あなたの毎日に わたしはいた
あなたの朝に あなたの昼に あなたの夜に
いつもそこに わたしはいた
あなたの小さな出来事に あなたの今日の予定に あなたのけだるい気分に あなたの遅い食事の時に
いつもそこに わたしはいた
いつもそこで あまり上手くない相槌を打ったり 笑い転げたり 心配したり もどかしさに地団駄を踏んだりしていた
今はもう わたしはいない
あなたの日々に わたしはいない
まぶしい朝にも 鬱陶しい雨にも 眠れぬ夜にも
あなたのそばに わたしはいない
わたしはいない
でもわたしはいたのに いつもそばに
あなたからはもう見えない
引き出しの奥にしまわれて たまに取り出しては
また片付けられるだけ
だいじょうぶ だいじょうぶだから
だいじょうぶ
何度も何度も繰り返すその言葉が
自分に言い聞かせてるようで
余計に 苦しくなって
だいじょうぶじゃない時は
だいじょうぶじゃないよって もうだめ 苦しいよって
言っちゃった方が たまには
だいじょうぶに なったりもするんだよ
心配しないで そんな時は
ずっと手を握っているから
運転手さん ここでいいです そう この電信柱のあたりで
もう降ります
どのくらい遠くまで行けるのか 自分でもわからなかった
もしかしたら ずっと走り続けられるかもしれないと 今度は 本物なのかもしれないと
本物だったのかもしれない 私は
でも もう いい
そうだったなら なおさら
スピードが上がれば 胸は高鳴って 走る言葉に心ときめかせて
いつまでも乗っていたかった 私は
運転手さん ここでいいです 今ならまだ 間に合いそうだから
ここで降りれば 振り向かずに歩いていけそうだから
ありがとう ばいばい
大好きでした
はしゃいだふりして 悩みもないような お気楽なヒト でいよう
些細なことで 何気ない言葉で とめどなく涙がこぼれていても ただ 笑っていよう
寂しかったの もう 置いていかないで 声が聞きたいの この夕焼けを一緒に見たいの 暗くなったら手をつないでいて そばにいてほしいの
あなたが好き
どれも言えない言葉たち 口をついては出られなくて 涙になってこぼれて消える
だけど 笑って 笑っていなくちゃ あのひとの前では
自分で決めたことだから
さよならの日まで
楽しかった と 会えてよかった と
そう言って
笑顔で
笑顔のままで消えるんだから
あなたが言った 言葉 今日やっとその意味がわかった 今までわからなかったなんて、ばかね
昔あなたが言ってた 言葉 今日やっと思い出して気がついた とっくに心が離れていることに
それでも それでも待ってる
あなたを好きだというキモチを どこにも捨てられなくて
小さく小さくたたんで 胸の奥に隠すしかなくて
深い眠りの中で そっと開いてまたしまった
まだどこにも捨てられなくて 厄介なキモチだけど
一番正直なキモチだから 小さくたたんで胸の奥にしまう
行き場のない キモチ
大切に 失くさないように
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