あふりかくじらノート
あふりかくじら



 7月最後の19時に。

一ヶ月間。
この一月の間だけ、ある場所で研修を受けていた。
初めてのオフィスで、毎日坐っていた。
29日(金)はその最終日。
今までいろんなところで働いたけれど、
この経験はわたしの人生のなかで
珍しいものと思う。

もう、あのオフィスで働くことはない可能性が
高いんだろう。

フレンドリーなひとびと。
雰囲気の良いオフィスの空気。
ネガティブな先入観と合致してやっぱりと思うことも、
なるほどと思うことも多かったが、
新しい環境はフレッシュだったし、個人的に言えば
非常にネガティブだったところの偏見から解放され、
いい意味でもう少し現実が見えた気がする。
いままで知らなかったこと。

担当の方のお人柄もとてもよく、安心した。
これから某国に赴任しても、
何とかやっていけるかもしれない。

一ヶ月だけ。
わかってはいたけれども。

京葉線が地下から高架へとのぼり、
カーブを描く。
窓ガラス越しに、白く煙る夏の19時の空と運河。

また、ひとりになったと思った。

旅の荷物を抱えて。


2005年07月29日(金)



 ざんざん。

すごい勢いで雨が降る。
すごい勢いで、ことばが降ってくる。

でも断片的。

まだまだまとまらないけれど、でも
焦りは無くなった。
このスコールのように気分の良い雨の音。


杏仁豆腐をたべて、
それからラジオ深夜便から流れる
ムーンリヴァーを聴いています。

2005年07月25日(月)



 くじら缶詰まであと十秒。

昨日、午後四時半ごろ地震。

くじらは近所のイトーヨーカドーでお買い物をし、
いったん家に帰ろうとマンションの一階
エレベーターホールに入って、
あと数メートルでエレベーターのボタンを
ぽちっと押すところだった。
そんでもって、エレベーターにおもむろに
乗り込むところだった。

どーん、とか、ばばーん、とかいう
何の音だったのかすごい音がした。
マンションの一階で何かがぶつかったか
非常ドアがひしゃげたか、ゴジラが衝突したか
とでも思ったくらいの音で、それから壁が
ぐわんぐわんと迫ってきた。
た、倒れる!?と思ったくらい。

マンションの入り口のところでちょうど軽トラックが
方向転換していたから、一瞬そいつが建物に
ぶつかったのかしらん、と錯覚してしまった。
軽トラックでぐらぐらってありえないだろうよ。

千葉県浦安市はよく揺れた。
京葉線はこういうときいつも弱いので
最後まで動かなかった。

あと少しで、くじらの缶詰になるところだった。
ぐうたらなくじらは、初めて九階まで階段でのぼった。

このマンションのエレベーターは
午後八時ごろまで動かなかった。


2005年07月23日(土)



 愛情、パートナー、人生、生活。

藤田社長の離婚があちこちのニュースに取り上げられている。
社長ブログではとても穏やかなメッセージが載せられていて、シンプルで、でも心がつかまれるようで、自分のことのように胸が締め付けられた。

愛情、パートナー、人生。
仕事と生活。

そんなキーワードがまとわりつくすべての時間のなかで、わたしもまた自分のために自分の道を歩いてゆくのだろう。

大切なひとが大切だからといっても、一緒にいることだけが答えじゃない。
一緒にいることで、ふたりが救われるわけでもない。

一緒にいられないことの不安は大きくて、胸がつぶれるほど哀しいけれど、だからといって誰にもわたしの人生を歩むことはできない。
そんな言い訳をしながら、わたしも大切なひとをこの国においていこうとしている。

2005年07月22日(金)



 凝縮され解放に向かう比重。

時間が経っていく。
このひと月、地球はめまぐるしい。
Live8が終わり、G8がやってきたらロンドンでは
テロがあった。
イラクでまた人が死ぬ。

考えるのは、空間がゆがむくらいの重力のこと。
大気が重さに耐え切れずねじれる宇宙的な瞬間。

今年の地球には何かがあって、
今年のアフリカにも何かがある。
そうしたら、わたしの人生のなかでも
この夏は時間が凝縮されて、激しく解放に向かう。

たったひとりで。
ひとりじゃないけれど、ほんとうはひとりで。

ブルドーザーで都市部のスラムが一掃されてしまった
その国で、わたしは新たな局面を迎える。

だから、せめて日焼け止めは忘れない。


2005年07月18日(月)



 LIVE8 Japan

幕張メッセにて「LIVE8」。
昨日MLに流した文面を一部修正し転載。

ホワイトバンド、ぜひご購入ください。
くじらもしてます。

========

ほっとけない世界のまずしさキャンペーンの
賛同団体の一つとして、7月2日(土)世界8箇所で同時開催の
LIVE8の一番はじめを飾った幕張メッセの日本版へ
行ってまいりました。
これは、以前行われたライブエイドとは違って、G8に向けて
声を上げよう、という趣旨であるようです。

アーティストは、Def Tech、DREAMS COME TRUE、RIZE、
Do As Infinity、Good Charlotte、McFLY、
そして、世界的に有名な Bjork が次から次へと登場する
非常に盛りだくさんで豪勢なイベントでした。
観客は、アーティストのファンも多かったと思いますが、
とても若い子達が中心で一万人は入っていたと思います。
すごい熱気でした。

すべてのアーティストは腕にホワイトバンドを身につけ、
自分たちのことばでこのキャンペーンの大切さを訴えていて、
素直にとても良い印象を受けました。
やっぱりお腹に強烈な音が響くライブは迫力が違います。
よく知らないアーティストでも、心に届くメッセージがありました。

合間に繰り返し流れていたのは、イギリスなどの
貧困撲滅キャンペーンの映像に
日本語字幕を重ねたもの、ネルソン・マンデラ氏のメッセージ、
それからクリックフィルムなど。
貧困にあえぐ子どもたち、泣いている子ども、
路上に寝転がる子ども、etc....
胸を締め付けられるような映像が繰り返し流れます。
アーティスト目当ての若いファンの子達も、おしゃべりしながら
ときおり目を奪われるくらい、すべて強烈で、
メッセージ性の強い映像でした。

身体に響く音楽に乗せたアーティストへの声援と
熱気に満ちた会場で、
ステージのまばゆい光に向かってさしのべられて
ビートに乗る何千もの腕につけられているのは、
白く際立つホワイトバンド、ホワイトバンド。
なんだか感慨深いものがありました。

驚き、心動かされたことがあります。

最後のステージが終わるとふと会場が静かになり、
最後の映像が流れました。
それは、セリフやナレーションは何ひとつなく、
ただひたすら笑顔あふれるHIVポジティブの子どもや大人が
次々と映るとてもシンプルなものでした。
そして、LIVE8サイトでの署名を求めるものでした。

あれだけ盛り上がっていた観客たちが、
しんと水を打ったように静かになりました。
アーティストが好きで、単に彼らのライブを
見に来ただけであろう人たちも、誰も彼もが映像に
心を奪われていました。
信じられないことに、誰一人しゃべる者もなく、
帰ってしまう者もいませんでした。
ただじっと、一万人の目が映像を見つめていました。

最後に大きな拍手が巻き起こりました。

涙が出るような気持ちになりました。
音楽は、ひとの心に届くということだったのでしょうか、
なんて心のそこから思えるくらいでした。
まだ少しうまく気持ちがまとまっていませんが、
感じたことを報告させていただきました。
雑文、かつ長文失礼いたしました。

==========

●ホワイトバンドについて

TICAD市民社会フォーラムでもホワイトバンドを
購入できるようにしたいとおもいます。
スリーアスタリスク(三つの*マークは、
三秒にひとりの子どもが死んでいるということをあらわしてます)を
デザインしたシリコン製のバンドです。
(一本300円で購入いただければと思います)

事務局までお問い合わせください。(office@ticad-csf.net

●ほっとけないキャンペーン

 http://www.hottokenai.jp

●LIVE8での署名

この署名を、G8サミットに出席される首脳たちに届けると言うことです。
ご関心あれば、ご協力ください。
 http://www.live8live.com/jp/



2005年07月02日(土)
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