ケイケイの映画日記
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2005年06月24日(金) |
「砂の器」(デジタル・リマスター版) |
ご存知松本清帳原作の不朽の名作。初公開は1974年とあって、私が観た梅田ピカデリーには往年の映画ファンがいっぱい。きっと初公開時の感動をもう一度、という方たちでしょう。私はテレビ放映で2度観ていますが、今回スクリーンでの再見に大感激。重厚な社会派サスペンスですので、筋がわかっていてもなんら問題なく、返って充分に内容を堪能出来ました。当時のオールスターキャストですが、どんな主演級の俳優より、この作品は、ハンセン氏病患者・本浦千代吉に扮した加藤嘉の作品だなぁと、つくづく実感もした再見です。リバイバル作品なのでネタバレです。
国鉄蒲田操車場構内で扼殺死体が発見され、身元は何もわかりません。手がかりは被害者の残した「カメダ」の言葉。難航する捜査ですが、今西刑事(丹波哲郎)と吉村刑事(森田健作)の執念ともいえる捜査で、被害者は元警察官の三木謙一とわかると、「カメダ」は「島根県の亀嵩」から一気に捜査は進みます。点と点の散らばりが線となる頃、この事件は新進気鋭の指揮者・和賀英良(加藤剛)の哀しい過去とつながって行くのでした。
前2回が随分前に観たものの、捜査が夏真っ盛りの設定だというのを、すっかり忘れていました。うだる暑さがこちらにも伝わる中、科学的考察やプロファイリングではなく、地道に必死で足で捜査していく刑事たちに、その職業が持つ正義というものがひしひし伝わってきます。正直どうして気がついたんだ?というような少々強引なひらめきも、「それは刑事の勘だ」で、辻褄が合います。その方が刑事たちの人間臭さが感じられ、ただの犯人探しではないこの作品に、むしろ深みさえ与えています。
そんなすっかり忘れていた前半から、和賀英良こと秀男がハンセン氏病の父と巡礼の旅に出るシーンに登場した、白塗り・若作りの加藤嘉を観た瞬間、なんと私の目から涙が。そんな人は多いらしく、二人の巡礼が始まるとすぐ、あちこちからすすり泣きが始まりました。そしてそれ以降のシーンは、全て覚えている自分にびっくり。そうなのです、私にとって「砂の器」とは、この作品のテーマである”宿命”を凝縮して見せてくれた、親子の巡礼シーンが全てなのです。
私の号泣シーンNO.1である、有名な「こんな人知りません!」と嘉が泣きながら振り絞るシーンの他、世間の冷たい接し方、学校の子供たちをじっと眺める秀男、親子二人の心の底からの愛に満ちた表情など、「世界に二人きり」を映します。千代吉のしたことは間違いでしょう。しかし当時ハンセン氏病は死ぬより辛い病、世間も妻さえも去ってしまう中、我が子を守ることで生きる支えとする千代吉に、誰があなたは間違っていると言えるでしょう?子供が幼い頃の親を求める強い気持ちが、どれほど親の生きる力になるかわかる私は、ずっと涙が止まりません。加藤嘉の演技は、そう私に思わす強い説得力がありました。冬が過ぎ春の芽吹く姿を映した時、これで二人は寒さから解放されるのだと、これほど日本に四季があることを嬉しく思った映画はありません。
そして愛を注ぐ三木夫婦から逃げ出す幼い秀男は、家を出るとき、三木を遠くから見つめる時、いつも泣いています。この涙は幼く選ぶ言葉を知らない秀男の「侘び」なのでしょう。精一杯三木に感謝しながら、彼の中では、きっと三木は実の父を超えられない存在だったのではないでしょうか?そんな気持ちのまま三木の家にいては申し訳ない、そんな子供なりの誠意のいっぱい詰まった涙のように、私は感じました。
誰からも慕われ、生涯善行の人だった三木は、決して無駄死にではなかったと思います。思春期の頃から自分の出自をひた隠しにして生きてきた英良は、自分の感情を素直に出すことは、決してなかったでしょう。彼の感情を爆発させた三木は、結果として自分の命と引き換えに、彼を和賀英良として自分の宿命から逃げ続けた偽りの人生から、本浦秀男として自分の宿命と対峙させることが出来たのですから。それは芯から秀男の人生を解放させることなのではないでしょうか?
秀男親子の過去に涙し、森田健作の「和賀は父親に会いたかったでしょうね」の言葉に、「もちろんだ」と言い切る丹波哲郎が印象深いです。罪を憎んで人を憎まずという言葉が心に浮かびます。人が人らしい感情を持ち続けるために、繰り返し観る作品だと思います。劇場はどこもかしこも高年齢層に支持されているそうですが、中高生にこそ是非観てもらいたい作品。劇場で観られたことに、本当に感謝しています。
2005年06月22日(水) |
「バットマン・ビギンズ」 |
この男前やなぁ〜の、クリスチャン・ベールの素とバットマン姿の対比を皆様に是非見ていただきたく、あれこれしている間に、他の画像がぶっ飛んでしまいました(号泣)。歴代バットマンは、初代マイケル・キートン、ヴァル・キルマー、ジョージ・クルーニーと、もうちょっとでブレイク的な俳優を起用してきましたが、作品的には一番評価の低かった「Mr.フリーズの逆襲」のクルーニーが、一番ブレイクしたのは皮肉です。今回はバットマン誕生秘話とも言うべきお話なので、落ち着いていますが、若さと華も持ち合わせたベールの起用は、私は大成功だったと思います。
大富豪ブルース・ウェイン(クリスチャン・ベール)は、子供の頃自分のせいで両親が殺されたとの自責の念にさいなまれ、自分を見失ってしまい生きる道標を失いつつ、両親の敵への復讐は忘れていませんでした。しかし、たどりついたヒマラヤのふもとでの修行ののち、真の正義感に目覚めた彼は、再びゴッサムシティへ戻ります。暖かく彼を迎えたのは、ウェイン家の執事を永く勤めるアルフレッド(マイケル・ケイン)。彼と二人三脚で、街に平和な日々を取り戻すべく、ブルースはバットマンとしての日々を歩き始めます。
今回の監督は「メメント」のクリストファー・ノーラン(イギリス出身)。脚本も担当しています。主役のベール以下、ケイン、リーアム・ニーソン、ゲーリー・オールドマン、トム・ウィルキンソンなど、多数の英国人俳優が出ているせいか、ティム・バートン版のダークでファンタジーっぽい世界が、現実感の強いインテリジェンスを感じさせる世界に様変わりしています。このシリーズの敵キャラは、ジョーカーやキャットウーマンなど、アメコミそのままを用いて描いていましたが、今回のリーアム・ニーソン&渡辺謙コンビは、修行風景こそちょっと忍者もどきでオリエンタルしていましたが、自分の正義で世界を染めようとする、例えると007風。派手な仕掛けには欠けますが、渋さと知性があります。
バットマンより脇が目立った他の作品に比べ、腕のある老練な名優たちは、きちんと自分の存在感をアピールしながらも、ベールを盛り立てているのに感心します。上に書いた他には、父親役にライナス・ローチ、お仕事を選ばず出演するモーガン・フリーマン、イギリス組に押されて、ちょっと精彩がなかったオランダ出身のルトガー・ハウワーなど、地味でゴージャスなオヤジ俳優のオンパレードです。特に私が気に入ったのがケインとオールドマン。執事といえばイギリス人(本当か?)。執事というのは、主人の忠実な僕として、自分の意見は決して口には出さないと聞いたことがありますが、ケイン演ずるアルフレッドは、言いつけは守りますが、お小言もいっぱい、しかし失意にブルースが沈む時、「僕を裏切らない?」といつも聞く彼に「決して」と何度でも励まします。彼は小さい時両親を亡くしたブルースにとっての心の拠り所であり、祖父代わりの存在だとしみじみさせます。しかし執事の立場からは絶対はみ出さないわきまえ方が、とても心地よいのです。ケインは老いて益々素敵になるようです。
オールドマンは彼が演ずるのだから、きっとどこかで何かするのだろう、と思わす隙も与えないほど、しょっぱなから善人ムード満点。ちょっと気弱な感じが、私が一番好きな彼だった「蜘蛛女」に通じるものがあり、本当に変幻自在な人だと感心。こんなひねりのない善人なんて、もう二度と観られないかも知れません。
全体的にアメコミの雰囲気は大幅に減少、その分成長過程を描く青春ヒーロー物としての、爽やかさと格調高さがあり、ベールがとても気に入ったこともあり、私はシリーズの中で一番好きです。バッドモービルも、今回が一番カッコ良かったです。ヒロイン役はハリウッドキング・トム・クルーズとの婚約が決まったケイティ・ホームズ。相変わらずの愛らしさです。彼女のセリフの「あなたは昔のままよ。でも人間は中身でなく行動が大切」のセリフは印象的。ハリウッドでも好評のようで、早々に続編も決定、バットマン役も引き続きベールだそうな(観なくっちゃ!このシリーズは全部観てます)。注目すべきは、ジョーカー役に、アニメ版でジョーカーのアフレコを担当している、マーク・ハミルが候補に上がっているとか。決まったら久々の日のあたる場所、オールドファンには嬉しい話です。でも私の好きなウィリアム・カットでもいいんですけど〜(彼も何処へ?「スターウォーズ」では、ハミルに役をさらわれています)。
2005年06月19日(日) |
子宮筋腫なんか怖くない(2) |
6/17金曜日、O医療センターへ検診に行ってきました。筋腫を発見してくれたSクリニックは、紹介状を書くのは、こことN病院(共に公立の大病院)のどちらがいいか考えておいて下さいと言われていたので、早速友人にリサーチしたり、HPを見てたりしてここに決めました。O病院は全部の科のHPの様式が違い、婦人科も個々の病状に対して、きめ細かく説明や治療方法が提示してあり、これならインフォームド・コンセンサスもスムーズに行くかと思ったからです。
当日は仕事を終えてバタバタ直行。お昼からの仕事を休んだ夫が、先に待っていました。結婚以来、たとえ私や子供が熱を出したり怪我をしても、自分の予定は絶対変えない人だったので(予定といえば聞こえがいいが、要するに遊び)、仕事を休んで病院についてくると言った時はびっくり。熱があっても指を骨折しても、家事を休んだことがなかった私が、今回かなりへこんでいるので、思うところがあったのでしょうか?来てくれるのは素直に嬉しかったです。
予定より20分早く到着して受付を済ますと、まずコップを渡され尿検査です。その後問診票に色々書くのですが、「?」と思ったのが私の最終学歴。 現在の仕事は関係あるでしょうが、病気に最終学歴なんか関係あるのかなぁ?他には夫の年齢と職業。職業はまぁ何となくわかる気もするのですが、配偶者の年齢が婦人科の病気に関係あんの?
予約してあったのであまり待つこともなく(しかし大きな病院では、長く待つことも珍しくないらしい)、診察室へ。医長の先生でした。口頭で問診の後、内診です。「やっぱり膀胱を圧迫していますね。大きさは6cm×7cmです。それとお腹の右の辺り痛くなかったですか?」「はい、時々チクチクしました。」「筋腫が急に大きくなったため、それが一部腐ってたんですよ。」「えぇ!腐ったもんがお腹に残って大丈夫なんですか!!」「いや、腐ったとは適当でない表現なんですが、要するに果物が熟れて、下に落ちた状態だったわけです。腎盂炎だけでなく、それも原因して白血球が急上昇したと思われますね。」なるほど。しかし右側の痛さは、大したことなかったぞ(経産婦の法則)。
検診が終わり、夫も呼ばれて先生の説明を聞きました。「切るか切らないかギリギリのところですね。」「先生、出来るだけ温存したいんです。もし切るなら、子宮は残したいと思っています。」「それは当然の考えだと思いますよ。ただケイケイさんの場合は膀胱を圧迫しているし、今回のようにまた白血球に急上昇させる悪さをする筋腫でしょ?それに筋腫というと、みんな簡単に考えますが、これは腫瘍です。腫瘍といえば頭が切り替わるでしょう?そんな簡単に思っていい病気ではないです。S先生のところでは、体ガンの検査はしましたか?(結果はNO。子宮頸ガンだけ。普通子宮ガン検診というと、子宮頸ガンのみです)」。母が肺ガンの疑いありで説明を受けた時、「医者は腫瘍に対しては、疑わしきは罰するなんです。」という母の主治医の先生(この先生も、本当に良い先生だった)の言葉が鮮明に蘇ります。
「確かに筋腫からガンが発見されることは少ないですが、全くないと言い切れない限り、わかりました、温存しましょうとは言えません。血液検査、造影剤を使ってのMRI検査などでガンが発見される場合もあるので、これらの検査をしましょう。手術するかしないかは、これらの検査を終えてからの話です。僕だって忙しいし、いらん手術はしたくないですよ。」
ふ〜ん、これ以上ないご説明。それに私が心惹かれたのは、「僕だって忙しいし、いらん手術はしたくないです。」のフレーズ。ってことは、もし手術だったら、この先生がしてくれるの?年の頃なら40代後半のこの先生が執刀してくれるのなら、安心出来そうです。よく盲腸や子宮摘出の手術は、簡単なので経験の少ないお医者さんがすると聞きます。医学の発展のためには仕方ないことですが、でも自分の体が使われるのはいやというのが本音です。
納得のいく説明が得られないなら、セカンド・オピニオンももちろん考えていた私ですが、信頼出来そうな先生に当たり、これからしばらくこの先生にお願いしようと思います。私が思うセカンド・オピニオンとは、自分の考えにあった説明をしてくれる医者を探すのでなく、二人の医者がいうことが違うなら、もう一人聞いてみてどっちの見解であるかというものです。医学的知識の薄い私が、手術がいやなのでそれに合う先生を探すのは、セカンド・オピニオンではなく、ドクターショッピングになるのではと、個人的に思います。最初の経験豊富な女医さんが「子宮全摘出」、内科医ですがER経験も豊富な勤め先の先生が「いずれは時期を見て手術の方が良い、子宮を残したいと言えばその方針に沿ってくれるはず。」、そして今回のベテラン医師の説明です。客観的に診て私の筋腫は手術した方が良いということです。
というのは、3日たっての平常心になってからの見解です。もちろん聞いた当初は思い切り落ち込み、家に帰って何も手につきませんでした。全摘出か核摘出か、手術方法もどうするか、まだまだ悩む項目がてんこ盛りですが、まずはガン反応がシロであることを祈りつつ、検査してきます。あまり先々考えず、一つづつ蹴散らして行こうと思っています。明日は評判の良い「バッドマン・ビギンズ」観てきます。
週に軽く2〜3本は観ていた私が、腎盂炎のため10日も開いてしまったのちに選んだ作品がこれ。悪名高き2ちゃんねるの掲示板を舞台にした、美女とオタクの恋物語が本となり、その映画化です。全然ノーマークだったのに、公開後の出るわ出るわの賞賛の声に耳を傾けると、若かりし頃のとても純粋な気持ちに戻れるそうな。体調がイマイチの時はそういうのがいいなぁ。
ある夜電車の中で酔っ払いに絡まれた美女エルメス(中谷美紀)を、勇気を振り絞って助けた電車男(山田孝之)は、それが縁で彼女とお友達からお付き合いするようになります。22年間オタク街道まっしぐらの彼は、今まで女性とお付き合いしてきた経験が無く、ネットの掲示板に今後の不安をもらします。そうすると、あれよあれよとたくさんのネット仲間が集まり、彼を応援し、行く末を見守ります。果たして電車くんの恋の行く末は?
我が家にも1名オタクがいます。しかしその次男に言わせると、「俺をオタクの王道と思ったらあかんで。」なそうな。何故なら寝食は忘れないし、毎日風呂に入るからだとか(!!!)。私も時々ですが、大阪のアキバ的場所の日本橋に行ったりしますが、ゲーム屋などに入ったら、確かにオェ〜というくらいの我慢出来ない男臭さが充満。近所に「日本橋に対抗!」と看板に書いてあるゲーム屋がありますが、初めてその店に入った時、臭いで「あっ、日本橋!」と私は思ったもんです。「見た目のオタク臭じゃなくて、本物のオタクはほんまに臭いねん。寝食も風呂も忘れるくらいにならな、ほんまもんちゃうねん。それに俺みたいに女の子とつるんだりもせえへん。二次元アイドル(要するにアニメ)にだけ萌えるんやな。」なるほどねぇ。
そんな次男からのレクチャーに、確かに山田孝之はぴったしはまった好演で、よく研究したと思います。髪もベチャ〜としているし、王道のリュック姿(オタクは両手を空けておくのが必須だそうな)、めがね姿、挙動不審な姿もバッチリ。一生懸命ガチャガチャ(ガチャポンのことを大阪ではこういう)をする姿も堂にいってました。タダひとつ違っていたのは、いつも一人だったこと。オタクって二人連れ多いですよねー。
電車君が憧れるエルメス嬢は、最初は珍種の物珍しさでお付き合いしているのかと思いましたが、年下の電車君を男として立て、貫禄ではなく包容力で彼をリードする姿に、昨今の若いお嬢様方の奔放ぶりには付いていきかねる私は大感激。慎み深く淑やかで、それでいて暖かいです。拙掲示板で、私が書いた「容姿に恵まれない人が側にいても、気後れさせない暖かい美貌」の箇所が好評だったのですが、この作品のエルメスがまさにそれ。どこから見ても釣り合わぬは不縁の元の彼女に、電車君が勇気を出せたのも、彼女の包容力だったと思います。演じる中谷美紀は、私は大好きな女優さんで、実際の掲示板でもエルメス嬢は中谷美紀似と書いてあったとか。聡明で品の良い彼女の持ち味が生かされていて、好演でした。
見ていて切なくなるほど、彼女を思う電車君の気持ちに胸が締め付けられまくり。これはデートなんだよな?でも彼女は俺のことどう思っているのだろう?次も会ってくれるかな?デートの最中も必死でネット仲間が知恵を出し合ったマニュアルと首っ引きの彼は、絶対楽しくなかったはず。でも今じゃ己の子宮がどうたらこうたらと言う面の皮の厚くなった私だって、初めてデートした頃は、「トイレに行きたい。」この一言が言えなくて、前日から水分を制限、当日はこれまたご飯を食べる姿を見られるのが恥かしくて、何も喉を通らず。彼にどう私は見えているのか、どんな受け答えをすればいいのか、ずっと心臓バクバク、家に帰るととにかくどっと疲れが押し寄せたもんです。あ〜、もうあかんわ・・・。きっともう誘ってもらえない・・・、と思っている時電話が鳴ると、また地獄だか天国だかわからない日々が始まるというわけ。電車君の「どうして人を好きになったりしたんだろう・・・」という思いを抱いた経験のある私は、彼のおかげでどっぷり思春期に帰ってしまいました。
昨今軽くくっついたり離れたり、カジュアルにセックスしたりの風潮が当たり前のように言われる中、人を好きになるその思いの純粋さ、切なさ、傷つきやすさ、美しさが見事に描かれていました。オタクを描いて、こんなに清らかで純情な作品になっているとは、思ってもいませんでした。
電車君の周辺のネット仲間たちも、それぞれ大なり小なり悩みを抱えており、彼の一歩踏み出すその勇気に触発され、皆も一歩踏み出すと言う脚本は爽やかで良かったです。難しい現実とネット仲間の境界線の描き方も、漫画チックな箇所も楽しく、現実感もちゃんと備えて描いてありました。
ネットでカキコする人間というと、事件を引き起こしたり、友人がいない孤独な人のように世の中では思われがちなようですが、この作品と同じく、自分の病気をエンピツの日記に書いて、身近な友人を始め、ネットのたくさんのお友達の方からの心のこもったレスやメールを戴いて、精神的に落ち着きを取り戻した私は、この作品も単なる絵空事の寓話とは思えませんでした。ネットにネガティブな思いを抱いている方に、是非観ていただきたいです。 人はやっぱり支えあって生きているのだなぁと、現代的な説得力で思わせてくれる作品です。
人気作家・乙一(おついち)原作のファンタジーホラーを、5話のオムにパスで描いています。しんどかったのに急に時間が出来たので、三男と先週の土曜日テアトルまで観に行きました。この後私は腎盂炎でぶっ倒れることに。そういう不吉さいっぱいの作品かというと、それがぬるめで詰めがちょっと甘いかな?という作品群が集まっていました。
★「カザリとヨーコ」 一卵性双生児のカザリとヨーコ。母親は幼い時からカザリばかり可愛がり、ヨーコには虐待を繰り返します。自分の状況に諦めていたヨーコですが、知り合った老婦人の言葉により、あることを思いつきます。
何故母親がヨーコを虐待するのか明確な理由がわからず、「どんどん醜くなるお腹を抱えて、やっと産んでやったのに!」という、ヨーコに向けたセリフが出てきますが、それならカザリとて同じ。「ママは私に似ている」とのヨーコのセリフが出てくるので、カザリではなくヨーコを虐待の対象に選んだ理由があったはずですが、この演出では母子家庭の母親が、ストレス発散のため、どちらでも良かった双子の片方を虐待し続けたように見えました。明確な理由がわからないので、ヨーコがひどい虐待を受けているのに、淡々とした様子の切なさや痛みが、ちょっと軽くなったように感じました。ラストはちょっとブラックユーモア風ですが、母親は気づいていたと思いました。主演の小林涼子は、顔だけ見ていると幼く愛くるしいですが、スラッとした容姿でもう16歳くらいなんでしょうか?きちんと二役を演じ分けていました。有望株だと思います。
★「SEVEN ROOMS」 突然薄汚い部屋に監禁された姉と幼い弟。体の小さな弟が、部屋に流れる用水路を潜っていくと、部屋は七つあるのがわかります。そしてその部屋全てに若い女性が監禁されているのです。そして一週間のうち、一人づつ殺されていきます・・・。
5話の中で一番気に入った作品。理由も何も全然わからなくても、ぐいぐい恐怖心が煽られるし、弟を使った愛らしいユーモアにも包まれていて、それがラストの出来事をグッと締める効果をあげており、思わず涙ぐんだ作品です。弟役の須賀健太くんが大活躍。可愛いいし大熱演です。
★「SO-far そ・ふぁー」 両親と一人息子の三人家族。ある日父は母を、母は父を見えなくなってしまい、両方見える息子は戸惑います。
冒頭夫婦がいかにも交通事故にあったような演出をあるので、それに乗せられて観る方が、オチが面白いです。お互い直接言い合わずに、息子を介してののしりあう夫婦の会話を、口と顔の表情だけで音にはしない演出は、なかなか上手いです。悲しみに耐えられず失神してしまう息子に、やはり夫婦喧嘩は子供の前でしちゃいかんと、数々の過去の修羅場に大反省しました。自分を犠牲にして親を思う「子はかすがい」を描いた作品。
★「 陽だまりの詩 」 事実上滅んでしまった地球。たった一人残った青年は、余命短い自分を埋葬するために、アンドロイドの少女を作ります。
アニメーション。美しい絵柄から、命を繋ぐことの美しさと厳しさを謳いあげた作品。最初アンドロイドの少女のヌードが映ったので、どーしよう、もし過激なラブシーンでもあったら、こっちは息子連れじゃと慌てましたが、いらん詮索でした。私は普段あまり考えない「地球に優しく」が頭に浮かびました。
★「ZOO」 誰もいない動物園で、別れ話の末恋人を殺してしまった男。以来毎日彼は、腐乱していく恋人を写真に撮り続けます。
タイトルになった作品ですし、一番ラストの作品なので期待しましたが、正直意味不明、理解不能で終わりました。いったいどんな原作なんでしょう?気味悪く薄汚いムードしか印象に残りませんでした。
考えてみると、「ZOO」が一番ラストに来たので、ぐっと評価が落ちてしまいましたが、他4作品は初めに書いたように、もうちょっと深く色々ある人の感情を 刺激して欲しかったなという思いはありますが、悪い作品ではありません。ただオムニパスで117分というと、タイトル&エンディングを抜くと、1話20分チョイだと思います。それなのに全部の作品が少し間延びした印象を受けました。大阪は公開が昨日で終わりましたが、ビデオでもあまり印象が変わらない作品だと思います。一番の収穫は、乙一の原作が読みたくなったことです。
2005年06月10日(金) |
子宮筋腫なんか怖くない(1) |
今日は気晴らしに「ZOO」の感想を書こうと思っていましたが、昨日婦人科医の内科的診断の説明に一晩眠れなかったのに、今日勤め先の若先生に相談したら一気に解消、では怒りの長けを書きたいと思います。
昨日月曜日の血液検査が出たので説明を受けました。尿検査でマックスに近く出ていた糖・たんぱく・潜血は、今回ましになるもやはり続行。しかし一番判断が大切な血糖値・ヘモグロビンでは全て基準値だったので、これらが引き起こす病気はセーフでした。しかし肝臓の項目で赤信号が。「ちょっと数値がひどいので、S先生(勤め先の内科の先生)にB型C型の検査もしてもらいなさい。」「(大変)!!!」他には貧血。「これもひどいです。多分自覚がなかったかもしれませんが、以前からです。これも治療してもらいなさい。」そして一番ひどかったのが白血球。普通3000〜9000が普通のところ、なんと21110!「ちょっとこんな数値見た事ありません。」「慢性的だったんでしょうか?」「いいえ、急性です。慢性でこんな値、我慢できるはずありません。」よく救急車呼ばんかったもんやと言いたげ。おい!、さも肝炎だと言いたげな後、この言い方はないやろ!
これに関して、今日若先生に相談したところ、「この肝臓の項目は、前日のアルコール摂取の取り方で出るような項目です。大切な項目は全て基準なので、この値でB型C型を発病していることは、まずありません。僕なら新たに肝臓の精密な血液検査はオーダーしません。」「(ホッ!!!)」。「貧血も鉄分からの貧血はみられますが、本当に大切な項目はこれも基準値です。でも脱水の項目が検査にオーダーされていないので、これは一概に言えません。体が脱水状態で血が濃くなって基準値になっている場合もあるので、脱水も含めて検査し直しましょう。」「ハイ」。「白血球も、これも結構ええ加減な数字が出やすい項目です。自覚症状でましになっているし、きちんと治療していけば、正常値になるのは間違いないです。」「ハイ!」。血液検査の際のオーダーは、とても大切で難しいのだそうです。
私は昨年9月から胎盤注射を健康増進に打ってもらっています。筋腫と注射の因果関係を婦人科医に問うと、「大いにあります。畑に肥やし、泥棒に金渡していたようなもんです。ちゃんと婦人科で診てもらわずに勝手にホルモン活性化したあなたが悪いです。」「そしたら止めたほうがいいんですね?」「それはあなたの自由です。」なんじゃーそりゃ!それになんちゅう言い草!
この件も若先生に相談。「これは肝臓の治療薬として認証されている注射なんで、ホルモン剤とかじゃないし、ちょっとその先生不勉強ですね。」と言いながら、製造元の研究室の方に電話して下さいました。そうすると私の年齢、月経周期から判断して、因果関係は確かめられないとのこと。念のため、婦人科の方で、注射についての見解を聞いて下さるそうです。この注射は肝臓には本当に効き目があり、悪い数値が出た私はホッとしました。
しかし筋腫に対しての見解は若先生もいっしょで、「このまま置いておけば、腎盂炎を繰り返す恐れもあるし、慢性的に貧血にもなります。(今回恐怖の大量出血の5日間を初体験)。ケイケイさんの子宮を残したいお気持ちもわかりますし、筋腫だけ取ることは可能だと思います。だって帝王と同じことだと思うんですよ。まずは腎盂炎を治して、大きな病院で精密検査を早く受けることですね。」
本当に今の勤め先で仕事をしていて、今日ほど良かったと思ったことはありません。内科医が医者で一番賢いと言われますが、まさに実感。でも普通ならこの婦人科医の「子宮は全摘」「子供を生み終えたから、もう子宮はいらないでしょう」「B型C型肝炎の疑いあり」などなど、無神経だったり見当はずれの診断をされても、そのまま怯えた気持ちを抱えて治療を続ける人が多いと思います。気持ちがアップダウンを繰り返し、凹み気味の私でしたが、徐々に落ち着きを取り戻しています。そして納得のいかない診断には、病院を変えてみる必要も痛感しました。これを読んで下さっている皆さんも、良心的で見立てのよいホームドクターに恵まれることをお祈りします。
次回はちゃんと映画の感想文に戻ります!
子宮筋腫だって
子宮筋腫なんか怖くない(1)
子宮筋腫なんか怖くない(2)
手術決定
子宮筋腫なんか怖くない(3)
手術決定、なんですが
手術キャンセルします
病院探し
新しい病院に行ってきました
手術決定、今度は絶対編
いよいよ明日入院
入院、手術〜退院まで
術後の注意と今回の手術で思ったこと
術後一ヶ月経ちました
術後三ヶ月経ちました
2005年06月06日(月) |
番外・子宮筋腫だって! |
すみません、今日は映画のお話じゃないです。実は今日婦人科に行き、子宮筋腫があるのがわかりました。ちょっと珍しいケースだったのと、大丈夫だと思いながら、もしかしたらガン?とも怖がっていた自分の気持ちがホッとしたこともあって、ちょっとだけここに書かせて下さい。女性はもちろん、男性も奥様やパートナー、お母様のお気持ちを察する材料になれば幸いです。
実は子宮筋腫は晴天の霹靂ではなく、ちょっとそうかな?とは思っていました。生理の時大量に出血する時が年に何回かあり、年齢的にも癌検査をしなければと思いつつ、そのままでした。それが3ヶ月前くらいから、ちょっと下腹部が腫れているのに気づきました。子宮より下の膀胱の辺りだったので、?と思いつつ、生理も順調、不正出血もないのでそのままにしていたのですが、段々違和感から鈍い痛みを時折感じるようになり、相談した勤め先の先生にも、「早めに婦人科で診てもらった方がええですよ。」と言われ、そうしようとした矢先のことでした。
6/3に友人と久しぶりに会うも、アルコールがダメな私でも、一杯くらいのチューハイは大丈夫なのに、飲み終える頃猛烈な吐き気が襲い、早々に一人退散(ごめんね、友よ)。次の日の土曜日は仕事もあったので、早めに就寝、やっぱりお腹に違和感はあるも鈍痛でした。先生に内科用の超音波で診てもらうと、ちょっと腫瘍のようなものが。再度婦人科の受診をうながされ、木曜日の仕事休みに行こうと決心。その時微熱があったので、先生にビタミン注射をしていただきました。
ちょっと元気になり、一度はぽしゃった「ZOO」を観に三男とテアトルへ。しかし観ている最中節々に痛みが。帰って熱を測ると37.3度。夫の「何で映画なんかいってん!」との声を背中に、欠席出来ない自治会の会合へ向かいました(今年は班長)。そんなに言うなら、あんたが行って!と言いたかったけど、けんかになるので辞めました。そしたら熱はぐんぐん38.5度まで上がり、下腹部にはキリキリした痛みが断続的に襲います。一昨日友人たちと話していて、ハタと気づいた卵巣嚢腫ではなかろうかと言う、思いがよぎります。
卵巣という臓器は、別名「沈黙の臓器」と言われ、自覚症状が出てからのガンなど、だいぶ進んだ状態が多いそうです。そんな場所での痛みですから、私はてっきり茎捻転を起こしていると思い込み、処置が遅いとお腹で壊死が始まってしまうと書いてあるので、もう大変!明日は絶対病院に行こう、でも茎捻転って七転八倒の痛みと書いてあるけど、我慢出来ないことはない。でもこれが経産婦の悲しさ、痛みはなんでも「お産」と等価交換してしまうので、お産に比べりゃこんなもの、と私が思っているだけで、この痛さは人様には七転八倒なのだろうか?また疑心暗鬼に。それにもしガンだったら?
中1の三男の心配する顔に「お母さん、あんたが大人になるまで絶対死ねへんからな。」と言いつつ、憎たらしい上二人のバカ息子どもには、「お母さん若いから(43歳です)、もしガンやったら進行早いし、年内で死ぬからな。」とへこますのも忘れない私。そう言いつつ生命保険の証券を見直し、婦人科特約はちゃんとつけてあるのに安堵、これで平均15万前後の入院費は大丈夫、ネットで闘病記を読むと、国からの返還金は二ヶ月にまたがると4万ほど少なくなるので、月初めに手術するように書いてあり、もし検査→手術・入院も今ならセーフでまた安堵(全部痛み止めを飲みながら調べる)。我ながらこんな時まで主婦根性とはと、苦笑していました。
仕事は休み、いよいよ近所のSクリニックへ。ここは女医さんなので、行きやすいのです。先に尿検査とコップを渡された私はその後絶句、なんと血尿が出ているのだ!(生まれて初めて)。ここで卵巣嚢腫説及び茎捻転は木っ端微塵、膀胱炎のひどいの→腎盂炎へ思考回路はするする。が、診察が始まるとまた別の驚きが私を襲います。先生から「まぁ、大きな子宮!」えっ??「あなた、子宮の中に直径6cmの筋腫がありますよ。出来た場所が悪いから、筋腫が膀胱を圧迫して尿の出を悪くして、徐々に老廃物を溜まらせて、腎盂炎を引き起こしたのよ。これは全摘した方がええねぇ。」「先生、良性ですか?」「確実なことは言えませんが、この様子ならまず大丈夫でしょう。ガン検査もしときますか?」「はい、お願いします。」
点滴を終え薬をもらい、結果を報告しにそこから徒歩5分くらいの勤め先の病院に。「良かったですね、原因がわかって。いつでもケイケイさんの都合で手術してくれはっていいですよ。」という若先生に感謝しながら、そこからまた徒歩5分くらいの夫の実家に向かいます。14年前実母を亡くし、姑が81歳となった今、兄嫁さんは私の姑がわりです。「なんでも協力出来ることはいいや。私も筋腫の手術した人に聞いてみたるわ。」と言う言葉に感謝しつつ家路に向かいました。
横になっていると三男が帰ってきて、「お母さん大丈夫?」と聞くのでこれこれしかじか。「ふ〜ん。子宮って女の人しかないねんやろ?」「そうや、そこでまだ卵やったあんたを人間にしたんや。」と言いながら、私はふいに涙が。そうだ、安心したので九分九厘取ってもいいと思っていた子宮ですが、ここは息子三人を人間にした場所なんです。追い討ちをかけるように、バカ次男から「大丈夫やった?」の電話が。この子は難産で、母子とも死にかけたんやよなぁと思い出しつつまた涙。やっぱり子宮を墓場まで持って行きたい気持ちがむくむく湧いてくるのです。女なんて、ホルモン一発の生き物だと実感しました。
大きな病院での説明は夫といっしょに行くつもりです。だって私の子宮に種を蒔いた人ですから(←そーじゃなくて・・・)。夫51歳妻43歳の夫婦は、決して若くはないけど、老いぼれてもいないはず。妻が子宮を全摘するのは、夫にとっても大問題なはず。納得出来る方法を、夫婦で考えたいと思います。ので、このお話は続きがあるかも(しれない)。尚大阪市は今年昭和の遇数年に生まれた人は、400円で各医療機関で子宮ガン検診をしています。(来年は奇数年)。私も36年生まれなので該当します。詳しくは、医療機関までお尋ね下さい。
2005年06月03日(金) |
「ザ・インタープリター」 |
6/1の映画の日に観てきました。レディースデーと映画の日が重なって、ちょっぴり残念な6月です。12時10分頃に仕事を終え、ダッシュで家に帰りご飯を食べ、朝洗濯機に放り込んだ残りの洗濯物を干し、12時50分に家を出て電車に飛び乗り日本橋まで。古式ゆかしい上映館の千日前セントラル(カップホルダーもないよ〜)まで、途中街頭でホストの紹介みたいな本を手渡されつつ、なんばグランド花月の前のポルノ専門館がパチンコ屋になったのに驚きながら、必死で歩く歩く。ハァハァ言いながらやっと座席に付き、館内の激寒に「映画館の夏」が来たを実感しつつ、持ってきた映画用のストールを身にまとい、さぁ始まり始まり(でも予告編多すぎ)。
国連通訳(インタープリター)として働くシルヴィア・ブルーム(ニコール・キッドマン)の専門は、アフリカで使われるクー語。ある日忘れ物を取りに自分のブースに戻った彼女は、偶然クー語で話すアフリカのマトボ共和国の大統領ズワーニの暗殺計画を聞いてしまいます。すぐ警察に連絡したシルヴィアですが、彼女を保護するはずのシークレットサービスのトビン・ケラー(ショーン・ペン)は、彼女が何かを隠しているのではと感じます。しかし次々にシルヴィアの身に起こる不穏な動きが、彼女の謎、そしてズワーニの独裁政権をあぶりだして行きます。
名匠シドニー・ポラックが作った王道の社会派サスペンス。ポラックは題材により控えめな時もありますが、常に娯楽は意識して作る人なので、この作品も大変面白く観られました。冒頭でもマトボのサッカー場で、いとも簡単に大の大人が黒人の子供に殺されるシーンなど、「シティ・オブ・ゴッド」をちょっと彷彿させ、手短にマトボという国の腐敗を衝撃的に描いています。
最初は志高く国を築こうとした大統領が、いつしか独裁者と呼ばれるようになる様子は、いつの時代にもあることで、世界中であちこちで起きる紛争と重なり、観る者も容易に想像力が働きます。前半シルヴィアの謎とマトボの苦悩を描くことに重点を置いており、少々テンポが遅いですが、ややこしい人名や事柄も出てくるので、ゆっくり整理するには適していたと思います。
後半は徐々にサスペンス色が加速し、ここからどうなるんだろうとハラハラドキドキ、さすがに手馴れた演出で飽きさせません。華やかなイメージの二コールですが、常にマニッシュな服装で化粧も地味目、際立つ美貌を押し出さず、政治に翻弄された暗い過去を持つ通訳を好演していたと思います。ベトナムの子を養子に迎えている彼女は、母親としてこういう作品に出たかったのだろうなと思いました。。
それ以上に印象に残ったのがショーン・ペン。仕事の出来る渋いシークレットサービスを、くせのある役を得意とする彼がやって自然な好演なんて!生え際の白髪が目に入った私は、いい年の取り方をしたのだなぁとうっとり。 シルヴィアの造形やその他、あちこちで聞かれる作品の穴ですが、主役二人の好演と演出の巧みさで、私はあまり気になりませんでした。徐々にお互い惹かれあうのが手に取るようにわかるのですが、キス一つせず、心だけのつながりに終わった描き方も、上品で心に残りました。
舞台の国連本部には、本当に許可をもらってロケしたそうです。そのリアリティが功を奏してか、深みも重厚さもほどほど、実力を兼ね備える人気俳優の出演している、安心して観ていられる上質のハリウッド作品の印象が残ります。まずまずのおオススメ作です。
いつもお世話になっている方々のサイトです。
★主に映画レビューを主体としたサイト
間借り人の映画日誌 評論家以上の重厚で深いレビューと、気さくな人柄が和ませる掲示板との落差が楽しい、高知在住のヤマさんのサイト。推薦テクストとして一つの映画に対して、複数の感想を読むことが出来ます。
DAY FOR NIGHT 新作から旧作、世界各国の作品のレビューが盛りだくさん、掲示板はいつも大賑わいなのに、「マニアでもないミーハーでもない」をモットーに掲げるFさんのサイト。映画の扉を開けたばかりの方も、安心して参加出来ます。
少年トッパ 映画・Jポップに精通していらっしゃるトッパさんのブログ。長年人気サイトを運営されておられましたが、サーバー閉鎖に伴い、ブログのみとなりました。新たな展開を期待しています。
杭州飯店 香港・韓国・中国・台湾、アジア映画のレビューの宝庫。もちろん他の国の作品のレビューも充実している杭州さんのサイト。優しい人柄の出るレビューは癒されます。
マダム・DEEPのシネマサロン 膨大な量の映画レビューの質の高さに圧倒されつつ、辛らつな表現の中にも、繊細な人柄を感じさせる大倉さんのサイト。ちなみに私は「毒書日記」のファン。美術ファンも堪能出来るサイトです。
とめのきままなお部屋 浪速女なのに何故か江戸前、しかし実体はにゃんこ大好き、暖かい人柄が掲示板やレビューに滲み出る、ハンサムウーマンとめさんのサイト。
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地下室名画座「シネマ−Daichan's」 映画ファンなら憧れのホームシアターを自宅にお持ちの、ダイチャンさんのサイト。「上映会」は毎回テーマを決めて、オールドからミドルの年齢の映画ファンには堪えられない、ダイチャンさんならではの映画への愛情に溢れた名解説が楽しめます。
閑話休題 上映機会に恵まれない静岡で奮闘する、みぃさんの映画感想文のサイト。自主上映作の感想も多く、映画を愛する心意気が伝わってきます。伸びやかで素直な感受性が、読んでいて思わず微笑みを誘います。ブログの「パート2」では、新妻の日常を自然体に綴り、こちらもお人柄が伝わってきます。
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チネチッタ高知ネットの世界では、「高知では東にヤマさんあり、西にお茶屋さんあり」と謳われるお茶屋さんの、高知の上映作なら何でもござれの豪華絢爛サイト。上映作の少ない高知で、ロードショーから自主上映まで、細やかな解説付きの紹介は、大阪在住の私も楽しみにしています。「かるかん」と謙遜されている感想文は、短いですが的を射た感想ばかりで、感心させられます。
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