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■ 黒魔術のような、赤をください。
服を買うのが苦手だ。 わたしに合うサイズなど、まずもって 普通の店にはおいていない。 どうしてサイズが大きくなると 幅ばかり大きくなって、丈は160cm用なのだろう。 わたしくらいの背の女性なんて、昨今はよく 見かけるようになったのに。
だから英国のあの店は重宝する。 都内にも店舗があるので、少々遠くても足を延ばす。 必ずわたしのサイズに会った良いものが、 良いデザインで見つかるのだ。
洋服という文化は、ヨーロッパのものなのだ。 だから、どうあがいてもたかだか百年もいかぬ 洋服文化の日本が勝てない「センスの良さ」がある。
服を買うときは、ないとわかっていても執拗に たくさんの店を見てまわるので、 いつのまにか躍起になっている。 イメージも、着実に固まっていく。
赤が欲しかった。 とても華やかな赤が欲しくてたまらなくなった。 しかも、ほんの少し真っ赤なレース地の重なった ものが欲しいと思った。 社交界デビューで着るのだー!と思いながら。 それは、わたしの頭の中で赤い炎のような色が どんどん形となり、もはや手に取れるくらいに はっきりとしたイメージにさえ成り果てていた。
祈るように電車を二回乗り換えてその店へ行く。 果たしてそれはそこにあった。 軌跡なのか、めぐり合わせなのか、黒魔術なのか、 そこにわたしのためにあった。
そんなにイメージにぴたりとした服がそこにあるなんて、 初めてのことだった。
それは静かに燃えるように、わたしを待っていた。 赤い色が、華やかに、鮮やかに。 そして、毒々しく。
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2004年09月28日(火)
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