感情に満ちる薄い瞳に屈服して、この手を伸ばすなら 貴方はこの手を取りますか?
この手が貴方に触れるのは、その瞳があまりにも饒舌だったから。
貴方の凛として荒削りの、それでいて恋に請う小さな脆さが 私の胸をふるふると、震えさせるのです。
貴方がもしも泣くのなら、流した涙を一粒ずつ飲み込んであげよう。
だから、どうか、貴方の、貴方だけが持てるものを決して失わないように。 私が居る事で、何が変わっても構わないけれど、私が一番最初に惹かれた 貴方の「芯」を、私のせいで無くさないように気を付けて。
私も、貴方が居る事に慣れて、私が大事にしなきゃならない「私」の種を 無くさないように努力するから。
実際に離れている距離はどうしようも無いけれど、私は手を伸ばします。 多分、貴方の居る方へ。多分、夜の次。朝陽が昇る前に、手が届けば。 …手が、届くように。
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