オミズの花道
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『指名競争のその後』
2003年02月26日(水)


結局3番くらいに落ち着きそう。
後2日で大逆転が無い限り、これ以上はも〜無理。

我ながらショボイっすな。

あと一息が何故に出ないのだろう。
情けねえ・・・・。



昨日は同伴でした。
ちょっと穴場の料理屋へ。

牡丹海老の造りを頼んで感激。
頭だけ揚げてくれている。

キチンキトサン摂取。ガリゴリ喰う。美味すぃぃいです。
甲殻類好きの気持ちを良く理解してくれている。素晴らしい。


堺筋に近い方は環境が悪くて好きではないが、ここは特別である。
チーズパイ絶品。甘さ無く酒に合うの。って書くと解ってしまうわな。


同伴続きで有難いんだが胃腸がおかしい。
ちょっと家康気分。所詮は貧乏腹なのねん。


ワイン飲み過ぎ。
やっぱり3本超すと限界だね。

っていう訳で寝ます。




『非日常を、非日常で』
2003年02月25日(火)


私が先日怒りちぎっていた店のオーナー。
どうやら今月末で店を畳むらしい。

私のせいでは無いです。

・・・・要するに、それだけ壊れてたって事なのかな。
投げやりになって人に迷惑をかけてもいいやってくらい。
だから犯罪まがいの事も平気で出来るのか。
感覚がもう麻痺しちゃってるのね。

退く時は潔く退け。
傷がまだ深くないうちに。
まだ取り返しが付く事を祈ってます。



色々と疲れたのでリフレッシュ。

関空のホテル日航にふらっと泊まりに行く。


昔からこれが私のストレス解消法だった。
自転車で行ける距離でもシティホテルに泊まりに行ったりする。

新地に勤めているときも、自転車で通勤できる場所に住んでいたにも関わらず、
ヒルトンやアネックス、全日空やグランビアに泊まったりしていた。

誰かと一緒ではストレス解消にならない。
勿体無いけど一人。
ツインでもダブルでも一人。

こんな解消法の人だから、大阪の主なホテルは大体泊まった経験があるのではないだろうか。
とはいえ、ザ・リッツカールトン大阪と、帝国ホテルはまだと云う半端な経験ではあるが。
すっごく行ってみたい。


今回のホテル日航はラッキーな事にインペリアルスイートに泊まれた。
北南二つの塔に一つづつしかない、一番良い部屋だ。


確かにこのホテル日航関西空港は、他所に比べるとゴージャスさには欠ける。
インペリアルスイートにしても、これならばジュニアスイートクラスであろう。
(ごめんね、日航さん。)

というか・・・・どうもホテル日航と言うと、心斎橋のショボさが頭から抜けない。
結構そう思っている利用者は多いんじゃないかと思うのだが。

ホテル日航関西空港はルームサービスの時間帯も24時間空港にしては短く、コンビニを利用するにも関空内の地下にある所まで行かなければならず不便だ。
しかも連絡路は時間帯によって開かないドアが多く、夜中は迷路のようで。


そういう事を考えると、頻繁に利用するにはちょっとどうかなと思うのだが、だけれども何処かに『日本の玄関である誇り』を感じて、私は普段からここが好きなのだ。


室内設備の殆どが日本のメーカーであり、どのメーカー一つ取っても、気合の入った仕事なのが覘くのである。

きっとどのメーカーも採算度外視で良い商品を安値で提供したのではないか、そんなメーカーや工務店の苦労を想像したりするのも楽しい。


この部屋は10階の端に位置し、中の広さは75m2〜ほどある。
ベットはダブルサイズ2つのキングサイズ。
バスタブの他にシャワースペースがあって便利。

窓は全面オープンで勿論だけど電動式。だって手動ならエライ手間であろう程の長さ。
全部開けると滑走路から飛び立つ飛行機が良く見える。

夜は夜で対岸の夜景がそこそこ美しく、朝は日の出の方角に向いている。
朝日をバックに、色々な航空会社の飛行機が飛び立って行く様は、逆光だから写真には向かないかも知れないが、迫力があって圧巻である。

日常ではまず有り得ない風景だ。
非日常の風景。


夜明けのひと時、ライテイングデスクに座りながらコーヒーを飲む。
飛び立って行く飛行機を見ながら、私は自分が癒される理由を少し掴んだ。


ホテルの部屋には過去も未来も存在しない。
それは私にとって、自分の部屋とは違い『無』に近い場所だ。

そして見える風景は非日常。
それも強烈な非日常。


同じ非日常をお客様に提供する仕事の私には、こんな他所様の提供してくれる非日常が、自分の中で必要なのだろう。

澱のように溜まった何かを消化する為に。



今回はとっても良い静養になったなあ、部屋に運ばれて来た焼き立てのパンを味わいながら思う。




明日からも頑張ろう。






『水商売においてしてはいけない内容の話』
2003年02月22日(土)


今日は早引けである。
なのに日給確保。
デカイ同伴のオカゲっすね。


ともあれ自客を送り出してサオリの席にヘルプに入る。

およおよ。
何だか席の雰囲気が緊迫してるぞ、何じゃこれは。
白々としてて、尚且つキリキリしている。
でもただつまらなくて白けてるだけじゃない。

何だろうと思って、コソコソっと隣に座ってる仲の良いお客様にお伺い。
原因を聞いた私の顔面は、みるみる蒼白になる。

・・・・例の宗教二人組み、どうやら宗教の話をして顰蹙を買ったらしい。
ちょっと酔ったのか恍惚状態で、自分の信念をとうとうと語ったのだとか。
で、お客様がムッとしたのか(そりゃそうだ。)反論。
金の流れだとか上納金だとか勧誘手段だとかで、論争になったらしいのね。


アホか、まったく。


アホンダラ過ぎてモノも萎える。
モノは持ってないけど、男だったらきっとそういう気分だろう。


大体、何で高い金払ってんのにそんな話を聞かされにゃならんのか。
それの何処に笑いがあると言うのか。考えろと言いたい。


ま。それを抜きにしても。
水商売には、してはいけない話題の3原則というものが昔からある。
それは、
『宗教』
『政治』
『野球』
である。


例えば話題が噂話だったり、仕事の話だったり、家庭の話だったりする。
そういうものはまだテクニックを使えば何とかフォローも出来るであろう。
地雷が潜んでる可能性が大きいから自信が無いなら避けた方がいいが、迎撃巡航ミサイル程の破壊力は無いから、使っても致命傷とは言えない。

せいぜい『遊ばせ下手』だとか『垢抜けてねえな』とか、そう言った類のモノで、ギリギリの所で最高のオチを付ける事が出来れば、むしろ大逆転の武器にもなる。


だが宗教・政治・野球はマズイ。

何故マズイのかと言うと、他の話題と違って思想が大きく絡む内容だからだ。
洒落になんないじゃんのレベルだし、愛ってなあに?の討論と同じくらい果てしない。

ちなみに昼間は『野球』のポジションが『人種』(人権)に変わったりする。
若干の差はあるが昼間も夜も、迎撃巡航ミサイルは迎撃巡航ミサイルなんだな。
ウェブ上でも宗教・政治・人権は地雷であったりするし。
(どうでもいいが当たり前過ぎて、書いて良いのかと今我が身を振り返っています。)

野球というスポーツは日本国においてオジサマ世代にするとすでに思想だかんね。
まあ阪神タイガースがある関係も大きいのだろうが、これもまた果てしないのよ。
ちなみに私は昔のドラゴンズファンなんで余り関係ないようです。


対極として『話題に困ったら食い物かエロ話をしろ』というものがある。
三大欲求に基づく話は、比較的罪が少ないからだ。
睡眠欲の話題も自信があるなら良いんじゃねえかと思います。
布団の話を聞いてもつまらないかも知れませんが。



ちと逸れました。

ま、同じ店舗で働くのも何かの縁ですから何をしてくれてもいいですが。
私に可能な範囲ならフォローも出来るだけはしますが。
何たってここは他人様(サオリちゃん)の口座なんでね。
そうでなくとも同じ席に居る以上、当たり前の努力ですけどね。
お客様がつまらないって言うんならそれはその席に居る皆の連帯責任ですからね。
しょうがないっすけど。


ただし、
私の客のときにそんな話したら核攻撃しちゃうからね。


そう思いながらテロ攻撃をしたあの宗教を持ち出して、何とか収拾を着けました。
こんなしようもない手段は使いたく無かった。何だかもう本当に虚しい。

国家でさえ解決出来ない問題が飲み屋で解決するかって〜の。オバカ。
もうやめてね、こんなの。


で、防御策の為に常務にちらっと釘を刺す。
『自分の客にされたらたまらん。諌めるって約束は?』と。


そしたら常務ってば、
『ああ、もう辞めるのよ。もうちょっとの辛抱だから我慢して。』


クビなんだな。
解っちゃうよ。
言い方でよ。



結局今回、パトリオットミサイルを知らぬ間に行使したのはコイツだったのである。

ああ怖い。







『男が外で飲む理由』
2003年02月20日(木)


重役様が来てくれた。
死ぬほど嬉しかった。


実は今年の初めから重役様は部署が変わり、
殆ど転勤のような状況なので、もう会えないかと思っていたのだ。

部下も70人に増え、環境も会社のシステムも変わり、それだけ重責を担う彼は、
『なおちゃん、ごめん。ひょっとしたらもう行けないかも知れない。』
そう年末に私に告げていた。


月に4回は確実に同伴してくれる相手。
落とす金も半端ではなく。

・・・・正直言ってこの人を失うのは痛いなと思った。

だけど、しょうがない。
今は本当にそういう時代なのだ。


物事が簡略化されるというのは合理的なようで活発さを失う。
私達が恩恵に預かるのはその活発の部分であるから、しわ寄せの部分は必ず来る。


こんな話は珍しくもない。
不景気の中で聞き飽きた話。
余りにありきたりでこちらもいい加減ウンザリする。
政治がどうだと言う気は無いが怒りさえ沸いて来る。



・・・・だけど今、本当に辛いのはお客様の方なのだ。
この時代、働く我々も辛いが来店してくださるお客様の方が、
もっともっと大変な思いをしている。

私は生きていくのが精一杯であるのに、この人達は遊ぶ金をも捻り出すのだ。

自分が外でこれだけの遊びを出来る甲斐性があるか、彼等を見て時々思う。
女性という立場ではなく、自分が男性であったとしても、だ。

・・・・答えはいつもNOで。


男は色に弱い、女に弱い、口説きたいから、
本当にただ『それだけ』で彼等はお金を落とすのだろうか?

何年もここに居て見ているが、私はキッパリとそれは違うと言い切れる。
男性自身が自分達さえ気づいていない、
或いは認めたくない気持ちが、ここには確実に存在するのだ。

・・・・それが本当に『男が外で飲む理由』なのである。


女にお願いされるほど不自由の無い男でも、大枚はたいて酒を飲む。
それが何よりの証拠ではないか・・・・。



だがその度に、
私は自分にそれだけの金を落とさせる値打ちがあるのかどうか不安に陥る。

色なら簡単。
美なら簡単。

そんなどうにでもなるものではなくて、
その本質を見極める事が大切なのだとしみじみ思う。
自分がそのラインから逸れていないか常に自戒する事も決して忘れたくない。




重役様は恐らく当分・・・・いや、ひょっとしたらもう来れないかも知れない。
弁えて下さる方だから、邪魔になってはと電話も滅多になさらないだろう。


それでも、
彼は私の大切なお客様だ。

そして、
昨日からが本当の始まり。


これからも昨日のようにふと訪れ、我儘を言い、私に甘えるだろう。



こうやってまた少し色が抜けていく。




『猛獣と米搗き飛蝗と星』
2003年02月19日(水)


久しぶりにブチ切れた。
自店の中の事ではなくて、ある店のオーナーに対してなのだが。


私は大人げないがマジギレする事は滅多に無い。

サラっと嫌味をカマす楽しさを知っているし(やな奴ぅ)、
どちらかというとブリブリを曝して自分がみっともなくなるのを避ける方だ。

が、しかし。
所詮は直情型噴火タイプのO型なのであった。

しかも私は泉南出身なのでガラクソが悪い。
ひ・じょ〜に、お言葉が悪い。
海辺育ちなので喧嘩っ早い。
(皆がそうではございませぬ。)


大人げないですがね。解ってますがね。
仕事中に電話して来くさって、しかもテメェ棚上げだったもんで。

表に出てキレまくったんです。店の中だと具合が悪いですし。


しまいには、
『ワレ、なに眠たいこと抜かしとんじゃコラァ!』と、
比較的ミナミにおいてはガラのよろしいストリートで叫んでいたのですよ。


ビックリしていたのは表に立つ黒服さん達。
代表店の方も何名かおられました。
ええもう、周りなんか関係無いんすよ、怒ると。

いつも米搗き飛蝗(こめつきばった)の如く腰の低い私が、
泉州弁丸出しでキレまくっているのだからそりゃビックリするわな。
しかもデカイ女だ。普通でも怖かろうて。


サワサワと周りが円になって行く。
怒れる猛獣から皆が遠のいて行く。

異様な雰囲気に、
セルシオが避ける。
ベンツも見物する。

犬を散歩させているおじさん(多分893)も、何故か自分の犬を守る。
・・・・失礼じゃねえか。



で。
低血圧なんですね、水上は。
48−75くらいで。

こういう人間が怒り狂うと血圧が下がって(上がるんじゃないらしい)、眩暈がして来るんですよ、難儀でしょう?

眩暈もピークに達した頃、向こうが侘びを入れて来たんで電話を切りましたが。

侘び入れるくらいなら最初から喧嘩売って来るんじゃねえ!
・・・・って止せば良いのに追電しちゃったんですね。


・・・・星が泳いでいまして。
・・・・とっても綺麗でしたが。


こうなるともう怒りも限界で。
フラフラと自店に入り、お客様の下へ。

自客じゃなかったんで、眩暈を酔いだと思われたようです。
高い酒を勧められ、飲む飲む。

味なんか解らない。勿体無い話だ。
酔いも一向に回って来ない。どうなってる。つまらないぞ。

今日の私はどうにもならん。
が、しかし。
そんな時に限って何故か携帯番号げっちゅ率が上がったりするから不思議。
隙は作った方がイイのか?そういう事なのか?



帰る時に案の定、マネージャーにイエローカードを喰らう。

なに怒ってたの、Dちゃん(他所の黒服さん)に聞いたけど、店の前では止めなさいね、ただでさえアナタ怖いんだから、ヤクザのオンナって見た目なんだからね、自分でも解ってるでしょう、変な噂になるんだからね、この世界は広いようで狭いんだから、うんたらかんたらクドクドこんこん。


ああもう、ごめんなさいったらごめんなさい。
ひたすら米搗き飛蝗に戻る私。
米搗き飛蝗で帰路に着く私。


格好悪く、美しくなく、体に悪い一日だったのでした。




怒らせやがって。
復讐してやるう。





『競争!!』
2003年02月17日(月)




出勤してグラフを見て唖然。
何故だか水上如きが入っているのだ。

本業の都合上、皆様より週に1日ないし2日くらい、
出勤日数の少ない私が、2位にランクインしている。
・・・・これってどうだろうか、とグラフを前に考え込む。


何でだ?
待機中に店側から渡された売り上げメモを取り出し、再考してみた。


そういえばオバケの最中に同伴ダブルを2日したんだっけ。
(ダブル同伴=8時30分までに同伴を2組こなすこと。
 1組とはお食事込み、もう1組とは店前同伴のパターンが多し。)

今月は末締めなのだが、それが効いてまだ3週間もあるというのにその時点で、
私はもうはや店から与えられた月間の個人ノルマを達成してしまったのだった。


たったの2組なんだが、そのお客様が2組とも新規でデカかった。
ボトルは勿論、ドンペリをバンバン抜いて、おまけにワインも抜いた。
そりゃ売り上げも上がるであろう。


で、次の週。
バレンタイン週間の真っ最中。
生意気にも私はトリプルをカマしてしまったのであった。
(8時30分以内に同伴を3回。
 この日はお食事同伴、お茶同伴、店前同伴であった。)


この不景気にトリプルとは何事か。
若くも無いのに、これではまるで売れっ子のようではないか。

ちょっと顰蹙である。
お姉様方の視線がイタイ。


おまけにトリプルの中のお一人がクラブ遊びまっさらのお客様だったので、
これまた上限なしの飲み方だったのだ。
クラブってのはこれくらいかかるのだと知らない人は楽だなあ。
おまけにややストーカーっぽいので、潰しても良いと、遠慮なく鬼のように飲む。

今考えると止めときゃ良かったかなと思う。
こういう配分も出来なきゃ良いホステスでは無いのではないだろうか。


そんな私を他所に常務は『いきなり気合入ってるね、なおちゃん♪』と上機嫌。
ママも他の黒服も対応が違う。

そりゃそうだ。出勤の割りに稼ぎがデカイんだから、
店側にすると私はローコスト・ハイリターンなんだろう。


派閥に属さないのでお姉様方に苛められる事はない私だが、
やはり遣り過ぎは良くないのではないかと思う。


大入り御祝儀なんて要らないから。
何とかして欲しいわ・・・・。


贅沢な悩みだ。
他人ごとならムカつくんだが、自分ごとなので調整が大変。
ちょっと息を抜こう。

ああ、でも。でも。

今月はまだ予約が入ってるんだよな・・・・。
ニッパチ神話なぞ何処吹く風か。


結構な事じゃないですか、と思う人も居るかも知れないが、
余り出来すぎると翌月にしわ寄せが来るので己の首も絞まるのである。

が、しかし。
自分が『どこまで出来るか?』やってみたい欲望もあるのだから始末に負えない。

自分というホステスが、どれだけやれるのか見てみたい。
数字がストレートに評価に出てきてこそ、の世界であるから。


ここまで来てもこんな自分の気持ちが一番扱い難いとは。


・・・・遺憾である。




『水上、芸者になる』
2003年02月14日(金)


さて、オバケだ。
初日は取り敢えず芸者さん。


鬘を借りたり衣装を借りたりしようと思ったのだが、
自分の髪の毛で結った方が得だよ、とのお姉様方の台詞で美容院へ。

この日記を御覧になっていて、尚且つ私に会った方はご存知だろうが、
私の髪は長くは無い。肩に付くくらいのセミロングだ。
その程度の長さで付け毛も無く、足し毛もなく、
つぶし島田がちゃんと結えちゃうんだから、美容師ってすげえ。

出来上がりを見物されちゃったりして。いつもと立場が逆なんである。
さかさかと出来上がって行く行程を見ているとなんとも楽しい。

『ミナミでも日本髪を結わせたらトップに腕は良いわよ。』
そう言ってここを紹介してくれたのが強面の老舗のママだったので、美容師さんも回りも相当神経を使っていた。

美容師さんの緊張を解きほぐすのに相当労力を使ってしまった私。
これから仕事なのにつまらん事で疲れたくないなあ、としみじみ思う。


そうそう。私は着物を着るようになってから髪の毛をずっと黒に染めている。
別にトシ喰って白髪が多いのではなく、地毛が茶髪なのだ。
これが学生時代と今の和服時代は苦労の素だったりして。
と言うのも染が落ちると逆河童のようで情け無く、しょっちゅう染めなければならないので面倒くさい。

だがその黒髪と言うのが美容師さんには新鮮らしく、いたく喜ばれてしまった。
『やっぱり島田は黒髪じゃないとね。』などとのたまう。
日本髪は茶髪だとどうもしっくりこないらしい。
最近は茶髪の日本髪の鬘もあるらしいし、雛人形も茶髪が増えているらしいが。


で、美容室で得た知識なのだけれども、オバケというイベントは祇園が発祥なのだという。
コテコテだからてっきり大阪独特なのかなと思っていた。
どちらかと言うとコテコテどころか由緒正しいのだな。意外だ。


普段は着物の芸者衆が、節分に思い思いの格好をするのが始まりだそうで、それを真似て大阪全般と、近年は博多の一部で開かれているらしい。

芸者衆流れの遊びとして有名なのは他にジャンケンイッキなるものがある。
勿論芸者衆の遊びはもっとスマートで、ジャンケンの形態も随分と違う。
うろ覚えなのだが、衝立を挟んで『武士、母親、虎』を表現し勝敗を決めるのだ。

武士は虎に勝ち、母親に負ける。
母親は武士に勝ち、虎に負ける。
虎は武士に負け、母親に勝つ。
何だかそんなんでしたな。


そんな雑談を交わしながら、頭が出来上がる。次は着付けだ。
芸者と言っても芸者用の着物を着る訳ではなくて、何でも良かったりする。
要は帯の結び方なのであって、それも何種類かあったりするだけなのだ。

私は地元ぱぱに買ってもらった黒の着物に西陣の竹柄の銀の帯を合わせ、小物(帯揚げと伊達襟。帯締めは芸者さんは使用しないそうだ。)で遊んだ。
簪の代わりに使ったのが紅い生花だったので、小物も深紅に統一。
帯を交差して、後ろを垂らした結びで完成。
いや中々に『にわか芸者さん』の誕生である。うひょひょ。


で、ここからが凄い。

かかった費用は何と頭と着付けで7000円ぽっちなのだ。
・・・・・・・ぽっち。
・・・・・・・ぽっち。
いや、大きい事を言っている訳ではありません。私だって庶民です。

だけどね、
芸者の衣装や鬘を借りようとすると、こんな予算じゃ絶対無理なんですよ。
まず、25000〜35000円はゆうにかかってしまうんです。
(花魁はこの倍ほどかかります。)
色々検討しましたが、やはり今年の手段が一番安上がりでいいようです。

それと、ミナミの美容院は割と日本髪を結える方が多いのだとか。
値段と、この点ふたつでいたく感激した一日でした。


同伴の最中も目立つ目立つ。
寿司屋で名刺を求められ、殆ど使ってしまいました。
意外ですが店でも喜ばれました。見飽きてるんじゃないかと思いましたが、男性はやはり着物姿に弱い生き物ですね。


こういう事がお仕事で出来る水商売と言うのは、何とも楽しいものです。


『まあ、水上さんは普段から普通じゃない格好してますからねえ。』
そんな黒服君の雑音は置いておいて。
オバケ一日目は平穏に過ぎて行ったのでした。




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