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■ とてもいいお天気だった。
空気が冷たくて、空が青くて。 哀しくてきれいで、ぽっかりとした 冬の空の明るさに、わたしは何を思い、 どんなことばを口にして良いのかわからぬまま、 知らない街を、なじみの人たちと一緒に 嘘のような目的のために歩いていた。
なんて哀しい日だったんだろう。
いつものなじみの顔で、アフリカセミナーで誰かが発表して、 それが終わったらみんなで呑みに行って そして色んな話をした。 それが気がついたら四年以上も続いていた。
こんどもまた、いつものように会えると思っていた。 でもそれはかなわなくて、わたしたちは もういなくなったあなたに さよならを言いに行かなくてはならなかった。
四十歳と少し。結婚して間もない彼。 あまりに突然すぎた。 誰もが皆、信じられなかった。
いったいこれから、いくつの死を見なくてはならないのだろう。
この現実は、なかなか脳にしっかり下りてこなくて、 信じることができなくて、それでもあるときふっと、 わたしに襲い掛かるのだろうと思う。
ごはんをたべているとき。 朝、目覚めたとき。 深夜のラジオが懐かしい曲を奏でたとき。 彼の調査地であるアフリカ某国の名前を聞いたとき。 抜けるような青空を見上げたとき。
わたしが孤独になるとき。
誰かのぶんも生きるとか、そんなことは言ってはいけない。 できるはずがない。他人の人生だ。
自分が自分の人生を精一杯生き延びることしか、 できないはずなのだ。 そしてそれは、けっこうな課題だ。
どうか神様。 いつかわたし自身がそこへ行く日まで こんなにも哀しい死は、やっぱり見たくないのです。
いつか、ベッシー・ヘッドのいる世界に行くときまで。
2005年01月28日(金)
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