オミズの花道
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『香水をプレゼントしてくる男の傾向』
2003年01月28日(火)


この仕事をしているとやはり、お客様に必要以上に付きまとわれたりする事がある。


しつこく口説かれるとか、駄々をこねられるとか、電話やメール攻撃とか、拗ねられるとか、そういうのはまだ色恋商売の接客の範囲だと考えているからまだいい。
口さがない噂や女性同士の確執も然り。
それがどうしても嫌ならばこの仕事はしない方がいいと思う。


だが時としてその範囲を超えた『マジで怖い奴』に遭遇する時がある。


人間は誰しも自己愛の生き物なのではあるが、この種の方々は特にその傾向が強く、
こちらの都合などお構いも無く押し切って来たりする。



経験から述べさせて戴くと・・・・これは勿論偏見かも知れないが、
少し親しくなった段階で香水をプレゼントして来たりする人は要注意の確率が高い。


身に着けるものをプレゼントしたい、その気持ちは男にも女にもあるが、
それがヌードに近ければ近いほどその粘着性は増すと言っていい。

私のランク着けとしては,
『香水→下着→服→ピアス→その他のアクセサリー類』といった所だろうか。



何年か前に自己愛の塊のようなお客様に付き纏われたが、
その人もやはり香水をプレゼントしてきた。
たった二回目の接客で、でだ。


この人は今思い出しても犯罪スレスレの事を平気でしてくれた。
が、しかし。何せ医者なもんだから変な事には(法律とか)頭が良く知能犯。
いつもギリギリの所で逃げ道を作っていた。

止めて欲しいと何度訴えても自分のものになるまでは引かない。
余りの事に警察に訴えても、こちらがこの仕事をしているので真剣に捉えて貰えない。
独身でおまけに天涯孤独なので、奥様や家庭など怖いものなし。
おまけに医者なぞしなくても食って行けるという身分なので、社会的制裁も効かず。
ひっじょ〜に難儀したのを覚えている。



大体基本として、水商売の女に香水をプレゼントするとは如何なものかと思う。

こういうとオミズのオネエチャンと香水はセットだろう、と思う方も多いかも知れないが、私自身お客様に匂いが少しでも移ると、奥様や彼女様にご不快な思いをさせてしまうので、殆どと言って良いほど香りはつけない。


別にそんなにベタベタする訳では無いので気にしなくてもいいのだろうが、余計な火種は飛ばさない方がお客様の為だ。


香りというのは怖いものでひょっとした拍子に移ったりする。
実際こちらが何もつけていなくても、そんなに密着しなくても、帰宅してシャワーを浴びる時、お客様に移された匂いがふっと立ち昇る事があるくらいだ。


そんな事を考慮すると、逆のパターンもあるだろうから怖くてつける事が出来ない。
そしてこういう理由で、香水はつけないというお姉様方は結構多かったりする。



香り自体好みのものなのだから、普通はプレゼントをするのを避ける。
私達もお客様にプレゼントを贈る場合、まず香水は避ける。

使っている銘柄があるならば、その補給としての意味ならば差し支えないであろう。
が、使ってもいない香りを相手に『つけて欲しい』と求めるのは、やはりどこか押し付けがましく思う。

慣れてきた恋人同士なら構わないだろうが、浅い段階でこういう事をしてくる相手には、
やはり気をつけた方がいいと思う。
ましてや夜の接客業はこと色恋が絡み、昼の世界には無い踏み込みもある。


私のように何年かこの世界に居て、言いたい事を言うはねっ返りな女でも、
こんな憂き目に遭う事はあるのだから、若いお嬢さんなら尚更の事であろう。

怖いことにならないように、もう一度お客様からのプレゼントを見直して戴きたいと思う。



とにもかくにも。シャネルのアリュールを見る度に憂鬱な気分になる水上なのでした。




『他所のお店に遊びに行く』
2003年01月25日(土)


ご飯が美味しい。
だが余りそうなってもイカンので『ハンニバル』を見る。

あのシーンはグロくて食欲を抑えるには効果的。
しかし慣れとは恐ろしいもので、気が付くと凝視出来てたりする。
ついでにあら捜ししちゃったりなんかもしたりして。


レクター博士と海原雄山ではどっちがグルメなんだろうか。
食はその国独自の文化だと美味しんぼでは主張してるので、つい。

本気で考える事ではないが、食人が文化の国もあるのだから、
この二人の中に共通項を見出しても、別に変じゃないのではないかと思う。




それはそれとして金曜日、営業時間中にお客様に連れ出される。
常務が行けと言うので行くしかない。
常務の口座のお客様だが、好きなお客様だし。


迎えにきた可愛い子はそのお客様が苦手なようで、私の隣に座りたがる。
聞けばまだ19歳。無理も無いだろう、オジサマは苦手だろうね。

一通り乾杯を済ませトイレに立つ私。
ところが私がトイレから帰ると何故かその店のママとお客様がモメている。
なんじゃなんじゃ?
そう思って黙って聞いていると、ちょっとママが悪かったパターンなのを把握。

だが意地になったのかママさんは折れず。
当然お客様はますます機嫌を悪くする。


帰るぞ、と席を立つお客様。
・・・・何だか短いし後味の悪い店外勤務であった。


常務に急いで連絡を取り、閉めかけのホームグラウンドを開けて貰う。
少しだけ飲みなおしましょうよ、ということに落ち着いた。

残業は付かないがこのままじゃ私だって後味が悪い。
ミカの店で遊ぶ筈だったがキャンセルの電話を入れ、接客モードに戻る。


そこそこに楽しんで戴き、お客様をタクシーに乗せてお見送り。
馬鹿話で終われて良かった、そうホッとした瞬間に普通じゃない疲れが襲ってきた。

常務は気を使って口座料ぶんのお金を私に渡そうとする。
貴方には何の得も無いのにやめてくれい〜。
丁寧にお断り(向こうに言わせるとピンポンダッシュ並みの逃げ)して帰路につく。
気持ちが疲れるからやめてくれ。ヒールで走るのも疲れが増すのよ。

でもお気持ちは嬉しかったです。
ありがとう、常務。


に、しても。
喧嘩のきっかけがしょうもない事だったのでどっちもどっちだが、仲直りはして欲しいと思う。
他所の店だから放っておけば良いんだろうが、何故だか気になる。
気になったからってこっちはどうしようもないんだけどね・・・・。



やはり酒は、楽しく飲むものであって欲しいな。




『延びた理由』
2003年01月24日(金)


い、忙しい。
なのに抜け出して飲みに行く私。
顰蹙である。

バーを経営している弟分は元気であった。
良かった。


ヘロヘロに飲んでるときに編集者から電話があったのでドキドキ。
怒られるのだが締め切りは延びた。いいのか、まったく。


今年の3月から大元に本が流れるので、このプロダクションとは最後の仕事になる。
企業も段々外注を減らして来ているのだな。
淋しいが致し方ない。商業というものは誰々に付いて行くとかいう世界ではないから。


こことはもう5年の付き合いになる。
だがもうこの先類似本が出て、そこが手がけない限り、私と仕事をすることは無いだろう。

締め切りが延びたのは多分そこなんだと思う。
私も最後だから良い物にしたい。
それが精一杯の恩返しだ。


無口なデスクが私の体調を気遣う。
今までには無かった事だ。

その言葉に酔いも手伝ってホロリと来る。
ああもう本当にこれが最後の一緒の仕事なんだな、と実感する。


少し気合を入れなければ。



『お客様との恋愛』
2003年01月22日(水)


昨日は本当なら四ツ橋で『007』の試写会であった。
だけどオーナー様のご都合でキャンセル。

タイムリーな御国キタチョ〜〜〜〜センがクレームを付けたらしいので、
どんなもんやら観たかったのだが。残念。



地元ぱぱが白い着物が似合ったご褒美に、もう一枚着物と帯を買ってくれた。
黒を着たところが見たいのだという。


選んだのは裾と袖に白と銀のぼかしの入った地味なもの。
帯は西陣織の竹の柄で、これまた白と銀。
地味になりがちな取り合わせだが、帯揚げと帯締めと伊達襟で遊ぶ事にする。
小物を深紅でまとめると良いかも知れない。


この人はどうしてこんなに私に良くしてくれるのだろう?
何の得もないのに。
そりゃホステスとして最大限にやるべき仕事はするが、そんな事を言ったら物を買って貰えるホステスなんて沢山居るだろう。

どんな仲になっても最終的には色が出てしまうこの世界、気に入られたいが為に男が物を貢ぐのは、そこらに転がっている話だ。


確かに昔はこのぱぱとは言え色を抜くのが大変だったが、今はもう色気の欠片も無い。
なのにこんな風にぽん、と私に思い出になる物を与えてくれる。

何の見返りも求めず。
それが私には今更ながら不思議でしょうがないのだ。

いくら色を抜いた成果とは言え、こんな考え方は男女においてまかり通るものなのだろうか?



さて、ここからなのだが。

少し前の話になる。
東京の友人の所に出向いたぱぱが夜中に電話をかけて来た。

その時私はアフターでマミの店に居たのだが、こんな夜中に何を電話してきたのかと不審に思い、外に出て電話を取った。


聞くと、友人が接待の延長で自分に女性をあてがったのだという。
21歳のとても綺麗な娘だったらしい。
ぱぱは派手な業界に居たから、そういう接待もあるのだろう。


そうなの?良かったじゃん。美味しいものは美味しく戴いた?
確か私はそう聞いたと思う。

そこには何の嫉妬も無く、嫌悪感もなく。
男友達が男相手に言うような感情だった。


ぱぱは答える。
『何もせずに帰した。気持ちが繋がっていないなら虚しいだけだから。』
良くは覚えていないが、確かそんな内容だったように思う。

ここで私に奇妙な感情が浮かんだ。

訳も無くぱぱに会いたい、この人の傍に行きたい、そう思ったのだ。
何もせずに帰した、その言葉を聞いた瞬間に、私は猛烈に彼に惹かれた。
無性に会いたくて、彼を抱き締めたくて、触れたかった。


何故その時そんな風に感じたのか今でも解らない。


ただその時の私にはどうする事も出来ず、自分でも予測していなかった自分の感情に酷く狼狽した。

会話も上の空になり、訳の解らない事をつぶやき、何も聞かず聞けずのまま、慌てて電話を切った。

ここ近年あんなに慌てた事はない。


そして今でもやはりあの時の感情に説明がつかない。

かと言っていつの間にか恋をしていたと言うのでも無さそうで、ぱぱとは相変わらずべらんめぃてやんでぃのお付き合いなのだ。



この仕事はいつまでも色と遊びの境目が見えない。
何年経ってもそれはずっと変わらないのだろう。

何故ならば、
いくら慣れてきて客をかわす事は出来るようになったとしても、時として自分の感情『こそ』がかわせなくなる瞬間があるのだ。


自分でも気が付かないうちに、境目を見失う事がある。
それをお客様ではなく自分の中に見たとき、私は急にこの仕事が怖いと思った。


お客様と付き合った事の無い私という人間は、仕事という言い訳の鎧があったから、ただそれで自分を守っていただけなのではないだろうか?
・・・・無理矢理分析したとしてもそんな陳腐な答えしか出せない。


今はただ、鎧と言い訳で押さえつけている自分の感情が、もう二度と噴出して来ないように祈ることしか出来ない。


つくづく未熟者である。




『オバケというイベント』
2003年01月21日(火)


目下最大の悩みはオバケである。

オバケと言ってもこの業界、ポルターガイストとかコックリさんとか、
そういうマジな心霊現象ではなく、また鯨の脂肪分を酢味噌で戴く食い物の事でも無い。

毎年節分の前後にこの業界で開かれる仮装イベントの事である。


水商売のお姉様方にどのイベントが好きか聞くと、大概の人はオバケだと答える。
その日は、日頃着物やドレスやスーツで規制された自分を、好きなように飾れる唯一の日だからだ。

今年は多分、早い店なら1月の30日からの週末くらい、
遅い店なら2月の6日〜8日の週末くらいにこのイベントがやって来る。
この日の飲み屋街は見てるだけでも色々な人が見れて本当に楽しい。

うさぎの着ぐるみでウロウロする者も居れば、看護婦さんも居る。
婦人警官も居れば、SMの女王様も、カルメンちゃんも居る。

女の子同士きゃあきゃあ言いながら、お互いを笑いあったりして、
場が和んで実に楽しかったりする。


さて私はと言えば。
ここ最近はずっと地元の店でウォーミングアップの最中であったので、
イベントと言えばせいぜいお正月、バレンタイン、クリスマス、周年、くらいだった。
ミナミに出てきてからまだ1年も経っていないので、ミナミでのオバケは初めてとなる。

凄く楽しみなのだけれど、迷う。

衣装の段取りなどはオカマのミカに聞いて(あの人達は毎日がオバケ。)万全なのだが、
4日間のイベントともなるとアイディアも底をついてくるのだ。


一日目は自前でチャイナドレスとして、
二日目は友人に借りてスチュワーデス、
そこまでは決まっているのだが・・・・。

他の女性ともダブらないようにしていると、範囲も狭まってきて中々難しい。
そうなると中々次が決まらない。
もう看護婦さんも婦人警官も塞がっている。

4日間皆で回しあう事も考えたのだが、
何せ酒が絡む仕事なのでトラブルで汚す事を考えると躊躇する。


衣装屋で借りて芸者も考えたのだけれども、高いので日給もぶっ飛んでしまう。
(2泊3日で36000円くらい。)
でも一度も芸者になった事の無い私は、一度くらい芸者がしてみたいなと思うのである。
年齢的に舞妓はアウトだしな。

もう一ヶ月前くらいに言わないと衣装も塞がっていて、借りる事が出来なくなる。
早く言わなければいけないのだけれど、36000円はちょっとなあ、と思ってしまうのだ。

花魁になるとこれがまた高くて、芸者の二倍は取られる。
一度は挑戦してみたいなと思うのだが・・・・。



ところで今日、メールで『オバケって何ですか?』と関東のホステスさんに聞かれた。
今まで考えた事が無かったのだが、これは大阪独自のイベントなのだろうか?

そうかも知れないなあ、関東ではこんなコテコテのイベントはしないのかも。


もうはや残された期限は半月。
衣装屋に芸者の衣装を借りるのにはギリギリの期限だ。

うう〜んどうしようかなぁ。
キタやミナミのホステスのこの時期の悩みどころである。




『真夜中のピータン粥が絶品の大和撫子』
2003年01月15日(水)


昨日はお店が引けてから、同僚のさおりちゃんに家に遊びに来ないかと誘われた。
私はさおりちゃんが大好きだし、また何か話もあるのだろうから、
プライベートは踏み込まない主義の私ではあるが、喜んでお伺いした。


で、お家に寄せて戴いて。
私はさおりちゃんがますます好きになった。
どうしたらいいのだ。・・・・ってくらい。


きちんと整頓された2LDKの部屋には塵一つ落ちていない。
どこもかしこも本当にぴっかぴか。
何か作るね、と開けた冷蔵庫は機能的に整理されていてこれまたぴっかぴか。

揃うべき物はキチンと揃い、機能的に配置され、
飾るものはより美しく見えるように飾られている。


リネンにはこだわっているらしく、とても良い物に包まれて眠っているようだ。
シーツもカバー類もパジャマも、いやガウンに至るまで素敵なものである。

これはとても大切なこと。
眠ることにこだわる性格の人は、自分を大切に生きれる人だ。
自分を大切に出来る人は他人をも大切に出来る。

ベットには可愛いぬいぐるみ。かと言ってフェロモンむんむんではなく。
非常に女性らしいのだが、どこかアッサリした気性の彼女の姿勢が見える部屋だった。


で、何に惚れたかと言うと。
彼女は中国の女性で、日本に来てまだ4年なのだ。


こう言っては何だが、ここまでの生活を送っている中国人女性は珍しいと思う。

特にこの業界はやはり金銭優先の女性が多いし、外国人女性になるとそれがまた顕著な例が多い。
勿論それはそれで良いし嫌いではない。
タフネスさには敬意を表したいし見習うべき所も多いから。

外国の方は日本での生活において何人も同居して少しでも住居費を浮かしたり、日本人のパパ目当てに働いてる人も沢山居る。

そんな中でさおりちゃんは、同年代の中国人女性・・・・いや、日本人の女性でさえ困難であろうキチンとした生活レベルを築いている。
誰に援助して貰う事も無く。
(↑これは立ち居振る舞いや生活グッズで明確。この嗅覚は同性なら解って戴けると思う。)


例えば私が外国で暮らしたとして、この生活が築けるであろうか?
言葉を学びながら、働きながら、食べて行くことが出来るだろうか?

・・・・きっと出来ない。
ここまでの事は出来ない。
この時点でもう私は彼女に惚れていた。人間として惚れていた。


そんな事を考えながらぼんやりとしていると、とっても善い匂いがしてきた。

『これね、菊の花と薔薇の花のお茶なの。飲んでみて。お肌が綺麗になるよ。』


出されたお茶は本当に香り豊かで美味しく。
仕事が終わった後の疲れた胃壁に染み通る。


そして出されたピータン粥。
スパムのようなハムと共に煮てあり、絶妙の塩加減。
少し余ったピータンに醤油とごま油をかけて出してくれる。
中国ではこうしてたべるのよ、そういいながら。

ピータン粥は余りにも美味しくておかわりをしてしまった。
・・・・・・・・ダイエット。
いいのだ。
この嬉しいご飯で付く肉なら、オトコ水上、甘んじて受けようぞ。(何ぞい。)


そしてもうひとつ、何と呼ぶのか聞き損ねたが蓮根料理。
蓮根の中にもち米を詰め、まるごと蒸し上げ切ってある。
ざらめ砂糖に付けて食べると何とも懐かしい味がするのだ。

『これね、お母さんに小さい頃作って貰ったの。
 昔はそんなに好きじゃ無かったんだけど、急に食べたくなって作り方を電話で聞いて。
 お母さんと同じ味に作れると凄く嬉しいよね。』


この時点で私は叫んでいた。
『大和撫子!』と。
(ついでにプロポーズしてしまった私はやはり変ですな。)



彼女こそ忘れ去られた日本女性である。

彼女の持つたくましさを、かつては我々日本女性もも持っていたはずだ。
戦後の焼け野原から経済大国(不況だが)までにのし上がったのは、何も男性ばかりの力ではなく、こういった芯の強い女性の力が大きかったのだ。

そしてこのキチンとした生活の姿勢。
自分も疲れているのに人を暖かく持て成してくれる真心。
母の味を懐かしみ、受け継ごうという姿勢。


真夜中に私はひどく心打たれ、また反省した。
取り敢えず私は彼女を見習う事にしよう。
足元にも及ばないだろうけれども。


それから少し話をした。
2月の末で退店すること、私の私生活の事、将来に思うことを色々。

彼女は全部解っていたようだ。
『だってなおちゃん解りやすいもん。考えてること、隠さないじゃない。』
そう言って笑う。


『お店を辞めても時々は遊ぼうね。さおりのこと、忘れないでね。』


ここでもう一度、結婚しよう!と言った私はアホでしょうか。
でも嫁が欲しいんです。ダンナはいいから嫁が欲しい。

さおりちゃんは嬉しそうに可愛く微笑む。
ああまったく世の中のオトコ供様はどこに目を付けておられるのでしょうねぇ〜〜〜!!



本当にさおりちゃんって大和撫子だよねぇ、そう言う私にさおりちゃんは答える。

『そうなの。今のお店でも「さおりは中国人のフリをしてる」って皆に言われるの。
 なおちゃんのオカマ疑惑と同じくらい多いのよ。』




私達は良いコンビやも知れぬ、と思う夜更けであった。
・・・・ちと考える部分はあるけれども。

『不快である』
2003年01月12日(日)


いきなりタイトルで失礼。

日記の更新もサボっていた上にこの無礼である。
いかんね、どうも。



口開けは忙しいのか暇なのか解らない状況であった。
お客様の偏りである。
ううん、困った。

これは店側が使えるヘルプを何人かクビにしたのが災いしたと見える。
回せない、女の子が回らないのだ。


弱肉強食の理論は解る。
何たってこの世界は売り上げがものを言うのだからな。
ヘルプにもヘルプなりのノルマはある。
こなせなければクビだろう。

解るが週3のヘルプをクビ切って週1のヘルプを残されても。
いくらこっちが顔を覚えていても、客が女の子を覚えてなければ話にならんのに。


ヘルプを育てる気の無い店は活気が無くなるのだ。
口座同士は人の客だと手を抜く奴が多いのだから。
それほどにヘルプという存在はその場に貴重な存在なのだ。



私のお気に入りのミキちゃんのクビを切った、
その事をミキちゃんの電話で知った年末の私はチョイ切れした。

即効で黒服に『私を追い落とす事になるんやで。解ってる?』と、
脅しをかけておいた。
ミキちゃんがフォローしてくれているから私も席を離れる事が出来ていたし、私のお客様もミキちゃんを気に入って来てくれていた。
つまり、私の売り上げの一部を上げていてくれたのである。

それがどんなに重要な事か。


『私は今まであの子に同伴も売り上げも回してたやろ。
 他のヘルプより成績は良かった筈やで。何でやのん?』

それに対してしどろもどろの回答の黒服。
眼も泳いでいる。


何か裏がある、そう思った私はちょっと探ってみる事にした。
とするとこれが意外や意外。なんと宗教問題だったのである。

口座のお姉さん2人にある宗教の勧誘をされていたミキちゃんは、その話を中途半端にお札を買って断ったらしい。
この態度はミキちゃんもマズかったかも知れない。
中途半端がかえって逆鱗に触れたのだ。

で、その二人が手を回してミキちゃんをクビにしないなら、自分達が辞めると言い出したのだ。
店にとっては二人で百万とは言え貴重な収入源。
断る事も出来ないだろう。


見回して見ると、殆どのヘルプちゃんが勧誘攻撃を受けている。
そして追い込まれている。仕方なく入信した者もいる。
んで、クビを切られたヘルプの殆どがそのパターンであったのである。

何だよ、そういう事かよ。


宗教の問題は触れない。
個人的にも、店的にも。

不快だな、実に。



もっと不快なのは確信犯な奴らの存在だ。
こちらが触れない、その事を利用してきやがる。実に汚い。

何をどう拝もうが自由だがその権力をカサに着るとはご本尊様も泣くんじゃないかね。



で、年末。
宗教ドップリ二人組み、私にも猫撫で声でコナかけてきやがった。


むかつくので新年早々黒服に皆の聞いている前で(お客様が居ない時)退店の意思を告げた。
びっくりする黒服一同。

『ど、どうしてですか?日給も上がったでしょう?』
(どうでもいいが金の話を他の女性の前で言うな。)

『宗教の勧誘がうっとおしいから。』



凍りつく店内。
地蔵になる女性達。





・・・・2003年も相変わらず大人気無い水上です。
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