は映画を観に行くことにしているのだが、今年は観たい映画を上映している映画館が軒並み元日を休館日にしているため、残念ながら諦める。 午後から支度をしておでかけ。JRにガタゴトとゆられて、滋賀県へ行く。滋賀はTの実家があるところ。遊びにおいでよ、と誘われていたので行くことにした。
大阪駅から長浜行きの新快速に乗る。車内はわりと空いていた。しばらくすると、どこからともなく蜜柑の匂い。いつもは通勤通学の人達で混み混みのこの電車も、今日はのんびり、ほんわかした雰囲気が漂う。 車中の読書は幸田文「流れる」。これは車谷長吉が、「日本近代文学のベスト3」として、夏目漱石「明暗」と深沢七郎「楢山節考」と並んで挙げていた小説。お正月に読もうと決めていた。 幸田文の文章は少し癖があって、昔は、何だかなあこのおばちゃん、と思っていたのだが、「台所のおと」を読んだ時くらいから、ばっちりツボにはまるようになった。この「流れる」も中盤にさしかかって俄然引き込まれるようになってきた。
滋賀県は寒い。そして暗い。大阪と比べると、ネオンや街灯が極端に少ないためだ。夜は暗いものなのだ、そして、冬は寒いものなのだ、ということが目と身体で実感できる。 Tの実家では鯛やら海老やら蛸やら、もう竜宮城なみのご馳走をいただき、もう幸せの極致。 夜はTの父を交えて3人で花札。朝3時頃までやって、結局、約1500円くらい儲けた。やったね、これで何か本でも買おう。
・購入物:なし
・朝食:おせち(煮しめ、田作り、数の子、五目なます、黒豆、かまぼこ、たたきゴボウなどなど)、鰤の照り焼き、お雑煮、麦酒、熱燗(山田錦) 夕食:鯛、海老、蛸のお刺身、ポテトサラダ、おせち(だいたい朝と同じようなもの)、熱燗(剣菱)
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