あふりかくじらノート
あふりかくじら



 とてもいいお天気だった。

空気が冷たくて、空が青くて。
哀しくてきれいで、ぽっかりとした
冬の空の明るさに、わたしは何を思い、
どんなことばを口にして良いのかわからぬまま、
知らない街を、なじみの人たちと一緒に
嘘のような目的のために歩いていた。

なんて哀しい日だったんだろう。

いつものなじみの顔で、アフリカセミナーで誰かが発表して、
それが終わったらみんなで呑みに行って
そして色んな話をした。
それが気がついたら四年以上も続いていた。

こんどもまた、いつものように会えると思っていた。
でもそれはかなわなくて、わたしたちは
もういなくなったあなたに
さよならを言いに行かなくてはならなかった。

四十歳と少し。結婚して間もない彼。
あまりに突然すぎた。
誰もが皆、信じられなかった。

いったいこれから、いくつの死を見なくてはならないのだろう。

この現実は、なかなか脳にしっかり下りてこなくて、
信じることができなくて、それでもあるときふっと、
わたしに襲い掛かるのだろうと思う。

ごはんをたべているとき。
朝、目覚めたとき。
深夜のラジオが懐かしい曲を奏でたとき。
彼の調査地であるアフリカ某国の名前を聞いたとき。
抜けるような青空を見上げたとき。

わたしが孤独になるとき。

誰かのぶんも生きるとか、そんなことは言ってはいけない。
できるはずがない。他人の人生だ。

自分が自分の人生を精一杯生き延びることしか、
できないはずなのだ。
そしてそれは、けっこうな課題だ。


どうか神様。
いつかわたし自身がそこへ行く日まで
こんなにも哀しい死は、やっぱり見たくないのです。

いつか、ベッシー・ヘッドのいる世界に行くときまで。



2005年01月28日(金)



 その先の世界へ。

生きていれば、色んなひとの死に直面する。
いつかわたし自身の死に導かれる日まで。

慣れる日がくるんだろうか。
あんなに身近で、一緒にお酒を呑んだりして
アフリカの話をして笑っていたのに、
修士論文を書いたのに。発表したのに。
まだ、若いのに。

いちばん、その先の世界へ行くことなど
考えても見なかったろうに。

また黒い服を着ます。
昨年は祖母でした。
昨日は、たったひとまわりくらい年上の知り合いでした。

もうこの服、手を通したくありません。

2005年01月25日(火)



 ビジネスとアフリカの狭間で。

NPOも、ある程度ビジネス的であるべきだ。
非営利は、営利目的でないという意味であり、
お金を取ってはいけない、という意味ではない。

あるNPO団体のホームページをつくる仕事した。
時間の許す限り、更新もしている。
わたしはプロではないし、使用するソフトは
ホームページビルダーという素人ツールだ。
だが、デザインはできるだけ考え、使い勝手も考える。
そういうのに費やす時間が膨大だし、いざ作り始めて
壁にぶち当たることがよくある。
また時間を費やす。

精神的にも体力的にも、これは相当な消耗である。
時間給に直すとそうとうなもんだ。
でもわたしはもちろん請求をしていない。

愚痴のようになってきたが、何が言いたいのかというと、
ひとは「ボランティア」という仕事を軽視しがちだという
点である。
これは、わたしが苦心して何十時間という時間をかけて
つくったウェブサイトを、いとも簡単に「プロにお願いして
つくりなおしましょう」発現をされたことから、
ぜひとも言わせてもらいたい点である。

もちろん、NPOはお金がない。
だから仕事をしても、「ボランティア」だ。
わたしだけじゃなくて、ほとんど皆、ボランティアだ。

だが、「ボランティア」の意味をはきちがえないで欲しい。
「ただ」だから、労力がないというわけでない。
そして「ただ」は、できるだけなくすべきである。
ボランティアは、本当の意味でただではないのだ。
それを当たり前としてしまうのが、NPOやNGOの
非常に悪いところだ。

ビジネスライクに考えたい。
この仕事も、立派な仕事なのだ。
儲けるのではなくて、経費をカバーできるくらいに
なれれば、これほどすばらしいことはないではないか。
ここは、一刻も早く真剣に考えるべき点である。

わたしが作ったのは、ここです。
→ TICAD市民社会フォーラム

というわけで、いよいよ会社と大学院とNGOと財団法人を
回ってきたわたしは、これから勝負に出ます。
どういう勝負かは、ひみつです。

***********

ちなみに、自分のウェブサイトでしょ、

→ 『あふりかくじらの自由時間』

「まぐまぐ」や「めろんぱん」なんかでメルマガ二種類も出してるでしょ、
エンピツ日記書いてるでしょ、
それからこんなのもつくってるでしょ、

→ ★アフリカセミナー★

パソコン三昧で、頭がくらくらしそうです。


2005年01月24日(月)



 毒のあるくじら。

毒、吐きます。

ときどき、後悔することもある。
ことばはシャープ。
恐ろしい武器なのに。
それを知っているのに。

好き嫌いが激しくて、他人に対して
厳しく当たるのはわたしの悪い癖だ。

これは、精神構造に問題がある?
だが、言わないよりは、ある意味ずっとマシに思う。
ときには。

でも、他人に厳しく当たるのは、かちんときたとき。
何かわたしの心の中の許せない線に触れられたとき。
よく聴こえなかったからといって
耳を顔に近づけられたとき。(女に多い)
耳ごと思いっきりひっぱたいてやりたくなる。
どうして、まっすぐ目を見たりして聞き返せない?
幼児じゃあるまいし、失礼な。

だけどね。
毒を突発的に吐くことがあるのは、
たぶん、ものすごく優しすぎる一面があるからだと
何となく思う。
自分のことを言うのも何だけれど、
他人にサービスしすぎて、ものすごいストレスを
感じているというところも、わたしの不器用な一面。
生きるのにくたびれる。

だから毒を吐くなんて、どうかと思う。
でもそれが、くじららしいシャープさ。

ほんとうは、心に余裕を持って
誰かに優しくありたい。

2005年01月22日(土)



 くじら歴○年です。

雨降り日曜日に、こんなことを考えた。

ひとは、一生にいったい何回履歴書を書くのだろう。
ひと、というのは、一般的・平均的な人間という意味だ。

たとえばまあ、学生時代のアルバイトは別として、
大学時代の就職活動で、受けた会社の数だけ書くだろう。
それから、就職してたとえば三年くらいで転職したら、
もう一回書く。
最近は、キャリアパスとかステップアップ転職とか
そういうのがはやってるから、平均すると
もう一回くらい転職するかもしれない。
だからそのときにも書く。

そんなものだろうか。なんだか少ないな。

何を隠そうわたしはきっと、毎月のように
履歴書を書いているのだろうと思う。
まあ、諸事情あるのだが、わたしの転職は
行き当たりばったりで下手だ。
でも、ものすごくたくさん会社をかわっている
わけでは決してなくて、いつもわたしにはとても
無理なポジションに応募してみたりとか、
とにかくタイミングが悪すぎるとかで、
けっこう仕事運に恵まれていない。
だから、ものすごくたくさん落ちまくっている。
落ちた数を数えたことはないし、どこに落とされたか
思い出せないくらいだ。
(面接はものすごく苦手だし)

で、今日も一通出した。
すごく手間がかかった書類をつくり、コピーをし、
お化粧して写真をとって貼った。

履歴書の基本は変わらないのだが、いつも
応募する仕事等によっては書き換える箇所もある。
以前、ある会社でわたしの修士課程のところと研究略歴を、
必要ないから、と削除されたことを書いたが、
そんなのは二度とごめんだ。

今回は、思いっきり研究者色を出すべき
ポジションだったから、そうしてみた。
なんて楽しいのだ。

受かる可能性はものすごく低いけれども、
そして、もっとたくさんビッグなところに
チャレンジしまくる予定なのだけれども、
履歴書を書くだけでけっこう充実した気分になってしまった。

くじらの過去は、ちゃーんとそこにあるんだから。


2005年01月16日(日)



 頭の芯から発生するもの。

それは眠気。
どうしようもない、眠たさ。

翻訳をして、会話をして
人生の幸せを感じるとともに
微かな苛立ちと焦りとをおぼえ、
そしてわたしの脳はくたびれて、眠い。

溜まったメールと年賀状のお返事が、
皆様のお名前がぐるぐるまわります。
お詫び申し上げますが、
もう眠ったほうがいいのではないかと思います。

でももしかしたら、この眠気、
鬼のスーパー翻訳マシンとして働いた一日の
疲れではなくって…

酒のせいなんじゃないのか。

2005年01月13日(木)



 柚子。

あなたも柚子が苦手であったことに、
わたしはやっと気づきました。
もう、二年以上も一緒に生活しているのに、
わたしは知りませんでした。

夕べの新年会。
大学時代の友人と一緒に、お世話になっている
教授のご自宅を訪ね、何十人もの学生や卒業生なんかが
いる騒ぎのなかで、あなたはいつものようにわたしと一緒だった。
ぴったりとくっついて離れなかった。

あの教授が田舎の菜園で野菜を作っているという話は
何年も前から知っていたけれど、でもまさか、
夕べの手土産に頂戴するのがよりにもよって
柚子だなんて。
わたしの苦手な柚子だったなんて。

それをにこやかに受け取ったわたしに、
あなたはあきれてしまったのでしょうか。
わたしはそれを、大嫌いなそれを
無造作にコートのポケットにつっこんだ。
柚子の香りがついたコートを、
クリーニングに出そうとまで思いながら。

友人と二人で帰り道におしゃれなカフェにより、
とても華やかなケーキと紅茶をいただいた。
そのときわたしは、あなたを無視していました。
あなたはずっと、黙っていました。

帰り道の京葉線。
わたしが自分の駅で降りるとき、
ホームに電車が滑り込むのに合わせて
わたしがだまって座席を立ち、扉の手前に立ったとき、
あなたをおいていってしまったような気がしたのです。
強く、後ろ髪をひかれるような気がしたのです。

ああ、でも、なんということでしょう。
わたしは、ほんの二三歩戻ってみればよかったのに、
たったそれだけのことであったのに、
振り向くこともなく、電車を下りてしまった。

あなたが、わたしから家出したということに気付かぬまま。

あなたも柚子が苦手であったことに、
わたしはやっと気づきました。

わたしの<Tu-Ka TK22>。
真っ赤で、スレンダーな美しいボディと
ほれぼれするくらいシンプルな機能性。
ストラップをつけることさえ、わたしは嫌だった。
それくらいあなたを愛していたのに、
わたしはあなたの入っているポケットに
香り高い柚子を入れた。
無造作に入れた。
あなたは、家出した。

だから今日、あなたを迎えに行きます。
京葉線の終点、蘇我駅まで。

こんなわたしを、ゆるしてくれるだろうか。
わたしの携帯電話よ。


2005年01月09日(日)



 日本の援助がエライのか。

大津波で深刻な被害が膨れ上がっていく中で、
政府に限らず、NGOや民間企業に至るまで
じつに多様な団体が、救援活動・募金活動などに
動き始めている。

行方不明の人間が無数にいる傍らで、生きている人間にも
感染症などでさらなる死の危険が目の前に迫っている。

そのようななかで、懸命に助けの手を差し伸べるひとびとを
みていると、世の中捨てたもんじゃないとさえ思える。
ひところとはだいぶ状況が変わってきたのかもしれない。

人類愛だ。人類愛。

日本政府は、多くの途上国にODAという「援助」をしている。
何千という援助案件に、驚くような大金が費やされている。
国民の血税だ。
批判は常に山のようにある。

そのひとつ、低い海抜のモルディブに日本の援助が
作った防波堤が、今回の首都マレの被害を小さくした
という話があった。
外務省が出しているODAメールマガジンは今日、
その話を載せた特別号を出した。

確かに、その防波堤が図らずとも被害を軽減したとなれば
それは良かった例のひとつであろう。
感謝するひとたちも、やっぱりいるであろう。

でも、なによりも驚いてしまったのは、
大津波がおこり、そのすぐあとに発行された
ODAメールマガジンに、大津波に関する記事が
一行もなかったことだ。
(HP更新情報だけはあったのだが)
そして、その次のメルマガでは、深刻な被害の話は無くて、
「日本の援助は感謝されている」という例だけ。

なんというか、外務省として、ODAとして
迅速に意見を表明することに及び腰なのだろうか。
ODAの良いことしか書かず、一般の人にわかりやすい
目に見えやすい援助(たとえば、イラクとかアフガンとか、
ひとが注目していて宣伝効果があるところ)をひたすら
アピールして、何か重要な問題を覆い隠しているのではないか。
そんなことを考えてしまい、鼻白む。

まだまだだ。
この国は、まだまだ大きな課題をたくさん抱えている。

伝えるべきことは、たくさんあるはずなのに。


2005年01月07日(金)



 あけましておめでとう、と言えず。

喪中、というやつです。

年賀状はもう、ここ十年以上書いていないし、
どうしても書かなきゃまずそうなときだけ
返事を書いている。

今年は、堂々と書かなくていい。
でも、横着なわたしは誰にも「喪中葉書」を出して
いないのでやっぱり年賀葉書が来る。
何となく、申し訳ないような、
かといって誰に申し訳ないのだかわからないような
変な気分になる。

仕事始め。
わたしは誰にも「あけましておめでとうございます」
ということばを言っていない。
この世界情勢からして、なんだかそんなことばを
口にすることができない。

なので今日は、誰かが上記のことばを
言ってくれるのを待って、
「あ、おめでとうゴザイマス…」と、
口をもごもごとさせていた。

変な気分だ。
お正月、早く終わって欲しいような気もする。


2005年01月05日(水)



 静かに明るいお正月。

なんだか、お正月をお祝いするという気分に
なれるような世界情勢ではないな、と思いつつ、
それでも新しい年は、置いてけぼりを食らっている
わたしに関係なくやってきたようだ。

2005年、正月はとてもお日様たっぷりで明るかった。
わたしは、ブリジット・ジョーンズ(「負け犬」モノ)を
しんみり楽しみビールを呑んだり、
向田邦子(嫁きおくれ<本人記述より)を読みふけって
不倫について考え込んだり、某NGOのウェブサイトを
ホームページビルダー本くびっぴきになりながら
無理な技術を使って大改造してくたびれたり、
ひとりイクスピアリで天然石のパーツに目の色を変えてみたり、
弟と呑んでみたりと、ずいぶんゆったりとした時間を過ごした。

そして、我がウェブサイトも引越した。
もともとデータベース級の壮大な構想を持って
四年前にスタートしたページである。
今年こそは、もう少しましなものにして、
メルマガも充実させたいと思っている。

ここはわたしの世界。
ウェルカム・トゥ・ザ・リアル・ワールド。

新しいウェブサイトはココダ



2005年01月04日(火)
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