JERRY BEANS!!

2004年10月14日(木) 同じ車

もう二度と、会う事など無いのでしょう。
街で見かけることも。

偶然出会うことも無いし、意図的に出会うことも無いでしょう。

そう、理解しているのに、

…同じ型の車を見るだけで、一瞬、脳が留まる。
どうしてこんなに、罪の意識がするの?

そう、本当に、私にとっては手が届かなくて、目に映るだけで。
指が震える程、怖かった。言葉を失う程。躰が硬直する程。

「もう電話もしないしメールもしない」
そんな簡単な言葉と、「ありがとう」や「ごめんなさい」という
ありふれた小さな文句で、納得するしかない気持ちを
言葉に押し込めた。

あの人はもう居ない。もう、会わない。

だけど、同じ車、同じ版画、同じ香水、そんなありふれた亡霊に、
一瞬だけ、私はとり憑かれる。すれ違う、瞬間的なもの。

神様。…私という愚かな民の創りだした、偽りの神。

一瞬、私は後ろを振り返る。そして、胸をなでおろす。


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nana [HOMEPAGE]

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