地上懐想
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2001年01月05日(金) |
地中海−−天国への階段、ロードス島 |
ロードス島には、天国への階段がある。 その階段をのぼりきった、限りなく天に近いところから地中海を見おろした。 空も海も、どこまでも青かった。
ロードス島へは、アテネから飛行機で1時間ほど。 やはり、ゼミ有志旅行で行った。 アレキサンドリアに行った時の旅だったと思う。
島の端にリンドスという町がある。町というよりは、集落に近い。 まぶしいような白い色で塗られた家々が、小高い丘に沿って並んでいる。
ひときわ高い崖の上にはアクロポリスの遺跡がある。 何段も何段も階段をのぼって、いよいよ頂上に近づいて上を見ると、その階段が天に向かって伸びているように見える。 階段の上に何があるのかは見えない。 階段と、空のほかには何も見えない。 天国へのぼっていくようだった。
リンドスの丘を降りたあと、ロードスの町へ向かった。 過去、イスラム軍勢に追われた十字軍がたどりついたところらしく、旧市街の中に「ヨハネ騎士団」の騎士団長が住んだ立派な館などがある。 ヨハネ騎士団という組織は現在も残っている。 ローマにその本部があると聞いた。この旅ではギリシャのあとローマへ行くことになっていたので、自由行動のときにわざわざ見にいったことを思い出す。 残念ながら建物の中には入れなかった。特に、なにか展示物を公開しているということでもないらしい。 中世風の格好をした人でも出てこないかとしばらく門の外に立っていたが、建物はしんと静まりかえったままだった。
さて、ロードスの町に話をもどそう。 海沿いにある旧市街は城壁に囲まれ、その中は迷路のようだ。 石造りの古い町並みの中に、ときどきアーチがある。 迷うのをなかば楽しみながら適当に道をあるいていくと、ふいに目の前に城門が現れる。 アーチをえがいた城門の先には、青い地中海が輝いている。 とつぜん、光に出会ったかのようだ。
地中海はどうしてこう明るいのだろう。 光に出会う迷路。 いつまでもいつまでも、迷って、そして光に出会って・・・というのをくりかえしたくなる町だった。
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