|
|
■■■
■■
■ 実験と演習の日々
私が通った短大は理系だった。しかし私は理系(栄養科)であるということに全く気づかずに入学してしまったのだった。入学してから私を待っていたのは、女子大生という美しい響きにそぐわないよう毎日医者のような白衣を着て、試験管やらシャーレやらに囲まれた、実験実習演習の日々だった。
色々な実験があった。
自分の舌をしびれさせ、味覚についての実験 ・このとき私は中耳炎で、味覚が全くわからず、私が取ったデータは全て無駄となる。
キナコの中の水分を計る実験 ・あんなにカラカラなキナコの中の水分を計るって一体…別にいいじゃねえかという気分で一杯。
日常の食品から大腸菌を培養するってのもあった。
教授が、朝ご飯の残りを持ってくるように、という。みんなスクランブルエッグや、ご飯やらパンやら持ち込んだ。そしてすかさずそれを滅菌シャーレにて大腸菌を培養。半日おきくらいに測定したが、どれもこれも、あれよあれよという間に大腸菌のコロニーで一杯。実験と言えどマジ飯が食えなくなる。
ある朝実験室に行ったら、黒板にこう書いてあった。
「各自、自分の尿を取ってテーブルの上に置いておくように」
…みると自分の席には見覚えのある採尿コップが。みんな黙って採尿し、尿内のビタミンCやらBやらを測定した。前の日、豚肉たくさん食ったという大変大柄な女子大生からは大量のビタミンBが測定された(豚肉にはBが多く含まれている)。爆笑もんだった。
一番騒ぎになったのはやはりラットの解剖だった。かわいいんだよね、ネズミ。それをはさみでチョッキンチョッキン。グループ内では私が一人でやった。医者って凄いと思ったよ。臭いしやはり恐い。他のグル―プでは間違って真っ先に心臓をカットしてしまい、大量出血で他の部分が解剖できないところもあった。また医者てすごいと思ったね。
そして一番事件になったのはヨーグルトを作った授業。菌を使って作る食物の授業だった。ヨーグルトなんて簡単で、大体誰が作ってもおいしいもんだ。が、しかし…苦い味がする!というグループがあった。教授はあわてて、
「ボツリヌス菌が培養されてしまったかもしれない!もう食べないで!!」
と早速分析に走った。この菌だと食中毒で死んだりするからね。
そして緊張の測定結果が出た。教授は一言こう言った。
「…これ、乳酸菌じゃなくて、納豆菌が培養されてます…」
そう、前の授業では納豆を作ったんだよ。用具をよく洗わないでヨーグルト作ったのか(でも煮沸消毒してるんだよね〜)納豆菌てしつこいから、乳酸菌を抑えて培養されてしまったようだったのさ。
他にも私は混ぜたらいけない薬品を混ぜてしまって、有毒ガスを発生させてしまったり(かなりパニックになった)、ステーキ焼くときにお酒を掛けてそして、火をつけてアルコールを飛ばすときに天井まで炎を上げて焼いてしまったり、自分の学問に疑問を持っているとろくな結果にならないのであった。
そして手元に残ったのは学校のマークが入った出刃包丁と、栄養士の資格、そしてあわれ薬品で焼け爛れた白衣。やっぱ、入学前に学校が教えてくれる内容は理解して納得しておかないとね!
2003年09月12日(金)
|
|
|